ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 暗幕のゲルニカ(新潮文庫)

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    ピカソの傑作「ゲルニカ」をめぐり、制作当時の1940年代と、現代の2001年からとの二つの時間軸が並行して展開される物語です。主人公は二人の女性。ゲルニカ制作当時のピカソのパートナー目線と、現代のピカソの展覧会を企画したキュレーター目線の話しが交互に展開されて、徐々に繋がりが紐解かれながら話しは進みます。
    史実に即した部分の、登場人物のキャラクター感や、街の雰囲気の描写、内戦下の人々の心情の表現などは見事に文章にしていて入り込めます。
    そして、物語中盤のハイライトはなんと言っても、ドイツの武官とピカソの会話
    「この絵を描いたのは、貴様か」
    「いいや。この絵の作者はーあんたたちだ」
    ここで、見事

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    2026年02月08日
  • 霜の降りる前に 下

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    「霜の降りる前に」はリンダの心境

    秋になると霜が降りる。
    秋になるとリンダは警察官になる。
    “霜が降りる前”のリンダの心の揺れが、先の見えない世の中で生きていく“勇気”を見せてくれる。

    親子というのは“ことばが無くてもわかり合える”とよく言われる。でも、余計なことばでキズつけ合うのもまたよくあること。特に父と娘は難しい。
    ヴァランダーとリンダ、これまで幾たびキズつけ合ってきたか。
    人は嫌なことをたくさん抱えて生きている。
    頑固で欠点だらけのよく似た親子だが、信じていることに迷いはない。

    宗教団体の集団自殺や私刑は実際にある。
    宗教団体によるテロは過去日本でもあった。

    “信じる”というこ

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    2026年02月08日
  • 盲目的な恋と友情(新潮文庫)

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    ネタバレ

    人間の感情の根底を覗き込んだ気分。
    留利絵が蘭花に見返りを求めた上での親切心は、幼少期から遠回しにされていた自分自身を見捨てないで欲しくなかった気持ちの表れだと感じた。
    きっと留利絵は物語の主人公みたいに(この物語の第二のヒロインではあるが)、「自分は皆んなとは違う特別な存在」になりたかったのだろうと思った。だからこそ、留利絵自身には持ち合わせていない、自分自身を貫き通す性格の稲葉先輩や圧倒的な美貌を持ち、聡明で、憧れの存在であるような蘭花に傾倒していったのだと思う。そんな人と一緒にいる自分は特別で、皆んなからちやほやされるに違いないと思う留利絵の認識。幼少期のトラウマを埋めるための蘭花だった

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    2026年02月08日
  • ブレイクショットの軌跡

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    超大作にして本当に面白い。こんなに壮大な物語を書ける作家さんに尊敬の念が止まらない。

    570ページ近くあったが、9日間で読み終わった。逢坂冬真さんの作品は『同志少女よ、敵を撃て』を読んでいたが、やはり戦闘の描写が上手いな。

    2025年の世相を大いに反映した作品だった。本当に誰か読んで、語り合いたい。2000円強の価値はあります!

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    2026年02月08日
  • 江戸川乱歩傑作選

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    人から江戸川乱歩が面白いと薦められて、初めて読んだ乱歩本。昔の作品なので文章が読みづらくて敷居が高いんだろうなぁと言う先入観がありずっと読んでこなかったが、実際に読んでみると非常に読みやすくて面白かった(所々難しい表現等もあるにはある)。それに短編ということもあってかサクサク読める。個人的に一番面白かったのは「心理試験」かな。
    これをきっかけに他の乱歩本も読みあさる予定。とりあえず次は「名作選」。

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    2026年02月08日
  • タイタン

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    『仕事ってなに?』

    2100年代、AIが普及していき私たちの仕事が失われていった世界。趣味で心理学を嗜んでいる主人公の元に、この世界の労働を担っているAIが故障したので治す(カウンセリング)して欲しいという‘’仕事”が舞い込んでくる。そしてその主人公は“仕事”を通して仕事は何かを考えさせられる。









    自分は特に最後のAIとの対談をしている場面が面白かった。

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    2026年02月08日
  • 人魚が逃げた

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    伝えたいことは至ってシンプルだったけど
    そこに行き着くまでの過程が素晴らしく面白かった。

    色んな人からの視点で描かれたストーリーは
    読み進めていけばいくほど絡み合って一つのストーリーになる。
    オムニバス形式はこうゆう飽きのこなさや、
    自分が最も共感できる視点を探せるところがいいところだなと思う。

    昔、大学の教授から言われた"心を美しくする本だけ読みなさい"という言葉がずっと頭から離れないのだが
    この本はその心を美しくする本の一つだなと思った。
    現代版のお伽話という感じでとても好みだった。

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    2026年02月08日
  • 機械仕掛けの太陽

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    多くの人に読んでもらいたい作品です。
    当時のコロナ禍で最前線で戦ってくださった医療従事者の記録。
    目頭が熱くなるシーンが何度もありました。
    すべての医療従事者、自治体職員等に感謝です。
    この日常が当たり前に続いていくことを願うばかりです。

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    2026年02月08日
  • ホワイト・ティース(下)

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    この話を読んで、移民の苦悩に初めて想いを馳せた。
    また、イギリス人の気質も知ることができて、ためになる一冊であったとともに、
    ユーモアで斬新な表現の虜になった。

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    2026年02月08日
  • 体育館の殺人

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    余白のやり取りが当時を彷彿とさせる学園ミステリー

    学園の中で殺人事件が、殺されたのは正義感の強い放送部部長。様々な遺留品や密室、容疑者たちを前にアニメオタクの探偵と彼を頼る女子生徒の推理が魅力的であった。

    この作品は「トリック」として時間や遺留品に着目するといったオーソドックスな推理ものでありロジックを組み立てていくと読み手が真相に辿り着けるような設計になっていた。特に遺留品の意味や密室の真実などは色々な「逆転の発送」や「困難の分割」があり、綿密にプロットが構成されたんだなと思った。

    逆にいうと動機や殺害方法についてはあまり考えなくてもよく、そういった意味で複雑なミステリーが溢れる昨今に

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    2026年02月08日
  • 赤と青とエスキース

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    4つの短編と思っていたら、実は繊細に繋がっていたり、一つの絵(エスキース)を中心に登場人物の人生が見られたり。
    あっという間に読み終わっていた。
    「生命力って、生きる力じゃなくて、生きようとする力のこと」
    「人ってみんな、ひとりしかいないんだから」
    「一度きりしかないって考えたら、思いっきりなんてやれない」
    エスキースに見守られてこれからも続いていく物語が、そこにあるんだろう。

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    2026年02月08日
  • ワイルド・ソウル(下)

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    ケイと松尾。もともとワイルドだったケイと、ワイルドを取り戻した松尾。ふたりに幸あれ!っていいたいです。

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    2026年02月08日
  • 小説8050(新潮文庫)

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    引きこもりの息子のいる家庭のお話でした
    娘は結婚したいがその弟が引きこもりで
    困っており、もちろん両親だって困っている
    物語の展開が意外で、また読んでいて
    引き込まれていきました
    ほとんど一気読みな感じでした
    テンポもよくて楽しめました
    そしてまた考えさせられもしました
    引きこもり100万人ともいわれると
    8050問題はどこの家庭にも起こりえることでは
    あるのかなとも感じました

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    2026年02月08日
  • 独り言の多い博物館

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    役目を終え、いまはもう必要とされないものや、どこかになくしたもの、こわれた破片―誰かの"失われたものたち"が並ぶ『別れの博物館』。日の出から日没まで開館している、この博物館の館長を務めるのはディスレクシアをもつ"カケス"という青年。数が苦手なカケスだが、物の声を聴くことのできる才能があった。
    館長となる前のカケスが預けた"数"(を象徴とする計算ドリル)や、喫茶店でアルバイトしていた女性が預けた"額に入った絵"、帽子職人をしていた女性の愛用の"針"、手話通訳ボランティアをしていた主

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    2026年02月08日
  • ミステリ作家、母になる

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    嫌いではないものの、あまりエッセイを読まない私ですが「今日未明」を読んで辻堂さんに興味を持ったのでこの子育てエッセイを読んでみました。
    いや、すごい。面白い!始まりは娘さん1人でしたが、終わりには長男さん、次女さんが産まれてて面白エピソードも満載です。結婚率も低くなり、物価は高いし子供育てるのにはお金がかかる…と言われ少子化が問題視されてますよね。確かにお金はかかるし、人を育てるのが楽なわけありません。
    でも子供を持つことを躊躇ってる人にぜひこの本を読んでもらいたい。子供が成長するにつれて様々なイベントがあります。もちろん親も関与するので色んな体験をすることができます。何より昨日できなかったこ

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    2026年02月08日
  • ほどなく、お別れです

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    映画が始まる前に読んでおきたい、と手に取って読み始めた直後、実家の父が倒れ、3日という短い経過でなくなってしまい、しばらく読めなかった。
    漆原、里見、語り手である美空。父の葬儀はこれ以上ないほど簡素化したものにしたが、ここで語られる葬儀の風景はやはり今までには感じられなかったであろう身近さを感じながら読んだ。伝えられなかった想いを里見や美空に拾ってもらえることの大切さが、ヒシヒシと感じられた。続編を続けて読もうかどうしようか。

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    2026年02月08日
  • さいわい住むと人のいう

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    ネタバレ

    とっても良かった...
    押し付けられた結婚でも、しっかりと愛があった百合子さんと洋次さんに涙止まらない...
    孤独ではあれど、人を助け、人に頼られる桐子さんの生き方も素晴らしいし、お互い覚えていない頃にも千絵さんと重要な交流があった下りにも痺れたし、ずっと目に涙溜めながら読みました。
    素晴らしい物語をありがとう...

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    2026年02月08日
  • 坂の上の雲(六)

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    日露戦争における黒溝台の戦闘の続き、バルチック艦隊の動き、ヨーロッパにおける明石の謀略、奉天会戦に至るまでが描かれる。

    黒溝台では秋山好古の豪胆な性格が魅力的に描かれ、日本陸軍にも、このような人物がいたのかと思わされる。
    バルチック艦隊の航海は、小説での描き方であることもあるが、この時代、燃料の調達や艦隊の修理、船員の士気の維持など本当に苦労したのであろう。ロジェストウェンスキーの東郷との性格や描き方の対比も、おもしろい。

    この巻で描かれるロシアでの血の日曜日事件などは、末期のロシア皇帝制の悲劇として象徴的なものであろう。崩れ行く体制が見えてくる。

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    2026年02月08日
  • いただきます。 人生が変わる「守衛室の師匠」の教え

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    数々の名著を書いている喜多川さんの書籍。温かい表紙を見て手に取りました。
    普段自分が何気なく口にしている、「いただきます」という言葉が持つ意味について考えさせられました。動物や植物の命をいただくだけではなく、そこにかかっている人の時間もいただくものであることであると気付かされ、ハッとさせられました。
    また、今の自分が不自由なく過ごせている恩恵の背景にどんな人達がいるのか想像することで、人とのつながりや社会とのつながりを大切にすることの必要性を改めて教えてもらいました。

    以下読書メモ
    自分にしかできない何かを見つける方法
    →今やっていることを誰もやらないところまでやる
    →誰でもできることを誰も

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    2026年02月08日
  • 先祖探偵

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    先祖辿り×各地の美味しい料理×ミステリー

    先祖専門の探偵を営む風子が、さまざまな調査依頼に応えていく。
    「先祖探し」専門という設定は斬新と感じつつも、ジャンルが限られる分、そんなにネタが続くのか?ワンパターンな話になるのでは?
    …と思いきや、見事にバリエーションをつけて全5話が展開されていき、全く飽きないどころか、夢中で読み進めてしまった。

    そもそも、先祖探し専門探偵の風子自身が、母親に捨てられ施設育ち、父親も祖父母も知らず、という設定。
    物語が進むにつれて、風子の出自の謎が少しずつ見えてきて、最終話ではとても大きな“愛”が感じられて温かい気分になれる。

    調査の都合で、トラベルミステリー

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    2026年02月08日