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村にやってきた美しい美術教師。悲劇はここから始まった。老弁護士の回想で語られる事件の真相とは? 傑作ミステリがついに復刊
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Posted by ブクログ
静かな文章だからこそ、ぞっとする内容だった。 文学小説慣れしてない人には、ちょっと読むのが苦痛かもしれないと思った。
以前にクックの「夜の記憶」を読んだことがあり、この作品はまあかなり、いわゆる「イヤミス」で読んだ後になんとも言えない気持ちになって、登場人物の名前を全く別のシチュエーションで聞いてもその気持ちが蘇るトラウマミステリーでした。 なので、なんとなくしばらく遠ざかっていたクックなのでした。 こちらの作...続きを読む品も形は違えど、遠い日に起こった出来事を深い悔恨をもって回想する、そして出来事の真相が明らかになる、という点では同様の展開。 他にも「記憶シリーズ」があるらしくて多くがこのようなパターンで展開されるお話との事、普通ならばワンパターンと感じてしまうところなのですが、これがクックの筆力にかかると仮にワンパと思っていたとしても深く引き込まれてしまうのです。 ミステリーといってもかなり文学フレーバー強し。 エンタメを求める方にはフィットしないでしょう。 巻末の翻訳家の解説によると本国アメリカの書評家の間ではクックは「雪崩を精緻なスローモーションで再現するような」と表現されているらしいのですが、ほんと、これ、上手い事言うな〜と感心しました。 まさにその通りで、事件の起きた背景や小さな誤解や保身の嘘や優しい嘘などをとても繊細に描いて秀逸。 人物描写、その感情の描き方もとてもセンシティブです。 この作品は「アメリカ作家クラブ賞最優秀長編賞」を受賞していたり、邦訳された1996年の「文春ミステリーベスト10」の海外部門1位、「このミス」海外編2位など、クックの実力を日本国内にも知らしめた1冊なんですよね。 クックを初めて読む方はこの作品をぜひお勧めしたいです。
ミステリーと一言で表現出来ない。細やかな情景、語り部の心情、結末は最初から分かっているようで、しかし深層は分からない・・・とても残酷な美しい、人間を描いた物語だった。初クック作品だったが、善き作家との出逢いに感謝。
トマス・H・クックは初めて読んだ。 すごく好みで驚き。クラシックな雰囲気、静かな筆致で、過去の事件が少しずつ浮かび上がる。 その少しずつの書き方が、すごく上手い。最初は地味かなと思って読んでいたけれど、ぐんぐん引き込まれました。登場人物も多くないけれど、一人一人の置かれた立場からの思惑が練り込まれて...続きを読むいる。 堪能しました!
美しい美術教師が村にやってきたことから、 始まる事件。 いやー。何が起こったの? 全貌が全然見えないなか、 何かよくないことが起きたのは確かで。 じわりじわり、見えて来た頃には、 なんてことに! と、深いところに落っこちたような 感覚になった。 後戻りできない今となって、 ヘンリーの心に横たわった...続きを読む闇。 最後のアリスとのシーン、辛かった。
過去の追憶から始まる物語。主人公は、とある村の校長の息子。 物語は、彼の記憶をたどる形で、かつて村で起きた事件が描かれていく。 ミステリー要素はないものの、随所に散りばめられた不穏な描写が印象的で、最後に明かされる事実と、それまでの出来事が一つにつながる構成がとても面白かった。
土瓶さんの『夜の記憶』のレビューに触発されてトマス・H.クックを初読み。 平穏な村に美しい女性教師が訪れたことによって起こった事件は、どんな悲劇だったのか… いや〜焦らされる。 こうして思い出すと…、あの時はまだ…、こんな恐ろしいことになろうとは…みたいな思わせぶりにずっと焦らされる。 「一体何...続きを読むが起きたのよ〜、早く教えて!」という思いからどんどん先へと読まされていく。 ヒロインの登場シーンは、色や音や空気感までもが映画のスローモーションのようにゆっくり描写されている。 クック作品の比喩で「雪崩を精緻なスローモーションで再現するような」と言われているのがすごい納得できる。 描写や言葉一つ一つがとても美しくて、ミステリーだけど文学小説を読んでるよう。 倒叙やスピーディーな展開が好きなので、思わせぶりな匂わせが続くクックさんは正直焦れったかった。 でも最後まで読むとその過去の緻密な振り返りも深く効いてくるし、スローモーションのような登場シーンも全てがこの作品の魅力だった。 「速く進むだけが面白さではないぞ」と、クック先生に教わった気がする。 とても良い作品だった。 真相が何とも言えない。。。 土瓶さん!ありがとうございました(◍•ᴗ•◍) クックの他の作品も新版が出ないかな。
ミステリーに分類されているが、ネタバレや謎解きに重きが置かれている訳ではない。 事件発生までの時系列に加えて、主人公の少年が老齢になった現代の描写や裁判の公判での証言を織り交ぜることで飽きの来ない展開がされている。 少年の一途な心理が描かれているが、大人の自分としては、彼が興醒めする大人側の視点で考...続きを読むえてしまう。学校長の父親に対する評価が、主人公の少年と女性教師で違っていたことが判明し、彼自身の成長に併せてそれも変遷していくことが描かれている。美人教師の赴任に端を発する事件の裏で展開される、親子や家族関係がテーマなのだろう。 一つ気になったのは、主人公の心理描写と重ねられて陰鬱に描かれているチャタム村が、自分のイメージがなくてあまり共感出来なかった点。現地の人には一般的なステレオタイプなのだろうか。
「雪崩を精緻なスローモーションで表現するような」と解説にあったが、まさにその通りです。悲劇にじんわりじんわり向かっていくのが怖い。
ある田舎町の学校に女性教師が赴任し、そこから起きた事件 田舎町の平穏だけど退屈な空気感 そこに現れた異質な存在に惹かれる少年(過去)と、それによって人生が変わり果てた老人(現在)が事件について語っていく。 真相がわからないまま進むが 引っ張り込むようなエンタメの要素は無い代わりに各場面静かで鮮明な描...続きを読む写と比喩に浸り、物語に引き込まれた。 意図してるものかはわからないけど、現在と過去を交互に読むうち老人と少年が混ざり切り替わりの境目が無くなる瞬間を何度か感じ、混乱するではなくて「語っている現在の主人公自身が過去と行き来している」ように読めた。
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