小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
成瀬シリーズの2作目『成瀬は信じた道をいく』を読んだ。今作は、1作目とは違って成瀬自身よりも、彼女に振り回される周囲の人々が描かれている場面が多い。そのため、多少の“成瀬ロス”を感じてしまった僕は、すでに登場人物と同じように成瀬ファンなのかもしれない。
1作目とはまた違う角度から描かれる成瀬とその周囲の物語は、テンポがよく非常に読みやすい。そして何より面白い。コミカライズもされているようだが、成瀬シリーズはぜひ小説で味わってほしい。文字をおっているだけなのに不思議と成瀬という人物像が頭の中に鮮やかに浮かび上がってくる。この体験こそが小説を読む醍醐味だと感じる。
小説から距離を置いている人にも、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説を読んで涙が出たのは初めてだった。
主人公の壮絶な経験には胸が押し潰されそうだったけど、それよりも、私自身の何かに共鳴し涙が溢れたのはアンさんの死のシーンだった。
アンさんの親は、アンさんがトランスジェンダーであることを精神病と受け止め田舎に連れ帰ろうとしていた。死んでからも娘として化粧をしてユリの花で棺桶を埋め尽くし、自分の育て方が悪かったと言う。親の世代とは時代が違うからとか、親にも親の気持ちがとか、言えなくもないかもしれないけど、私は許せなかった。でもアンさんはそうは思わない。というか思えない。そんな親子の状況が悔しくて、読んでいてキツかった。私自身も似た苦しさを感じたことがある