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Posted by ブクログ
瑤子とドラ。ナチスドイツとアメリカへのテロ攻撃そしてアメリカによる空爆。
2つの時代を行き来しながら、そこにいる人物の想いが交わり繋がっていく様子は、単なるアートサスペンスではなく、時空を超えた人々の芸術や表現に対する情熱を感じる物語である。
ゲルニカという絵は教科書などで見て、存在は知っていたが、そこに描かれたものや、描かれた背景については全然知らなかった。
もちろん本書はフィクションであり、全てが真実ではないにせよ、ピカソやドラのようにゲルニカに関わった人たちの思いや情熱を知ることができてよかった。
史実を元にしたフィクションということもあり、読んでいても不思議な感じがあった。
戦争とはどんなものか、家族や愛する者を失う悲しさ、芸術が持つ底知れぬ力強さ、自由さ、だからこそ権力がそれを排除しようとする恐ろしさ、さまざまな感情が頭を巡り、物語の中に入り込んでいくようなそんな面白さがあった。
Posted by ブクログ
読み応えがあり、アートの偉大さに感銘を受けた作品だった。
名画《ゲルニカ》の制作過程に触れることで、ピカソの反戦への強い思いと、芸術が持つ力の大きさを実感させられる。
物語は、ピカソの展覧会を企画する主人公が《ゲルニカ》の展示実現に向けて奔走する現代パートと、ピカソ自身が《ゲルニカ》を描き上げるまでの過去パートが並行して進行する構成となっている。
この二つの時間軸が交差することで、一枚の絵に込められた意味が立体的に浮かび上がる点が秀逸だった。
著者はかつて美術館の学芸員として働いていた経歴を持つだけあり、美術に関する描写は非常に緻密でリアリティがある。
単なる知識の披露にとどまらず、現場感のある描写として物語に深みを与えているのが印象的だった。
一番印象的だったのは、《ゲルニカ》の前でピカソがドイツの武官に「この絵を描いたのは貴様か」と問われ、「いや、作者はあんたたちだ」と返す場面である。
この一言に、戦争への痛烈な批判と芸術の持つ告発力が凝縮されており、本作を象徴する名シーンだと感じた。
Posted by ブクログ
『楽園のカンヴァス』を読み終えた直後、その余韻に浸りながら手に取った一冊。
ピカソを愛し、《ゲルニカ》の魅力に取り憑かれた二人の女性。時代を隔てて描かれるその物語は、どこまでが真実でどこからが虚構なのか分からなくなるほどリアルで、読み進めるほどに引き込まれていきました。
私自身、小学生の頃に親に連れられて大塚国際美術館で《ゲルニカ》の陶板画を見たことがあります。上からは暖色の照明が当てられていたはずなのに、心に強烈に残ったのは物悲しく冷たい感情でした。困惑や恐怖。作中で描かれるゲルニカを前にした人たちの感情は自分の記憶と重なり、強く共感しました。
人生で初めてピカソを意識したのがこの《ゲルニカ》だったため、主人公とは違い私はずっとピカソや彼の作品に苦手意識がありました。美術作品というより、もっと生々しい「何か」に触れてしまったような感覚。その正体がこの物語を読んで少し分かったような気がします。もう一度《ゲルニカ》を見に行きたくなりました。
※ 巻末に池上彰氏の解説がありますが、個人的には彼自身の思想や政治色が感じられました。物語の余韻を大切にしたい方にはおすすめしません。
原田マハ氏や本書そのものに対する講評ではなく、あの解説で締めくくられるのは大変残念です。
Posted by ブクログ
秋に大塚国際美術館に久しぶりに行く予定があり、その前に読んでおきたいと手に取った。実はピカソはあまり好みの画家でなく、どうも、うまく描こうとしているのが透けて見えると思ってしまうと長い間思っていたが、昨年再訪した大原美術館で、ピカソの「頭蓋骨のある静物」という作品に惹かれてピカソをもっと知ってみようと本作に触れた。本作では1937年のゲルニカ空爆〜1945年第二次世界大戦終戦までと、2001年9月11日同時多発テロとの2つの時代がパラレルで流れるように書かれていて、一貫して「暴力、戦争、憎悪」は何も生み出さず、それこそが我々が自由に生きる為に戦うべき対象であるとしている。言葉は剣よりも強しをアートの力、ゲルニカという、反戦の絵の力をと。原田マハさんの筆致で終始涙ながらに読み進めた。これまで、ピカソの絵同様、反戦とか思想の重たいのは、どうも苦手だったけれども、語らんとする事には激しく同意でき、この本のおかげで、気持ちが近づけたなぁと…文庫本末解説を池上彰さんが2018年に書いているが、せめてトランプ大統領には「ゲルニカ」の実物を見てほしいものです。とあるのも一興
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