あらすじ
2022年本屋大賞第2位! 二度読み必至の感動作、待望の文庫化。 ◇STORY メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……(「金魚とカワセミ」)。額縁工房に勤める空知は、仕事を淡々とこなす毎日に迷いを感じていた。そんな時、「エスキース」というタイトルの絵に出会い……(「東京タワーとアーツセンター」)。一枚の絵画をめぐる、五つの愛の物語。彼らの想いが繋がる時、奇跡のような真実が現れる――。著者新境地の傑作連作短編。
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Posted by ブクログ
1つの絵画を軸に様々な人々の視点で4章に分けて描かれる物語。
作品には作者やその周りの人やその瞬間にしかないストーリーがあり、色んな想いが詰まっている。
どんな想いでどんな人が関わってこうして出来上がっているんだろう?
とこれからも美術館に行くたびに想像が膨らみそう。
絵を創作する苦悩や楽しさも伝わってきて
自分でも絵を描いてみたくなる。
エピローグでの全ての伏線回収が素晴らしすぎて思わず全章読み直したほどの名作。
Posted by ブクログ
一枚の絵を巡るラブストーリー。
一言、素晴らしかった。
『エスキース』本番を描く前に構図を取るデッサン。いわゆる下絵のこと。
そう名付けられた一枚の女性の絵。
そのエスキースと名付けられた絵を背景に、物語は語られていく。
4つの短編。そして最後に用意されたエピソード。
始まりは、メルボルンに留学中の女子大生レイが
現地に住む日系人のブーと出会うとこから始まる。
彼らは期間限定の恋人として付き合い始め、
ブーの友人の画家の頼みでレイの絵を描くことになる。
そして遠く離れた日本でその『エスキース』と出会うことになる額縁職人。
弟子だった漫画家が賞を受賞し、自分を追い越していったベテラン漫画家。
輸入雑貨店で働く50歳の茜が突然襲われたパニック障害という病。
それぞれの物語には、背景の様にエスキースと名付けられた絵がある。
そして紐解かれていく奇跡のような真実。
全てが綺麗に収まっていた。
最後はその美しさに思わずホロッときてしまうほど。
小説ならではの叙述トリック的な手法でもあるが、
物語の美しさ、そしてタイトルに込められた意味。
読み終えた後、その全てに浸ってしまう幸福。
たまらない一冊であるのは間違いない。
Posted by ブクログ
一つ一つのお話にも感動していたけれど、
赤鬼と青鬼からのエピローグのゾワゾワと言ったら!
もう一回読んだら見えてくるものとかもあるんだろうな〜と思うと再読必須。きっと色々なことが散りばめられているはず。こぼさず読んでみたい。
青山さんの本からはいつも、
繋がりを感じさせられているけれど、
今回も繋がりがすごかった…
気づくまでに自分は少し時間がかかってしまったけれど気づいてからの繋がりの凄さが…
素敵な一冊でした。
Posted by ブクログ
「赤と青とエスキース」
このタイトルがすべて。タイトルが全部語ってくれている。
エピローグを読むまではタイトルのことなんかすっかり忘れていたけど、最初から最後までこのタイトルを回収するためにこの物語は展開されていたんだと気づいたときは感嘆の声を上げてしまった。
とある絵を軸に、各話の人物の人生を写し出すような話である一方で、一つの結末に向けての伏線を散りばめ、エピローグですべて回収する。まるでクラシックの音楽を聞いているような美しい流れを体感できた私は幸せものだ。
ミステリーで犯人がわかったときみたいな爽快感もあるし、好きなことを仕事にする葛藤、別離を余儀なくされることへの悲しみ、新たな人生を歩む喜び、人間の感情すべてを刺激する体験がこの本には詰まっている。
Posted by ブクログ
どうしてこんなにもここまで積んだままにしていたのか、と後悔してしまうほど良い作品だった。
最後まで読みきってから間を置かずもう一度再読した。
二周目で謎解きがされていく感じがあまりにも心地よかった。
Posted by ブクログ
『気高い生命力』ってことばが素敵だった
気高い=媚びがなくて清潔なこと
生命力=生きようとする力のこと
エスキースは下絵のことで、オーストリアで過ごした2人の関係を表してる
50歳を過ぎた女子の身体の変化や
老いなのか成長なのか、微妙な部分もよくわかる。章のつながりがいい。
Posted by ブクログ
『赤と青のエスキース』は、一枚の絵を起点に物語が静かに広がっていく構成がとても魅力的でした。
最初はただのスケッチのように見えるその絵が、登場人物たちの人生や感情と少しずつ結びつき、まるで連鎖反応のように物語が展開していく様子が面白く、読み進めるほどに引き込まれました。
特に、作品全体を通して散りばめられていた「赤」と「青」の意味が、最後に美しく回収される瞬間には強く心を動かされました。単なる色の対比ではなく、登場人物たちの想い、痛み、希望が色として象徴的に描かれ、それがラストでひとつに重なることで、物語に深い余韻が生まれていました。
Posted by ブクログ
タイトルを見ただけではあまり興味が湧かなかったが、よくおすすめに出てくるし、本屋大賞を取ってることから読んでみた。
期待以上に面白かった。
まさか全部、ブーとレイの話とは思わなかった。名前が違ったため、それはないと思い込んでいた。
現実的な歯痒さも感じるけど、最後はポカポカする気持ちになれる。おすすめ文句に、読み終えたら抱きしめたくなる本と言っている意味がわかった。
ブーみたいな人に出会いたい。
Posted by ブクログ
読書人生一丁目にして、これから読む本が全て物足りなく思うんじゃないかと不安なるほどのすばらしい本に出会ってしまった。大事にしたい言葉がたくさん詰め込まれた宝箱のような本。仕事のことも恋愛のことも自分のことも、人生を前向きに考えられるような本だった。この登場人物たちも人生を一生懸命考えて生きてきたんだな〜と思うと泣けた。
Posted by ブクログ
青山美智子さんの本が好きで、母のオススメでもある、赤と青とエスキースを読みました。 この本は、赤と青という対の関係である主人公ともう一人の二人の関係を表していて、その関係がお互いどう交わるのか表していると思いました。 「色のない世界に私たちはいない。そのときの自分が待つ色で、人生を描いていくのだ。」人生という白いキャンバスに今ある自分の色で人生を彩るというこの文が大好きです。
Posted by ブクログ
涙が勝手に出て止まらなかったー。2度読み必須。
みんなの愛があたたかかった。
読み終わってから表紙をじっくり眺めたら意味がわかり美しくて感動した。
Posted by ブクログ
心あったまる作品だった
一枚の絵といっても、額縁のマリアージュと大切に飾られてる様子とあわさって良さになるんだよなあ。
それから、青、蒼、赤、茜、考えてみると色をあらわす日本語っていっぱいあるなあと日本語の良さも感じられる。
赤鬼の印象と青鬼の印象も、たしかに、色の印象(というか植え付け?潜在意識?的確な言葉がいま思い浮かばない)って昔からある。
すごく好きな作品だったし、絵みにいきたくなる
Posted by ブクログ
一枚の絵が紡ぐ人と人とのつながりを描いた、心温まる連作短編だと思っていたのだが、エピローグを読んで認識を改めた。一章と四章については、ブーとレイの話だろうなと何となく察しがついていたけれど、二章と三章については全然気づかなかった。だからこそ、エピローグで全ての謎が明かされた時の爽快感は格別だった。まるでパズルのピースがカチリとハマるみたいに、気持ちいいくらいに全てをネタばらししてくれた。
特に印象的だったのは、『エスキース』という絵をブーが「これからやっと本番」と思えるタイミングで手放すという展開。
また、長い旅を終えた『エスキース』が、描き手であるジャックが一番長い時間を過ごす部屋の壁におさまるという結末は本当に綺麗だった。絵が生まれた場所に帰ってきたような、でも同時に新しいスタートを切るような、そんな希望に満ちた終わり方だった。
全ての章で夢を叶えるために行動し、未来に向けて進む。読後感のいい作品だった。
Posted by ブクログ
本当に本当に最初から最後まで綺麗なお話でした。後半にかけて話がどんどん繋がっていくのが読んでいて楽しい。全部読んだ上で、またもう一周読みたいです。
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繋がる話だと知っていたから注意しながら読んでたけど最後はやっぱり、え、この人あの人だったの??と思わされることがたくさんあり、とても面白かった。青山先生の他の作品も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
1枚の絵を通して、人の心の成熟が表現されている1冊。張り巡らされる伏線が解説されているので、読み終わって爽快感を覚えることでしょう。
絵と違って、人は歳をとりますが、同じ絵であっても、いつその絵を見るかで投影するもの、感じるものは異なります。一度見たことがあっても、時間が経てばそこに見出すものも違ってきます。学生時代に苦手だったことを、大人になってから始めてみると上手く行くことがあるのも、視点が変わったからかも知れません。人生を絵に置き換えるなら、現在や過去は下書きに当たるのでしょう。最終的にどのような絵が完成するかは死ぬときまで分からないと思います。今、しんどいことがあって悩んでいても、時間が経てばそれが何か良いことの伏線になっているかも知れない。いろんな視点から考察できると今はもっと鮮やかになるかも知れない。そう思えるような、視野の広がる1冊でした。
Posted by ブクログ
青山さんがこれ以上のものが書けるか老婆心ながら心配になるほどの展開だった。怒涛の伏線回収って書くとミステリーかと思われそうだけど、とにかく何もかもが綺麗すぎた。ああ、いい話だ。
Posted by ブクログ
関わり合うって難しい。特に学生の頃の、移ろいやすい心の置き場はどこにあるのか、わからない。だからこそ、どこかを探そうとするのかもしれない。言葉の繊細さが形作る、「人」という形に触れられる物語。
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留学生のレイは期間限定で付き合った現地の日本人ブーとの別れが近づいていた。そんな中、レイの絵を描きたいという画家が現れ…
1枚の絵画を巡る優しく胸を打つ4つの物語。そして最終章で明らかになる真実、見事な構成。良い物語を読んだな、と読後も暖かさが残る
Posted by ブクログ
ドロドロもハラハラも飽き飽きもせず読み進められる本。人との自然の流れに抗わない人間の本かなと…
心静かに読め、最後に頷きと納得。私には素敵だな、良いなと思えた本。
Posted by ブクログ
遅ればせながら、初めての青山美智子さん。
ずっと気になっていたので、ようやく読めて良かった。
本屋大賞2位にも選ばれた人気作とのことだったが、皆さんがお勧めするのも頷ける良作だった。
一枚の絵で繋がる連作短編集。一つ一つのお話が優しく丁寧に紡がれていて、読んでいて何度も心がときめいた。
特に、第1章が好きすぎる。今すぐメルボルンに飛び立って、私もブーと出会いたい。
大人のための青春小説。年を重ねてから読んだら、もっと違う感動が待っている気がする。
30年後、再読したい。
Posted by ブクログ
青山さんの作品は最後に答え合わせみたいに
一本の線になっていることが多い。
それぞれは点同士であっても長い時間で見てみると繋がってる。
決して一人ではないと思えることが多い。
びっくりするようなことや大どんでん返しはないけど
読んでいると一緒に年月を過ごしたような気持ちになる。
だから全部読みたくなっちゃうんだよなぁ。
Posted by ブクログ
読んでいるうちは全ての話がぶつ切りになっている感じがしたが、最後の方で一気につながってくる感じがいいですね。終末にかけてどんどんと心が温かくなるようなストーリーでした。この人のストーリーテリングはやはり秀逸。
Posted by ブクログ
絵画鑑賞は好きですがエスキースという言葉は初めて知りました。
気づいていないだけで運命の仕掛け人って人生において本当にいるんだろうなと思う。
大げさかもしれないけどエスキースは人生そのものに似ている気がする。
そして本作品を読み終えて初心にかえることの大切さもあらためて伝わりました。青山さんに感謝です。
Posted by ブクログ
一つの絵を通して描かれた2人の人生。
一瞬の出会いで、人の人生って大きく変わる。もちろん、ポジティブにもネガティブにも。でも人生をどう描くかは自分自身。
そんな眩しい当たり前な事実を美しく物語ってくれた一冊。
Posted by ブクログ
青山美智子さんの作品は初読。
文章はイメージ通り温かみのある雰囲気で、内容も読後感の良い短編が続いて読みやすかった。
シンプルに一つの作品を軸に様々な物語を描くだけかと思っていたため終盤明かされる仕掛けに気付かずに楽しめたことも良かった。
こういうことも取り入れてくる作家さんなら他の作品も読んでみたいと思う。
個人的には漫画家の話が1番好みでした。