小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ捜査二課の暴力団係に配属された日岡は、班長の大上の下につき、金融会社社員失踪事件を追う。ヤクザの懐に入り込み時には違法捜査も辞さない大上に、警察官として葛藤しながらも信頼感が芽生えていく過程を、暴力団捜査という一般常識の通用しない世界ながら、そのしきたりや特別な用語に至るまで読者に違和感を抱かせず描ききり、圧巻だった。各章の冒頭に日誌が登場し、その後何が起きるかが分かってしまうので、少しもったいない気がしていたが、所々黒塗りされたその日誌が、クライマックスの急展開、そしてプロローグの場面に綺麗に繋がり、ミステリとしても申し分ない読み応えだったように思う。大上のキャラクターは一冊で亡くしてしまう
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久しぶりの山本甲士さん、そして久しぶりのマジック、堪能させていただきました。
すれ違いの増えた熟年夫婦。
売上が右肩下がりのスーパーの店長。
理不尽な職場で働く若手社員。
そんなうまくいかない人たちの前にマジックがやってきて.....っていう安定のお話。
読み始めたのが3月上旬の少し寒い日だったんですけど、いきなり8ページ目に『三月上旬になるというのにこの日は風が冷たくて.....』っていう文章が出てきて『ぴったりすぎる』ってなりました。
今作は縁、繋がりがいつも以上に濃厚。
『狭っ』って思いました(全く悪い意味じゃないです)。
癒しもいっぱい。
ほんと大好きなシリーズです。
ありがと -
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ネタバレ恋愛と結婚、家庭の在り方、背負うもの背負わざるを得ないもの、女性の出産とキャリア、ひとりで立つということ
なんだかものすごく色んなことを考えさせられたし、女性作家による女性の心の内の言語化と表現力は本当に素晴らしいなとあらためて
あと穏やかな人ほど冷ややかで、その背景にはたくさんの感情を諦めて飲み込んで受け入れてきた過去があって、それは「優しい」と簡単に言っていいものではないしその優しさに甘えすぎてもいけないんだなと
人はみんな幸せを求めて恋愛なり結婚なりするのだろうけど、その幸せの形や家族の在り方はそれぞれで、星の数だけあっていいんだなと思えた作品だった -
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『スピノザの診察室』を読んで、派手な展開や強く泣かせるような場面があるわけではないのに、読み進めるうちにじんわりと心が動かされ、気づけば目が潤んでいるような、静かな感動を覚えた。
この作品で印象に残ったのは、主人公が必要以上に前に出ないことだと思う。物語を引っ張っていくというよりも、周囲の人や出来事に寄り添いながら、その場にいる一人として存在しているように感じられた。そのため、読んでいる自分も主人公と同じ位置に立って、病院や街の風景を見ているような感覚になった。地域医療の現場の空気感や、人と人との距離の近さが、途切れることなく頭の中に流れ続けていたのがとても印象的だった。
また、主人公 -
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この事件は、いまから44年前のことである。この本にあるように当時の報道の過熱ぶりは度を超えた、プライバシーの心外、名誉毀損のオンパレードで個人の尊厳など無視したマスメディアの姿勢には辛辣を極めた。
私は三浦和義という人物に興味を覚え、島田荘司の書いた『三浦和義事件』を当時読んで以来ずっと頭の隅に事件の真相を知りたい気持ちがあった。島田荘司の本も素晴らしかったが、もっと直接、三浦和義と繋がりがあり真実を見極めた本を探していたのである。著者は三浦和義の主任弁護人であり信頼関係も強固に築き上げた人である。私はこの本を読んで確信した。三浦氏は、殴打事件も銃撃事件も無実であった。
ひとつ驚いたのは、ある -
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作品紹介・あらすじ
ここではない、どこかから電話が鳴る。ポール・オースター最後の長篇小説。S・T・バウムガートナーは九年前に先立った妻アンナの不在を今も受け容れられずにいる。書斎で彼女のタイプ原稿を読み耽り、物忘れがひどいなか、ルーツの地ウクライナを旅したときの摩訶不思議な出来事を書き残す。そんな彼に恩寵が……来るべき日を意識していたとしか思えない、オースター作品のエッセンスが宿る名作
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ポール・オースターの遺作。
本当は「4321」を読んでから本書に取り掛かろうとしたのだけれど、「4321」の分厚さに慄いてしまい、半分以下の分量の本書に手を付けた次第。
主人公は、哲学者で大 -
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高校時代から20代前半の頃、五木寛之氏の本に夢中になった。「戒厳令の夜」「さらばモスクワ愚連隊」など衝撃的読書体験だった。久しぶりに読む氏の本は随分感じが違ったけれど、今の時代を鋭く描いていた。
今の時代は情とかウェットなものが嫌われて他人に干渉しないドライなものになってしまった。今の日本の交通事故死亡者は1万3千人、自殺者は2万3千人(自殺未遂を含めると10万人)自殺は死因の7位。8位の肝臓疾患よりも多い人が自ら命を絶っている。氏が言うには、日本の人々は心に内戦を抱えている。生きていることそのものが地獄であり、自分の命も人の命も軽んじて奪ってしまう。もっと人の心に情を育んでいかないといけな
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