あらすじ
日清戦争から十年──じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避けえない。病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は、戦争の足音を聞きながら。燃えつきるようにして逝った。
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Posted by ブクログ
明治維新を行ったばかりの日本は、その文明の低さから、諸外国からバカにされていた。
ロシアの皇帝などは、日本人を猿と呼び、ロシアの足元にも及ばない小国と見ていた。
ロシアが日本を占領するのは時間の問題と見ていた。
いよいよ、日本とロシアとの戦争回避は避けられなくなってきたこの時期、日本の国民はロシアとの戦争に意気揚々であった。
逆に日本政府はロシアとの戦争を回避するため、英国との軍事同盟を結んだ。
当初、伊藤博文などは英国との軍事同盟などは無理であると思い、ロシアと軍事同盟を結ぼうとしたが失敗した。
開戦前のロシア皇帝は日本の戦意喪失を目論み、自国のの大演習観覧へ日本人を招いた。
この時、招かれたのが、秋山好古だった。
好古はロシアの各軍事拠点をつぶさに見て、ロシアの優位性を認識した。
日本政府には資金が無かった。
陸軍大臣の児玉源太郎は、市中銀行頭取の渋沢栄一を訪ね、資金の拠出を頼んだ。
渋沢は初めのうちは拒否していたが、満州、朝鮮がロシアに侵略されて行くのを見るうちに容易ならざる相手だと思い、資金を出した。
ロシアは満州、朝鮮を支配し、その触手を日本にまで伸ばそうとしている。
政府は日露戦争の決心をし、六部四部で勝ち、戦争終結の仲介を米国にして貰いたかった。
最初に日本がロシアへ戦争を仕掛けた。
ロシアは、まさか日本が戦争を仕掛けてくるとは思っていなかった。
仁川においてロシアの戦艦二隻を沈めた。
ロシア側の死傷者は二百二十三人、日本側は一人の死傷者も出なかった。
ロシアの極東艦隊を打つべく、遼東半島の旅順要塞へ、日本の連合艦隊が向かい本格的な戦争の火ぶたは切られた。
陸戦では、秋山好古率いる騎馬隊が奮戦するが、ロシアの圧倒的物資と人員に苦戦する。
一方、旅順要塞に守られたロシアの艦隊は港口から出てこない。
連合艦隊は機雷を設置し、ロシアの軍艦を沈めるが、同じ手法でロシアの機雷で日本の軍艦も相当数沈められた。
ロシアには旅順艦隊の他にバルチック艦隊もあり、旅順艦隊はバルチック艦隊との合流を待っていた。
日本連合艦隊はいよいよ追い詰められた。
明治維新を終えたばかりの日本が、無謀とも言える、この戦争をいかにして勝利したのか。
次巻では、激しさを増す日露戦争の様子が展開する。
次巻も期待大だ。
Posted by ブクログ
闘病の末に世を去った子規。病床でも生を愉しもうとする姿に胸を打たれる。
そんな中で日本は世論の後押しもあり、大国ロシアとの開戦に突き進む。無口ながら器を感じさせる東郷平八郎の任命は、ロシア側で慕われた老将マカロフともリンクし、序盤の旅順港での睨み合いに迫力を添える。ダメ元の機雷作戦で敵に損失を与えつつも、同じ手でさらに大きな被害を受けるなど、戦争における隙の怖さや運の要素も感じる。
Posted by ブクログ
坂の上の雲、3巻。
以下、ネタバレ。
この巻の序盤で、正岡子規が亡くなった。
子規についての知っていたこと、そのイメージが、この小説によって大きく更新されることになった。
いろんなところへ出掛けて、自分の感覚でこの世界の様々を、見て触れて知って解りたいと思っていたのだろうか。
限られた字数で紡ぐその世界を、写実的であることにこだわったという事実が、夭折した彼を思う時、なんとも切ない。
さてさて、物語は遂に日露戦争開戦へと突入する。
秋山好古は陸軍騎兵のエキスパートに、
弟真之は海軍参謀に。
彼らの活躍はもちろんだが、
今回の巻も周辺の人々についての記述が大変多く、しかも充実している。
小説なら許されるはずのケレンみは本当に少ない。主人公に関わる人々の細かな描写やエピソードを重ねて彼らの人となりを浮き上がらせるような所もあるのだが、その効果以上に、とにかく出てくる人物についての記述がたいへん細かい。こんなにたくさん、よく調べたなぁ…。
だから時々退屈だなと感じる部分も正直あるのだが、海戦の迫力などはその確かな描写でしっかり引き込まれるので、なんだか情緒が忙しかった。
閉塞作戦に携わった広瀬武夫や、
露のマカロフ中将…、
既知の内容の隙間を埋める壮絶な最期だった。
ここから先、陸の戦いが激しさを増してくる日露戦争。
さて、どんなふうに描かれるのだろう…。
続きが楽しみ。