あらすじ
2022年本屋大賞第2位! 二度読み必至の感動作、待望の文庫化。 ◇STORY メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……(「金魚とカワセミ」)。額縁工房に勤める空知は、仕事を淡々とこなす毎日に迷いを感じていた。そんな時、「エスキース」というタイトルの絵に出会い……(「東京タワーとアーツセンター」)。一枚の絵画をめぐる、五つの愛の物語。彼らの想いが繋がる時、奇跡のような真実が現れる――。著者新境地の傑作連作短編。
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Posted by ブクログ
「赤と青とエスキース」
このタイトルがすべて。タイトルが全部語ってくれている。
エピローグを読むまではタイトルのことなんかすっかり忘れていたけど、最初から最後までこのタイトルを回収するためにこの物語は展開されていたんだと気づいたときは感嘆の声を上げてしまった。
とある絵を軸に、各話の人物の人生を写し出すような話である一方で、一つの結末に向けての伏線を散りばめ、エピローグですべて回収する。まるでクラシックの音楽を聞いているような美しい流れを体感できた私は幸せものだ。
ミステリーで犯人がわかったときみたいな爽快感もあるし、好きなことを仕事にする葛藤、別離を余儀なくされることへの悲しみ、新たな人生を歩む喜び、人間の感情すべてを刺激する体験がこの本には詰まっている。
Posted by ブクログ
タイトルを見ただけではあまり興味が湧かなかったが、よくおすすめに出てくるし、本屋大賞を取ってることから読んでみた。
期待以上に面白かった。
まさか全部、ブーとレイの話とは思わなかった。名前が違ったため、それはないと思い込んでいた。
現実的な歯痒さも感じるけど、最後はポカポカする気持ちになれる。おすすめ文句に、読み終えたら抱きしめたくなる本と言っている意味がわかった。
ブーみたいな人に出会いたい。
Posted by ブクログ
一枚の絵が紡ぐ人と人とのつながりを描いた、心温まる連作短編だと思っていたのだが、エピローグを読んで認識を改めた。一章と四章については、ブーとレイの話だろうなと何となく察しがついていたけれど、二章と三章については全然気づかなかった。だからこそ、エピローグで全ての謎が明かされた時の爽快感は格別だった。まるでパズルのピースがカチリとハマるみたいに、気持ちいいくらいに全てをネタばらししてくれた。
特に印象的だったのは、『エスキース』という絵をブーが「これからやっと本番」と思えるタイミングで手放すという展開。
また、長い旅を終えた『エスキース』が、描き手であるジャックが一番長い時間を過ごす部屋の壁におさまるという結末は本当に綺麗だった。絵が生まれた場所に帰ってきたような、でも同時に新しいスタートを切るような、そんな希望に満ちた終わり方だった。
全ての章で夢を叶えるために行動し、未来に向けて進む。読後感のいい作品だった。
Posted by ブクログ
本当に本当に最初から最後まで綺麗なお話でした。後半にかけて話がどんどん繋がっていくのが読んでいて楽しい。全部読んだ上で、またもう一周読みたいです。