【感想・ネタバレ】坂の上の雲(七)のレビュー

あらすじ

各地の会戦できわどい勝利を得はしたものの、日本の戦闘能力は目にみえて衰えていった。補充すべき兵は底をついている。乏しい兵力をかき集めて、ロシア軍が腰をすえる奉天を包囲撃滅しようと、日本軍は捨て身の大攻勢に転じた。だが、果然、逆襲され、日本軍は処々で寸断され、敗走する苦境に陥った。

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Posted by ブクログ

【30年ぶりに読む「坂の上の雲」】
第七巻は「会戦」「艦影」「宮古島」など。国家存亡を覚悟しながらなんとか“六分四分”で奉天会戦に勝利した日本陸軍。講和条約締結の外交努力は実らず、日本海海戦に列強各国の注目が集まっている。そんな中、バルチック艦隊が歴史的大回航をへて宮古島沖を北上していった…。
上に立つ者の度量と明治日本人の随順心を想いながら令和に読み返す「坂の上の雲」。最終八巻に進もう。

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2024年09月01日

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日露戦争において日本がいかに綱渡りの戦闘をしていたかがありありと描かれており、手に汗握る展開で面白い。

またバルチック艦隊との戦いの前夜までが、目に浮かぶように描かれ、まるで乗船しているかのような気持ちになる。
改めて司馬遼太郎氏の本の面白いさを感じる一冊。

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2024年01月06日

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▼奉天の戦い〜日本海海戦前夜。▼「坂の上の雲」の、「小説的ではない西洋歴史一般文章部分」を抜いたら、この上なく面白いのでは。なんだかんだ、外交のファクトを確認していくと、白人至上主義や各国の自国エゴが(当たり前だけれど)浮かび上がる。▼また、ロシアもドイツも結局は「遅れてきた新参者」だったから無理をする。日本も日露戦争で一応勝つことで「帝国主義的侵略者の新参者」として、なんというか、「一部リーグに昇格」することになる。講和が匂い立つこの巻あたり、そんな雰囲気が横溢。正義がどうこうではなくて、各自のエゴの問題です。善悪でもない。戦争だけではなくて人生万事その観点で、己と周りを客観視したいものです。▼この小説はまごうかたなき「戦争について」の小説でもあるわけですが、司馬さんは執拗に「モノ、技術」について語ります。それを無視して精神主義になってはあかんというように。これもまた戦争だけではなくて人生万事、その観点で己と周りを客観視したいものです。

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2023年11月26日

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まずは、6巻まで文字が小さくて読むのに苦労した。この7巻だけは新装版なので文字も大きく読みやすい。8巻はまた字が小さい(;_;)
(坂の上の雲。義父から借りもののため)

バルチック艦隊がようやく日本海付近にやってきた。クライマックスに向けて盛り上がってきた。
それにしてもバルチック艦隊のロジェストヴェンスキーって司令長官にふさわしくないなぁ。

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2023年11月21日

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奉天会戦での賭博じみた作戦と、あまりに拙く見えるクロパトキンの指示、その上での勝利。その後の講和にむけた各外交。ロジェストウェンスキー、または本国指示含めたバルチック艦隊の拙い運用。終盤に向けて盛り上がりの巻。あっという間に読めました。

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2022年05月01日

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191001
奉天会戦も凄惨な内容。バルチック艦隊が来るまでの日本軍の組織状況がわかる。
生死を賭けた仕事。自分の仕事が辛いなど比較にもならない。

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2019年10月01日

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本書で、日本は滅亡寸前にあった、という驚くべき事実を知った。
日本がロシアの植民地にならなかったのは、歴史的偶然の重なりによるもので、決して日本の陸海軍が強かったわけではない。
歴史の教科書では、日露戦争の勝利は恰も必然のように記述されているため、我々は錯覚しているが、実はこの時が、日本史上、国家滅亡の最も瀬戸際にあったことを知って慄然としないわけにはいかない。

圧倒的な軍事的格差があるにも関わらず、日本が大国ロシアに戦いを挑んだ背景には、日本国民の世論があった。
ロシアとの戦争を回避しなければならないと悲壮な覚悟でロシアとの交渉に当たった伊藤博文は、弱腰と猛烈な批判を受けたが、それは、伊藤博文が現実を直視する政治家だったからだ。
一方、マスコミに煽られた国民の声(世論)は、全く現実を無視したものだった。
偶々、奇跡的に日本が薄氷の勝利を得たに過ぎないのに、日本は勝った勝ったと浮かれて、講和条約を弱腰と非難し、日比谷焼き討ち事件まで起こしたのも国民だ。
加藤陽子が言うように、「戦争は国民が選んだ」のだ。

ロシアにロシア第一革命が起こっていなければ、ロシアは戦争を継続して、日本が逆転負けを喫していたことは間違いない。
そうであれば、日本人は、今頃「ダー、ダー」とロシア語を話し、ドストエフスキーを原書で読むことは出来るが、村上春樹もロシア文学を書くしかなくなり、今頃若者は悉く、プーチンにウクライナ戦線に送られていたかもしれない。
そうした、あったかもしれない日本を生み出した可能性が確かに存在した。
その日本滅亡の最大の危機が、1905-6年だったことを、本書は教えてくれる。

日本海海戦は、東郷平八郎連合艦隊司令長官と、彼に仕えた本書の主人公秋山真之の智謀で大勝利を収めた。。。ことは確かだ。
だが、それは結果論であって、東郷にしても、秋山にしても、日本海軍と戦力的に互角のバルチック艦隊を殲滅しなければ、日本は滅亡するという強烈な危機感を持っていた。
何を大袈裟な、と後代の我々は思いがちだ。
それは日本海海戦の勝利という結果を知っているからにすぎない。
だが、司馬遼太郎の筆は、迫り来る滅亡の危機をリアルに描いてみせる。
我々を明治の戦争の当事者の位置に据えてくれるのだ。
つまり、滅亡寸前の日本にタイム•スリップさせてくれる。

ロシアは旅順港に、バルチック艦隊に匹敵する艦隊を有していた。
その艦隊にバルチック艦隊が合流したら、海軍の戦力は日本の二倍。
その両艦隊に挟み撃ちにあったら、帝国海軍は壊滅は必定。
ロシアは、万全の守りを誇る旅順港に艦隊を温存し、バルチック艦隊が遥かヨーロッパからやってくるのを待っている。
バルチック艦隊の到着を待つことだけが、ロシア必勝の方程式だった。

一方、日本が、勝利するためには、
(1)バルチック艦隊が到着する前に、旅順の艦隊を徹底的に破壊すること
(2)五分五分の実力のバルチック艦隊を撃破すること
 という困難な二つの課題をクリアする必要があった。

(1)を達成することを任されたのが、乃木希典率いる日本陸軍。
乃木希典の攻めた二百三高地とは、旅順港を守る要となるロシアの鉄壁の要塞だった。
だが、旅順港を守る位置にあることは、攻撃するにも好位置にあることを意味する。
乃木が必死に二百三高地のロシア軍要塞を攻めたのは、バルチック艦隊が到着する前に、要塞を陥落させて、そこから旅順港のロシア艦隊を攻撃するためだった。
数多の兵を死なせた乃木は愚将だと言われる。
しかし、二百三高地の奪取は、日本国家を守ることそのものだった。
そして、それ以前に、二百三高地を奪取出来なければ、乃木が率いる部隊のみならず、大陸でロシアと死闘を演じているを日本陸軍そのものの壊滅を意味した。
なぜなら、旅順艦隊とバルチック艦隊が共同で日本艦隊を殲滅した暁には、日本からの補給路を断たれた大陸の軍隊は全滅必死だからだ。
秋山古好がどれだけ有能な騎兵隊を指揮官であっても、補給を断たれたら、一巻の終わり。
だから、乃木はどれだけ兵を失おうとも、世界最高度のロシアの要塞を人海戦術で攻め続けたのだ。
バルチック艦隊がモタモタしている間に、間一髪、乃木希典は二百三高地の奪還に成功する。
そこからは旅順港は一望できる。
ロシア艦隊を高地から砲撃することで、艦隊の無力化に成功する。

ミッション(1)はギリギリ果たされた。
次は、東郷、秋山に託された日本海海戦だ。
勝負は五分五分。
どこからバルチック艦隊はやってくるのか?
対馬か津軽か、南か北か?
どちらも可能性があるとしたら、艦隊を二分する必要がある。
それは敵の兵力の半分で戦うことを意味して、敗戦の可能性は高い。
だから、航路を特定して、その上で、実力互角の敵艦隊を殲滅しなければならないのだ。

この刻一刻の緊張を司馬遼太郎の筆は臨場感を以て描いてみせる。
「興国の荒廃この一戦にあり」という言葉は、決して兵士を激励するためだけのものではなかった。
正に、日本がロシアの植民地になるかどうかの瀬戸際の戦いであることを語っていたのだ。

『坂の上の雲』は大ベストセラーで、青春小説として人気が高い。
だが、そこには本巻のように、滅亡一歩手前の日本の危機的状況も描かれている。
何とか独立を保ち得た日本は、どうなるのか?
青春-朱夏-秋冬-玄冬。
青春の後、束の間の朱夏を迎えた後は没落する一方。
司馬遼太郎は、没落する日本は描かなかった。
だが、本巻においては、消滅寸前の日本を描き、後に本当に滅亡する日本をイメージにおいて描き出した、と言えるだろう。

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2025年07月18日

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バルチック艦隊が、どちらを廻るのか…宮古島の5人衆、面白く感じてしまった。内情や裏を知るというか、またその人物を知ることが面白い。

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2025年02月25日

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奉天会戦と日本海海戦に向けての巻。

戦争をある程度のカタチに帰着させることの難しさがよくわかる。
現場の状況と、後方から見えている図と、国民の感情は違うもの。
どのレンズを使うか、どの視野で見るか、対象を絞るか広げるかによっても出来事の真相は違ってくる。
100年以上前の歴史であり、いろんな視点を織り交ぜることができる群像劇だからこそ解ることもあるもんだ。

とは言え、その多くの視点から見える画はやはり著者である司馬遼太郎の目に一旦集約されて描かれるものなので、やっぱりバイアスかかるよね。

この巻で印象に残ったのは、主にロシア側に対する行動の冒頭に記された
「信じられないことに」
「信じがたいことに」という言葉。
歴史を振り返った時に目にする、クロパトキンやロジェストウェンスキーの言動に対する評価はマイナスイメージが多いが、司馬遼太郎の視線からはより強くその印象を受ける。

また、ベトナムが辿った歴史が、江戸末期の日本にも起こりえたという記述や、
バルチック艦隊の目撃情報を国家機密として秘密裏に報告するため、宮古島から石垣島までカヌーで命がけの航海をし、昭和9年まで誰にも機密を漏らさなかった5人組のエピソードをめちゃくちゃ丁寧に綴っているのも、司馬遼太郎の描く日露戦争ならではな感じがする。

本筋からいろいろと離れるし、そのひとつひとつが詳細であることにも7巻までくると慣れてきた。
なかなか進まないからちょっと退屈になった向きもあるけど、これはこれでこの小説の味だ。
新しい知見もひろがるし素直に面白い。

さて、いよいよラスト8巻目。
ドラマの再放送には間に合うかな。


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2024年08月28日

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ネタバレ

最後の章、宮古島、日本人の中でバルチック艦隊を最初に発見した人、それを宮古島から無線がある石垣島までカヌーで伝えに行った人たちのエピソードはここまでのお話しで一番興味深く読み応えあるものでした。

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2024年03月21日

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奉天会戦でロシア軍を辛くも退けることに成功し、残すは日本海海戦のみ!
バルチック艦隊がどのルートを辿るのか秋山真之は頭を悩ませたけど、国家の存亡をかけた大一番、とんでもないプレッシャーに違いないですよね。

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2024年03月20日

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筆者のバイアスはあるにせよロシアという国の素情を理解できた気がする。あくまでこの小説から読み取るロシアは掠奪の歴史であり、小村寿太郎がはっきりと「ロシアの建国精神は土地掠奪である」と言い切っているのもなかなかの衝撃だった。
ただしあくまで小説であり、別の書物からもロシアの歴史や日露戦争を公平な目で学んでみたい。

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2023年09月27日

Posted by ブクログ

とても面白かった。
ロシアという国がなんとなく分かった気がする。
当時の日本の雰囲気もよく想像できた。

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2022年06月09日

Posted by ブクログ

日露戦争が話題になるときは、203高地での攻防や
日本海海戦など軍人たちのことが多く挙がるが、
敵のバルチック艦隊を最初に見つけた沖縄の人々の話は初めて聞いた。「敵艦見ゆ」という公文書を島の役人から石垣島の郵便局まで伝えに行った、漁期の漁夫たちが個人の刹那的な損得よりも社会に貢献してお上・国家から懸賞されることが重要だと考えたところに、近代の田園的な社会に、懐古的な良さを感じた。
コロナ禍で人々がそれぞれ感染対策を徹底しなければならないという現代にいるからこそ、余計に感じた。

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2022年05月17日

Posted by ブクログ

全巻通じてそうですが、日露戦争史を人物から読み解いているようです。その面白さを特に、この巻で感じました。結末がわかっているのに、続きが気になって、一気に読み終わりました。

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2022年04月16日

Posted by ブクログ

宮古島の島民が『国家機密』の任命を果たした話は戦闘が続く長編の中において、日本の庶民側の様子を知ることができ興味深いものだった。

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2022年02月20日

Posted by ブクログ

奉天会戦の顛末、そしてバルチック艦隊にいよいよ出会う。
指導者が臆病であったり、自分以外を信じない自己中心的な判断しか持ち合わせていなかったり、ロシアに勝てたのは日本の強さではなくロシアの内的な弱さであったにもかかわらず、日本はその勝利を過信してしまったことがのちの太平洋戦争に繋がるのか…と思うと、報道やら情報操作の責任は重いなと感じる。

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2021年06月26日

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心に残ったところ。
・児玉と大山の思い「日本がいかにもろいものであるかを知っているし、~これ以上冒険を続ければ日本国は崩れ去るだろうという危機感」
・ロシア帝国のもろさ「彼らはつねに体内的な関心のみをもち、その専制者の意向や機嫌を損なうことのみを恐れ、~専制の弊害はここにあり、ロシアが敗戦する理由もここにあり。」
・日本においては新聞は必ずしも叡智と良心を代表しない。むしろ流行を代表するものであり~」

いまの時代を生きる日本人が過去から学ぶことは、本当に多い。

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2021年05月23日

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日露戦争の詳細を時系列で理解することができる
クロパトキンの心理状態を理解するのは難しく、軍事規模や補給で圧倒的に有利だったロシアがなぜ相次ぐ会戦で圧倒できなかったのか不思議にも思えてくる

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2019年07月02日

Posted by ブクログ

状況からみれば、絶対に負けるであろう奉天会戦。

なぜ、日本軍は勝てたのか?

究極はロシアの専制国家、官僚体質による自己保身に尽きるであろう。

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2019年01月16日

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<本の紹介>
各地の会戦できわどい勝利を得はしたものの、日本の戦闘能力は目にみえて衰えていった。補充すべき兵は底をついている。そのとぼしい兵力をかき集めて、ロシア軍が腰をすえる奉天を包囲撃滅しようと、日本軍は捨て身の大攻勢に転じた。だが、果然、逆襲されて日本軍は処々で寸断され、時には敗走するという苦況に陥った。
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「終わらせ方」がこの巻のテーマだったように思う。何かを始めるときに、それをどうしたら終わらせるのか、そこを考えることは(少なくとも自分は)少ないかもな、自省しました。
いつも、何かを始めるときは目標を持つ前に手を出してみて、それで得るどこまでできるか、何ができないかって感覚を簡単に分析(おもしろいかとか、やりがいを感じられるかとか)したあと、やるかやらないかを決めてるような気はする。でも、それでどこまで目指そうかとかあんま考えてないかも、、、久保さんじゃないけど「ボールを持ったらいけるところまでいけ」「一歩でも成長につなげろ」って感じです。

でも、これを考えていないと、だらだらと時間とお金を使ってしまう。お金はまた稼げるけど時間は帰ってこない以上、「何はどこまでやりたいのか」についてはちゃんと考えておいた方が良いかなと思いました。
かけなきゃいけない時間と、かけなくてもいい時間、早ければ早いほどいいってことは多いはずで、でも全部はできない。司馬さんは、物書き・読書の他に趣味と言われるものはなく、執筆中は人との付き合いも断って、ほとんど全ての時間をこういった執筆活動に費やしていたそうな。それを楽しんでいたんだって。

いろんなことをやりたいと思えば思うほど、時間が足りないと思う。新しいことを始めたいけど、何かを終わらせることは難しい。でも、終わらせどきってのを誤ると、あるいは他の動きを食いつぶすことにもなりかねない。いつでも、選べる未来は1つしかない。

その点の認識を合わせておくことが、動き方をシンクロさせる1つのポイントかなと思いました。一緒にやれる人がいることはありがたいけど、「どこまでいこう」が違うと求めるレベルもやり方も変わってきちゃいますからね。

考え直してみようっと。

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2020年01月12日

Posted by ブクログ

日露戦争も終わりに近づいている。日本、ロシアの事情が詳しく描かれ、この巻だけではないが臨場感あふれている。

小村寿太郎の言葉「この国家に金や兵が備わり、その独立が十分に出来ていたら、戦争などをするには及びません。そんなものがないから、気が狂ったようにこんな戦争をしているのです。」が、ズシンと響いた

奥浜という青年が、バルチック艦隊を発見したことが記されているところを読んだとき、「いよいよだ!」と気持ちが高揚した。

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2025年03月12日

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ついに奉天会戦が始まる。圧倒的に兵員、銃火器が勝っていたロシア軍だが、日本の決死の作戦に右往左往しクロパトキン大将は敵の戦略を見誤ってしまう。普通に戦えば圧倒していただろうに、なぜか受け身になってしまって結局ロシア軍は奉天を退却することとなり結果日本軍の勝利となる。ただし陣地を進めただけで大将を捕縛できずロシアはまだ本国に兵の余力があるため日本側はこれ以上の陸戦は厳しくなり第3国に和平を取らせるよう外交活動を行う。バルチック艦隊もついに日本へ到達しいよいよ東郷艦隊との戦闘が始まる。
机上の理論だけで言えばクロパトキンは名将と言われていたが実際の戦地では本国での体裁や名誉を気にするあまり絶好の機会を逃してしまうのは、この戦争でのターニングポイントだろう。日本側は少ない兵力でロシア軍を包囲しようとするがあそこでクロパトキンが正面突破していれば歴史は変わっていたのかもしれない。
全体的に専制ロシア帝国のズボラさが垣間見めていて、ロジェストウェンスキーらが今どこにいるのかロシア自体が把握していないのにフランスやイギリスが把握しているのはお粗末すぎる。ルーズベルトがロシアが専制だから日本には勝てないといっていた理由の一端だろう。
最後の項の宮古島の漁師がバルチック艦隊を見つけそれを報告した話も当時の田舎の日本人を象徴しているのだろう。100キロ以上離れている石垣島まで決死の航海をして伝令したのにも関わらずその後それを自慢するようなことがなく口外するなと言われたことをしっかり守っているのは今の日本人にはないよな。

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2024年12月13日

Posted by ブクログ

この物語の全体を通して、戦地や各港の位置関係や艦隊の航路を理解するために何度もGoogleマップを見た。それだけでも、知ってるつもりで知らなかったことがまだまだあるものだと思わされる。

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2024年03月12日

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戦時中の精神が描かれていて、秋山真之が、敵艦が日本海側を通るか太平洋側を通るかについて神経過敏になっていたシーンがとても印象に残った。その秋山とは対照的な東郷平八郎最高司令官の胆力に恐れ入った。
主に仕事だが、小さい事で悩んでしまっている自分にとっては、少しでも強く生きていけそうな感覚を抱かせてくれた。

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2021年09月12日

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大学2年または3年の時、同期から「読んだこともないの?」と言われてくやしくて読んだ。
長くかかったことだけを覚えている。
文庫本は実家にあるか、売却した。
そして2009年のNHKドラマの数年前にまた入手して読んだ。
秋山好古・真之、正岡子規について、初期など部分的に爽快感はあるが、とにかく二百三高地の長く暗い場面の印象が強い。
読むのにとても時間がかかった。
その後3回目を読んだ。
バルチック艦隊の軌跡など勉強になる点はある。なお現職の同僚が、バルチック艦隊を見つけて通報した者の子孫であることを知った。
いずれまた読んでみようと思う。(2021.9.7)
※売却済み

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2021年09月07日

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日本は、資源がないから軍事国家にはなれず、ロシアを抑えるための道具としてアメリカとイギリスから友好関係を結ばれ、民も少ないから大軍で打ち取ることはできず戦略を重視し、もしかしたらベトナムのように侵略を受けていたかもしれない。
相手の戦略を考える上で、物理的に限りのある石炭量を考えれば航路は自ずとわかるなど、精神がまいっている時こそ、現状分析が必要である。
加えて、一行動一目的とは、確かになあと思う。

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2020年07月23日

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総師になるための最大の資格はもっとも有能な配下を抜擢してそれに仕事を自由にやらせ、最後の責任だけは自分がとるということ。

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2019年09月08日

Posted by ブクログ

陸軍はクロパトキンの慎重すぎる性格のおかげでなんとか奉天会戦に勝って、今度は海軍がはるばる日本にやってきたバルチック艦隊と決戦になろうかというところ。

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2019年05月05日

Posted by ブクログ

血みどろの奉天会戦、やはりロシアは巨大だ、いくつものクロパトキンの判断ミスが,ぎりぎりの戦いをしていた日本軍に味方した。さて最終巻はお待たせの日本海海戦。敵は対馬から来るか、太平洋に回るのか、東郷は日本海で不動。ウラジオストックへの入港を最終目的に動くロジェストウェンスキーとは腰の落ち着かせ方が違う

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2019年04月20日

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