あらすじ
日清戦争から十年──じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避けえない。病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は、戦争の足音を聞きながら。燃えつきるようにして逝った。
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105ページ
『ロシア人は、民族としてはお人よしだが、それが国家を運営するとなると、ふつう考えられないようなうそつきになるというのは、ヨーロッパの国際政界での常識であつた。』
106ページ
『ロシア国家の本能は、略奪である』
108ページ
『忠告しておきますが、ロシア人といのはいつでもその盟約を反故にするという信義上の犯罪の常習者です。伊藤候に、ロシアの冬の快適さにあまり浸らないほうがよろしいとおつたえください。』
なるほど、100年前から言われていたんですね。トランプさんは、本当にプーチンさんとディールが出来ると考えたのだろうか。
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ポイント
- 相手を見下し追い詰めると痛い目を見る
- 人事は過去の実績や感情ではなく合理的に判断する
- 強大な相手にも弱点はあり、研究し、諦めないことで勝機は見える
感想
ロシアとの戦いが始まり、様々な視点で描かれる。
西郷従道の覚悟や、山本権兵衛の徹底した人事などが印象的。
どんな強大な相手にも弱点はあるし、どんなに弱く見える相手にも舐めてかかっては負ける。
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2025.01.20再読
子規逝く 日英同盟 海軍は西郷従道と山本権兵衛 旅順口封鎖作戦と広瀬 マカロフ将軍戦死 東郷平八郎
まだ旅順口を囲ってる状態
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【30年ぶりに読む「坂の上の雲」】
第三巻は「権兵衛のこと」「開戦へ」「旅順口」など。十七夜に子規は静かに逝ってしまった。一方で、日露はついに開戦。好古・真之兄弟は陸海軍でそれぞれ重要な任務を担うようになる。
「いまら、なんとかなる。日本としては万死に一生を期して闘うほか、残された道がない(p167)」
令和に読み返す「坂の上の雲」。四巻に進もう。
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▼正岡子規は本編の三人主人公の一人だが、3巻目で死んでしまう。秋山兄弟もそうだけれど、上回るくらいに司馬さんは正岡子規が大好き。その「好き」が泣けてくるような3巻目。それはまた「ひとびとの跫音」になっていく。▼そうだった、十代の頃に「坂の上の雲」を読んで、短歌俳句に興味を持ったんだった。正岡子規の「俳諧大要」とか岩波で買って読んだんだった。
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日露戦争も開戦した。戦艦、巡洋艦を以て戦う描写はまるでその場にいるのかと間違えてしまうほど細かい。
また貧しい国の日本が大国ロシアと戦争をしなくてはいけなかったのかわかった気がする。
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日露戦争へ突入する頃の国際事情から、緒戦の状況よくわかり、非常に面白い。政治家も軍人も今以上に国際的だなあと感じました。なんか今のロシアのウクライナ侵攻にも重なる所ある。ロシアという国の特性なのかなとも、失礼ながら感じてしまいました。色んな事が紙一重の差でかわり、今があるのだろうなあとしみじみ思いました。
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正岡子規の最後、そしていよいよ日露開戦。
この本を読んでいる時にちょうどロシアのウクライナ侵攻が始まった。
戦争回避のためロシアとの条約締結のために奔走していた伊藤博文に対して、
外務省などは「ロシアは条約を平気で破る。信用ならない。」とその行動を諌めた。
2度の革命を経た、今のロシアでも、外交上の立ち振る舞いは変わっていないように思えた。
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正岡子規の夭折から始まり、日露戦争開始前の政治的駆け引き・開戦後の旅順大戦まで記された巻。高度経済成長期の日本人がこの本に傾倒した様に、戦争とビジネスには恐ろしいまでの共通点があると感じた。
・戦争前の敵情視察・戦略立案が明暗を分ける事。
※ビジネスで言えば、他社/自社を含めた詳細な市場分析・何を強みとして戦っていくかの経営戦略の立案が、成功のキーになる事。
・単純な兵力差・戦艦差も戦争における重要な要素だが、兵員の士気といった組織力はそれに勝る重要性を孕んでいる事。
※大企業の方が、コストや販売チャネルに強みを持つ為、中小企業よりも原則市場で有利。一方、それに属する社員が自律的に働ける環境を作らなければ、大規模な自己人材も宝の持ち腐れで終わる。(経営組織論の重要性)
・ロシアに比べ圧倒的に小国である日本は、資金の調達に苦戦した。他国からの融資を獲得する為には、初戦で圧倒的勝利を収めることで、大国ロシアに勝てるという「実績」を作り、信頼を勝ち取る必要があった。
※VCや銀行から融資を受けるには、企業の将来性だけでは不十分。構築したビジネスモデルが実現可能であるという信頼を勝ち取る必要があり、それは「実績」によって為される。
・戦争において、敵の優秀な指揮官を仕留める事は、敵艦隊に大きな動揺を与える事が出来、士気を減退せしめる。
※ビジネス遂行にあたり、「キーマン」を抑えることは何よりも重要。
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とても緻密に描かれており、歴史の授業だけでは到底感じれなかった日露戦争開戦までの経緯と日本人の苦悩、また開戦に向けての準備とロシアの驕りがよく描かれていて面白かった。
途中から話しが横に流れて読みづらい側面もあったが、日本から見るロシアの強大さ。日露戦争に勝ったのは知っていたけど、それがどんなに困難で奇蹟的なことだったのか。
念入りな作戦や準備とロシアから見るとまだまだ弱小新興国の日本に対しての驕りが交わり合ってどう進んでいくのか。
まだまだ8集のうちの3集目でどこに物語は向かっていくのか先が気になる。
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坂の上の雲、3巻。
以下、ネタバレ。
この巻の序盤で、正岡子規が亡くなった。
子規についての知っていたこと、そのイメージが、この小説によって大きく更新されることになった。
いろんなところへ出掛けて、自分の感覚でこの世界の様々を、見て触れて知って解りたいと思っていたのだろうか。
限られた字数で紡ぐその世界を、写実的であることにこだわったという事実が、夭折した彼を思う時、なんとも切ない。
さてさて、物語は遂に日露戦争開戦へと突入する。
秋山好古は陸軍騎兵のエキスパートに、
弟真之は海軍参謀に。
彼らの活躍はもちろんだが、
今回の巻も周辺の人々についての記述が大変多く、しかも充実している。
小説なら許されるはずのケレンみは本当に少ない。主人公に関わる人々の細かな描写やエピソードを重ねて彼らの人となりを浮き上がらせるような所もあるのだが、その効果以上に、とにかく出てくる人物についての記述がたいへん細かい。こんなにたくさん、よく調べたなぁ…。
だから時々退屈だなと感じる部分も正直あるのだが、海戦の迫力などはその確かな描写でしっかり引き込まれるので、なんだか情緒が忙しかった。
閉塞作戦に携わった広瀬武夫や、
露のマカロフ中将…、
既知の内容の隙間を埋める壮絶な最期だった。
ここから先、陸の戦いが激しさを増してくる日露戦争。
さて、どんなふうに描かれるのだろう…。
続きが楽しみ。
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日露戦争で勝たなければ対馬と北海道はロシアのものだったなんて考えただけで恐ろしい
30数年前までちょんまげを結っていた弱小国家が精一杯の背伸びして知恵を使って強大なロシアに挑んでいる
これからですが。
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正岡子規の最期と日露戦争の開戦と、これまでで一番手に汗握る展開で、夢中で読んでしまいました。
にしても、まるでその現場で見聞きしていたかのような詳細な描写、これが司馬遼太郎なのでしょうけど、いったいどのくらいの時間と労力をかけて人物や史実を研究したのかと、純粋にただひたすら感服するのみです。
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ついに日露戦争突入。正岡子規さんが亡くなられたが、もっと生前の活躍を知りたかった。それは別の本に譲るとして、日本が大国ロシアにどう立ち向かって行ったか、4巻以降からも学んでいきたい。
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国家存亡を背負う要人
軍は児玉源太郎、経済界は渋沢栄一。
・2人が涙を流して覚悟を決めるシーンが印象的。
本当はそんなイチカバチカの橋を渡るべかざるなのだが、渡らないとロシアの帝国主義に喰われる中、自らの手で事を成し遂げる精神に感服。
・一兵卒になってでも最後は戦うという気概。渋沢栄一のセリフ。
なお児玉さんは大将?中将?ながら現場の指揮官(本当はもっと下の役職が担う)に立候補し勤めた。さすがです。
・なんだかんだ数的優位
戦闘では数的優位をつくる。ランチェスター
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この巻序盤で正岡子規が逝ってしまい、子規を理由に読み始めたため少し残念に思うもひたすら読み続けます。
同じ松山出身の秋山兄弟の人となりは興味深く、日露戦争に突き進んでいく明治の日本を戦争の面から辿っていきます。
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東郷平八郎さんが何をしたか全然知らなかったが、これを読んで東郷さんのことをよく知れた。
正岡子規さんが死んでしまって悲しい。
正岡子規さんの事をよく知りたい。
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特に印象に残った場面。
1 正岡子規の最期。(正岡子規が好きなので、今後、登場しなくなると思うと残念!)
2 日露戦争に至るまでの、日露英の思惑。
3 広瀬武夫の人間性。(ロシア海軍人へに寄せる思い、友情にグッときました。恋人の女性がロシア語で送ってきた詩に漢詩で返し、ロシア語の訳をつけるなど、粋なことする!と思いました。)
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正岡子規は高浜虚子や碧梧桐などの同郷の後輩に見守られながら死を迎える。その時に虚子が詠んだ「子規逝くや十七日の月明に」という句が印象的。
西郷従道という人物に焦点が当てられていて彼のような上司だったら下の人たちもみんなついて行くだろうなと感じた。海軍には疎い従道が海軍大臣になった際は山本権兵衛に全てを任せ、それを国会で通すことに徹する姿は上司の鏡みたいなもの。これができるのは従道が人を見る目があるからで山本権兵衛が信用に足る人だと確信ていたからからなのか。それのおかげで少ない予算からなんとかロシア海軍に対抗できるように軍拡できたのだから、結果成功だったんだな。
日露戦争前から伊藤博文はロシアに勝てるわけないと思いいっそのこと協商することで難を過ごそうと考え、ロシアのウィッテも日本と戦争するメリットがないと考えていたのが意外。結果的には帝国主義的考えを持つロシア軍人たちに唆されニコライ2世もその気になり日本に対して強気な交渉をしたことで日本側も引けなくなり日露戦争へと発展して行く。この時代の流れ的にはしょうがないのかもしれない。ロシアの南下政策をあのまま見過ごしていたら、日本もタダでは済まなかっただろうし。
そんな中ついに日露戦争が開戦し、真之は海軍の参謀として好古は騎馬隊を率いて朝鮮半島へと出兵する。真之は米西戦争での経験を生かして沈没戦による閉塞を試みるも旅順の硬い守りに阻まれ、また機雷を仕掛けマカロフを破るものの同じことを仕掛けられ日本側も多くの痛手を覆うこととなる。
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いよいよロシアとの戦いは避けられない気配が濃くなって開戦する。そんな中でも個人間では敵国の知人をリスペクトしたり、国家間でも戦いながらも相手の大将の死を悼む雰囲気もあったというところが示唆深い。
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知らない事だらけで、なかなか進まない。
戦艦に興味がなかったが、戦艦三笠は横須賀にあるなぁ〜と思い出す。あーこれに東郷平八郎や秋山真之が乗ってだんだなあ。
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大学2年または3年の時、同期から「読んだこともないの?」と言われてくやしくて読んだ。
長くかかったことだけを覚えている。
文庫本は実家にあるか、売却した。
そして2009年のNHKドラマの数年前にまた入手して読んだ。
秋山好古・真之、正岡子規について、初期など部分的に爽快感はあるが、とにかく二百三高地の長く暗い場面の印象が強い。
読むのにとても時間がかかった。
その後3回目を読んだ。
バルチック艦隊の軌跡など勉強になる点はある。なお現職の同僚が、バルチック艦隊を見つけて通報した者の子孫であることを知った。
いずれまた読んでみようと思う。(2021.9.7)
※売却済み
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貧困に慣れておくとか、習慣づけは大切だなと思う。イギリスも、植民地を増やすにあたり、英国民が色々な地で侵略する際に、美味しいご飯にありつける可能性は少ないから、敢えて自国のご飯をまずくしているというし。
そして、ロシアは寒い国だから、略奪を含めた南下施策が本能であると思う。国が広いが、その比で自国民は多くないロシアだが、日本はロシア以上に人が少なかったんだろうと思う。
自国ができることは、他国もできる。
そういう理屈は当然と思えるようにしておきたい。
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主人公の一人、正岡子規が亡くなりました。
そして、日露戦争開戦。国同士が対立していても、互いの国民同士の間には友情なんかもあった話が意外でした。
それにしても、登場人物が多くて難しい。
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<本の紹介>
日清戦争から十年―じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避けえない。病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は戦争の足音を聞きつつ燃えつきるようにして、逝った。
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この本で一番「なるほど」と思ったのがこの一節でした。
「敵に対しては見つけしだい、攻撃すべきである。この場合、彼我の兵力を考慮すべきではない。」
確かに、その通りかもしれない。先手必勝、兵力が同程度であれば先に攻撃をしかけた方が良いに決まってる。サッカーだって先取点を取るべきだ。はじめは守って、なんて、それが囮作戦でないなら勝とうと思ってんのかって内部で思う人が出てくる。士気が下がる。
兵力がこっちの方が大きいならなおさらだ。戦うときは、圧倒的な戦力で相手の分散された戦力を叩いて、局地の勝ちを積み上げていくのが正攻法。勝てるときに勝負しないなんてありえない。勝っておくべきだ。相手を殲滅しておくべきだ。
兵力が少なくとも、完全な逃げ一手はその師団、旅団全体の士気を落とす。それ以降の戦闘の結果を左右しかねない。攻撃しながら退却すべきだ。それをしなかったのがこの巻でのロシアだったんだけど。
ちょっとこれを読んで、抑止力としての自衛隊のあり方ってどうなんだろうって思いました。
「専守防衛」って、他国から見たら「攻撃されない」ってわかってる戦艦や戦闘機が近寄ってきても、なめてかかるだけじゃないかな。俺なら、なめる。領空、領海を平気で犯しそうな気がします。そこで砲撃することは、ある意味当然のことだ。自分の権利を侵されているのに、相手の言い分をそのまま聞く必要はない。受け入れる必要はない。お互いの言い分を聞いた上で定めた条約や決められたルールを先に破ってんのはそっちだろって話なだけだ。
第2次世界大戦に負けて、原爆を落とされて、デキレースの東京裁判の判決を受諾して、かつてはあった上みたいな考え方を捨てて、一番安心したのは多分日本の国民じゃない。日本を脅威に思ってた人たち、国たちだ。
よっぽど、この本の時代の日本の方が列強と伍していく強さを持っていたように思います。だから逆に、明治維新からわずか数年でそこまでの進化を遂げた有色人種がいることに、今まで有色人種の国は植民地にするもんだと思ってた欧米列強は脅威を感じたってのが歴史の筋なんだろう。そして、この作品が日本人に支持される理由なんだろう。「いい思い出を反芻する」ってのは、新しいことをする以上に気持ちよくなれるって側面もあるから。
(注:深~い知識があるわけでも有識者なわけでもないんで個人的な感想です。)
自分たちは、過去の日本人が「次代の為に」って考えに考えを重ねて、議論に議論を重ねて、失敗もあったろうけどそこから学んだこともあったはずで、そうやってやってきたその上に今いる。
その中で培ってきたものが、全て受け継がれてるかと言えばそうでもないと思うけど、なるたけ汲み取りながら、自分たちの次の世代に気持ちよく引き継いでいけるような何かを築いていけるといいのかな、とか思います。