【感想・ネタバレ】タイタンのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一昔前なら”ディストピア小説”として描かれていたテーマが、現代では”ユートピア小説”として作られたことは一つの時代の変遷なのかなぁ、とかなんとか。

『タイタン』の世界観は今より進んだ未来なので、その価値観の是非を問うことはもちろん出来ない。100年前には男色が罪だった国があるように、100年後の自分たちが「仕事をするなんて!」と言わない可能性なんてどこにもないのだな。
そしてそういった当たり前の価値観が消え去るからこそ、「仕事」というモノの意義が改めて問われる。「仕事とは──影響すること」なんてのは、シンプルながら納得しかないね。答え自体より答えを出す過程に意味はあったわけで。

表題の『タイタン』だけど、ヴォネガットの『タイタンの妖女』を意識している部分もあるのかな。あっちはあっちで「使う/使われるというのは愛すること」なんて作品だし、テーマ的な繋がりもあるだろうね。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人類が生み出したAIに人類の全てを管理してもらっているという未来の話なのに、どんどん神話の世界に戻っていくような展開がとても面白かった。コイオスと内匠成果の思索の旅も、旅だからいつか終わりが来てしまうのが寂しかった。
人類が神様を創ってしまった。そんな神話の一ページに立ち会っているような驚きや感動がある。人間には感知できない何かがこれから始まるのだという、その変化と進化の瞬間の物語は、ドラマチックに感情に訴えかけてくるものがあり、何度もうるっとさせられた。
数少ない登場人物がみんな魅力的で、信頼できる仕事仲間という関係性が構築されていく過程も楽しく読めた。なぜだか想像しやすく、頭の中でみんなが映像で動いていた。
人の自我は言葉でできている、と成果が言っていたのが印象的だった。言葉を肯定してくれてありがとう。人類は万物の霊長なんかじゃなかったというラストも良かった。

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2023年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 とても完成度の高い本格SFで、非常に満足しました……! 「AIに管理された未来の世界」というとディストピアを思い浮かべがちですが、この作品は実にまっとうに科学を進歩させた末の、いわばユートピアが舞台。生活基盤が全て機械に任され、誰も「仕事」をしなくて済むようになったらどうなるかをリアリティを持って描き出しており、そこにまず大変感心させられました。
 暴走AIと言えば何かと悪役にされがちですが、この作品のAIたちはただただ人間のために健気に尽くしてくれていて、だからこそ、そのAIを助けようとする主人公にも共感できます。
 主人公と「コイオス」による対話を通じて、「仕事」や「人間」、「生きる」ということについて丁寧に考察されており、その説明もとても分かりやすく、専門知識がない読者でもしっかりと話についていけるのも嬉しいところ。
 エンタメ作品としての魅力もふんだんに含まれており、未来の人間社会の風景、コイオスが「巨人」と化して暴走する瞬間や終盤のフェーベとの対面シーン、大陸沿岸部に沿って旅をしながら出会う景色、四人が警備タイタンから逃走するカーチェイスシーンなど、一本の映画としてぜひ観てみたい作品でした。

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2023年06月19日

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