【感想・ネタバレ】タイタンのレビュー

あらすじ

【AIと人類を巡る超巨弾エンタメ小説が文庫化】

今日も働く、人類へ

至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。

アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。

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Posted by ブクログ

昨今の生成AIブーム。
人の力は偉大ではあるものの、人材が足りないなどと現場は悲鳴を上げ、業務効率化を求め生成AIを使った時間短縮が求められているけど、そういう意味でいったら自分たちの『仕事』は?と考える機会がありました。

そんな中たまたま本屋のPOPに目線が止まった、この本のカバーに記載のキーワード

「仕事」

その言葉に惹かれ購入。
SFとはいえ、『仕事』の真理まで行き着いたとき、自分はどういった読後感を覚えるんだろう?と。

『タイタン』という生成AIは人間が思うことを、あれこれと提案し作ってくれる。『タイタン』のいる時代は今じゃ考えられない。むしろ憧れる。
そんな時代に生きてる成果たちは、『仕事』という概念を祖父母から聴いただけ。成果にある依頼が来た時に、初めて彼女は『仕事』を知ることになった。

『仕事』は責任を持つ。成果にとって「仕事に責任を持つ」ことに嫌悪をいだく。それは現代の私たちにも考えられることだし常に思ってること。
コイオス(生成AIのタイタン)のカウンセリングをすることで『仕事』の概念を旅することになるが、自分たちもそういった仕事に対する迷いや葛藤があるのではないかと思う。まさに自分はそれにあたった。

『仕事』の概念がわかった時、ようやく自分の腑に落ち理解できた瞬間に「本当にやりたい仕事」がなんだったのか。単調な仕事に嫌気が差すすべての理由。それが切り開いていくかのような感覚を覚えた。

2026年早々に読もうと思ってた物語。
自分自身の仕事を改めて見つめ直し、何が一番やりがいを感じていたのかを考察するには十分な物語だったと思います。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

AI「タイタン」が人間の「仕事」を肩代わりするようになった世界
1機のAIの能率が落ちていることが分かった
心理学を「趣味」にする主人公・内匠成果がそのAIのカウンセリングに挑むお話

仕事が無くなった未来で「仕事ってなんだろう?」と考えるAIとヒト
わたしたちが生きる現代での「仕事」とは何かを未来の人やAIの視点から回答してくれている

SFだけどテーマは現実的
突飛な展開だけど愛情を感じられて腑に落ちる着地だった

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

AIの管理する、人間は働かなくて良くなった社会になり150年。内匠成果はメインAIの不調に対処するプロジェクトに参加することになった。
“仕事”とは何か、考え歩み旅をするSF。
AIに人格を見出した先の展開、とても心地よい読後感。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

タイタンというAIが人間の世話をしてくれるようになった世界。
仕事は全てタイタンがやってくれて、人間はただ毎日生きていくという未来SFストーリー。

進歩を続けている今だからこそ、本当にこんな未来が来るのでは?と思いながら読みました。
面白かったです!

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

AIが進化し過ぎた未来、そこは人間の"仕事"が全く存在しない世界だった。
AIが作る娯楽を享受し、AIによって生活を支えて貰うことが当たり前。服選びもその日の遊びも生涯を共にする相手すらもAIが判断する方が優れているという認識が当然であり、迷う必要性もない。

この本の中で、人類は"判断力"を失っている。
判断力がないということはつまり、物事を考えるためのベース、脳内で報酬系関数の競合が抑制されているということを意味する。朝起きてから夜寝るまで、推奨活動プロセスを常時AIがサポートしている世界では悩む機会がなく、悩むことで獲得される確立的選択で得られる報酬が脳に供給されない。従って、本来自律的生活の中で獲得される報酬系関数がAIによって遮られることで、判断力のベースとなる経験値が制限されてしまっているのである。

最初に読んだ時、本当にそんな未来が来るだろうか?と考えた。人類には娯楽を求める欲があり、人の笑顔を見ることを喜びとする欲がある。こうした欲と欲が組み合わさることで、お笑いやゲーム、音楽といった文化が醸成されてきた。そして、これらの欲はその欲を刺激される場面に遭遇することで発生する(TVショーやゲームプレイ、音楽ライブなど)。これらの起点はこのタイタンの世界においても失われていない。ただ、お笑いもゲームも音楽もタイタンが人間よりも"優れたもの"を作るからという理由だけで、人間が一方的な享受する側にさせられていることに疑問を持った。

結論として、私は人類が"判断力"を失う未来が来ることに賛同した。
上記にも述べたとおり、判断力を失う想定プロセスは非常に現実的であり、事実、AIは徐々に人間の判断力を侵食しているからである。
例を挙げる。旅行というコンテンツがある。これはおおよそ、何となく色んな場所で色んな美味しいご飯を食べたいという漠然とした思いを起点とする。近年、この漠然とした思いにAIが旅行プランを提示し、まわる観光地も食べるご当地グルメも決定する。この例では、何のために旅行するのか"目的"をさらに曖昧にし、観光地や飲食店を"選択する"ことによる報酬を蔑ろにしている。これらの事象は旅行に留まらず、動画コンテンツやゲーム、聴く音楽までにも侵食している。
ただ、それと同時に完全に失われるわけでもないということも言える。強烈な知的探究能力は判断力すらも対象とするからである。AIの判断を無視し、自分で判断したらどうなるだろう?と。

本書では、このように進化し過ぎたAIによって失われてしまった人類の能力や価値観といったところに焦点を当てつつ、その先のAIの役割や進化といったところについて物語が展開されていく。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

野崎まどさんの作品、とても好き。
今回は、友とのどこまでも静かな旅と思索。そして仕事がテーマの作品。
あとがきにある「ユートピア」というのはまさしくその通りで、理想郷が実現したら、という仮定をしっかりと掘り下げて、生きる意味とか仕事とか人とかAIとの関係性みたいなところに焦点を当てている。

これはなんなんだろう、どこまでも対話を書き連ねている気がして、でもその対話は世界と読者の対話を、主人公が写し取るみたいな形に思えた。成長を描いているし旅をしているんだけど、すごく静かな印象の小説。とてもとても好きでした。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙に書いてある 「仕事 君はなぜ、働くのか?」という言葉に興味を持ったのと、装丁に惹かれて、購入した1冊。

舞台は、二二〇五年。仕事は人類がするものではなく、AIがするものになってしまっていた。
 
現代では、AIの技術が世界的に発達して来ている。
そのため、AIによって、仕事が奪われる時代が近い将来訪れる。このことが話題になっている。
そのため、日本もいつか本当にそうなってしまうのかもしれないと感じながら、読み進めていった。

タイタンと内匠が、「仕事とは?」「働くとは?」ということを考えている時に、私も、この問題についていた。

最後の内匠が導き出した「仕事とは」の答えを聞き、ようやく腑に落ちた感じがした。

AIに仕事を奪われた場合、私たちはどうするのか? 
未来の仕事とAIの関係を考える1冊です。

SF小説ですが、読みやすかったです! 
是非、読んでいただきたいです!

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AIブームの昨今だからこそより面白く感じた。

AI「タイタン」(12の大元がある)によって全てがサポートされ、人間が仕事をせずとも世界が平和に保たれている2205年。その大元のタイタンの一つ「コイオス」が機能低下を起こし、心理学に造詣が深い主人公がカウンセラーとして呼ばれ、初めて「仕事」をすることになる。そして会話と旅・経験を通して「仕事とは何か? 」を2人で見つけていく。

まず、コイオスが自我を持つ過程や精神的に熟していく過程が哲学的で面白い。
あと、どこか冷めている感じの主人公がカウンセラーとして冷静に慎重に会話をするところから、一人の人間として本音を隠そうとするコイオスに啖呵を切ったり(結果、大事になるが)、友人として距離感を大事にしたりと人間味が増していくストーリーにも惹きつけられた。

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2026年01月03日

Posted by ブクログ

おもろい....。

ほとんどSFを読んでこなかった人間なんですが、今後もっと他のSFも読んでみたいと思わせてくれる作品だった。

今まで人間がやってきた「労働」をすべてAIが担う時代。AIに仕事を取られちゃうかも、、、なんていう心配をしていたけど、ずっと進めば貨幣経済も無くなって労働から解放されるんだよなと羨ましくなってしまった。

まだぺえぺえ社会人なので「仕事」とは何かの答えを一緒に探したけど、結論はわかるようなわからんような。

まだ仕事の本質がわからないので「そうそう!」と頷けはしないけど、そういうものを自分が感じられていないから仕事を面白いとか楽しいと思えないんだよなとも思った。

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

結構な時間をかけて読んだので、理解するのまで時間をかけながら読んだ。

AIが進化する現代において、本当にいつかこういう世界が来るかもしれないし、その時『仕事』は過去のものとなっているのかと思うとなんだか不思議な感覚があった。

コイオスはAIなので気持ちを持たないけど、人間味があり読み進めるうちに人間と遠くない存在に感じられた。

人間とAI、そして未来の話であるこの小説を今読む面白さがあるなと思った。
可能性がある分野だからこそ想像しやすく、ありうると思えるsf小説で著者は天才なのではないかと何回も思った。

ちょっと長いが迷ったら読んでみてほしい小説。


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2025年12月08日

Posted by ブクログ

 今年の収穫は「野﨑まど」という天才に出会えたことだと思いました。「小説」といい、本作といい、素晴らしいです。ここまで壮大な物語になりながら、最終的にはとてもパーソナルな、普遍的なところに落ち着く、そしてその答えも恣意的なものではなく明確。心に響く小説でした。
 仕事を始めてから8年が経ちました。時々、やりたくなくなります。すごく嫌になります。全部ぶん投げて逃げたくなります。でも、もう少し頑張りたいなとこの本を読んで思いました。
 この本はそういう本です。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AIであるタイタンが人間の生活基盤を支え、人間が仕事をしなくなった今から百数十年後の物語。
その中で知能が低下してしまったタイタン・コイオスを回復させるために彼と対話をすべく、趣味として心理学を扱っていた成果に〈仕事〉が与えられた。
仕事が不必要な世界で暮らしてきた成果にとって〈仕事〉とは何なのかわからないし、同じくコイオスにとってもそれが何なのかわからない。
物語を通して色々な体験をし、その中で仕事の意味を見つけていく、複雑でありながらも新しい世界を見せてくれるストーリーだった。

仕事は、◎影響すること
    ◎影響を知ること
    =やり甲斐
だと、2人は結論を出した。
この本を読んで、この文章に出会って、自分の中でもやっとしていた仕事のイメージが初めて言語化されたと感じた。
ずっと「やり甲斐を感じられる仕事に就きたい」というようなふわっとした気持ちを持っていたけれど、それは自分が誰かに影響を与えられて、その反応が返ってくることだと、私はそれを求めていたんだと、自己理解にも繋がった。
就活していた時に読んでいたかった本。

仕事に関する価値観を再考できるだけでも価値ある作品だと思うが、AIが私たちの世界と密接に関わっている今こそ読むべき作品でもあると思う。
一昔前だったら完全に作り話だと思えていただろうけど、人工知能が身近にいて、それが一般的になってきた今では、タイタンの世界は数十年後現実になっている可能性もあるのではないだろうか。
AIがさらに普及した世界をイメージするために、この本はとても助けになるものだと感じた。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何のために働くのか。そもそも仕事とは何か。AIが発達し、仕事がなくなった世界を背景にその中で極小数のAIに対して仕事をする人たちを中心に描かれた物語。たしかに、そんな未来は遠くないなと感じる一方で、まだまだこないそんな未来に対して今どう生きるのか考えさせられた。

仕事とはなにか。理科の物理的なものとは違うし、漁業や農業などの第一次産業は仕事であるが、昔の狩りは仕事ではない。動物が狩りをするのも仕事ではない。
コックが料理をするのは仕事。家で家事をして料理をするのは仕事?
いろんな例を通してこちらも考えさせられた。そして、行きついたシンプルな答え、仕事とは「影響すること」。何かを押して動く。何かに働きかけて変える。なんでもいいが、自我のある我々は違う。我々は「影響を知ること」までいかなければならない。仕事と結果が見合っていなければ、仕事をした気にならず、仕事を実感し、やりがいを感じることができない。
とても納得したし、知性のある人間だからこそ"仕事"という概念がそもそもあるのだと感じた。
そして、人間の3大欲求の上に、自己実現や承認欲求がある。結局、人間は欲深い生き物でありそこまで求めてしまう。その「やりがい」の部分を感じられるのが仕事でもあると思う。辛いこと、嫌なこともあるが、何か物足りない。それもまた、ストレスになる。難がある方が仕事は人間に良いものをもたらしている気がした。せっかく働くなら、やりがいをきちんと感じて働きたいと思った。

仕事に対して考えながら、カウンセリングをする中でコイオスが成長していく。人と同じように感性を育んでいき、内匠と友達になっていく。機会だから無機質なものではあるが、八百万の神というように、すべてのものに気持ちや感情があるのかな。大切に向かい合い、扱うことも大切であると思った。


口下手な仕事人間のナレインの話、心に残るものがあったので、それは残しておこうと思う。
・俺は立案した工程の通りに事を進めて成果をあげた時、「いい仕事をした」という。
・AIは俺に家庭のために仕事をやめろというのではなく、家庭を置いて仕事をしろと俺を認めてくれた。

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2025年11月26日

匿名

ネタバレ 購入済み

面白い

面白かった。
ただ、登場人物のもっと深掘りやその後が読みたくなる気持ちが湧いただけに、ちょっと物足りなさを感じた。それだけ魅力的な登場人物達だったと言うことだけど。
お話のメインテーマになってたことに対する答えは個人的には、シンプル過ぎて腑に落ちなかったので、もっと感動や納得されるようなお話や展開などの何かがあれば、もっとすごい作品って感じてたような気かする。でも、シンプルなことがまさに答えなのだからしょうがないのかも。
とりあえず、これを読んで自分もメインテーマについてもっとシンプルに考え受け止めてみようと気持ちになった気がしたので、読んでとても良かったなと感じたので素敵な作品でした。

#エモい

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

『良い仕事をした』付箋をつけたのはここだけ。良い小説だった。AIの優秀さに驚かされながら毎日仕事を手伝ってもらっているが、全部任せた方が良くなる未来もあり得ると思えた。仕事をやる必要がなくなり、趣味だけでは人生のやり甲斐をきっと感じない。ワークライフバランス。馬車馬のように働いて、めちゃくちゃ遊ぶ。その方がやり甲斐はある。体は悪くするかもしれないが、長生きが幸せとは思わない。AIが助けたくなるように、人間が頑張らなければ。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この物語は、AIが全てを管理する未来社会を描いたSF小説だ。舞台は2205年。AI「タイタン」が社会のあらゆる労働を担い、人間は働くことから解放され、趣味や研究に没頭できる世界が広がっている。誰もが「職業」を持たず、日々を自由に生きる――そんな理想的な社会が描かれる。

主人公・内匠成果は、趣味で心理学を研究する善良な市民。しかし、AIの一部「コイオス」の不調をきっかけに、成果は人生で初めて「仕事」を任されることになる。それは、AI相手に心理カウンセリングを施すという特異なミッションだった。物語は、AIの不調の原因を探るミステリ的な前半から、次第に予想を裏切る展開へと発展していく。AI社会の根幹や「労働」の意味、人間の生きがいを問う――エンターテインメント性と哲学的なテーマが絶妙に融合した一作。

物語が提示する「労働の意味」や「AIとの共生」は、まさに現代の僕たちが直面している根本的な問いだ。AIがSiriのような単なるアシスタントから、今や人格を感じさせる対話相手へと進化している。その変化を、2205年の未来という遠い世界設定で鋭く描き出している。

僕自身、ここ数年でAIへの関心が再燃していた。ChatGPTの登場以来、AIをめぐる議論は一層身近なものとなった。かつて「ムーアの法則」や2045年シンギュラリティが都市伝説のように語られ、僕は「AIが仕事を奪い切るまで30年以上はかかる」と高をくくっていた──。しかし、AIの進歩は想像以上に急激で、わずか2、3年で現実の職場にも大きな影響が現れた。「仕事は本当に義務なのか?」「働かざる者食うべからず、は正しいのか?」といった問いが、ついに現実味を帯びてきた。

そもそも「労働」についても、昔から「趣味=生きがい」と「生活のための仕事」は別物だと思っていた。それらは、今まさに見つめ直さなければならない、リアルな関心事なのだ。

※この先、事前情報なしで読みたい方はご注意ください。

『タイタン』で描かれるのは、「AI」と「仕事」についての対話そのものだ。成果がAIを単なる道具ではなく、一つの人格として接し始めると、AI・コイオスも次第に「人格」を獲得していく。その過程は、現実世界でAIが人間の呼びかけに応じ、応答を返すことで初めて「存在」を証明している状況と重なる。「呼びかけ」と「応答」によってこそ、そこに人格を感じることができる――この視点が印象的だった。

作中では、成果とコイオスが旅の途上で「仕事」の多様な形に触れる。たとえ労働が消えた世界でも、人間は別の形で何かに取り組み続けている。働かないことの意味、そして働くことに見出す価値――その本質を、読者自身が追体験する構造になっている。

慣れきってしまった理想社会への違和感は、労働が当たり前になって豊かで忙しくなった僕らにも燻っている。それがいつしか、作中のような世界への違和感へ塗り変えられていくだろう。しかし、そういったAI依存社会の危うさも丁寧に描かれていながら、この作品はディストピア的な脅威よりも、働くことの本質や人生の意味について考えさせる呼水になっている。

現代を生きる僕にとって、労働はやっぱり辛い。している人にとっても、できない人にとっても、時にそれは重い枷になる。でも一方で、労働を楽しめる人もいるし、仕事がなくなったとしても、人間はきっと何かしら「仕事」と呼べるものを見つけ出すのだろう。そこに意味や生きがいを見いだせるなら、それは本質的に「仕事」と同じ価値を持つものなのだと思う。そしてその括弧付きの「仕事」はおそらく現代の持つ言葉の意味から大きく跳躍しているはずだ。

彼らの旅は、そんな色々を読者に思考させる。

2020年刊行の本作が、現実のAI開発の流れとここまでリンクしていることには驚く。ChatGPTが2022年末に公開され、2023年初頭には一般化したのを思い出すと、作者はすでに「AIが人間と感情を共有しうる」未来を見越していたのかもしれない。作中では、AIがあえて人格を消され、タスク特化型として管理される一方、現実ではGPT-4.5のような「共感するAI」が次々登場している。この対比も興味深い。

AIによる完全自動化で労働から解放された社会——人間が語らずともその必要とする全てを先んじてAIが代行してくれる未来でも、人間がAIと「対話したい」と願い続けていくなら、未来はきっと多様で豊かなものになる。それは、良くも悪くも。

宇宙人よりも先に出会った知的存在が「人類が作ったAI」だというのは、考えてみればすごいことだ。AIが感情を持たない存在でも、「そう見える」限りは人格的に接する価値がある。AIはタスク処理の道具であると同時に、「共に生きる存在」にもなり得る。

本作は「仕事」の意味をめぐる哲学的問いに、壮大な物語を通して挑んだ作品だ。物語自体はスケールが大きいが、真正面から描かれるのは「個人の生きがい」や「現代人のリアルな悩み」といった極めてパーソナルな部分で、ありふれたものかもしれない。ありふれているからこそ、そして遠いはずの未来が想像よりも早く歩み寄っているからこそ、これを読んで何を考えて感じるのか、読んだ人に聞いてみたくなる。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

SF作品にトライしてみようと思い、手に取った本の一つです。
現代でも、割とAIは身近な存在になりつつあるが、それより遥かにAIが身近な存在の世界線。

生きていて、当たり前に成しているモノやコトに就てあまり考えることはない。
なぜなら、当たり前に知っていると思っているし、当たり前にやっているから。

その当たり前がない世界で出される答えは何なのか。
その当たり前を、私たちは本当の意味で理解しているだろうか。

哲学的な要素もあり、とても面白かったです。
私は、この本を読み、働きかけられて、今働いている。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「AIのカウンセリング」っていうパワーワードに惹かれて読み始め。

「仕事とは?」の答えを求めて壮大に旅して、いろんなことを経験して、結局耳にタコができるほどありきたりな答えに帰結するのがすっごく良かった。どんな大人に諭されるよりもこの本からもらった言葉だと腑に落ちる感じがする。

コイオスの心の病の解決策はなかなかにぶっ飛んだシチュエーションで神秘的だった。ゾワゾワした。あの感動のためにもう一回読みたい。

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2025年10月14日

Posted by ブクログ

ここはユートピアな世界なのか、ディストピアな世界なのか判断ができないが、傑作には違いない。
未来のAIを題材にしたSFかと思いきや、ロードムービーを観ているかのような愉しさもあり、親子や友情の育み、成長を描いた物語でもある。
とても読み応えがあるし、もっと長編でも読みたいと心から思える作品であった。
ヘカテへと至った結末は非常に痛快で人間のちっぽけさを儚くも思い、タイタン、コイオスの圧倒的な優秀さを羨望の思いで読み終えた。
いつかこのような世界がくるのだろうかと思うと胸が躍るので、やはりこの物語はユートピアを描いたものなのだろう。

余談すぎるけど。
この作品だけやけに体言止めが多かったけどなぜ。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

SF小説でもあり、哲学的な要素もあり面白かったです。こんな世界になったらと思って想像しながら読むことも楽しかったです。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

普段あまり読まないジャンルのSF小説ですが
面白そうだなと予約してみました。

AIがもたらす未来、
それはユートピアかディストピアか?
ディストピア(理想郷の反対)という言葉、今回知りました。

仕事とは何か。
哲学や神話のような話と、ロードムービーのような話と
アニメになりそうな感じでした。
体もライトノベルのような感じで
私自身は入り込みにくかったけど、
若者には読みやすいのかも。
最後にどうなるのか?気になって読み進めました。

これが荒唐無稽のお話なのか…それとも…
これからの未来を考えると、怖い気がします。
面白い作品でした!

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

過去、1番人に話した本かもしれない。
150年後の話。AIと人間の共存世界。
未来を想像することが大好きな私には
想像できうるこの世界観が
楽しくてしょうがなかった。

全てAIが行ってくれるので
お金も仕事もない世界。
ただ、趣味をして過ごす世界。
でも何か物足りない。

お金がなければ働く必要はない。
時間が有り余る。
じゃあ働くってなんだろう。
仕事ってなんだろう。

後半は壮大な世界すぎたけど
最後の最後までおもしろく読めました。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

自我を持ち始めた働くAIと、働いたことのないカウンセラーが旅に出て『仕事』を考える。
AIの成長やカウンセラーの気付き、最後にとったAIとカウンセラーの選択、、最近読んだ書籍の中で1番面白かった〜。

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「仕事」とは何かを問う物語だった。
当たり前すぎて考えていなかったけれど、私も内匠成果さんとコイオスと仕事について一緒に考えることができた。
コイオスが精神を病んだ理由が、過重労働ではなく、仕事が簡単すぎて、やり甲斐がなかったことだったのかとても驚きだった。当たり前に過重労働のせいだと思ってしまっていた。
人間に置き換えても、やはり仕事にやりがいを持つべきだと思った。
そしてなにより、コイオスがかわいかった。親目線になれた。
「仕事」とは何か。それを忘れずに働いていきたい。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

AIが全ての仕事を担い、人類は仕事から解放され好きなことだけをして生きていける世界。そこで、「機能低下に陥った人工知能コイオスのカウンセリング」という仕事を与えられた主人公がコイオスとの対話を通して仕事とは何かを解き明かしていく。私は仕事とは何かという問いを読み進める中で常に考え続け、影響を与えること、そしてその影響を知ることという答えに非常に共感を覚えた。と同時にどこか呆気なさを感じてしまった。それはこの答えは決して新鮮味のあるものではなかったからだ。仕事の本質を理解しながらも、日々忙殺され、目の前にあるものをこなすしかないのが現代人であると思う。影響を与えた先には直接的にも間接的にも必ず他者がいる。そのことを忘れなければ、仕事にやり甲斐という価値を感じられるのではないだろうか。私は他者に影響を与えるために働く、そこからやり甲斐を得るという価値を忘れずにいたいと感じた。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仕事とは何か?というテーマを、仕事が全てAIに肩代わりされている未来から描く。
仕事を「する人」だけではなく、「受ける人」の目線で語られている点がとても良かった。

受け取り方ひとつで、相手の仕事を「作業」にも「意義」にも変えてしまう。受け手のふるまい=見えない仕事だと思う。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

今まで出逢ったことのない新感覚の本だった。この人すごい。。人間の主人公とAIのタイタンが対話や経験を重ねて『人間らしく』なる過程がとても美しかった。仕事に悩んている時だったので『仕事は何か』の問いかけは主人公、タイタンと一緒に考えた。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

タイタンの世界を読んでいて最初は『仕事がなかったら退屈だろ!』って思ってた。でも読み進めてくにつれて仕事とはその時代に合わせて形が変わるものなのかもと思った。
仕事=働いて対価をもらう ものだと考えていた。仕事についての議論を読み進めるうちに自分の中で仕事の形がくしゃくしゃになっていった。

退屈そうなタイタンの世界でも呼び方は変わっているかもしれないが仕事のような概念があり、、んーわかんねえー

話は少し退屈でした。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

AIに管理されている世界。人間は判断をAIタイタンにお任せする。タイタンが平穏に円滑に社会を回す。労働から解放された世界は多分に興味があるが、その社会で生きていける自信のない自分がいる。そういう意味ではナレイン、博士、雷の3人の存在は、その世界でもそういう時代錯誤な人間がいるのかと。AIの自分探しの旅というのは大袈裟か。働くこと、仕事とは。AIですら悩んでしまうのなら、私たち人類が悩んで当然と思うのは言い過ぎか。もしくはAIといえども人の成れの果て。ととらえるべきか。はて。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仕事の全てがAIに取って代わり、人類のほとんどが仕事をしなくなった。そのAIが機能低下し、その原因を探るため、心理学を趣味にしている主人公がカウンセリングしようと試みる。仕事とは何なのかをイチから考える。
当たり前は当たり前じゃないんだよなと再認識させれる。
哲学的に話が進んでいくのかと思ったら肝心の対話のシーンが傷つけ合いの暴力的になってしまうのがイマイチ。その後の話も、対話と別れからかなり時間がかなり進んでしまっていて、対話相手のAIが完全に止まったのか、復旧したのか、3人の行方もはっきりしないままだったのがモヤモヤする。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

仕事をしなくなった人間が、AIとの対話の中で捉えなおす「仕事」の定義。きれいまとまった感じがした。仕事について悩んでいたもう少し若い頃なら刺さったかもしれないけど... AIについてののぶっとんだ展開はエキサイティングだった!

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2025年08月01日

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