【感想・ネタバレ】さいわい住むと人のいうのレビュー

あらすじ

「そこにどれほどの幸福があったのか、私たち以外、誰にもわからない。」 時代をさかのぼり紐解かれていく桐子と百合子の姉妹の人生。 戦争孤児だった二人は正反対の道を選ぶこととなり、背中合わせに生きてきた。 辿り着いた先に「幸い」があると信じて――。 最注目の若手作家がおくる、温かな涙があふれる、感動の傑作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

全然存じ上げなかった作家さんでしたが、可愛い表紙に惹かれて♡

地域福祉課に赴任してきた青年の青葉が この人には会っておくといいと紹介されたのは豪邸に住む、老齢の桐子と百合子姉妹だった。
来た事なんかないはずなのに なんとなくこの豪邸に懐かしさを覚える青葉。
そんな出会いの後すぐ、桐子と百合子が2人揃って同じ日に亡くなっているのが見つかった。

え?ミステリー?と思ったけど、そうではなかった。
戦争孤児であった2人の人生を20年毎に 遡って紐解いていく物語。
夢を追いかけて飛び出し、人の幸せのお手伝いばかりして生きてきた姉、決められた道でささやかな幸せを見つけ生きてきた妹。
淡々と穏やかに語られるけど、時代背景もあって決して穏やかではなかった二人の人生。
幸せの形は人それぞれだけど、桜の咲く豪邸で二人で過ごせた僅かな時間は やっと手に入れたかけがえのない幸せだったんだろうな。

ボキャブラリー少ないので 上手く言葉であらわせないのだけど、なんだか胸が熱くなってホロっときてしまった。
とても良かった♡♡






0
2025年10月15日

Posted by ブクログ

戦争孤児で親戚中を転々とし、ひっそりと力を合わせてきた姉妹。
世話をしてもらった家の障がいのある次男との結婚を促される姉、だがその代わりに妹が結婚することに
姉は身代わりになった妹とその不幸から逃れる為に教師として自立しお金を貯めて理想の家を建てる事を目標とする。
可哀想に思っていた妹は実は夫との生活の中で幸せも見出せるようになると、理想の家の為に走り続ける姉と歪みが…
不遇な子供時代を取り戻す事が目的だった理想の家、と姉妹、その姉妹を取り巻く人々。
それぞれにみんなが幸せになる事を目指し、思いを寄せて、妹の百合子の作るいなり寿司も良い味が出ていると感じた。
姉の桐子、妹の百合子、タイプは違うけれど二人とも好き。好きなお話でした。

0
2025年09月25日

Posted by ブクログ

2024年、豪邸に住む老姉妹。2人の死から物語は始まる。そこから20年、更に20年、又20年、と時代は遡り、姉妹の歴史が明かされる。幼い頃の数年の記憶や経験はその後の人生にかなりの影響を与えるんだなぁと、自分自身を振り返っても共感するところが多かった。けど、例え苦しい時代を共に過ごした姉妹であっても、人生はそれぞれ。環境や生き方が異なってしまえば、価値観も変化してくる。それでも姉妹それぞれがお互いを大切に思いながら、自分自身の幸せを模索していく。姉妹がお互いを思う気持ち、姉妹だからこそ言えない言葉、気持ち。姉という責任、妹という役割。あぁ、もどかしい。
ご縁のあった親子が絡んで、とても興味深く読みました。じんわり温かな気持ちになれる作品でした。良かった。

0
2025年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごいな。ファンシーな表紙、ミステリアスなあらすじから想像した何倍も重たかった。飛行機の中で暇つぶしに読んでたんだけど、もう中盤から数ページに1回涙が出てしまって全然進められなかったし。笑

運命なんてクソ喰らえ、絶対この生き様を変えて高めて反撃してやる、と思い続けた姉/それもまた運命、巡り巡った気持ちと共に生きていくことを選んだ妹、でもどっちにも変わらず愛があり続けたんだと思うだけで胸がいっぱいになった。その糸がまた人を救って、誰かの運命を変えたり助けたりしたことも含めて、素晴らしい人間賛歌だと思った。

飛行機と電車乗り継いで行った旅先の温泉に入ったあと、涼しい風にあたりながら地元のお店に売っていたいなり寿司を片手にこの本が読めたこと、私の走馬灯に出てきてくれたらいいな。

0
2025年05月09日

Posted by ブクログ

読みやすい文体で、全体的に春の季節感が漂う心地よい空気感だった。

自分自身と、人から見た自分と、身内から見た自分では、人格も行動の意味違ってて、それに人は付かないもんだよ、と前編を通してやんわりと断言された感じ。

姉妹の想いは重なっていたのか、すれ違っていたのか。お互いを思いやり、同じ方向へ向かってはいたものの、その背景となる思考は想像できてなくて、でもできていないことも結局わからないままだったんじゃないかな、と、私は受け取った。

作者が絶望を描きたかったのか、希望を残したかったのかわからないけど、状況だけがそこにあって、それをどちらと捉えるかは読者に委ねられている。
読む人によって、視点も理解も違うと思う。

2人姉妹、姉独身、妹既婚子なし、という状況が自分と同じなので、色々思いを馳せるところは多かった。
今、誰かと、どういう理解をしたのか話し合い聞きたい気持ちでいっぱい。

0
2025年05月01日

Posted by ブクログ

ただ誰かが不当な扱いを受けていることが許せないのかな
と言ったお母さんの言葉に納得した。
自分が常に不当な扱いを受けてきたから、たたかってきたから、自分と同じような扱いを受けている人を見ると、我慢ならなかったのかなと思った。
自分を貫き、自分のお城を持った桐子さん。外からではなく、桐子さんの若い時の視点、百合子さんの視点と移り変わりながら語られていく。
複雑な気持ちや、2人の気持ちが、いい感じに絡んでいる。
知的障害者の息子と、お世話している女の子と結婚させようと思う吉沢家にびっくりしたが、これは時代だからか?よくあったことなのかな?話の本質ではないがびっくりした。

0
2025年04月24日

Posted by ブクログ

幸いって何だろう。
こんなに長いあいだ、ひとつの信念に向かって突き進めるものなのか。
最近、遡ってゆく物語に惹き込まれる事が多くて、今回も途中でえっとなり、前に戻ってそうゆう事かと納得。
桐子の強さと精神力、百合子の寛容さに救われた人々。
とても魅力的な姉妹のお話でした。

0
2025年04月16日

Posted by ブクログ

戦争孤児の姉妹の物語。
厳格な姉と素直な妹。時代が違えば屈託のない人生が送れたであろう二人。でも、苦労の多い人生が幸せではなかった、とは言い難く。厳しい生活ゆえに得られた幸せというものが丁寧に描かれており、じわじわと胸に迫ってくる。現代でもDVに苦しむ女性を描き、時代が変わっても女性を取り巻く困難に目を向けている。しかし、作中の人物に語らせているように、フェミニスト的な視点ではなく、不当な扱いを受けている人がいることが許せない。という根源的な感情から物語が出発している。そして最後にはかっこいい生き様だった。と二人の生き方を肯定しており、読後感もよい。
時間の切り取りも上手く、読み応えのある作品だった。

0
2025年11月26日

Posted by ブクログ

2人姉妹の人生に寄り添った物語。

桐子さんと百合子さんは、お互い相手のしあわせを願いながらも、きちんと自分の人生を生きていたと思う。
自分が生きている日常は、自分で気づいていないだけで、ちょっとしたしあわせの積み重ねで成り立っているのかもしれない。

青葉くんととこんな繋がりがあったんだと、とても気持ちが暖かくなった。

0
2025年10月10日

Posted by ブクログ


豪邸で静かに暮らし、同じ時期に亡くなったふたりの高齢女性。
幼い頃は戦争孤児として辛い生活を送った姉妹でもありました。その体験が、姉の幸せを頑なにして、妹は姉の頑なさが枷でもあり励みでもあり。
それぞれの「幸せのかたち」を描く優しい物語です。

さいわい住むと人のいう―空の彼方ではなく、積み重ねてきた日々の足元にこそ幸せはあったのだと、静かに気づきます。

0
2025年09月06日

Posted by ブクログ

読み終わって
なるほどそういう作品構造なのか‥時系列で話が進まなくてもより物語が立体的に構成されていて感心した。確かに人生まっすぐな時の流れで生活してるけれど、頭の中では、あっあの時のはこれか?とかいまさらながらあのことはどういう意味だったのだろうと、時間が過去と現在、未来、行ったりきたりしながら思考しつつ生きている。顔、性格、しぐさ、生活習慣全てに過去と本人が願う未来が錯綜し現れてる。浮遊する時間を楽しめる作品でもあった。

0
2025年08月28日

Posted by ブクログ

初めての作家さんです。

淡々と進んでいく日常の中で
大きなお屋敷に住む二人の女性
桐子さんと百合子さん姉妹の一生のお話です。
二人は
3歳と1歳で戦争孤児になり、
親戚や知り合いの方々の家を転々としながら、いつか二人の家を持とう。それを目標に頑張って日々を生きていました。
その夢を叶える背景には
二人それぞれの人生模様もいろいろあり、いろいろな葛藤がありながらもお互いを思いやり、貫いていく信念があり、
それぞれの形を作っていく。

なんだか、人物像も周りの景色も素敵なお屋敷の様子も、
ドラマや映画のワンシーンを見ているかのような、そんな気持ちに何度もなりながら読んでいました。
私は、戦争は知らずに育ちましたが、
ちょうど私の父や母の時代のお話で、今年は終戦80年ということもあり、
戦争で運命も定めも変わってしまった人々がたくさんいて
でも、生きるために懸命に頑張ったその中の
桐子さんや百合子さんの生き方
素敵だと思いました。

0
2025年08月20日

Posted by ブクログ

幼い頃戦争で両親を失い、親戚の間を転々とした姉妹がいつか一緒に住むことを夢見た終の棲家。

姉は教師となり、妹は世話になった親戚の精神薄弱な息子の妻となり20年間を別々に過ごす。
長女であることを強いられた姉は、妹との約束を果たすべくひたすら働きひたすら蓄財に励む。
一方の妹は障害を抱える夫との生活に小さな幸せを見出す。

妹の夫が死に、還暦を過ぎて姉が建てた夢の一軒家に同居する二人。
全く別の人生を送ってきた二人にとって同居が本当に幸せなのか、との問いは切実だった。
同居した20年間に、姉を頼ってくる人々に妹は姉の教師としての人生を想い、姉を支え日々の家事をこなす妹に姉は主婦としての妹の人生を想う。

運命のいたずらか、必然か、相前後して世を去る二人。

市役所の地域福祉課に勤める青葉祐太郎と母千絵。
人生の岐路に姉妹との大切な邂逅をする母子。
そこには姉妹の人生が凝縮されていた。
母子は言う。
「かっこいい人だよな」「そう、すごく、かっこよかった」
「私は百合子さんも、すごく好きだったなぁ」「こういう人が自分のおばあちゃんだったらいいのになと思ったよ」

0
2025年08月01日

Posted by ブクログ

桐子と百合子の過去を遡っていった先には、戦争孤児として寄り添りあいながら、何軒もの親戚の家を居候して生き続けた姉妹の姿があった。孤児であるが故に意図しない形での結婚を強いられた百合子が夫であり知的障害者の洋次に慈愛の気持ちを持つようになっていく一方、桐子は、勤勉に教職に励み豪邸を建てるまでになるが、気持ちは百合子を背負って戦火を彷徨っていたのかもしれない。戦後復興を果たしていく日本社会の構図の変遷の中、2人の心の変遷も対照的だった。戦後の変遷を生き切った2人は晩年、DVなど今の日本社会下で喘ぐ人達を救う。

0
2025年07月29日

Posted by ブクログ

戦後間もなくからのふたりの姉妹の物語。
大きなお屋敷に住む高齢のふたりの姉妹を市役所の職員の青年が挨拶に訪れたところから物語が始まる。
この姉妹はどうやら二人きりだとはわかるが、なぜそうなったのか、彼女達の人生に何があったのか、登場人物の過去に坂戻って明らかにされていく。
何とも遣り切れない事実が見えてくる。
特に妹百合子の人生は、どう言っていいのかわからない。でも本人は結果として幸せな人生だったと悟る。
そして姉の桐子の人生も壮絶だ。何か楽しいことはあってのだろうか、と心配になってくる。いつも背筋を伸ばして、誰からも後ろ指を差されないように必死で生きてきたように見える。
この姉妹の行き着く先は幸せだったのだろうか。
裏表紙に描かれていたおいなりさんが、この姉妹の幸せの象徴なのかもしれない。
二人の姉妹があの世でも仲良く暮らしていること願って読み終えた。

0
2025年07月26日

Posted by ブクログ

⭐︎4か5迷うところ。
淡々としているので、圧倒的に面白いって感じではないけど、読みやすく情景が浮かびやすいので、登場人物に1番近い場所で見守っているような。

幸せについて考えさせられる。
置かれた場所で自分なりの幸せを見つけることも大事で、他人がどう思うかは関係ないなと思う。
そして、自分がこれだ!って思ったら、すぐ行動できるようにしておきたいな、とも思った。

0
2025年07月10日

Posted by ブクログ

これは良作。「幸せに生きる」ことのなんと困難で、そして易しいことか。自分も、「間違いを許さないのではなく、どうしたら間違いじゃなくなるかを、一緒に考えてくれるような」存在になりたいな。

0
2025年04月27日

Posted by ブクログ

綺麗で可愛らしい装丁からイメージしていた本より、内容は重めだった。
桐子と百合子は姉妹とはいえ、全くタイプの違う二人。私は一見百合子、中身は桐子みたいなタイプ(?)なので、どちらの気持ちもわかるなと思いながら読んだ。
こちらの道を選んでおけば…というアナザーストーリーは、この二人の場合はあまり想像できない。
きちんとそれぞれに合った道を選べていたという気がする。
それを象徴するかのような晩年の豪邸での暮らし。形を変えていくもの、失われたものを思うと少し淋しくもなるけど、姉妹で寄り添いながらの最期は幸せだったといえるんじゃないかな。
読み終えた今、手作りのいなり寿司を食べながらお花見したくなっている。桜は終わってしまったけど。

0
2025年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

桐子と百合子…姉妹の80年を、静かに丁寧に綴った物語
小説とは言え、夫によるDVの描写は読むのが辛かった
その分余計に百合子と洋次の暮らしが愛おしく感じられた
二人共「ハズレ」ではない人生だったと思う

0
2025年04月18日

Posted by ブクログ

p118
*「さっさと忘れてしまいなさい。いつまでもありがたがっていると、不幸な思い出まで忘れられずにくっついてきてしまうから」

0
2025年04月16日

Posted by ブクログ

大きな家に住む香坂姉妹・桐子と百合子。
戦災孤児の二人の夢は自分たちの家を持つこと。
非婚の教師だった桐子、障害者の妻だった百合子。
世間から嘲られるような目を向けられた二人。

昭和という時代を感じた。
読んでいてじわじわ涙が浮かんだ。
強く生きる女性たちに幸いあれ。

0
2025年03月29日

Posted by ブクログ

お城のような大きなおうちに、年老いた老女の姉妹が二人きりで住んでいる。

その、二人の姉妹がなぜそんなおうちに住むことになったのか。
その紐解きと、ある親子の物語がかかれている。
その姉妹と、ある親子。
意外なところで何度か交差しているのが読みながら「えっ?これってもしかして?」って気がつくのも楽しかった!

桐子さん、1回会っただけでゆうちゃんのことわかったのね。
最後は二人は自然に一緒にいけたのね。

それがわかって、本当によかった!!

0
2025年03月25日

Posted by ブクログ

綺麗な表紙で読みたいと思っていたこの本
最初、というか繋がりがあっという間に見えてしまってこれ以降楽しめるかな、と不安もありましたが、時間を遡る内容に少しずつ明らかになっていく事情

みんな、幸せになりたかっただけ
それを願うことは、決して悪いことじゃない
幸せを追い求める中で絶望したり、他の何かを受け入れられなかったりもするかもしれない
そもそもそれが幸せじゃないかもしれない

穏やかな日々が、ただ続いて欲しかった
それだけだったりもする
たくさんの日々がある中で、そのどれもが間違いだった、なんて思いたくはないものですよね

0
2025年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

二人の姉妹の幸せは、たどり着いたそこにはあったのか、それは想像していたものと同じだったのか。
それとも日々の生活の思わぬところで、もうすでに手に入れていたのか。
そしてその事な薄々勘づいていながらも、手に入れた時の景色を見なければ自分に対して収まりがつかなくなっていたのか。
とても深い内容だと思った

0
2025年06月29日

Posted by ブクログ

優しさに囚われて、桐子と百合子は幸福だったのか不幸だったのか。
でも相手を慮ると聞けないのかなあ。
時系列をずらして話は進みますが、最初から話のスジが見えるのがちょっと残念でした。

0
2025年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老婆2人が謎の死?!これはミステリー…かと思ったら違った。
壮大な感動ストーリー…かと思ったら、閉じた円環のなかでこじんまりとまとまる、俗な動機で動いていたり。
一気読みしたけれど、設定のせいか、その結末も含めて私的にはしんどかった。

どこかで既視感を覚えると思ったら、恩田さんの「私の家では何も起こらない」だった。

0
2025年05月21日

Posted by ブクログ

聡明で凛とした印象の桐子さん。
桐子さんの生涯を遡りながら読み進めると、桐子さんにも年齢相応の悩みや弱さを抱えていたことがわかる。桐子さんなりに分からないながらも状況を俯瞰、整理して、目の前のことに真摯に向き合っていた人生の歩みを知ることができる。
様々な人生経験を経て現在の桐子さんがあるということ、初めから聡明だったわけではないということがわかると、私の悩みもちっぽけに思えるし、ライブイベントに付随した悩みさえも楽しみながら生きていこうかなと思った。
もう一度ゆっくり読み直したい。

0
2025年05月12日

Posted by ブクログ

さいわい住むと人のいう
という意味を知らないまま読み終わり、
レビューを書くまでに時間があいてしまい、
レビューを書く直前で意味を調べた。

求めても求めても幸せになれなくて、
でも幸せになるには頑張るしかなくて、
求めるしかなくて、
その矛盾を感じてしまい悲しくなった。

意味を知ってから読むともっと深みのある読書体験ができたのだと、
日々のバタバタのせいに内省できていない自分に反省。


女の人の地位の低さに驚いた。

0
2025年05月10日

Posted by ブクログ

二十年ずつ遡っていく構成が少しずつ二人の人生を紐解いていく感じで良かった。
百合子さんの作ったいなり寿司すごく美味しそうだったから食べてみたいなぁ。

二人の人生六十年分書かれてるから最初の方に出てきた千絵の暴力クソ野郎に腹の底からムカムカしていた気持ちが遠い過去のように思える。
ところで後半にもちらっと千絵っていう進路に悩む女生徒出てくるけど同一人物なんだろうか?
確定要素ない気がして分からないけど。

最後まで読んだあとにもう一度始めの章読みたくなるけどこういう時に読みに戻らない性格なんだよな私。
曖昧なまま記憶の中でだけ答え合わせしたい。

桐子も百合子もお互いのことや取り巻く周囲のことめちゃくちゃ的確に客観視して生きてるのすごいなというのが終盤抱いた感想かなぁ。
最初に考えたことから徐々に方向修正して正解か正解に近そうなとこに持っていくんだよなぁ。
心情読みながら追っている自分はともかく当事者でそれってあんまりできないかもしれない。

0
2025年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある洋館に住む2人の老姉妹と、ある親子の話。
20年毎の過去の話が別の視点から描かれていく。

途中、母親の千恵さんが進路で悩んでいた時に背中を押してくれたのが当時教師だった桐子さんだったり、実は繋がっていたことが分かるシーンが出てきたり、読んでいて楽しかった。

好きでもない、意思疎通が難しいと思われた人と結婚して、望んでいた子供が産めない人生でも、穏やかで幸せな生活だった百合子さんが印象的。

親戚の家を転々としたり肩身の狭い生活や、漸くのんびり暮らせると思ったら、妹が望まない結婚をさせられてしまうなんてことがあったら、二人で夢見た「自分たちの家」に執着してしまう気持ちも分からなくもない。ただその夢のせいですれ違ってしまったという印象も拭えない。

0
2025年04月15日

「小説」ランキング