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「そこにどれほどの幸福があったのか、私たち以外、誰にもわからない。」 時代をさかのぼり紐解かれていく桐子と百合子の姉妹の人生。 戦争孤児だった二人は正反対の道を選ぶこととなり、背中合わせに生きてきた。 辿り着いた先に「幸い」があると信じて――。 最注目の若手作家がおくる、温かな涙があふれる、感動の傑作!
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Posted by ブクログ
御殿のような大きな家の庭に立つ二人の女性が、暖かな春の陽射しの中、満開の桜を見上げている。 これは一瞬で目を奪われた表紙に描かれているイラスト。 二人の女性は香坂桐子と百合子、高齢の姉妹だ。 姉の桐子は元教師らしく厳しさがあり、妹の百合子は柔和でお茶目な雰囲気がある。 この見た目も性格も違う姉...続きを読む妹は、いったいどんな人生を歩んできたのだろう。 二〇二四年の初夏、二人の姉妹がこの御殿で同時に亡くなる場面から物語は始まり、時を遡って姉妹の過去が描かれていく。 戦後という時代背景もあり、辛く厳しい人生ではあるけれど、幸せになることを夢見て… 同じ夢を見ていた桐子と百合子はそれぞれの人生を歩み始めると、いつの間にかスレ違いが生じていく。 ぶつかり合い傷つけ合う事もあれど、根底には互いを思いやる優しさがあると分かる。 他人には理解されなくても、二人はそれぞれの方法で幸せに辿り着いたのではないだろうか。 プロローグがとても良かった。 最後まで読み終えてすぐにここに戻って読み返した文章がある。 *・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。 この家は、私そのものだ。 見てくればかり大きくて、偉そうで、でも中に住んでいるのは老いた女が二人だけ。 それでも他人は知らない。 私たちが、何を積み上げてきたのか。 この大きな家に守られるだけの力を得るために、どれほどの痛みを感じてきたのか。 そしてそこに、どれほどの幸福があったのか。 *・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。 私にも妹がいるが、離れて暮らす月日が長すぎてお互いをよく知らない。というのが正直なところかも。 妹の思う幸せとは何だろう? じゃぁ私は? 百合子のように〝私は私の場所で〟 幸せを見つけるのが良いのかな(•ᵕᴗᵕ•)
全然存じ上げなかった作家さんでしたが、可愛い表紙に惹かれて♡ 地域福祉課に赴任してきた青年の青葉が この人には会っておくといいと紹介されたのは豪邸に住む、老齢の桐子と百合子姉妹だった。 来た事なんかないはずなのに なんとなくこの豪邸に懐かしさを覚える青葉。 そんな出会いの後すぐ、桐子と百合子が2...続きを読む人揃って同じ日に亡くなっているのが見つかった。 え?ミステリー?と思ったけど、そうではなかった。 戦争孤児であった2人の人生を20年毎に 遡って紐解いていく物語。 夢を追いかけて飛び出し、人の幸せのお手伝いばかりして生きてきた姉、決められた道でささやかな幸せを見つけ生きてきた妹。 淡々と穏やかに語られるけど、時代背景もあって決して穏やかではなかった二人の人生。 幸せの形は人それぞれだけど、桜の咲く豪邸で二人で過ごせた僅かな時間は やっと手に入れたかけがえのない幸せだったんだろうな。 ボキャブラリー少ないので 上手く言葉であらわせないのだけど、なんだか胸が熱くなってホロっときてしまった。 とても良かった♡♡
戦争孤児で親戚中を転々とし、ひっそりと力を合わせてきた姉妹。 世話をしてもらった家の障がいのある次男との結婚を促される姉、だがその代わりに妹が結婚することに 姉は身代わりになった妹とその不幸から逃れる為に教師として自立しお金を貯めて理想の家を建てる事を目標とする。 可哀想に思っていた妹は実は夫との生...続きを読む活の中で幸せも見出せるようになると、理想の家の為に走り続ける姉と歪みが… 不遇な子供時代を取り戻す事が目的だった理想の家、と姉妹、その姉妹を取り巻く人々。 それぞれにみんなが幸せになる事を目指し、思いを寄せて、妹の百合子の作るいなり寿司も良い味が出ていると感じた。 姉の桐子、妹の百合子、タイプは違うけれど二人とも好き。好きなお話でした。
2024年、豪邸に住む老姉妹。2人の死から物語は始まる。そこから20年、更に20年、又20年、と時代は遡り、姉妹の歴史が明かされる。幼い頃の数年の記憶や経験はその後の人生にかなりの影響を与えるんだなぁと、自分自身を振り返っても共感するところが多かった。けど、例え苦しい時代を共に過ごした姉妹であっても...続きを読む、人生はそれぞれ。環境や生き方が異なってしまえば、価値観も変化してくる。それでも姉妹それぞれがお互いを大切に思いながら、自分自身の幸せを模索していく。姉妹がお互いを思う気持ち、姉妹だからこそ言えない言葉、気持ち。姉という責任、妹という役割。あぁ、もどかしい。 ご縁のあった親子が絡んで、とても興味深く読みました。じんわり温かな気持ちになれる作品でした。良かった。
読みやすい文体で、全体的に春の季節感が漂う心地よい空気感だった。 自分自身と、人から見た自分と、身内から見た自分では、人格も行動の意味違ってて、それに人は付かないもんだよ、と前編を通してやんわりと断言された感じ。 姉妹の想いは重なっていたのか、すれ違っていたのか。お互いを思いやり、同じ方向へ向か...続きを読むってはいたものの、その背景となる思考は想像できてなくて、でもできていないことも結局わからないままだったんじゃないかな、と、私は受け取った。 作者が絶望を描きたかったのか、希望を残したかったのかわからないけど、状況だけがそこにあって、それをどちらと捉えるかは読者に委ねられている。 読む人によって、視点も理解も違うと思う。 2人姉妹、姉独身、妹既婚子なし、という状況が自分と同じなので、色々思いを馳せるところは多かった。 今、誰かと、どういう理解をしたのか話し合い聞きたい気持ちでいっぱい。
ただ誰かが不当な扱いを受けていることが許せないのかな と言ったお母さんの言葉に納得した。 自分が常に不当な扱いを受けてきたから、たたかってきたから、自分と同じような扱いを受けている人を見ると、我慢ならなかったのかなと思った。 自分を貫き、自分のお城を持った桐子さん。外からではなく、桐子さんの若い時の...続きを読む視点、百合子さんの視点と移り変わりながら語られていく。 複雑な気持ちや、2人の気持ちが、いい感じに絡んでいる。 知的障害者の息子と、お世話している女の子と結婚させようと思う吉沢家にびっくりしたが、これは時代だからか?よくあったことなのかな?話の本質ではないがびっくりした。
豪邸に住む、高齢な姉妹。何不自由ない暮らしをその齢まで続けてきたのかと思いきや。。 姉妹の一生を20年ごとに振り返っています。千絵の章では、姉妹の強さや優しさがよく伝わってきて、なぜここまで皆に慕われているのかが垣間見えます。 その強さや優しさがどんな風に形成されてきたかが、読み進めるにつれわか...続きを読むってきます。恵まれた環境とは言えない中で必死にもがき、どうにか自分なりの信念や幸せを見いだしていく。 姉妹に課された究極の選択には絶句しました。昔だったら、けっこうあり得る話だったんだろうと納得できるくらいなのが、リアルで残酷でした。私だったらどうしたのだろうと考えました。どうにか姉妹に押し付けて、でもその事実に一生苦悶しながら生きるのでしょうか。。
2024年をスタートに、その後20年ずつ3回遡りながら進められる二人の姉妹の物語です。最初に結果が有って、その原因が少しづつ明らかになって行くミステリー的手法。「まだ若い作家さんがこのようなテクニックに頼るのは如何なものか」と思いながら読み進めて居ました。その位、序盤はあまり見るべきところが無い。 ...続きを読むところが終盤、姉妹の心理的葛藤が描かれ始めたところから、グッと締まってきます。自分の為に妹を犠牲にした姉と、意外にもその生活に安逸を見出した妹、という表層から一歩踏み込めば、"妹の為"という隠れ蓑の下で結局は自分の希望を追い求めた姉。そしてさらにその裏には・・・・そんな葛藤が見事に重層的に描かれます。これが普通なら露悪的に成りがちですが、見事に善人の物語として描かれます。 冷たい素振りを見せながら人を幸せにしようと手助けする姉と、厳しい境遇の中でも自分の幸せを見つけてしまえる妹。互いに相容れぬものを持ちながら、最終的には信頼感で繋がったき姉妹の心地良い物語でした。
戦争孤児の姉妹の物語。 厳格な姉と素直な妹。時代が違えば屈託のない人生が送れたであろう二人。でも、苦労の多い人生が幸せではなかった、とは言い難く。厳しい生活ゆえに得られた幸せというものが丁寧に描かれており、じわじわと胸に迫ってくる。現代でもDVに苦しむ女性を描き、時代が変わっても女性を取り巻く困難に...続きを読む目を向けている。しかし、作中の人物に語らせているように、フェミニスト的な視点ではなく、不当な扱いを受けている人がいることが許せない。という根源的な感情から物語が出発している。そして最後にはかっこいい生き様だった、と二人の生き方を肯定しており、読後感もよい。 時間の切り取りも上手く、読み応えのある作品だった。
2人姉妹の人生に寄り添った物語。 桐子さんと百合子さんは、お互い相手のしあわせを願いながらも、きちんと自分の人生を生きていたと思う。 自分が生きている日常は、自分で気づいていないだけで、ちょっとしたしあわせの積み重ねで成り立っているのかもしれない。 青葉くんととこんな繋がりがあったんだと、とても...続きを読む気持ちが暖かくなった。
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