【感想・ネタバレ】坂の上の雲(六)のレビュー

あらすじ

作戦の転換が功を奏して、旅順は陥落した。だが兵力の消耗は日々深刻であった。北で警鐘が鳴る。満州の野でかろうじて持ちこたえ冬ごもりしている日本軍に対し、凍てつく大地をとどろかせ、ロシアの攻勢が始まった。左翼を守備する秋山好古支隊に巨大な圧力がのしかかった。やせ細った防御陣地は蹂躙され、壊滅の危機が迫った。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロシアに戦力で劣る日本は、海軍も陸軍も、機敏で連携の取れた動きと奇策で戦った。

しかも大勝を収めるというのではなく、和平交渉でギリギリ勝ちに持ち込むという狙い。

そのために策を巡らし、資源や訓練を集中する場面がこの巻ではみられる。

小さいものが大きな相手に勝とうと思うと、結局はそれしかないのかもしれない。

そして日本人はそんな話が好きだ。

少ない兵が死力を尽くして忠義を守る的な話。

また、この巻ではロシアの組織としての脆さも際立った。

大きな組織にあるあるな、独裁的な権力を持つリーダーや派閥争い、指揮系統の乱れ。

そんな一つ一つが、真剣にやれば楽勝に思える戦力差のある日本に追い詰められていく原因になる。

相手を侮ってはいけないということだ。

私の会社でも、最近では現場と本部との乖離を感じるようになってきた。

上場しているわけでもない中小企業だが、どうも大企業のような建前を整える作業ばかりに終われ、肝心の事業の方が疎かになり、売上も利益も落ち続けている。

ビジネスと戦争は似ている面があるとこうした本を読むと思う。

資源は集中した方が強いし、政治的な建前で人事を行なって現場を振り回すと碌なことにならない。

資源が限られる小さな企業なら尚更、多方面に中途半端に手を出してはいけないのだ。

新規事業は、やるなら本気で集中してやり切らないといけないし、資源を集中的に投下することも考えないといけない。

小説から学ぶことも多い。

0
2025年11月13日

Posted by ブクログ

【30年ぶりに読む「坂の上の雲」】
第六巻は「大諜報」「乃木軍の北進」「奉天へ」など。ニコライ二世によるツァーリ専制への不満が燻る中、「ロシアそのものに接して国内革命を扇動した(p133)」明石元二郎大佐の活躍が痛快だ。
司馬さんの分かり易すぎる人物評に違和感を覚えつつ令和に読み返す「坂の上の雲」。七巻に進もう。

0
2024年08月13日

Posted by ブクログ

▼旅順を、あっという間に落としてしまう児玉さん。ここンところの描き方は天晴。ヤクザ映画の終盤のような、カタルシス。▼当然、戦闘ではなくそこに至る人間模様が滋味深い。確実に「坂の上の雲」で司馬さんが書きたかったことベストテンに入るくだりであろう。▼それにしても、たかが紙に文字がいっぱいあるだけなのに、そこに未知の山河で右往左往する幾万の軍勢が、その足元の凍てつく寒さまで感じられる。割と突き放した「半ルポルタージュ風」なのに。取材の情熱と、話題の並べ方。それに加えて、「感情的にならぬよう」と自分に叫びながら溢れ出ちゃう書き手の思い入れ。▼そうか、敢えて言えば「戦争と平和」トルストイ。アレも読み終えた途端に再読を夕日に誓ったモノスゴイ小説だった。

0
2023年11月26日

Posted by ブクログ

ハワイ旅行における旅のお供として読んだ本。

いよいよ、日露戦争における終盤戦、奉天会戦へ。
そこにはただ純粋に戦力のみで勝つという話だけで無く、政治や戦術など、様々なものが絡み合って終盤へと紡いでいく。
一つ一つの話をもっても人の模様や歴史背景が丁寧に、そして臨場感もって描かれており、スッと引き込まれていく。

0
2023年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本筋の満州での会戦。陸軍のダメダメなところは旅順だけじゃなかったのね。極寒の地で薄氷を踏むような戦い。好古に同情する。サイドストーリーのヨーロッパ諜報戦、インド洋のバルチック艦隊奮闘記も佳境で次の巻に続く。

0
2023年02月18日

Posted by ブクログ

日露戦争の陸軍のジリジリとした展開からいよいよ佳境に入ってきました。
攻防が手に汗にぎる感じが伝わります。
次巻に期待。

0
2022年06月18日

Posted by ブクログ

ここまで深く掘り下げられると、1つの出来事としての戦争だけに留まらず、歴史の背景から実際に起きたことまで、非常に多くのことを学び取れる。内容的にも非常に面白く、一気に読み終えてしまった

0
2019年02月10日

Posted by ブクログ

巻の巻の山場は「大諜報」の章だ。物語としては、大佐明石元二郎がヨーロッパで行った潔い工作活動でテンポを上げつつ、旅順攻略後やバルチック艦隊の遅速でスローダウンする。この壮大な物語全体に、緩急がうまく張り巡らされている。

0
2025年09月18日

Posted by ブクログ

帝政ロシアの愚かさ…形が変わっても今も。
日本は、あの時代は、こうするしかなかったのか…大真面目な愚かさが悲しい…。すべて現実に起こったこと、忘れてはならない。

0
2025年02月11日

Posted by ブクログ

5巻を読み終わってからここまで、途中で別の小説を読んだりしていて、戻ってきました。
NHKでドラマの再放送が始まり、いいきっかけになりました。

0
2024年09月26日

Posted by ブクログ

すごい読み応え。ヨーロッパでの諜報および革命煽動活動、バルチック艦隊のドタバタな重労働、バルチック艦隊を迎え打つための周到な訓練、奉天会戦に臨むそれぞれの立場の決意や駆け引き。
世界が注目しているということがひしひしと感じられる。
不謹慎だけどこれくらいの士気での仕事がしてみたい。

0
2024年03月06日

Posted by ブクログ

話が横道に逸れだし、物語に冗長さが出てきたが日露戦争が佳境に入ってきた。ウクライナ侵攻中の現代に読んでいるせいかどうしてもロシアを偏見じみた目線で見てしまうが、自分の感覚を大切に次巻に進みたい。

0
2023年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ついに最後の巻を読むに至った。いい調子で読んでいたけれど、やっぱりこの話の脱線ぶりというか余談ぶりには全く閉口する。沖縄の漁師がバルチック艦隊を発見してそれを軍部に報告するまでの過程にくだくだと紙面を割くことの悠長さは腹さえ立ってくる。この本を手に取る読者のほとんどの人が読みたいのは日露戦争のドラマ、大筋であってそんなちまちましたことまで読みたいと思うのだろうか。ある意味そういった部分も場合によっては興味深くないこともないが、この膨大な小説が膨大にならざるを得なかったのはそういった余談話をちりばめすぎるからではないか。その分を戦闘シーンに割けばいいではないか。また昔の日本人の名前の漢字は読むのが難しい。なのに、簡単な漢字の「信濃丸」なんてのにルビが振ってあるのはなんなのだ?と、どんどん司馬さんと文芸春秋社を嫌いになりながらこの巻を読んでいる。
 もひとつ。読む側の私の意識にも大いに問題があります。貸してもらっていたのを長らく放置していて、もういい加減返さなくてはとの思い。読むのに旬ではなかったのです。ですから文句を言うほうが間違っているとも言えます。すみません。
 読み終えました。もう何も言うまい。でも一言、“ホッ”としております。

0
2023年04月15日

Posted by ブクログ

とても面白かった。
ロシアという国がなんとなく分かった気がする。
当時の日本の雰囲気もよく想像できた。

0
2022年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明石元二郎の諜報活動にページが割かれているのだけども、これが面白い!
人物も魅力的であるし、真正面からの戦いだけでなくロシア内部から切り崩すためにどのようなストーリーがあったのかが詳しく描かれます。

歴史は、結果でしか捉えることしかできないから割と無機質な印象を持ちがちだったけど、小説を読むことで人柄が結果を左右してたんだなぁと人間味を感じることができるのがよい。

0
2021年05月17日

Posted by ブクログ

黒溝台会戦の日本の体たらく、グリッペンベルグの意気地ない退却、ロジェストウェンスキーの無謀な大航海、運気もあがらずまとまりのない日本陸軍。どちらも悲惨な精神状況下で戦い続ける日本とロシアにおいて、日本を勝利に至らしめた要因は国民のナショナリズムの強さの違いではないかと感じる一冊。情報が入ってこないにしろ、文句を言わずに天皇・軍部を信用する日本人の国民性はある種、天皇を神格化したからこそ生まれたのではないか、と思う。それが、昭和の第二次世界大戦の大敗につながってしまうのだが、当時のロシアにはぎりぎり通用したようだ。

0
2020年05月23日

Posted by ブクログ

司馬さんの名著「坂の上の雲」もいよいよ後半へ。戦況が段々と複雑になってくるなか、黒溝台会戦でのロシア軍の攻勢、それを防ぐ秋山好古の豪胆な態度。いよいよバルチック艦隊との対峙が...。

0
2020年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

またもや日本帝国陸軍のピンチ。

常に物資が不足しいつ負けてもおかしくない状況の中、秋山支隊は驚異の粘りで偶然勝ちをえた。

敵将の気まぐれでなんとか勝ちをえた好古。

4巻以降、秋山兄弟の登場シーンがへり、各章毎に登場人物が変わる短編ストーリーのようになってきた。諜報員、ロシア提督、乃木軍、日本海軍、様々な視点から戦況を見つめいざ最終決戦の奉天へ。

0
2018年12月11日

Posted by ブクログ

<本の紹介>
作戦の転換が効を奏して、旅順は陥落した。だが兵力の消耗は日々深刻であった。北で警鐘が鳴る。満州の野でかろうじて持ちこたえ冬ごもりしている日本軍に対し、凍てつく大地を轟かせ、ロシアの攻勢が始まった。左翼を守備する秋山好古支隊に巨大な圧力がのしかかった。やせ細った防御陣地は蹂躪され、壊滅の危機が迫った。
-----

この巻は、今までと違う動きが出てきた。「大諜報」って項だったんだけど、戦争で戦ってるのは前線の人間だけじゃなく、世論を有利になるよう煽る人たちもいて、その人たちのことはあまりクローズアップされないだけに新鮮でした。
何かしたいけど、理由があってできない。そういう人は過去にも現在にも、そしてこれからも残念ながらいなくなることはない。その人たちの後押しをすること、その人たちの背中を押してあげること、大きな流れにしてあげること。そういった応援を通して、自分も、賛同してくれる人たちも楽しめる世の中になってくといいなぁと思うし、それができるのにやらないのは、「やりたくてもできない」人に対して失礼にあたるんじゃないか。そう思って、PartyTimeなりなんなり、いろんな形のグループやイベントを作って楽しんできた。
半分裏方として、半分は表にも出て。そういう人たちって、今の世の中にだってたくさんいるはずなんだ。でも、誰もがいろんな人がやってることに目を向けることも、その情報にアクセスすることも、やろうと思えばそんなに難しくないハズなんだけど、そうは言っても実際は難しかったりして。

相手のことがわからない以上、どこまで情報を出していいものか、どこまで入り込んでいいものか。そこまでどっぷりつかるつもりもなくて、真ん中に引きずり込まれるのが嫌で、自分のペースを乱されるのが嫌で入っていかないってのもあるだろうし、入りたいは入りたいんだけど、入り方がわからないってパターンもあると思う。何をすべきか。

そういう人たちが楽しめる部分だと思いました。
放り出された場所で、今までの功績を誰も知らない場所で、今までに築いてきたものの力を一切借りずに、同じものかそれ以上のものをまたイチから作り上げる。そんなチャレンジをどんなアプローチでやっていくのか。仮想、自分。

戦争の話については、この巻だから特筆したいってことも少なかったけど、司馬遼太郎の新聞観、みたいなものがあったので紹介します。
「日本においては新聞は必ずしも叡智と良心を代表しない。むしろ流行を代表するもの。そして、煽った世論に煽られて、国民も、新聞自体も錯覚を抱くようになる。」
起こった事件を他社よりも一秒でも伝えることも大事かも知れない。けど、それだけじゃなくこういう要素があってもいいんじゃないかなと思いました。新聞を読めば読むほど、知識が増えていったり。読めば読むほど知性が上がって、人として尊敬されるようになっていったり。
それは新聞では出せない部分なのかも知れないけど、何も考えずに他の人に発信する、何も考えずにだらだら受信するってのは、本当に流行に煽られるだけで大事なことがわかってない人になったりしないかな、とか思いました。

新聞、しばらく取ってないけど、活字にも慣れてきたし取ってみてもいいのかな。なんて思いました。

0
2020年01月12日

Posted by ブクログ

明石元二郎のエピソードが記されているところ、特に印象残った。彼とロシア革命の関連をはじめて知った。明石の活躍が日本の勝利に一役かったのだと思うと、歴史って面白い!外交の重要性をあらためて痛感!

0
2025年03月12日

Posted by ブクログ

どうも読み進めるのに苦労するし時間がかかるので、さらさらと読んでみることにした(笑)
内容の何割かは読み飛ばしていたと思うけど、ある程度情景がわかる場面は面白かった。

0
2025年02月21日

Posted by ブクログ

旅順陥落後、満州の黒溝台において日露陸軍が衝突する。それまでに日本陸軍に押されていたロシア軍は大将クロパトキンに加え本国からグリッペンベルグ大将が派遣される。グリッペンベルグは日本軍左翼が弱いと判断し好古ら率いる騎馬隊らに攻撃を仕掛ける。少ない兵をなんとか駆使し最強のコサック兵と立ち向かうが物量で押されていく日本軍。しかし同僚の活躍を妬むクロパトキンはグリッペンベルグに作戦を中止させなんとか日本軍は持ち堪えた。この時好古は騎兵の諜報によりロシア軍が動いているということを把握し本部に伝えていたものの敵が冬には動かないだろうと考えていたため対応に遅れてしまった。児玉源太郎クラスの人でも連戦連勝すると驕りが出てしまうのだろう。
日露戦争が満州で行われている一方で明石はヨーロッパにおいて諜報及びロシアの革命斡旋を行っており世間ではあまり知られていないが彼のおかげで戦争に勝てたようなもの。戦後ロシア革命が起こったことを考えるととてつもない影響を与えていたんだなと。
旅順攻略後乃木軍は北進しついに満州の地へいく。乃木軍が加わったことでついに奉天会戦へと発展していく。

0
2024年12月10日

Posted by ブクログ

ようやく6巻までやってきた!

この巻は盛りだくさんの内容で、
盛りだくさんな上にめちゃくちゃ細かいエピソードが並んでいて…、
正直ちょっと疲れた。

寒くて辛くてめちゃくちゃ厳しい黒溝台の戦いから始まり、
ロシア革命へと暗躍する明石元次郎の活躍、これ、特に血の日曜日事件の詳細は興味深かった。
旅順を攻略した乃木軍が奉天会戦に向けて北進する様子。
ここは、前巻からも悪評高かった伊地知参謀長に代わり着任した小泉少将の墜落事故から、さらに病床の松永少将へと参謀長が代わる乃木希典の不運が印象に残る。
はたまた海軍サイドへと舞台は移り、来たるべく日本海海戦への序章に期待が高まったり、その前に奉天会戦への作戦のドタバタや本当に薄氷を突っ走るような危うさに、結果知っているのにハラハラさせられる。

来月、ドラマが再放送されるみたいだから、あと2巻、早いこと読んでしまわないとなー。

余談だけど、これを読んでアメリカのルーズベルト大統領って2人いたことに恥ずかしながら気がついた。
ニューディール政策の大統領はフランクリンで、日露戦争の仲介はセオドアだったんだね。
これが一番学びになったかも笑

0
2024年08月23日

Posted by ブクログ

ロシア帝政の瓦解のはじまり。
日露戦争時、遼東半島や南満州の戦場だけでなく、ヨーロッパでも勝利のために活動する日本人がいたのですね(このくだり、ちょっと長かった...)

0
2024年02月25日

Posted by ブクログ

ちょっと脱線が多い気が。。脱線が多い分の教養は身につくが、物語としては冗長な構文、構成になっているのが残念であると感じた。
あー、やっと読み終わった、、という感じ。

0
2022年06月26日

Posted by ブクログ

展開が進まず、じりじりとした雰囲気が伝わってくるようでした。巻の終盤で、漸く物語が動き出します。次巻が楽しみです。

0
2022年04月13日

Posted by ブクログ

大学2年または3年の時、同期から「読んだこともないの?」と言われてくやしくて読んだ。
長くかかったことだけを覚えている。
文庫本は実家にあるか、売却した。
そして2009年のNHKドラマの数年前にまた入手して読んだ。
秋山好古・真之、正岡子規について、初期など部分的に爽快感はあるが、とにかく二百三高地の長く暗い場面の印象が強い。
読むのにとても時間がかかった。
その後3回目を読んだ。
バルチック艦隊の軌跡など勉強になる点はある。なお現職の同僚が、バルチック艦隊を見つけて通報した者の子孫であることを知った。
いずれまた読んでみようと思う。(2021.9.7)
※売却済み

0
2021年09月07日

Posted by ブクログ

連載当時これを読んでた人はどう思ったのだろう??
長期連載の漫画のように、サイドストーリーや過去編に終始して、なかなか本編が進まずにイライラしてしまうような感覚に陥ります。

0
2020年12月09日

Posted by ブクログ

兵力は大きければ大きいほど、勝つ確率は高くなる。だから、兵を欲するのはもっともなこと。

ただ、愚策として、兵をとりあえず追加するということが挙げられる。状況をみて、量で勝てるものなのか、作戦を見直すべきなのかは考えなくてはいけない。

この巻で明石元二郎という人物が出る。
ロシアの国力を削ぐため、革命の火種を作るのであるが、これを一人でできる人物はなかなかいないので、適材適所ってこういうことを言うんだなと思った。

0
2020年07月12日

Posted by ブクログ

諜報員のところの話がものすごくおもしろかったです。かつてのロシア帝国がこんなにも周辺の国々を占領していたというのも知りませんでした。

0
2020年01月29日

「歴史・時代」ランキング