Posted by ブクログ
2018年10月08日
いよいよ石田三成は、会津の上杉氏とともに挙兵する。光成も家康も共に大義名分は、豊家を脅かす奸賊を征伐するためとなっているが、諸大名はどちらにつくのが自分にとって有利なのかを機敏に察知し、多くが家康に付いていくこととなる。P427に、司馬遼太郎が書きたかった本小説の本質が書かれている。「世間は、欲望と...続きを読む自己保存の本能で動いている。」このテーマは、著者の他の著作の多くにおいて描かれているが、本小説程、この本質を描くのに適した題材は無いであろう。この日本人の持つ特質は、戦国期の昔から現在まで変わること無く引き継がれており、おそらく未来永劫変わることはないのであろう。伝統的な日本企業あたりでは、今日もまた同じような政治的駆け引きが行われているのであろう。
中巻では、細川ガラシャ、小早川秀秋、真田父子などの時代の主役達が登場しはじめ、物語に彩りを加えてくる。