あらすじ
藪の中で踏んでしまった蛇が女になり、わたしの部屋に棲みついた。夜うちに帰ると「あなたのお母さんよ」と料理を作り、ビールを冷やして待っている──「蛇を踏む」。うちの家族はよく消えるが、上の兄が縁組した家族はよく縮む──「消える」。背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった──「惜夜記(あたらよき)」。神話の骨太な想像力とおとぎ話のあどけない官能性を持った川上弘美の魅力を、初期作ならではの濃さで堪能できる、極上の「うそばなし」3篇。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
正直この作品に意味を求めようとすることはナンセンスかもしれないと思う作品だった。意味より感覚で楽しむべきものなのだろう。しかし、完全にファンタジーに捉えるのもどうなのだろうか、そうしてしまうと少し何かを放棄した気分になってしまう。そんな難しくも美しい世界観の小説だった。ただ一応少しばかりの考察はしなければいけないという、よく分からない使命感から考察するだけしてみた。
『蛇を踏む』での蛇とはなんだったのか。自分的には関係や繋がりを求める欲求の対象なのかと思った。蛇が化ける先は母や祖母、妻であってどれも繋がりの上にあるものであるし、性行為した相手が蛇になる描写からもそう考えられる。蛇の交尾は互いに絡み合い行われることからも、絡みや深い繋がりを意味する気がする。蛇は永遠の象徴でもあるから最後のシーンにも繋がってきてるのかもしれない。それと個人的にカフカの『変身』に似ていた。不条理というか、現実的でないことが目の前で起こっているのに登場人物は大して驚きはしない。ただその蛇を(変身では虫になったグレーゴルを)受け入れるか否かに葛藤が生まれる。その当たり前の線引きというもののあやふやさを指摘する点については、割と近しいテーマを持っているのかもと思った。
『消える』は色々考えたが、実力不足で何にも分からなかった。とにかく不思議な世界観に中てられた。でも案外この作品たちはそんな風に感じるだけでも良いのかもしれない。
『惜夜記』の最初の「馬」という話は、川上弘美さんなりの夜の始まりを考えたうそばなしなのだろうなと思った。偶数話での少女の話は一応繋がっていそうで、内容は恋愛?なのかと思った。出会いから老いて死ぬまでを詩的に超越した世界観で描いているのだと思う。全体的にどこか夢のようで浮遊感のある文章で、個人的には変に哀愁も感じた。3つの作品の中では一番世界観に身を任せられた気がして、身体にスッと入る作品だった。
兎にも角にも個人の考察であるし、やっぱりこの作品への真摯な向き合い方は、身を委ねることだと思うので「うそ」の中でちょっと遊んでみるぐらいが丁度いいのかもしれない。
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動物が日常生活に馴染んでいるというマジックリアリズム。それを周囲の人々も同じ体験をしているという不可思議な世界。
それ自体は別に珍しくないかもしれないが、蛇を踏むという一文から始まる作り方には感服した。
他にも二編あったが、蛇を踏むが断然好き。
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不思議にぷかぷか世界を移ろう夢の心地なのに背景が全くぼけない ピント以外も鮮明に見える パーツの認識と形容が夢の中のそれじゃなくて、あり得ない世界の見え方した 凄く良かった
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川上弘美さんの良さを充分に感じつつ、ふわふわしすぎないものになっていた。
夢のような甘い時間に導いてくれるのが川上さんの良さだと思っているが、話の道筋?がなさすぎると醒めてしまう...
結末を求めるべきではないと思うが。
その点でこの小説の塩梅はベスト。
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⚫︎受け取ったメッセージ
「影」としての心との出会い
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。
蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。「踏まれたので仕方ありません」人間のかたちが現れ、人間の声がして、蛇は女になった。
部屋に戻ると、50歳くらいの見知らぬ女が座っている。「おかえり」と当たり前の声でいい、料理を作って待っていた。「あなた何ですか」という問いには、「あなたのお母さんよ」と言う……。
母性の眠りに魅かれつつも抵抗する、若い女性の自立と孤独を描いた、第115回芥川賞受賞作「蛇を踏む」。
⚫︎感想
ユングの「影」を想起した。積極的に生きてこなかった自分=影が蛇として表現されていると考えてみた。影としての心との出会い。蛇を踏んでしまった。その蛇が家に居着いて人間になったり蛇に戻ったりする。巻きつかれたり、職場までやってきたり、蛇の世界に誘われるが、拒んだり、心地よかったり、ザワザワしたり。影としての心が動き出して、蛇となっている…と捉えると、ヒワ子が違和感なく蛇を受け入れることも理解できる。無意識の自分なのだから。受け入れたり、争ったりするのは、自我と影だからであると考えられるのではないか。また、蛇が「あなたのお母さんよ」とヒワ子に言っていることも、ユングのグレートマザーを想起させる。
河合隼雄氏は昔話や神話の中に無意識の世界の広がりを研究された方だが、川上弘美さんの「蛇を踏む」は、「影」としての心との出会いを昔話風に物語ってくれているのではないかと思った。
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起きているのに夢を見ている
スラスラ読めるのになにも理解できなかった
じゃあ昼間は全部理解できてるのかといったらそうでもないし
理解していないならなにも残らないはずだが、何か実際に体験した後のような感覚が残る
アウトプットばかりで疲れた会社員におすすめ
イモリとかニホンザルとか
そんなタイトルが付いているから多分私が興味ある内容が書かれてるんだと思う
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内容がグニャグニャしていて、理解できないのに理解しようとして頭を使いすぎて辛いので、仕事の合間にぽつぽつ読むのがちょうどいいなぁと思った。
うまく言葉にできない夢で見たような話をなめらかな文にできるのがすごい。
人や動物が溶けたり消えたり、忙しない。話自体はゆったり流れているようにも感じるけれど、とてつもなく変化ばかり起きているのでついて行くのが難しかった…!
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名前と表紙で衝動買いした本
面白かった
夢の中にいるみたいな感覚になる本
どんな話?って聞かれても相手が納得の行く、ピンと来る説明は絶対に出来ない本だと思う
一言で言うと本当に「夢の中」が1番近い感覚な気がする
現実っぽいところもあるのに有り得ないところばかり
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「背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのであった」。「惜夜記」の書き出し。何と凄い表現か。
第115回芥川賞受賞作「蛇を踏む」含む3篇収録。物語は奇想天外。内容は意味不明。寓話的でありながら、著者の言葉を借りれば「教訓を引き出せない」物語。ゆえに身を委ねて川上弘美ワールドに浸るのが正解。
3つとも面白いが個人的な好みは「惜夜記」。川上弘美版千一夜といったところか。
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ある日蛇を踏んでしまった。帰宅したら見知らぬ女が居てそれは蛇だった〜表題作含め3篇の不思議な話。不思議すぎて置いてけぼり感ありながらもシュールさも感じる。とにかく不思議なおはなしだった。
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解説が、本作の様な手法の先駆者である松浦寿輝氏で強く納得。
表題作と『消える』は、もう一歩踏み込めば空間系ホラーとも言える構成で、輪郭の曖昧な物や生物が日常生活に冷やりと這い寄る様は個人的に好み。あとがきで述べられてる程、うそばかりでもない作品だと思った、
『惜夜記』は作者の頭にいつも流れている物を文字にした散文みたいな物だろうか。
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20年ほど前に読んでおり、内容を忘れてしまったので再読。何とも不思議な話が3篇収められている。
川上弘美の作品はよく分からない。何が起こったのか、どんな結末になるのか、何が伝えたいのか…。その分からなさに面白さがある。細かな意図や意味をわかろうとしなくて良いのだ。現実と夢の世界の境界がどろりと溶けて混ざり合う。わかるようで分からない。ただ淡々と話は進んでいくのだ。
そんな川上ワールドに身を任せて浸ってみて欲しい。
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きっかけは、小川洋子先生の“とにかく散歩いたしましょう”エッセイか、心と響き合う読書案内、どちらかで紹介されてて選ぶことに。
蛇を踏んでしまってから蛇に気がついた。
蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。
表現力に驚かれたようで、私も読みたい!となった。
2025年、巳年ということもあり〜
115回芥川賞受賞作品と知って尻込みしつつも読み始め、かなり独特な世界観だった。
これは神話?寓話?終始不思議な世界
やわらかくフワフワした文体の感覚、触感が、ふと日本昔話のような感覚だなぁ〜と感じたら、浸れて不思議に心地よくなりました。
この文庫には、『蛇を踏む』『惜夜記』『消える」の3編が収録されているのですが『惜夜記』が好みです。
抜群な個性の作家でした。
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全く異世界のお話しのようでもあり、現実世界のお話しでもあるような、これが川上弘美ワールドなのか?
最初に「竜宮」を読んだので、同じ世界観として読んだ。
文章はとても読みやすい。想像するのが楽しい。
この感じだと「センセイの鞄」はどんな雰囲気になるのか。
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捉えどころが分からない世界観なのですが、読んでて自分でどう解釈するのか、考えさせられた作品でした。著者のあとがきに描いてあった「うそばなし」。自分の書く小説のことひそかにそう呼んでいることも少しユニークで、とても、著者の
明るさが伝わってきました。「蛇を踏む」は、主人公が公園で蛇を踏んでしまい、家に謎の女が現れてしまい、その謎の女は、主人公の死んだ母だとう言うのだが、主人公の母は生きている。
蛇が化けて現れてしまったのか、そう考えるなか
二人の奇妙な生活が始まった。
芥川賞を受賞した著者の代表作です。
どこか民俗文学を思わせる、不思議なお話がとても、心地よかったです。
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大学の授業で指示されて購入し、読みました。川上弘美さんの小説を読むのは初めてでしたが、始まりの一文から惹きつけられた特別な1冊。「蛇を踏む」の小説内に出てくるごはんのシーンがたまらなく好き。等身大に生活感があって、出てくる料理は派手でもおしゃれでもないんだけど、実家のような安心感があってたまらない。タイトルにも入っているように「蛇」が大切なので、作中の蛇状のものを探してみるとおもしろいです。
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三作の短編。
「蛇を踏んでしまった。」
「最近よく消える。」
「夜が少しばかり食い込んでいるのだった。」
冒頭から『⁉️』と鷲掴みにされる。
そして淡々と不可思議なことを語られ、粛々と物語が進んでいく。
ファンタジーというには謎展開すぎて、お伽話のような感覚。
話の中に教示や諫言を見つけられなかったが、著者の独特の物語は想像の斜め上どころではなく、四方八方どこに連れて行かれるかわからない楽しみを得ることができた。
物語を読むというより、摩訶不思議な世界をただ浸る体験ができた。
物語を読むというよりも、摩訶不思議な世界を楽しむという感じ。
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愛してやまない川上弘美の世界。
このかたが生み出す世界は現実や意味(理性)の世界と自由に結びついたり解けたり、誰も知らない結び付き方を表したり、あらゆる境界をぼかしながら私たちを驚かせる。それは日本古来の妖怪譚のような、幻想文学のような、不条理文学のような趣きを持ちつつ現代に現れた作者独自の世界である。
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【2022年56冊目】
作者いわく「うそばなし」が詰まった三篇。タイトルの「蛇を踏む」は終始さっぱり意味がわからなくて、最後まで狐につままれたような心情で読み切りました。
「消える」も不思議な話ではありましたが、雰囲気的にはこちらの方が好みでした。
「惜夜記」はさらに短いうそばなしが細切れに詰まっており、独特の世界観で広げられる話を楽しんで拝読しました。表現の幅があるだけではここまで書ききれない、「うそばなし」の引き出しが豊富な作者だからこその、話の数々でした。
時間を置いてまた読みます。
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描かれる世界の流れにひたすら身を任せて面白がることが、この本を楽しむ方法としてベストであるような気がする。突飛な展開に出くわすたびに驚いて考え込んでいては物語の中で遊べない。理不尽でも意味が分からなくてもそういうものだと、丸ごと受け容れよう。
明らかに変なことが起きているのに、当たり前のように平然と変だからつかみどころがない。秩序を超えた自由がある。
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3編の作品が収められた短篇集。
どの作品も、見た夢を鮮明に覚えていて、それを書き起こしたかのような不思議な世界が広がっている。『神様』よりも、さらに現実と非現実の境目が曖昧な印象だ。
ご本人は、頭のなかで想像した「うそばなし」だと書いているが、そもそもこれほど奇妙な世界を想像できること自体がすごい。荒唐無稽なのに、読んでいるうちに妙に納得させられてしまう。
3編のなかでは、表題作「蛇を踏む」が一番印象に残った。主人公の母になろうとする蛇は、愛情を装いながら生活に入り込み、相手を支配しようとしてくる。その姿は、過干渉な親や、子どもを自分の一部のように扱う「毒親」を思わせる。
蛇は、愛情と支配が分かちがたく結びついた母性の象徴なのだろうか。意味を一つに決めきれない不気味さも含めて、強く印象に残る作品だった。
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川上弘美作品を初めて読んだ。
語りは、南米文学に通じるマジックリアリズム的手法を思わせつつも、感情の余白や語りの間に日本的な静けさが漂っていて独特の読後感があった。
日常のすぐそばに異界が忍び寄る感覚。怖くもなく、かといって完全に受け入れられるわけでもない違和感が、じわじわと染みてくる不思議な読書体験だった。
構造や、理屈では無いところで五感に訴えかけるような文章がとても魅力的。
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三篇の「うそばなし」は、言葉の力で人や物や空気の境目を曖昧にして、破壊と再構築を読者に強いる。
自分とその他を隔てるのは肌であるから、肌感覚を研ぎ澄まして、様々な言葉で世界を切り貼りするのを面白がっているのかも。
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なんだか夢の世界の物語のような感じ。
いつかみた夢みたいだと思った。
個人的には表題作の「蛇を踏む」の世界観が好き。
蛇のお母さんがなんだか憎めなかった。
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3つの短編集。
なんだろう、、
蛇、一寸法師、モモ(時間泥棒)?
小さいころ読んだ童話や怖い話に近いからか、妙に頭の中でイメージしやすい。
暗くてどろっとした感じ。
『世にも奇妙な物語』を思い出した。
Posted by ブクログ
これ芥川賞受賞作なんですね?…不思議な話でした。『蛇を踏む』も次の『消える』も話の形がつかめなず、『惜夜記』に至ってはかたちなどないのでは?と思うほどのドロドロ感でした。川上先生の作品は初読ですが既に何冊か積んでいるので、またチャレンジしよ。
Posted by ブクログ
次回の読書会課題図書。
川上弘美さんの作品は、センセイの鞄に次ぐ2作目。
センセイの鞄も少し不思議な要素があったけど、たぶんこの作品の方がより川上節が強いのだろう。
表題、「蛇を踏む」を読んだ後はなんとも妙ちくりんな気分になったし、
「消える」の途中からは、こういう小説はあまり好きではないと思った。
最後の「惜夜記」19篇はわりと最初から読むのが苦痛だと感じてしまっていたけど、作者のあとがきを読んだら少し感想が変わった。
そうか、うそばなしか。
他人の妄想が文字になった作品、
誰かが見た脈絡もない夢の話が活字になっている感じなのか。
そこに作者の意図する正しい意味や比喩を感じ取ろうとして、だけど物語は一向に収斂せず拡散して終わるので、読んでいてしんどく感じたんだな。
つづく解説を読んだら、さらに理解は深まった。
どちらかと言えば合理的で、分類がしっかりしていて、収まるところに収まるような物語が好きだ。
でもたまにはこんなふうに、物語がふわふわと心許く拡散していってどこにも収束しない、その不安定な読後感というのもおもしろいのかもしれない。
と、いうかそういうのを楽しめる感覚も養いたい。
いずれにせよ、どれも抽象度が高い作品なので、作者の意図する正しい意味や比喩をキャッチすることが大事なのではなくて、今の自分に引っかかるフレーズやエピソードを自分の中で反映して味わえばいいんだなと思った。
なるほど、これは癖になる。
再読しよう。