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「そこにどれほどの幸福があったのか、私たち以外、誰にもわからない。」 時代をさかのぼり紐解かれていく桐子と百合子の姉妹の人生。 戦争孤児だった二人は正反対の道を選ぶこととなり、背中合わせに生きてきた。 辿り着いた先に「幸い」があると信じて――。 最注目の若手作家がおくる、温かな涙があふれる、感動の傑作!
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Posted by ブクログ
全然存じ上げなかった作家さんでしたが、可愛い表紙に惹かれて♡ 地域福祉課に赴任してきた青年の青葉が この人には会っておくといいと紹介されたのは豪邸に住む、老齢の桐子と百合子姉妹だった。 来た事なんかないはずなのに なんとなくこの豪邸に懐かしさを覚える青葉。 そんな出会いの後すぐ、桐子と百合子が2...続きを読む人揃って同じ日に亡くなっているのが見つかった。 え?ミステリー?と思ったけど、そうではなかった。 戦争孤児であった2人の人生を20年毎に 遡って紐解いていく物語。 夢を追いかけて飛び出し、人の幸せのお手伝いばかりして生きてきた姉、決められた道でささやかな幸せを見つけ生きてきた妹。 淡々と穏やかに語られるけど、時代背景もあって決して穏やかではなかった二人の人生。 幸せの形は人それぞれだけど、桜の咲く豪邸で二人で過ごせた僅かな時間は やっと手に入れたかけがえのない幸せだったんだろうな。 ボキャブラリー少ないので 上手く言葉であらわせないのだけど、なんだか胸が熱くなってホロっときてしまった。 とても良かった♡♡
戦争孤児で親戚中を転々とし、ひっそりと力を合わせてきた姉妹。 世話をしてもらった家の障がいのある次男との結婚を促される姉、だがその代わりに妹が結婚することに 姉は身代わりになった妹とその不幸から逃れる為に教師として自立しお金を貯めて理想の家を建てる事を目標とする。 可哀想に思っていた妹は実は夫との生...続きを読む活の中で幸せも見出せるようになると、理想の家の為に走り続ける姉と歪みが… 不遇な子供時代を取り戻す事が目的だった理想の家、と姉妹、その姉妹を取り巻く人々。 それぞれにみんなが幸せになる事を目指し、思いを寄せて、妹の百合子の作るいなり寿司も良い味が出ていると感じた。 姉の桐子、妹の百合子、タイプは違うけれど二人とも好き。好きなお話でした。
2024年、豪邸に住む老姉妹。2人の死から物語は始まる。そこから20年、更に20年、又20年、と時代は遡り、姉妹の歴史が明かされる。幼い頃の数年の記憶や経験はその後の人生にかなりの影響を与えるんだなぁと、自分自身を振り返っても共感するところが多かった。けど、例え苦しい時代を共に過ごした姉妹であっても...続きを読む、人生はそれぞれ。環境や生き方が異なってしまえば、価値観も変化してくる。それでも姉妹それぞれがお互いを大切に思いながら、自分自身の幸せを模索していく。姉妹がお互いを思う気持ち、姉妹だからこそ言えない言葉、気持ち。姉という責任、妹という役割。あぁ、もどかしい。 ご縁のあった親子が絡んで、とても興味深く読みました。じんわり温かな気持ちになれる作品でした。良かった。
読みやすい文体で、全体的に春の季節感が漂う心地よい空気感だった。 自分自身と、人から見た自分と、身内から見た自分では、人格も行動の意味違ってて、それに人は付かないもんだよ、と前編を通してやんわりと断言された感じ。 姉妹の想いは重なっていたのか、すれ違っていたのか。お互いを思いやり、同じ方向へ向か...続きを読むってはいたものの、その背景となる思考は想像できてなくて、でもできていないことも結局わからないままだったんじゃないかな、と、私は受け取った。 作者が絶望を描きたかったのか、希望を残したかったのかわからないけど、状況だけがそこにあって、それをどちらと捉えるかは読者に委ねられている。 読む人によって、視点も理解も違うと思う。 2人姉妹、姉独身、妹既婚子なし、という状況が自分と同じなので、色々思いを馳せるところは多かった。 今、誰かと、どういう理解をしたのか話し合い聞きたい気持ちでいっぱい。
ただ誰かが不当な扱いを受けていることが許せないのかな と言ったお母さんの言葉に納得した。 自分が常に不当な扱いを受けてきたから、たたかってきたから、自分と同じような扱いを受けている人を見ると、我慢ならなかったのかなと思った。 自分を貫き、自分のお城を持った桐子さん。外からではなく、桐子さんの若い時の...続きを読む視点、百合子さんの視点と移り変わりながら語られていく。 複雑な気持ちや、2人の気持ちが、いい感じに絡んでいる。 知的障害者の息子と、お世話している女の子と結婚させようと思う吉沢家にびっくりしたが、これは時代だからか?よくあったことなのかな?話の本質ではないがびっくりした。
幸いって何だろう。 こんなに長いあいだ、ひとつの信念に向かって突き進めるものなのか。 最近、遡ってゆく物語に惹き込まれる事が多くて、今回も途中でえっとなり、前に戻ってそうゆう事かと納得。 桐子の強さと精神力、百合子の寛容さに救われた人々。 とても魅力的な姉妹のお話でした。
戦争孤児の姉妹の物語。 厳格な姉と素直な妹。時代が違えば屈託のない人生が送れたであろう二人。でも、苦労の多い人生が幸せではなかった、とは言い難く。厳しい生活ゆえに得られた幸せというものが丁寧に描かれており、じわじわと胸に迫ってくる。現代でもDVに苦しむ女性を描き、時代が変わっても女性を取り巻く困難に...続きを読む目を向けている。しかし、作中の人物に語らせているように、フェミニスト的な視点ではなく、不当な扱いを受けている人がいることが許せない。という根源的な感情から物語が出発している。そして最後にはかっこいい生き様だった。と二人の生き方を肯定しており、読後感もよい。 時間の切り取りも上手く、読み応えのある作品だった。
2人姉妹の人生に寄り添った物語。 桐子さんと百合子さんは、お互い相手のしあわせを願いながらも、きちんと自分の人生を生きていたと思う。 自分が生きている日常は、自分で気づいていないだけで、ちょっとしたしあわせの積み重ねで成り立っているのかもしれない。 青葉くんととこんな繋がりがあったんだと、とても...続きを読む気持ちが暖かくなった。
豪邸で静かに暮らし、同じ時期に亡くなったふたりの高齢女性。 幼い頃は戦争孤児として辛い生活を送った姉妹でもありました。その体験が、姉の幸せを頑なにして、妹は姉の頑なさが枷でもあり励みでもあり。 それぞれの「幸せのかたち」を描く優しい物語です。 さいわい住むと人のいう―空の彼方ではなく、積み重ねて...続きを読むきた日々の足元にこそ幸せはあったのだと、静かに気づきます。
読み終わって なるほどそういう作品構造なのか‥時系列で話が進まなくてもより物語が立体的に構成されていて感心した。確かに人生まっすぐな時の流れで生活してるけれど、頭の中では、あっあの時のはこれか?とかいまさらながらあのことはどういう意味だったのだろうと、時間が過去と現在、未来、行ったりきたりしながら思...続きを読む考しつつ生きている。顔、性格、しぐさ、生活習慣全てに過去と本人が願う未来が錯綜し現れてる。浮遊する時間を楽しめる作品でもあった。
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