あらすじ
強靭な旅順要塞の攻撃を担当した第三軍は、鉄壁を正面から攻めておびただしい血を流しつづけた。一方、ロシアの大艦隊が、東洋に向かってヨーロッパを発航した。これが日本近海に姿を現わせば、いま旅順港深く息をひそめている敵艦隊も再び勢いをえるだろう。それはこの国の滅亡を意味する。だが、要塞は依然として陥ちない。
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おびただしいほど戦争の生々しさと残酷さがゆっくりゆっくりと書かれている。
被害の数がどんどん増えている中作戦を遂行するのか変えるのか決断は周りの意見や通例によってま左右されるのか。
ロシアは驕りと油断で負けるべきして負けたし、日本は偶然とタイミングの良さでなんとか旅順を堕とすことができたものの被害は甚大でまだ戦争は続く。
先の見えない戦いはまだ続く
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『坂の上の雲』の5巻。
この巻では、前巻から続く日露戦争の戦況が進み、騎兵に注目されている。
今回だけに言えることではないが、この作品を読んで痛感することがあります。
「慢心してはいけない」
ということです。
本書におけるロシア軍は、様々な場面で日本軍を侮り、国内の権力争いに明け暮れ、それが悪い結果に繋がります。
仕事においても同じことが当てはまりそうです。
自分たちを過信していては、正しい判断はできません。
正しく状況を把握しなければなりません。
また本来はお客様を見て仕事をするべきところを、社内の上司を喜ばせるために気を配ってしまっている。
そんなことはないでしょうか?
私自身は社内の権力争いに興味がなく、そのために不遇な目に遭うこともありますが、あまり気にしていません。
やはり、社会に出て仕事をするからには、誰かを喜ばせるためにするべきと、私は考えています。
会社のお金は自分のお金ではなく、それを使わせてもらうからには、社内で機嫌を取るために使うのではなく、社会のために使うべきものです。
この『坂の上の雲』に出てくる人物のように、熱い気持ちを持って、仕事に向き合いたいものです。
坂の上の雲で描かれるリーダー像に、『リーダーが先頭に立ち戦う姿勢を示して士気を上げる』というものがあります。
今の社会では、リーダーというとスマートにマネージメントをするイメージを持つ人が増えたように思います。
しかし、本当に現場から尊敬され、信望を集めるのは、一緒に汗をかいて、戦ってくれる人だと私は思います。
そして、私自身もそうありたいと常々思っています。
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【30年ぶりに読む「坂の上の雲」】
第五巻は「二〇三高地」「水師営」「黒溝台」など。甚大な死傷者を出しながらようやく二〇三高地を奪還した日本軍。乃木が詠んだ「爾霊山」の漢詩が染みる。バルチック艦隊は様々な妨害を受けながらアフリカ喜望峰を回り日本に向かっている。
組織、特に官僚機構の退廃を現代のHRMに置き換えながら令和に読み返す「坂の上の雲」。六巻に進もう。
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▼旅順が落ちない。なんともストレスである。ただ、通読3回目にして、司馬さんの「なんとなくの小説的意図」に気づく。司馬さんは旅順描写がストレスであろうとわかっていて、加減してはる。でも後でスカッとするためにはある程度ストレスも与えねばならぬ。▼司馬さんの取材もすごいが、それ以上に語り口がすごい。何かといえば「前代未聞」、「古今に例がない」、「史上初であろう」、みたいな文句が手を変え品を変え。それくらい、つまりは「面白いんだよこれ〜、ね?面白いでしょ?」、「この人物のこのエピソード、最高なんだよね〜、ね?最高でしょ?」ということ。▼これが逆に非難する場合も同じくになる。旅順の作戦司令部とか。▼というわけで語り口に引きずられ引き込まれ、とにかく面白ぇ。
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二〇三高地、乃木希典
目を見張る闘いの場面を想像していましたが、多くの日本兵が亡くなるという読み進めることが辛い描写が続きました。司馬遼太郎氏のこの坂の上の雲では乃木希典が海軍からの要請を受け入れず、ただただ兵を失うという愚策を続けたと記されています。日露戦争で日本が勝利したと歴史上では知っていますが、日本が勝利したことは薄氷を踏むようなギリギリのところだったと想像ができました。
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本日晴天なれども波高し の有名な言葉の主 秋山真之が主役の壮大な長編小説。今の時代にこの小説の登場人物が生きてたら、ちっとは日本はましになってるだろうと思わずにはいられないほど、魅力的な人物像が描かれている。おもしろかった。
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旅順要塞における勝利は、多くの犠牲の上に成り立っている。いかにそれを指揮する人の優秀さによって、死者の数が変わるのか、痛感した。
柔軟性と信念、持ち合わせるのが難しいが、このバランスこそが必要であると感じる。
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バルチック艦隊だが、アフリカ最南端経由での大遠征により、日本領海に到着しても戦闘するどころの話ではないくらいに疲弊してしまったと思われる。
次巻以降の展開に注目したい。
あと、この巻で語られた乃木による203高地の攻防戦だが、結果的には児玉の介入で薄氷の勝利を得たが、ここに至るまでに膨大な戦死者、損失を被った。
なぜ、早い段階で乃木を更迭できなかったのか。それは、乃木の人格人徳によるものなのか、それとも日本軍組織の意思決定における弱点があらわになったのか。これらも見ていきたい。
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これまで面白いようで今ひとつ盛り上がりに欠ける印象で読み進めてきましたが、この巻より俄然面白くなってきました。
戦争の行方は戦場での戦闘のみならず、兵站など表には見えない部分が左右することもよく分かりました。
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ついに旅順での戦いに終止符が。
児玉源太郎かっこいいなぁ。
そこから、旅順港が見えるかのところはグッときます。
つい感情的になりやすい部分も、乃木希典に対する配慮も、人間味があっていいなぁと思ってしまった。
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二百三高地の状況が、(何と無くの知識だったが)本当に凄まじくひどいものだったこと。日本人のある意味異常な精神力を改めて知る。良い方向に行けば…
司馬遼太郎が、ドラマ化映画化に反対していた気持ちがわかる気がする。
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戦闘の描写が多くを占めているが、ロシアのウクライナ侵攻中の現代に読むと昔からロシアという国は基本的に変わっていない。変わらないのはロシアだけではないが、ロシアに関しては悪い意味で昔からの考え方が踏襲されたまま現代に繋がっていると感じざるをえない。
以下、印象的な一文。
・ロシア人が国家という神以上の命令者をもって以来、この航海ほど、人間どもに対してはなばなしい支配力を発揮したことはなかったかもしれない。
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漸く203高地を確保。もっと早く児玉氏が指揮していれば、、、。表にあまり取り上げられないが、バルチック艦隊に対する日英同盟の効果。その後のロシアの騎兵を主力とした大作戦。それを事前に察知しながら取り合わなかった司令部。日本騎兵部隊の活躍や、敵騎兵隊の失策。歴史は紙一重と感じました。
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組織内部の争いにエネルギーを取られたり、
必要な情報を入手しなかったり、
強すぎる先入観で判断したり、
それが勝敗につながっている。
しかし今より厳しい自然環境で、設備も限られ、情報入手もかなり困難な時代ならしょうがない判断だったのだろうかとも思う。
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<本の紹介>
強靱な旅順要塞の攻撃を担当した第三軍は、鉄壁を正面から攻めておびただしい血を流しつづけた。一方、ロシアの大艦隊が、東洋に向かってヨーロッパを発航した。これが日本近海に姿を現わせば、いま旅順港深く息をひそめている敵艦隊も再び勢いをえるだろう。それはこの国の滅亡を意味する。が、要塞は依然として陥ちない。
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読んでて、色んな立場の人が色んなものを背負って戦ってるのを改めて感じました。
特に、上層部の面々の描写。本当に多岐に渡って取材して、魂込めて書いたんだろうなって、中身もそうだけど司馬さんに感謝を伝えたいと思いました。この人、本当にすごいですね。
「売れる本を書こう」とか、そういう次元の本じゃない。
同じ日本人に伝えたいことがあったんだろうな、残したいものがあったんだろうな、自分も日本人の端くれとして、それを感じて読まずにはいられない。時には日本のダメさ加減の描写も、一時的には反感を買ったとしても長い目で見て「後世に伝える」って意味じゃ宝になってると思います。
自分たちの本当の歴史をリアルに描くことで伝えたかったのは、この人が日本人として生まれて、歴史を創る戦争に自らも参加して感じた、「日本に生まれたことへの、同じ国に生まれた人たちへの感謝」だったんじゃないかな。とか、思いました。そういう想いを感じるからこそ、いろんな人が共感する作品な気がします。
この戦争を戦った人たちはたくさんの同じ時代に一緒に生きた人たちの生死に直面して、自分の限界も何度も味わって、何度も死線を越えて、でもそこから逃げることもできない。およそ彼らの想像できなかった未来を生きてるだろう自分は、その彼らへの感謝も少なくとも今までしてこなかった。
「イチ(1)どハク(89)うにっシン(4)やきそば」とかってロゴで覚えた日清戦争と、その10年後の日露戦争。年号を語呂合わせで覚えただけだった日本の歴史上の出来事は、今、リアルに脳裏に刻まれていってる。「これをどこかで教科書にしたらいいのに」とか思うけど、多分中学、高校の俺がそんな授業を受けても余計読まないと思う。焼くか捨てるか売るか。。。今思えば恥ずかしいことだけど、多分そんな感じ。
でも、仕事を始めて、自分の生き方を考えるようにもなって、戦場に駆り出された人たちはその先に「死」が待っていようとも上官の命令は絶対で、逆らうことは許されない。そんな人たちと比べたら、自分はまだまだ甘ちゃんだと思うし、けどそれでもこの時代にこの平和な国に生まれたことを感謝したい。そしてそういう世の中に生まれたんだったら、したいことを思う存分させてもらおうかな、なんて気にもなってくる。
口で言うのは簡単だ。そろそろ、自分も形で見せなきゃな。
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乃木希典の面目のことを、常に考え行動する児玉源太郎。二人の友情の厚さ。戦時中でありながら、二人が漢詩を作り合う場面では、こういう時に文武両道とは言わないかもしれないけれど、教養の深さを感じました。すごいなぁ。
まだ、戦争にモラルが存在していた時代と記されていたこと、印象に残りました。今、ロシアのプーチンさんにこの部分を読んでほしい。
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もうそろそろ読むの疲れてきた。さすがに長いな。
旅順の攻防が描かれていたが、乃木率いる陸軍が周りの意見を無視し正面突破を続けた結果大きな損害を出していたことに苛立ち児玉源太郎が自ら指揮をしたことであっさりと203高地を奪うことができそれに伴い旅順全体も陥落することができた。あまりにもあっさりと奪えてしまったことが伊地知たち参謀の無能さが際立つ。
また、バルチック艦隊が喜望峰を回りながら日本に向かうシーンも同盟国だったフランスがロシアの敗戦により非協力的になりなかなかうまくいかないのも今後の海戦に大きく影響するんだろうな。
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ようやく司馬遼太郎さ(?)というか歴史小説を読むということに慣れてきた感。
ここまで苦しかった…!(笑)
新しい名前や艦隊の名称(とくに外国)が出てくるとその説明や現状についての記述が多くなるので(自分は)だれてしまう。
戦闘時の人々の描写になると、サクサク読めた。
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坂の上の雲、5巻。
いよいよ二〇三高地の決戦。
旅順攻略がこんなにも困難を極めた原因は、司馬遼太郎の筆から見るに、どうしても第三軍司令部の、とくに参謀長の無能さによるところが大きいと思えてしまう。それに見合う資料をもとに書いているのでしょうが、ここまでけちょんけちょんだとちょっと気の毒になるくらいだ。
それに対して、児玉源太郎に対する書き方のカッコ良いこと。
黒溝台の章で少しだけ秋山好古がでてきたが、5巻のヒーローは児玉源太郎だった印象が強い。
それからバルチック艦隊の航行。
想像以上に大変だったんだな。
そして想像以上に日英同盟が効いてたんだな。
全編わりと細かすぎるぐらいの描写や、その後やその周辺について余談がめちゃくちゃ多くて、この巻はなかなか読み進まなかった。
1次資料、どれだけたくさん当たって書いたんだろう…。
凄いけど、正直ちょっと退屈だったな。
ともあれあと3巻、
そして日露戦争も佳境中の佳境。
シンプルに戦闘のしんどい表現も多いけど、頑張って読むぞ。
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軍人としての乃木の能力が本当にいまいちなのか否かは置いておいて、同世代の軍人仲間から慕われたり心配されたり、敵将を敬ったり敬われたり、無口だけど漢詩などの表現のセンスに長けていたり、といった人としての魅力に富んだ人だったのかな、そしてその点は司馬も認めていたのかな、ということが感じられた。
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激戦はますます佳境となり、その凄まじさ、彼我の犠牲者の数の多さには驚きと傷ましさしかない。
何千何万の兵士達のそれぞれの人生を思うと気が遠くなります。
余談なのですが、司馬遼太郎氏の小説は、その流れの中で、『余談だが』『先に述べた』『話を元に戻す』『○○は既に述べた』、など出来事が前後したり、ある人物を掘り下げたり、色々な要素が盛り込まれて話に奥行きが出て、話は長いがとても面白くて引き込まれてしまう大学教授の講義を受けている様な印象を受けます。私だけかも知れませんが(笑)。
Posted by ブクログ
ついにニ○三高地を奪う。
もっと早く児玉さんが指揮をとっていれば
失われる命が少なく済んだのに…!と
つい思ってしまう。
戦いが終わる、という情報が耳に入ったとき
日本軍、ロシア軍が互いに抱き合った、
というシーンが一番印象的。
戦争がなければお互いにただの人で
楽しく過ごせるのに
国のために、殺し合う、殺し合わされるって一体
戦争ってなんなんだろう、と思ってしまった。
Posted by ブクログ
大学2年または3年の時、同期から「読んだこともないの?」と言われてくやしくて読んだ。
長くかかったことだけを覚えている。
文庫本は実家にあるか、売却した。
そして2009年のNHKドラマの数年前にまた入手して読んだ。
秋山好古・真之、正岡子規について、初期など部分的に爽快感はあるが、とにかく二百三高地の長く暗い場面の印象が強い。
読むのにとても時間がかかった。
その後3回目を読んだ。
バルチック艦隊の軌跡など勉強になる点はある。なお現職の同僚が、バルチック艦隊を見つけて通報した者の子孫であることを知った。
いずれまた読んでみようと思う。(2021.9.7)
※売却済み