あらすじ
新たな一歩を踏み出すために。
大切な何かを取り戻すために。
思い出の品、お預かりします。
丘の上にある古いレンガの「別れの博物館」。
さまざまな想いを抱えた人々が、今日も博物館を訪れます。
「別れの博物館」収蔵物リスト
館長の<数>、喫茶店に飾られていた<額>、帽子作家の<針>、手話ボランティアの<耳>、数学教師の<名>、着られることのない<服>……。
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Posted by ブクログ
役目を終え、いまはもう必要とされないものや、どこかになくしたもの、こわれた破片―誰かの"失われたものたち"が並ぶ『別れの博物館』。日の出から日没まで開館している、この博物館の館長を務めるのはディスレクシアをもつ"カケス"という青年。数が苦手なカケスだが、物の声を聴くことのできる才能があった。
館長となる前のカケスが預けた"数"(を象徴とする計算ドリル)や、喫茶店でアルバイトしていた女性が預けた"額に入った絵"、帽子職人をしていた女性の愛用の"針"、手話通訳ボランティアをしていた主婦の"石膏の耳"、高校教師の"名札"など、預けられた物たちが語る預けた人の過去のエピソードにカケスは耳を傾ける。
連作短編集となっていて、面白かった。続きも読みたくなる。
Posted by ブクログ
「別れの博物館」に持ち込まれるのは、誰かの失われたものである。そんな、もの達の声を聴くことができる館長のカケス。もの達が語る元持ち主との思い出にしんみり。季節の移ろいの描写も美しく描かれていて、とても素敵な作品でした。
Posted by ブクログ
静かであたたかい物語。
舞台は、丘の上にある「別れの博物館」。役目を終えた物、手放したい物、失くした物‥様々な物が持ち込まれ、説明文と共に展示されている。
元の持ち主が、もう大丈夫だと納得すると、その物はいつの間にか消えるという。
館長のカケスは、ディスカリキュリア‥算数障害というハンデを背負っている。数を手放したいと考え博物館を訪れて、前館長にスカウトされた。
カケスの元に持ち込まれるのは、美術学校出身の女性が描いた絵を縁取る額縁、引退を決めた帽子作家の針、手話ボランティアをしていた女性の耳の石膏、教師の名札、着られることのなかったベビー服‥。「物の声が聞こえる」カケスは、物たちから、持ち主の物語を聞く。持ち主を、誇らし気に語る物たちが印象的だ。みんな、大切にされてきたんだなとわかる。
エピローグで、手放したい物を持ち込んだ人たちのその後がさらっと描かれている。みな確かな一歩を踏み出していて、良かった。
そして、カケスが手放したい「数」の代わりに収められていた算数ドリルが、ある日消える。
このラスト、余韻があっていいなー。
あと、装丁もすてき。やっぱり紙の本ていいよね。
Posted by ブクログ
全体を通して、非常に温かい気持ちにさせられる物語が多い。
一方で、子供がいない夫婦のエピソードについては、現代社会で抱える「生きづらさ」のようなものがリアルに描かれており、胸に迫るものがあった。
レストランに飾られた絵画を巡る話や、手話を通じたコミュニケーションの話など、それぞれが独立しつつも深い。何より、エピローグでそれぞれの「後日談」が語られる構成が素晴らしい。登場人物たちが前を向いて歩き出している姿を確認でき、読後感は非常に爽やかで前向きになれる一冊だった。
Posted by ブクログ
物の声が聞こえるなんて
かなりのファンタジーものだと思っていましたが、内容はすごく身近な出来事で描かれているので、物語の世界に置いていかれることなく、読み進められました。
景色を表現するのに、色々な色が散りばめられているなぁという印象。
〈額〉の章にでてくる
グラナダはスパイス島ともいうらしい。
千百二番のナポリタン、、なるほど。
Posted by ブクログ
アンソロジーの中の作品を読んだことがあったようですが、初読の作家さんと言っても良いでしょう。素敵なお話でした。ちょっと小川洋子さんを彷彿とさせるような…。こういう静けさが漂うようなお話大好きです。この作者さんの本を探して読んでみようと思いました。みんな悩んで失ってそれぞれの人生を生きていて。疲れている自分が少し励まされた気がします。
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誰もが「モノ」や「コト」に大切な想いがある。
短編寄りの話でとても心地よく読むことができた小説でした。
タイトル通りで「独り言の多い博物館」の内容で、「モノ」や「コト」が一緒に寄り添った人との思い出話を語る不思議な小説です。
でも、内容が優しく心が清めらそうな内容でした。
個人的にはすべて好きですが、やはり「【二】あけぼのに照らされる(額)」が好きでした。
誰もが必ず別れたい「モノ」や「コト」があると思います。
僕は何がそれなのか探す必要がありそうです。
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人生で決別したい・卒業したい、思いや出来事にまつわる物を受け取ってくれる別れの博物館。とても静かに読める短編集。
私なら何を持っていくかなぁ。。あのハンカチだな
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ものには魂が宿ると聞くし、自分の子どもにもおもちゃは大事にしてあげてねとか言っている。
内容としては予想できる展開があったが、私たちの生活の中に寄り添った展開なのかなと思った。
主人公のように声を聞くことはできない。しかし私たちは生活の中で何かに見守られているし、寄り添ってくれているんだと知ることができた。
このなんだかわからないけど守られている感覚を言語化してくれた作者はすごいと思った。
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ファンタジーのような、童話のような手触りの作品。
特殊な性質の、アクセスが特別いいわけでもない描写もある博物館だけど、それぞれの章にまつわる人物以外も常に入館者がいる描写があるのがなんだか意外。
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失った物を預ける「別れの博物館」に流れる静謐さと、館長であるカケスにしか聴こえない声で語られる数、額、針、耳、名、服など預けられた物たちの話が好みでとてもいい。夕焼けをいつも寂しく感じていたけど、それは重さなのだと教えられた。楽しく過ごした日は名残惜しくて寂しくて、やり残したことがあるような気がしてしまっていたけどきっとそれは人生の終盤でも感じることなのだろう。ディスカリキュリアであるカケスが自分の居場所を見つけられて良かったし、物たちの語れる喜びも伝わってくる。自分が預けるなら何だろうとふと考えてみる。
Posted by ブクログ
カケスという名の(数字が苦手な)館長が、モノの声を聞きながら過ごす『別れの博物館』。
そこに持ち込まれる品と、別れのストーリーが綴られている。
〈額〉のお話は、読んでいて色々思い出した。
かつて、自分を大切にしてくれていた人が老いて、人柄が変わってしまうこと。
思い出はずっと変わらないはずなのに、「今」の違和感や不快感によって陰を落としてしまう。
だから、大切な品ではあるけれど、手元には置いておけず。かといって、無下な扱いも出来ないモノ。
この『博物館』に持ち込む人の気持ちが、ほんの少し分かるような気がした。
〈名〉のお話にも、同じ思いがあって。
名前が変わること、名前に拘ること。
そこまで意識をしていなかったことに、ふと、気付かされることがある。
自分は一体、何なんだろう。
それは変わってみないと、体験してみないと、分からない気持ちのような気がする。
Posted by ブクログ
独り言とは誰の独り言だろうか…
そう思いながら読み始めると、収蔵品たちが元の持ち主の思い出を語っている。
別れの博物館とはなんて不思議な空間なのだろうか。初めは悲しい場所かと考えてしまった。そこに「収蔵されたもの」と「持ち主だった人」のお別れがあるから別れの博物館というのだろうけれど、持ち主は新たな一歩を踏み出すきっかけにしているように感じ、悲しい場所ではなく温かい場所だなと思いました。
自分がそこに預けるとしたら何を、いつ預けるだろうか。人生をずっと一緒に過ごしているぬいぐるみを、自分がこの世からいなくなる前に預けるかもしれないな、そう思いました。
Posted by ブクログ
思い出の品には魂が宿る。喜びも哀しみも。希望も挫折も。その全てを預かり留めてくれる博物館のお話。
装幀の美しさ。物語に流れる季節の移ろい。
どれもが思い出の品が持っている話を引き立てていると思う
Posted by ブクログ
『誰かの失われたものたち』が持ち込まれる『別れの博物館』。
館長の青年、カケスは算数障害だが、収蔵品の声を聞くことが出来る。
日が出ている間だけ開館する博物館で、様々な収蔵品が語るエピソードを聞く連作集。
収蔵品が『失われたもの』そのものではなく、象徴する物でも良い…例えばカケスの場合なら数字の代わりに算数ドリルの束だったり、耳を預けに来た女性は耳を象った石膏だったりという点だったり、全体的に静かで穏やかな雰囲気だったりというのは、小川洋子さんのテイストを思わせる。
それぞれの物語は穏やかな中にドキッとするようなエピソードが混ざり、それを手放すに至る人々の気持ちもそれぞれで、だがそれをただ静かに聞いているカケスの穏やかさと優しさが良かった。そこも小川洋子さんのテイストを思わせる。
エピローグのその後には希望もあり、ホッとした。
また算数の解き方も国によって違うのが興味深かった。
様々な解き方を知ったら、数学も少しは好きになれただろうか。
Posted by ブクログ
手放すことにしたものを収蔵する不思議な美術館の話で、主人公は物の声が聞こえる。夢の中の空間とか特別な場所なのかと思いきや、ふつうに観覧できるらしく、一般客も観に来る。
「老い」にまつわる話が多く、もうすぐ40歳の身としては喫茶店の絵の話や帽子作家の針の話は電車の中で思わず涙がこぼれそうになった。
最後全ての話が繋がるのかと期待したがそれはなくちょっと拍子抜けした。没入できる話は良かったが中途半端な話もあったので、私の評価としては星2.5かな…
Posted by ブクログ
丘の上にある博物館は、少し変わったものが展示されている。
それは、役目を終えて必要とされないものや誰かの失われたものたちだが、その人にとっては大切な記憶の欠片である。
みんなから『別れの博物館』と呼ばれるこの博物館で働くカケスは、数字や計算が苦手でディスカリキュアの障害がある。
だが、この博物館に持ち込まれた「物」の声が聞こえる特殊な能力を持っている。
収蔵番号【一】 館長の〈数〉
収蔵番号【二】喫茶店に飾られていた〈額〉
収蔵番号【三】帽子作家の〈針〉
収蔵番号【四】手話ボランティアの〈耳〉
収蔵番号【五】数学教師の〈名〉
もうひとつの収蔵番号ー着られることのない〈服〉
帽子作家の自分の引き際を感じたときや手話ボランティアの人生の終わりに向かう恐怖というのが、とても身近に感じた。(つい最近、職場の同僚が白内障の診断を受けて悩んでいたので…)
次第に衰えていく自分を正面から受け入れることができずに手放すということは、残酷なほどに辛いことだろうと思った。
Posted by ブクログ
博物館に持ち込むと自分のあるべき姿がくっきりと見えてくる。
ただ心が落ちついて、私は大丈夫と確認できる。
自分で自分を認めてあげる。
この博物館はそんな場所のような気がする。
Posted by ブクログ
丘の上にある古いレンガの「別れの博物館」。
さまざまな想いを抱えた人々が、今日も博物館を
訪れます。新たな一歩を踏み出すために。大切な
何かを取り戻すために。思い出の品、お預かりします…。
Posted by ブクログ
舞台は過去の思い出と記憶を収蔵する、別れの博物館。館長のカケスはディスカリキュア(算数障害)で、物の声を聞くことができます。
別れの博物館に持ち込まれた「物」たちの語りは、静かに持ち主の人生を語っていました。その語りの間に、文体を変えてカケス自身が博物館に預けた〈数〉についての出来事が綴られていました。
物が語る持ち主の人生と、博物館へ持ち込まれたいきさつは、興味深かったです。同じくらいカケスが計算で苦労したことが綴られていましたが、今は向き合える色々な方法があることを知りました。これが、なかなかおもしろかったです。
「物」を思う気持ちは、きちんとその「物」に伝わっているのかも、と思わせてくれた小説でした。
〈目次〉
・プロローグ
・収蔵番号【一】朝日さす夕日かがやく丘の〈数〉
・収蔵番号【ニ】あけぼのに照らされる〈額〉
・収蔵番号【三】太陽が高くのぼった日の〈針〉
・収蔵番号【四】彼岸花が咲く裏庭に臨む〈耳〉
・収蔵番号【五】冷たい雨の匂いを纏った〈名〉
・もう一つの収蔵番号【一】長い夜を徹して語る〈服〉
・エピローグ
Posted by ブクログ
【あらすじ】
新たな一歩を踏み出すために。
大切な何かを取り戻すために。
思い出の品、お預かりします。
丘の上にある古いレンガの「別れの博物館」。
さまざまな想いを抱えた人々が、今日も博物館を訪れます。
「別れの博物館」収蔵物リスト
館長の<数>、喫茶店に飾られていた<額>、帽子作家の<針>、手話ボランティアの<耳>、数学教師の<名>、着られることのない<服>……。
『彼女は聴力が衰えることで、自分がボランティアをする対象だった障がいのある人たちに近づいているのだ、と理解したのです。そう気づいた時に、自分の心が怖くなったのです。
いままで、彼らの力になりたいと、ともに過ごしてきたのに、心の奥では彼らと自分を隔てて考えていたのだ、と気づいたのです。どこかで彼らをかわいそうな存在だと、弱者だと、自分を上位に置いて優越感に浸っていたのです。』
『子供がいる夫婦がしあわせというわけではない。いないから不幸なはずがない。人の数だけ、家族のしあわせがある。』
【個人的な感想】
淡々と語られる、別れの博物館に持ち込まれた物たちの思い出。すごく静かな物語であまり私には響くところがなかった。
Posted by ブクログ
別れの博物館に預けられた様々な物。形のない物を収蔵する時は館長の判断でそれに携わった物などを預からせてもらう。
ひょんな事で館長として働くことになった発達障害の男性。数を把握することができないが物たちの声が聞こえる。そこで預かった物たちの声を聞いて預かり主と物との関わり、そして男性の過去と今を知る。
物が喜ぶ扱い方をして博物館に預けていいご主人だったと言ってもらいたいなぁ。