あらすじ
新たな一歩を踏み出すために。
大切な何かを取り戻すために。
思い出の品、お預かりします。
丘の上にある古いレンガの「別れの博物館」。
さまざまな想いを抱えた人々が、今日も博物館を訪れます。
「別れの博物館」収蔵物リスト
館長の<数>、喫茶店に飾られていた<額>、帽子作家の<針>、手話ボランティアの<耳>、数学教師の<名>、着られることのない<服>……。
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Posted by ブクログ
「別れの博物館」に持ち込まれるのは、誰かの失われたものである。そんな、もの達の声を聴くことができる館長のカケス。もの達が語る元持ち主との思い出にしんみり。季節の移ろいの描写も美しく描かれていて、とても素敵な作品でした。
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人生で決別したい・卒業したい、思いや出来事にまつわる物を受け取ってくれる別れの博物館。とても静かに読める短編集。
私なら何を持っていくかなぁ。。あのハンカチだな
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ものには魂が宿ると聞くし、自分の子どもにもおもちゃは大事にしてあげてねとか言っている。
内容としては予想できる展開があったが、私たちの生活の中に寄り添った展開なのかなと思った。
主人公のように声を聞くことはできない。しかし私たちは生活の中で何かに見守られているし、寄り添ってくれているんだと知ることができた。
このなんだかわからないけど守られている感覚を言語化してくれた作者はすごいと思った。
Posted by ブクログ
ファンタジーのような、童話のような手触りの作品。
特殊な性質の、アクセスが特別いいわけでもない描写もある博物館だけど、それぞれの章にまつわる人物以外も常に入館者がいる描写があるのがなんだか意外。
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失った物を預ける「別れの博物館」に流れる静謐さと、館長であるカケスにしか聴こえない声で語られる数、額、針、耳、名、服など預けられた物たちの話が好みでとてもいい。夕焼けをいつも寂しく感じていたけど、それは重さなのだと教えられた。楽しく過ごした日は名残惜しくて寂しくて、やり残したことがあるような気がしてしまっていたけどきっとそれは人生の終盤でも感じることなのだろう。ディスカリキュリアであるカケスが自分の居場所を見つけられて良かったし、物たちの語れる喜びも伝わってくる。自分が預けるなら何だろうとふと考えてみる。
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独り言とは誰の独り言だろうか…
そう思いながら読み始めると、収蔵品たちが元の持ち主の思い出を語っている。
別れの博物館とはなんて不思議な空間なのだろうか。初めは悲しい場所かと考えてしまった。そこに「収蔵されたもの」と「持ち主だった人」のお別れがあるから別れの博物館というのだろうけれど、持ち主は新たな一歩を踏み出すきっかけにしているように感じ、悲しい場所ではなく温かい場所だなと思いました。
自分がそこに預けるとしたら何を、いつ預けるだろうか。人生をずっと一緒に過ごしているぬいぐるみを、自分がこの世からいなくなる前に預けるかもしれないな、そう思いました。
Posted by ブクログ
思い出の品には魂が宿る。喜びも哀しみも。希望も挫折も。その全てを預かり留めてくれる博物館のお話。
装幀の美しさ。物語に流れる季節の移ろい。
どれもが思い出の品が持っている話を引き立てていると思う
Posted by ブクログ
手放すことにしたものを収蔵する不思議な美術館の話で、主人公は物の声が聞こえる。夢の中の空間とか特別な場所なのかと思いきや、ふつうに観覧できるらしく、一般客も観に来る。
「老い」にまつわる話が多く、もうすぐ40歳の身としては喫茶店の絵の話や帽子作家の針の話は電車の中で思わず涙がこぼれそうになった。
最後全ての話が繋がるのかと期待したがそれはなくちょっと拍子抜けした。没入できる話は良かったが中途半端な話もあったので、私の評価としては星2.5かな…
Posted by ブクログ
丘の上にある博物館は、少し変わったものが展示されている。
それは、役目を終えて必要とされないものや誰かの失われたものたちだが、その人にとっては大切な記憶の欠片である。
みんなから『別れの博物館』と呼ばれるこの博物館で働くカケスは、数字や計算が苦手でディスカリキュアの障害がある。
だが、この博物館に持ち込まれた「物」の声が聞こえる特殊な能力を持っている。
収蔵番号【一】 館長の〈数〉
収蔵番号【二】喫茶店に飾られていた〈額〉
収蔵番号【三】帽子作家の〈針〉
収蔵番号【四】手話ボランティアの〈耳〉
収蔵番号【五】数学教師の〈名〉
もうひとつの収蔵番号ー着られることのない〈服〉
帽子作家の自分の引き際を感じたときや手話ボランティアの人生の終わりに向かう恐怖というのが、とても身近に感じた。(つい最近、職場の同僚が白内障の診断を受けて悩んでいたので…)
次第に衰えていく自分を正面から受け入れることができずに手放すということは、残酷なほどに辛いことだろうと思った。
Posted by ブクログ
博物館に持ち込むと自分のあるべき姿がくっきりと見えてくる。
ただ心が落ちついて、私は大丈夫と確認できる。
自分で自分を認めてあげる。
この博物館はそんな場所のような気がする。
Posted by ブクログ
舞台は過去の思い出と記憶を収蔵する、別れの博物館。館長のカケスはディスカリキュア(算数障害)で、物の声を聞くことができます。
別れの博物館に持ち込まれた「物」たちの語りは、静かに持ち主の人生を語っていました。その語りの間に、文体を変えてカケス自身が博物館に預けた〈数〉についての出来事が綴られていました。
物が語る持ち主の人生と、博物館へ持ち込まれたいきさつは、興味深かったです。同じくらいカケスが計算で苦労したことが綴られていましたが、今は向き合える色々な方法があることを知りました。これが、なかなかおもしろかったです。
「物」を思う気持ちは、きちんとその「物」に伝わっているのかも、と思わせてくれた小説でした。
〈目次〉
・プロローグ
・収蔵番号【一】朝日さす夕日かがやく丘の〈数〉
・収蔵番号【ニ】あけぼのに照らされる〈額〉
・収蔵番号【三】太陽が高くのぼった日の〈針〉
・収蔵番号【四】彼岸花が咲く裏庭に臨む〈耳〉
・収蔵番号【五】冷たい雨の匂いを纏った〈名〉
・もう一つの収蔵番号【一】長い夜を徹して語る〈服〉
・エピローグ
Posted by ブクログ
【あらすじ】
新たな一歩を踏み出すために。
大切な何かを取り戻すために。
思い出の品、お預かりします。
丘の上にある古いレンガの「別れの博物館」。
さまざまな想いを抱えた人々が、今日も博物館を訪れます。
「別れの博物館」収蔵物リスト
館長の<数>、喫茶店に飾られていた<額>、帽子作家の<針>、手話ボランティアの<耳>、数学教師の<名>、着られることのない<服>……。
『彼女は聴力が衰えることで、自分がボランティアをする対象だった障がいのある人たちに近づいているのだ、と理解したのです。そう気づいた時に、自分の心が怖くなったのです。
いままで、彼らの力になりたいと、ともに過ごしてきたのに、心の奥では彼らと自分を隔てて考えていたのだ、と気づいたのです。どこかで彼らをかわいそうな存在だと、弱者だと、自分を上位に置いて優越感に浸っていたのです。』
『子供がいる夫婦がしあわせというわけではない。いないから不幸なはずがない。人の数だけ、家族のしあわせがある。』
【個人的な感想】
淡々と語られる、別れの博物館に持ち込まれた物たちの思い出。すごく静かな物語であまり私には響くところがなかった。
Posted by ブクログ
別れの博物館に預けられた様々な物。形のない物を収蔵する時は館長の判断でそれに携わった物などを預からせてもらう。
ひょんな事で館長として働くことになった発達障害の男性。数を把握することができないが物たちの声が聞こえる。そこで預かった物たちの声を聞いて預かり主と物との関わり、そして男性の過去と今を知る。
物が喜ぶ扱い方をして博物館に預けていいご主人だったと言ってもらいたいなぁ。