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Posted by ブクログ 2023年11月26日
▼正岡子規は本編の三人主人公の一人だが、3巻目で死んでしまう。秋山兄弟もそうだけれど、上回るくらいに司馬さんは正岡子規が大好き。その「好き」が泣けてくるような3巻目。それはまた「ひとびとの跫音」になっていく。▼そうだった、十代の頃に「坂の上の雲」を読んで、短歌俳句に興味を持ったんだった。正岡子規の「...続きを読む俳諧大要」とか岩波で買って読んだんだった。
Posted by ブクログ 2023年09月28日
日露戦争も開戦した。戦艦、巡洋艦を以て戦う描写はまるでその場にいるのかと間違えてしまうほど細かい。
また貧しい国の日本が大国ロシアと戦争をしなくてはいけなかったのかわかった気がする。
Posted by ブクログ 2022年03月15日
日露戦争へ突入する頃の国際事情から、緒戦の状況よくわかり、非常に面白い。政治家も軍人も今以上に国際的だなあと感じました。なんか今のロシアのウクライナ侵攻にも重なる所ある。ロシアという国の特性なのかなとも、失礼ながら感じてしまいました。色んな事が紙一重の差でかわり、今があるのだろうなあとしみじみ思いま...続きを読むした。
Posted by ブクログ 2022年03月08日
正岡子規の最後、そしていよいよ日露開戦。
この本を読んでいる時にちょうどロシアのウクライナ侵攻が始まった。
戦争回避のためロシアとの条約締結のために奔走していた伊藤博文に対して、
外務省などは「ロシアは条約を平気で破る。信用ならない。」とその行動を諌めた。
2度の革命を経た、今のロシアでも、外交上の...続きを読む立ち振る舞いは変わっていないように思えた。
Posted by ブクログ 2021年03月07日
正岡子規の夭折から始まり、日露戦争開始前の政治的駆け引き・開戦後の旅順大戦まで記された巻。高度経済成長期の日本人がこの本に傾倒した様に、戦争とビジネスには恐ろしいまでの共通点があると感じた。
・戦争前の敵情視察・戦略立案が明暗を分ける事。
※ビジネスで言えば、他社/自社を含めた詳細な市場分析・何を...続きを読む強みとして戦っていくかの経営戦略の立案が、成功のキーになる事。
・単純な兵力差・戦艦差も戦争における重要な要素だが、兵員の士気といった組織力はそれに勝る重要性を孕んでいる事。
※大企業の方が、コストや販売チャネルに強みを持つ為、中小企業よりも原則市場で有利。一方、それに属する社員が自律的に働ける環境を作らなければ、大規模な自己人材も宝の持ち腐れで終わる。(経営組織論の重要性)
・ロシアに比べ圧倒的に小国である日本は、資金の調達に苦戦した。他国からの融資を獲得する為には、初戦で圧倒的勝利を収めることで、大国ロシアに勝てるという「実績」を作り、信頼を勝ち取る必要があった。
※VCや銀行から融資を受けるには、企業の将来性だけでは不十分。構築したビジネスモデルが実現可能であるという信頼を勝ち取る必要があり、それは「実績」によって為される。
・戦争において、敵の優秀な指揮官を仕留める事は、敵艦隊に大きな動揺を与える事が出来、士気を減退せしめる。
※ビジネス遂行にあたり、「キーマン」を抑えることは何よりも重要。
Posted by ブクログ 2018年11月17日
ついに戦端が開かれた日露戦争。
日本としては、避けては通れない超大国ロシアとの戦争。
ロシア側は、完全に日本をみくびっていた。
軍事大国に対して、一進一退の攻防を繰り広げる日本。
秋山兄弟の活躍がクローズアップされる。
この物語の主役の一人である正岡子規が早々と病気で亡くなってしまう。
正岡子規をこ...続きを読むの物語に登場させる意味があったのか。
Posted by ブクログ 2018年07月28日
日露戦争の開戦
ロシア軍部は日本を侮り、国民からも反戦争の雰囲気が醸成されているなか、最初から日本が連戦連勝とはいかない、さすが腐ってもロシア。
・ロシアは他国との同盟をしばしば一方的に破棄している
・国家間の人種問題的課題は、平時にはさほど露出しないが、戦争という政治心理的にぎりぎりの状態になる...続きを読むと、自制心がゆるむ
・優れた戦略戦術というのは、素人にも理解できるほどの簡明さを持っている。玄人にしか理解できないような、哲学的で難解なそれは、まれに存在しても敗北側のそれである
Posted by ブクログ 2024年02月10日
正岡子規の最期と日露戦争の開戦と、これまでで一番手に汗握る展開で、夢中で読んでしまいました。
にしても、まるでその現場で見聞きしていたかのような詳細な描写、これが司馬遼太郎なのでしょうけど、いったいどのくらいの時間と労力をかけて人物や史実を研究したのかと、純粋にただひたすら感服するのみです。
Posted by ブクログ 2023年09月16日
ついに日露戦争突入。正岡子規さんが亡くなられたが、もっと生前の活躍を知りたかった。それは別の本に譲るとして、日本が大国ロシアにどう立ち向かって行ったか、4巻以降からも学んでいきたい。
Posted by ブクログ 2023年01月17日
国家存亡を背負う要人
軍は児玉源太郎、経済界は渋沢栄一。
・2人が涙を流して覚悟を決めるシーンが印象的。
本当はそんなイチカバチカの橋を渡るべかざるなのだが、渡らないとロシアの帝国主義に喰われる中、自らの手で事を成し遂げる精神に感服。
・一兵卒になってでも最後は戦うという気概。渋沢栄一のセリフ...続きを読む。
なお児玉さんは大将?中将?ながら現場の指揮官(本当はもっと下の役職が担う)に立候補し勤めた。さすがです。
・なんだかんだ数的優位
戦闘では数的優位をつくる。ランチェスター
Posted by ブクログ 2022年02月20日
この巻序盤で正岡子規が逝ってしまい、子規を理由に読み始めたため少し残念に思うもひたすら読み続けます。
同じ松山出身の秋山兄弟の人となりは興味深く、日露戦争に突き進んでいく明治の日本を戦争の面から辿っていきます。
Posted by ブクログ 2021年10月05日
東郷平八郎さんが何をしたか全然知らなかったが、これを読んで東郷さんのことをよく知れた。
正岡子規さんが死んでしまって悲しい。
正岡子規さんの事をよく知りたい。
Posted by ブクログ 2018年07月23日
まずは正岡子規の死。この人は日露戦争の前で亡くなるのだ。なんでこの人に焦点を当てたの?という疑問は第3巻を読み終えても答えはない。
それはともかく、いよいよ日露戦争開戦。まずは東郷平八郎率いる日本海軍の連合艦隊がロシアの極東艦隊と対決。秋山真之は参謀として作戦の立案を担当。この海戦描写がメチャクチ...続きを読むャおもしろい。さすが、司馬遼太郎の戦争群集劇。
海戦を繰り広げる軍艦がまるで人間のように考え、行動し、死んでいく。序盤の海戦でこれだけテンションを上げてしまうと、その後の対バルチック艦隊戦でこれ以上の盛り上がりを期待できるんだろうか。と、要らない心配をしてしまう。
そんな明快で豪快な海戦に比べて、地上戦は地味で日本陸軍の拙さが目立つ。特に弾薬不足は顕著。それを補うため、兵士個人の精神、忠誠に頼ることにした陸軍を著者は思いっきり批判する。
やっぱり、司馬遼太郎は自身が属していた日本陸軍が大嫌いのようだ。これぞ、良くも悪くも「司馬史観」ってやつだ。
Posted by ブクログ 2017年12月28日
読むのにちょっと時間がかかったのですが
日清戦争後から日露戦争に向かうまでいかに
日本が処していったのかが描かれた巻。
冒頭で主人公の一人である正岡子規が死んでしまい
軍事的な話の合間に挟まれる閑話休題のような
子規にまつわる話がなくなったのは少し寂しい気がします。
しかし日露戦争といえば日本がロ...続きを読むシアに勝った戦争であり
最初から華々しい感じだったのかと思いきや
なかなか日本の思ったように戦争が進まず
モヤモヤした感じで終わりました。
日本史では日本はロシアに勝ちましたというだけで
終わりますが現実はそんな単純なわけないですよね。
それでも司馬遼太郎の描き方なのかこの時代の日本の
次から次へと出てくる人材の豊富さにワクワクしました。
この巻の中で特に印象に残ったのは広瀬武夫とマカロフの死のシーンでした。
そして東郷平八郎と秋山好古の器の大きさ。
名将とはかくあるべきなのかと思い知らされました。
Posted by ブクログ 2017年12月19日
【あらすじ】
日清戦争から十年・・・
じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。
「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。
しかし、両国の激突はもはや避けえない。
病の床で数々の偉業を成し遂げた正岡子規は戦争の足音を聞きつつ燃え尽...続きを読むきるようにして、逝った。
【内容まとめ】
1.明治には、国民所得の驚くべき低さという宿命的な暗さが付きまとう。
2.ロシアと日本の戦争に対する準備は正反対。「Giant Killigno」の理由は準備の怠りと相手の軽視
3.この頃の人物たちは、当たり前だが「武士道」や「反骨精神」を心に持って生きている。
【感想】
ようやく物語は日露戦争に突入!
しかし、今はまだ8分の3巻しか終わっていない・・・
この物語はこの後どう続くんだ?
長い。長すぎる!
長いのは良いけど、わき道にそれてばっかりじゃキツイぜ?!笑
上記にもあるが、この頃の日本人はしがみ着く思いを持って外国に対峙しているように思える。
負けるかもしれない、でも祖国のために負けるわけにいかない。
そんな緊張感と焦りを持ちつつ、現実から決して目を背けずにこの無謀な戦いに挑んでいる。
それに比べ、今の日本はどうなのか?
何故か高飛車な態度で生きて、中国やアジア諸国にツバを吐きつつアメリカや欧米国にはヘイコラよろしくやっていて、謙虚というよりもはや卑屈な態度で日々生きている人が多い。
時代が変わって人が変わるのは仕方ないとは言えども、こんな世の中になるために昔の人は血を流したのか?
この頃の人間が今の日本を作る為に奔走したことを思うと、今の自分たちを見ると、どう思うだろう?
日本人である事に些かの情けなさすら感じてしまうな・・・
話が逸れたが、、、
戦国モノと違って近代の戦争はスケールが大きい!
1人の力や戦略ではなく、色んな策略・謀略に富んでいて、面白い!
が、文字で読むのが難しい!!笑
これは小説で読むにはもう少し根性が要るな?
あと5巻!楽しみだぜ。
【引用】
p9
「秋山の天才は、物事を帰納する力だ。」
あらゆる雑多なものを並べてそこから純粋原理を引き出してくるのが真之の得意芸。
熱心さも度はずれたもので、「一生の大道楽」と人には言っていた。
p42
明治28年に日清戦争が終わり、1年間の総支出は9160万円ほどだった。
しかし、翌年明治29年は当然民力を休めねばならないのに、総支出は2億円あまりである。
軍事費が占める割合も、32%→48%に。
明治の悲惨さはここにある。
我々が明治という世の中を振り返るとき、宿命的な暗さが付きまとう。
つまり国民所得の驚くべき低さがそれに原因している。
p68
要するに、日露戦争の原因は、満州と朝鮮である。
日露戦争にもし日本が負けていれば、朝鮮はロシアの所有になっていたことは疑うべくもない。
ただ、日本は海ひとつへだてているために、所有まではされなかったに違いない。
p96
・ロシア陸軍大佐ワンノフスキーの日本観
「日本陸軍がヨーロッパにおける最弱の軍隊水準にまで辿り着けるだけの道徳的基礎を得るまでに、あと100年はかかるであろう。」
日本陸軍の装備や作戦能力ではなく、軍隊道徳的について論じている。
当時の日本軍隊において過剰すぎるほどの要素は忠誠心と服従心でしかないのに、そのごく明白な事実すら、観察する能力を欠いていた。
またこのワンノフスキー報告が、その後のロシア軍部の日本観の基礎となった。
→ロシアは日本をクソ舐めてた
p139
好古の日記
「ロシア帝国というのは、外交ひとつにしても嘘が多くて、何をしでかすか得体の知れぬ国であるが、しかしロシア人はその国家とは全く違った好人物だけである。
特に酒宴でのロシア人の気分のよさは、世界一かもしれない。」
p180
・戦前の日露間の外交について
劣等民族である黄色人種へのサディスティックな外交は、この時だけでなく太平洋戦争やむしろ現代でもくすぶっているのでは?
日本が調子に乗っちゃいけない、今もなお白人たちは劣等民族と思っている。
日露戦争というのは、世界史的な帝国主義時代の一大現象。
窮鼠猫を噛むかの如く、追い詰められた者が生きる力ギリギリのものを振り絞ろうとした防衛戦であった。
そんな用意周到な日本に対し、ロシアの準備不足は日本を舐めてかかりすぎたから。
大東亜戦争では、日本はこの頃の気持ちを忘れてやや哲学的に作戦を立てすぎていた。
p317
「これが、日露騎兵の第1戦なのだ。
常に最初の戦いが大事であり、ここで負ければ日本の騎兵の士気に影響し、悪くゆけば負け癖がついてしまうかもしれない。
ここで退却すればロシア騎兵に自信をつけさせ、今後の戦闘で彼らはいよいよ強くなるだろう。」
戦術的に退却が妥当であることはよくわかった上で、この局面この段階での退却が全てを失う事になることを案じていた。
「旅団長閣下が、最前線の機関銃陣地で不貞寝をしている。」
「もう戦闘は1時間半も続いている。
敵がやがてくたびれるはずだ。」
とにかく自分や兵隊の体がちぎれようと吹き飛ぼうと、この現場から退かないというのが、好古の唯一無二の戦法だった。
戦場での司令官は、あまり鋭敏であってもいけない。
反応が鋭敏すぎると、かえって事を誤る。
こういう極所には、わざと鈍感になるしかなかった。
Posted by ブクログ 2017年08月25日
日露戦争開戦。
戦争に対する視点の設定として、こう言う表現も有るのか、とちょっと不思議な感じを受けた。
戦争する前に、ロシアの軍人との交流があったり、開戦した戦艦に他国の軍人が観戦していたり。 相手を知った上で戦ったり。
血生臭い表現と言うより、体育祭の騎馬戦とか、サッカーの試合でも見ている...続きを読む様な読後感。
軍人たちの生き方、特に現場の指揮官達にフォーカスしていて、戦争は悲惨という部分が3巻の中では受けにくい。何人死んだとか、機雷によって戦艦が破壊されて血みどろで死んだマカロフの描写もあるけど。
自分達が使った作戦を相手にやられて引っかかるとか、不思議な事が普通に起きたり、、
現場で命を落とした多数の人とその家族の息遣いみたいなものを一切消し去って純粋に戦いの趨勢にフォーカスしているのは、文学作品だからと割り切って読もう。
Posted by ブクログ 2024年02月20日
いよいよロシアとの戦いは避けられない気配が濃くなって開戦する。そんな中でも個人間では敵国の知人をリスペクトしたり、国家間でも戦いながらも相手の大将の死を悼む雰囲気もあったというところが示唆深い。
Posted by ブクログ 2023年01月05日
知らない事だらけで、なかなか進まない。
戦艦に興味がなかったが、戦艦三笠は横須賀にあるなぁ〜と思い出す。あーこれに東郷平八郎や秋山真之が乗ってだんだなあ。
Posted by ブクログ 2021年09月07日
大学2年または3年の時、同期から「読んだこともないの?」と言われてくやしくて読んだ。
長くかかったことだけを覚えている。
文庫本は実家にあるか、売却した。
そして2009年のNHKドラマの数年前にまた入手して読んだ。
秋山好古・真之、正岡子規について、初期など部分的に爽快感はあるが、とにかく二百三高...続きを読む地の長く暗い場面の印象が強い。
読むのにとても時間がかかった。
その後3回目を読んだ。
バルチック艦隊の軌跡など勉強になる点はある。なお現職の同僚が、バルチック艦隊を見つけて通報した者の子孫であることを知った。
いずれまた読んでみようと思う。(2021.9.7)
※売却済み
Posted by ブクログ 2020年06月14日
貧困に慣れておくとか、習慣づけは大切だなと思う。イギリスも、植民地を増やすにあたり、英国民が色々な地で侵略する際に、美味しいご飯にありつける可能性は少ないから、敢えて自国のご飯をまずくしているというし。
そして、ロシアは寒い国だから、略奪を含めた南下施策が本能であると思う。国が広いが、その比で自国...続きを読む民は多くないロシアだが、日本はロシア以上に人が少なかったんだろうと思う。
自国ができることは、他国もできる。
そういう理屈は当然と思えるようにしておきたい。
Posted by ブクログ 2019年10月15日
主人公の一人、正岡子規が亡くなりました。
そして、日露戦争開戦。国同士が対立していても、互いの国民同士の間には友情なんかもあった話が意外でした。
それにしても、登場人物が多くて難しい。
Posted by ブクログ 2019年01月16日
日露戦争なんて、今はとうに亡い曾祖母くらいしか体験したことがない。
歴史の教科書で読んでしまうと、覚えることはできてもどこか架空の事のような気がしてしまう。
というか「まあ、そういうことも昔はあったんだね」という程度の感覚しか持ち得なかった。
将校の名前も膨大に覚えたけど個人として認識できてはいなか...続きを読むったし。
こうやってストーリーとして読むと、相変わらず現実感という意味では覚束なくても、関わった人々の性格や当時の風習やものの考え方がしみ込んでくる。
少なくとも『日本史』として覚えていたころよりは身近に感じられる。
Posted by ブクログ 2020年01月12日
<本の紹介>
日清戦争から十年―じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避けえない。病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は戦争の足音を聞きつつ燃えつきるようにし...続きを読むて、逝った。
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この本で一番「なるほど」と思ったのがこの一節でした。
「敵に対しては見つけしだい、攻撃すべきである。この場合、彼我の兵力を考慮すべきではない。」
確かに、その通りかもしれない。先手必勝、兵力が同程度であれば先に攻撃をしかけた方が良いに決まってる。サッカーだって先取点を取るべきだ。はじめは守って、なんて、それが囮作戦でないなら勝とうと思ってんのかって内部で思う人が出てくる。士気が下がる。
兵力がこっちの方が大きいならなおさらだ。戦うときは、圧倒的な戦力で相手の分散された戦力を叩いて、局地の勝ちを積み上げていくのが正攻法。勝てるときに勝負しないなんてありえない。勝っておくべきだ。相手を殲滅しておくべきだ。
兵力が少なくとも、完全な逃げ一手はその師団、旅団全体の士気を落とす。それ以降の戦闘の結果を左右しかねない。攻撃しながら退却すべきだ。それをしなかったのがこの巻でのロシアだったんだけど。
ちょっとこれを読んで、抑止力としての自衛隊のあり方ってどうなんだろうって思いました。
「専守防衛」って、他国から見たら「攻撃されない」ってわかってる戦艦や戦闘機が近寄ってきても、なめてかかるだけじゃないかな。俺なら、なめる。領空、領海を平気で犯しそうな気がします。そこで砲撃することは、ある意味当然のことだ。自分の権利を侵されているのに、相手の言い分をそのまま聞く必要はない。受け入れる必要はない。お互いの言い分を聞いた上で定めた条約や決められたルールを先に破ってんのはそっちだろって話なだけだ。
第2次世界大戦に負けて、原爆を落とされて、デキレースの東京裁判の判決を受諾して、かつてはあった上みたいな考え方を捨てて、一番安心したのは多分日本の国民じゃない。日本を脅威に思ってた人たち、国たちだ。
よっぽど、この本の時代の日本の方が列強と伍していく強さを持っていたように思います。だから逆に、明治維新からわずか数年でそこまでの進化を遂げた有色人種がいることに、今まで有色人種の国は植民地にするもんだと思ってた欧米列強は脅威を感じたってのが歴史の筋なんだろう。そして、この作品が日本人に支持される理由なんだろう。「いい思い出を反芻する」ってのは、新しいことをする以上に気持ちよくなれるって側面もあるから。
(注:深~い知識があるわけでも有識者なわけでもないんで個人的な感想です。)
自分たちは、過去の日本人が「次代の為に」って考えに考えを重ねて、議論に議論を重ねて、失敗もあったろうけどそこから学んだこともあったはずで、そうやってやってきたその上に今いる。
その中で培ってきたものが、全て受け継がれてるかと言えばそうでもないと思うけど、なるたけ汲み取りながら、自分たちの次の世代に気持ちよく引き継いでいけるような何かを築いていけるといいのかな、とか思います。