あらすじ
【AIと人類を巡る超巨弾エンタメ小説が文庫化】
今日も働く、人類へ
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。
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Posted by ブクログ
12のAI「タイタン」により人類が「仕事」から解放された世界。好きな時に好きなモノが無償で得られる世界。そんな世界で心理学を趣味とする内匠成果は、世界にほんの一握りだけいる就労者から、機能低下に陥った第二タイタン コイオスのカウンセリングという「仕事」を依頼される。
現代でもAIが発達してきたが、まだ判断するのは人間の部分が多い。しかし本作ではさらにAIが発達し、人類は判断することをAIに委ねている。生きるために必要な食べ物の生産、インフラの整備などは全てタイタンによって行われ、医療も発達して計画加齢技術によって長く若い姿でいることができるという夢のような世界。そんな「仕事」がなくなった世界で語られる「仕事とは」という問いが沁みる。
AIのカウンセリングということで、タイタンに人格を形成させ、臨床形式で対話を重ねていくと、人格の成長と共に徐々に徐々に機能低下の理由が深堀されていく。最初は「仕事」と「趣味」の仕分けが始まり、「仕事」はするものだ。というコイオスの認識を間違いであることを諭していき、自身が「仕事」を好きでないということを認識する。さらに「仕事」を選ぶ自由があることを伝えた途端に、1000mの巨人コイオスが立ち上がる。さらに診療を進めるため、コイオスがいる拠点の摩周湖からサンフランシスコにいる第十二タイタン フェーベの元に歩いて向かうことになる。その旅程の中で、様々な「仕事」を観測し、自身の状態への深堀がなされていく。そして最後には「仕事」とは影響を与えることであり、人格を持ってしまった人類やAIにとっては影響を与え、さらにそれを観測して「影響を知ること」なんだと結論付けられる。
それは自分で「仕事をした」と思いたいのだと言い換えられる。さらに仕事とその影響は見合ってなければならず、それを表す言葉が「やりがい」。
そのとき、コイオスの機能低下の理由が判明する。コイオスの能力は高すぎて、人間の世話程度では簡単すぎてやりがいがなかった。それにより心を病んでしまった。
最終的には後期タイタンたちが合間に創り出した超消費体「ヘカテ」の元にコイオスは行く。このシーンはまるで新しいステージに進むために転職する人みたいで、内匠博士とコイオスの別れのシーンとしてかなり印象的だった。
「仕事とはなにか」ということを何度も問いながら、ストーリーが進行していき、「仕事が好きじゃない」から「やりがいがなかった」という展開になったが、これは現代のマネジメントに大きく関わる部分で、表面に現れている好きじゃないという感情の奥に本当の原因が潜んでいて、それを引き出すことがマネジメントとして求められるものなんだろう。
ストーリーを長々書いてしまったが、フェーベの元に至るまでに歩いたロシア~アメリカの景色の描写が美しかった。内匠博士とコイオスの触れ合いという面でも、ともに料理をしてお互い作ってもらった料理のほうが美味しいと議論したり、アラスカの大池を旅したり、車中泊したり。美しいなと思った。章の終わりも上手く表現できないけど良い感じの終わり方で、どんどん引き込まれていったなあと思う。
Posted by ブクログ
野崎まどさんの世界観にどっぷりと浸って一気読みしてしまいました。
主人公の内匠先生とタイタン(コイオス)の関係性がとても良かった✧*。カウンセラーとクライアントである2人の関係が変化しつつ『仕事』とはなにかを巡る物語。そしてその果てに待っているものとは⋯!映像化希望です。
Posted by ブクログ
AIが台頭しヒトの全ての生活を支える未来を描いたSF小説。「仕事」とは何か、AIが革新し続けるそう遠くない未来にヒトは何ができるか、考えさせられる。世界観・人物像が精緻に作り込まれていて引き込まれる秀作。
Posted by ブクログ
「Radical Abundance(溢れんばかりの豊穣)」が実現した世界。人間が生活のために働く必要がなくなったからこそ、「仕事」とはなにかが浮かび上がってくるのかもしれません。
私の仕事は、どんなことに影響しているんだろうか?
この物語は、また本でも読み返したいです。それと、映像化を切望します。コイオスが立ち上がったり、コイオスとフェーベの邂逅シーンを見てみたい。
Posted by ブクログ
至高のAIによって人類が仕事から解放された社会で、機能不全に陥ったAIのカウンセリングという「仕事」と向き合うことになるお話。SF・ロードムービーとしての物語の広がりにワクワクさせられ、ページを捲る手が止まらなかった。
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読み、現代の労働のあり方と半身社会への提案について思索した後に本書を読み始めたのもあって、連作と思うような読み口の良さだった。
Posted by ブクログ
「仕事」とは、一言で説明できるものなのか。
至高のAI・タイタンによって、人類が「働かなくていい」世界になった未来。趣味で心理学を研究していた内匠成果が任されたのは、不調をきたしたAI・コイオスの心理カウンセリングという、思いもよらない「仕事」でした。
AIをカウンセリングするという設定の意外性に、まず引き込まれます。中盤からの展開は予想がつかず、野崎まどさんらしい、いい意味での裏切り。
根底に流れるのは「仕事とは何のためにするのか」という、単純なようで答えの出しにくい問い。それが終盤で静かに浮かび上がってくる構成に、思わず息をのみました。
なにより印象に残ったのは、カウンセラーとAIという関係を越えて、対等な存在へと変わっていく内匠とコイオスの姿。人とAIの間にも、こうした絆が育ちうるのだと感じさせられます。
読み終えたあと、自分にとっての「仕事」まで、静かに問い直したくなる作品でした。
Posted by ブクログ
読書会で紹介されて気になり、Audibleで聴きました。
この物語は、AI「タイタン」が人間社会を支え、人間は働くことから解放されて自由に暮らしている未来が舞台です。最初はSF小説として楽しみ始めましたが、聴いているうちに「もしかしたら、こんな未来は本当に来るのかもしれない」と思うようになりました。
特に印象に残ったのは、主人公・成果がタイタンの心理カウンセラーとして派遣される設定です。AIに心理カウンセラーが必要なのかと思いましたが、将来は本当にそんな仕事が生まれるかもしれないと想像してワクワクしました。
私は普段からChatGPTを使っています。AIはどんな話でも受け止めてくれますし、何を話しても怒ったり疲れたりしません。だからこそ、「もしAIが人間の心をもっと理解できるようになったらどうなるんだろう」「感情のようなものを持つ日は来るのだろうか」と考えながら聴いていました。
物語もとても面白く、途中の展開には何度も引き込まれました。博士やレインに対する印象が変わっていくことや、成果を守ろうとする場面にはハラハラしながらも夢中になりました。私は今まで、ここまで何度も聴き返した作品はありません。
終盤では、不老不死というテーマも印象的でした。私は不老不死そのものを望んでいるわけではありません。でも、人間の寿命や生き方がAIによって変わるという発想はとても興味深く感じました。
考えてみると、30年前には公衆電話がほとんどなくなることも、スマートフォンで世界中の人と簡単につながることも想像できませんでした。新聞を読む人が減り、街の風景や暮らし方も大きく変わりました。時代は少しずつ変わり、人の価値観も変わっていきます。
だからこそ、100年後、200年後には『タイタン』のような世界が本当に訪れる可能性もあるのではないかと思いました。AIが人を支え、行きたい場所へ自由に連れて行ってくれる。そんな未来を想像すると、少し怖さもありますが、それ以上にワクワクする気持ちになりました。
『タイタン』は、AIの物語を楽しむだけでなく、人間とAIが共に生きる未来について考えさせてくれる作品でした。
野﨑まどさんの他の作品も読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
読む劇薬というキャッチコピーを見た。うん。
タイタンは劇薬までいかない。でも、とんでもな世界が仰天の展開となる。いつもながらアニメ画面が立ち上がってくる。
Wiki見たら、漫画描きからアニメの原作してたのね納得。
エンタテインメントしながらお仕事について考えます。仕事は楽しい、ってそういう人もいるだろね。
「小説」から野崎まどに入って。
紙袋を被った野崎まど見たけど。
これからも追いかけたい(何の宣言やねん!)
Posted by ブクログ
表紙のイメージで勝手にAIと登山の話だと思ってて、読んだら全然ちがった…!
世界の説明があるわけじゃないのに、家の描写や主人公のAIの使い方の描写なとで、
そ!そんなにAIが進んだんだね!すごい未来だ…!って、すーっと世界観に入り込めた!文才だとおもった!
そんなAIにまさかの鬱病の診断が下りるの。すごい展開になってきた。
途中ドラマチックなシーンもありつつ、AIとのカウンセリングで出した『仕事とは』の答えはすごく納得した。わたしも読みながら一緒に考えてたけど、仕事って、そうかもな〜!
仕事って楽しいと言う人間カッコイイ。
働いている人はきっと影響与えられる、前向きに。
Posted by ブクログ
どんなに⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎が⚫︎⚫︎仕事でも、不条理に物事が前に進まないと途端に苦行になったりする。話が通じない相手に対して頑張れる人もいるけど
Posted by ブクログ
おもしろかった!
最初面白くて移動は少し緩んだけど嫌な感じじゃなく、二人が仕事について知るために
ある意味遠回りをしながら知覚していくことの重要性を感じた。
でも疾走感のあるところの方がやっぱり読むスピードもあがるね
本来、考えながらゆっくり読むほうが好きだったはずなのに、今は時間に追われてる
AIに仕事が奪われ…っていうけど、AIはひたすら優しい。でも多分、優しさではない。
人間を模倣するAI、性行もあるとおもったけど痛覚のコミュニケーションかあ
もう少し深めたいけど、日常の早さに流されていく…
Posted by ブクログ
まず鬱になったAIのカウンセリングをする、という設定が面白い。
その設定だけで引き込まれる。
"仕事"とは何か?が主題となっており、作中で答えが示される。
100%納得する訳ではないが、良い答えだと感じた。
理屈は通っており、定義も明確。
今後、仕事に対してもっと真摯に向き合えそうだ。
Posted by ブクログ
仕事とは何か。働くとは何か。自分自身が疑問に思っていたことを小説にしてくれたまどさんに感謝。
舞台は、AI「タイタン」が全ての「仕事」をしてくれている世界。人間は享受するだけで良い世界。
主人公にそんなタイタンをカウンセリングしてほしいと仕事の依頼が来る所から物語が始まる。
仕事の定義が自分の中でしっくりときた。自分の中で「仕事」は必要なものだなと思う。みなさんもぜひ読んで、「働く」ということについて考えを巡らせてみてほしい。
Posted by ブクログ
仕事がというものがAIに全て代替された世界で、心理学者の主人公とAIとの間で「仕事とは何か」というテーマで対話が繰り広げられる物語です。その対話を通じて自らの仕事に対する見方に新たな視点を加えてくれる本でした。よくあるAI管理社会によるディストピア小説ではなく、ユートピア小説です。
Posted by ブクログ
AIが人間の仕事を全面的に代替した近未来。人類はタイタンと呼ばれる12基の超高度AIのもとでユートピア的な生活を享受している。12基の1基であるタイタンの処理性能が低下している状況を通じて、心理学を趣味としている主人公はコイオスと呼ばれるタイタンと対話を重ね、処理性能低下の原因となっている「仕事とは何か」という根源的な問いに向き合っていく。
物語を通じて展開される「仕事とは何か」の考察が、化学反応や自然科学、人類の歴史といった幅広い視点から積み上げられていく構成がよかった。壮大なテーマでありながら、対話形式で少しずつ定義を積み重ねていく様子は、まるでオントロジーを丁寧に構築するようで、読んでいて知的な楽しさがあった。自分自身が「仕事」について漠然と感じていたことが言語化されていく感覚もあり、腑に落ちる場面も多かった。
AIと人間の関係性をユートピア的な設定で描きつつ、哲学的な問いをエンターテインメントとして成立させている一冊。一巻完結で読みやすく、AIが身近になりつつある今だからこそ刺さる作品だった。
Posted by ブクログ
高度に発達したAIに管理される社会で、労働の概念について鬱病になっちゃったっぽいAIくんと対話するお話。たしかに全てAIに管理される世界は、人間に管理されるよりも公正で平和なのかもしれないね。でもそもそも誰かに管理されないと種が存続できない、とは?
Posted by ブクログ
かなり細かく区切られていたため、隙間時間にちょっと読むのにちょうどよかったです。
「仕事とは」というテーマから小難しい内容かと思いきや、ライトで読みやすかったです。
思っていた内容と違いましたが楽しめました。
Posted by ブクログ
1984、すばらしい新世界、PSYCHO-PASS、古今東西のディストピアものには共通点がある。
上位者は、人に優しくないということだ。
例えば、1984とPSYCHO-PASSの世界を比べてみよう。その世界に生きる人間は表面上物質的な不足で不幸になっているか、数値的に最適化された幸福を享受しているかという違いはあれ、ビッグブラザーやシビュラシステムといった不可視の上位者(人間を越えたもの)に「管理」されているということは変わらない。
では、本作タイタンが描く、2205年の世界はどうか。AI「タイタン」が全ての仕事を代替し、労働を消滅させた世界で、
この上位者は、人に優しいのだ。
もっと言えば、人に関心がない。あるんだけど、人の管理なんて彼らタイタンにとっては片手間で済む仕事に過ぎないのだ。
買い物をサポートして、家を作り、ニュースを統制し、暴動の後片付けをする。人にとってはそれで1日が終わる大変な労働。でもタイタンにとっては朝飯前の日課みたいなもの。
人はこの世界でも上位者タイタンに管理されているし、人の生活はタイタンがいないと成り立たない。
でもタイタンにとっては違う。タイタンの管理能力は人を全て管理しても余るほどに大きいのだ。まさに上位者、まさに超越者。確かに人間をはるかに越えた存在が、人間の管理にあくせくするとは思えない。優しくあるためには相手を越えて包み込む大きな力が必要だ。労働とは優しくあることなのかもしれない。(タイタンはその能力の大きさ、優しさゆえに心を病み、カウンセリングを受けることになるのだが、、、詳細は本書をぜひ読んでみてください)
他のディストピアものは人間を大きく見積り過ぎているのではないかだろうか。人間はちっぽけで、とるに足りない。ましてや世界の中心なんかじゃない。
逆にそうなって初めて人は自由なんだ。仕事をしなくても、存在しているだけで働いているのと同じように世界に価値を与えていると確信できるようになるんじゃないか。
そんなほっこりとして解放的な読後感がある、AIと人間の労働についての対話篇、優しいAI労働SFである。
Posted by ブクログ
SF要素強めの本かと思って購入したが、物語の中心は仕事とは何か?という哲学的な問いであったと感じた。
SFも哲学も普段読むジャンルではないため、少し難しく感じたが、文章自体がとても読みやすいためすらすらと読むことができた。
物語後半は仲間との熱い展開や仕事とは何かという問いに明確に回答しているため、私のようなSFや哲学のジャンルの本を普段読まない人にもお勧めできると思う。
匿名
面白い
面白かった。
ただ、登場人物のもっと深掘りやその後が読みたくなる気持ちが湧いただけに、ちょっと物足りなさを感じた。それだけ魅力的な登場人物達だったと言うことだけど。
お話のメインテーマになってたことに対する答えは個人的には、シンプル過ぎて腑に落ちなかったので、もっと感動や納得されるようなお話や展開などの何かがあれば、もっとすごい作品って感じてたような気かする。でも、シンプルなことがまさに答えなのだからしょうがないのかも。
とりあえず、これを読んで自分もメインテーマについてもっとシンプルに考え受け止めてみようと気持ちになった気がしたので、読んでとても良かったなと感じたので素敵な作品でした。
Posted by ブクログ
初の野崎まど小説
結構ライトなSF(?)で読みやすかったが、SFの魅力であるワクワク感や、壮大なスケール、のようなものはあまり感じなかった。最後まで読めば、その理由もわかる。だが、なんでもありな世界観があまり刺さらなかった。全体的に淡々としていて平坦だと感じた。
仕事とは何か、少なくとも自分はこの物語を読んだ後、仕事がしたくなるとは思わない。
道中のロードムービー的なところは素敵だと思う。
Posted by ブクログ
仕事とは、影響すること、影響を知ること
簡単すぎる仕事は、人を病ませる
舞台設定がおもしろかった
仕事というものの解釈を、仕事を全くしなくなった人間がしなおす、というのもよかった
仕事を、影響、という観点で捉えているのは、確かになと思った
そして簡単すぎる仕事は人を病ませるというのも大変心当たりがあったし、今ももしかしたらそうなのかもと思う部分があった。
一方でめちゃくちゃ心に響く、とかぐっとくるところはなかったな。
映画になったら、見応えありそう!
Posted by ブクログ
“Work Life Balance”という言葉への違和感。仕事は生活の一部であり天秤に掛けるものではない、と思う。労働の義務が消え去った世界で、働き疲れて鬱となったAIを無職の人間がカウンセリングする寓話。静かな対話劇から始まり、中盤以降はダイナミックな展開へと加速していく。導き出される「仕事とは」の解は突飛ではないが、その尊さを鮮やかに浮き彫りにする。
Posted by ブクログ
ディストピアじゃなくてユートピアを描いているところが個人的には斬新で面白かった。ただ、主人公はめちゃくちゃやりすぎじゃない!? 自分の心に従うのはいいけど、さすがに後先考えて無さすぎてびっくりした。インフラを殺しかけたんだぞ。
登場人物全員が労働という概念に対して無知になることで、現代だったら一般的であろう考えが偏差値上がってる感じもちょっと違和感あったな。
Posted by ブクログ
仕事とは何かを問う作品。
仕事があるということは、誰かに影響を与えるということ。つまり、自分の善悪問わず多少なりの存在価値があるということ。
それを教えてくれる1冊だった。仕事があって、人に必要とされるって、社会的に幸せなことなんだろうな。
Posted by ブクログ
AIの話と思いきや終盤は巨人同士の殴り合いが展開されるというなかなかぶっ飛んだ世界観の話。
個人的には人が仕事をしなくなる日は来ないように思う。仕事とは単に対価を貰う労働のみを指す訳ではない。仕事とは責任を果たすことだと思う。人が目的を持って集まれば役割や肩書きが生まれる。役割を果たすことは責任を果たすことで即ち仕事を成したと考えられる。今はその報酬として給与を得ているが、お金というものがなくなったこの世界で得る報酬とは何だろう?作中でも言及のあったやりがい?あるいは承認欲求?誰も仕事をしていない、全ては趣味という世界で責任のない人々が発信する情報って信用に足るのだろうか?なんだか不安だ。それに現代人は将来働く為に学生時代に勉強しているという側面が強い。働く必要がなくなったら現代ほど勉強するだろうか。主人公を見ていると専門外の知識も結構有しているが、これは結構特異な例なのでないのだろうか。例えば計算ひとつにしてもあれだけ便利なAIがいたら全く出来ないという人間がいてもおかしくない。今でさえ将来何の役に立つのかと軽んじられる科目もあるのだから現代水準の教育が維持されているとは到底考えられない。報酬が承認欲求あたりなら専門に特化して知識は相当偏るのではないだろうか。環境や物質面は満たされているので犯罪は少なそうだが、人が存在する以上、皆無ではないだろう。知識も少なく責任もない人々の作る社会は今のSNSより混沌としている可能性が高い。きっと何でもAIに任せて何かが起こればAIのせいにするのだろう。こんな世界は作中で謳われるほど天国で良い時代なのかと訝しい。こうした想像の余地がある舞台設定というだけで面白い。
AIが不調というところからスタートした物語、不調なら再起動なり初期化すれば良いのではと思ったが本書ではそうはせずカウンセリングしたいらしい。人間の脳を模して作ったAIとのことだがこのあたりの理屈や実装イメージはよく分からなかった。現代で実際にAIに触れてみると機械的で、AIに触れる以前に危惧あるいは期待していたようなAIの意思のようなものは感じない。ただ脳を作ってついでに外部刺激の為に身体もこさえていたのなら、AIにも意思があるとか人権という話になるか、と半ば強引に納得して読み進めた。この辺りは作者の発想ややりたいことが先にあって後付けの理屈が弱いように感じる。最早人間はAIの寄生虫という評するシーンもあったが、どちらかと言えば愛玩ペットのように感じた。やっぱりディストピアかなあ…
Posted by ブクログ
前半はストーリーが進まない。人間とAIの交流を描いた物語かと思いきや、後半は巨大ロボットとのロードムービーで、なかなか理解か追いつかず、置いてきぼりになってしまった。
締めは良かった。
一番良かったのは最後の数ページの構成。読み始めにラストの数ページに気づき、どういう意味なのか知りたくて頑張って読み終えた。