たまたま書店で見かけた北山猛邦さんの新刊の帯には、歴代メフィスト賞作家の賛辞が並んでいる。北山さんご自身、第24回受賞作『『クロック城』殺人事件』でデビューしているが、今では第71回まで受賞が決まっているそうで。
デビュー以降、いわゆる『城』シリーズが計4作刊行されたが、正直評判は芳しくなかった。『『○○城』殺人事件』というタイトルを冠するのは、実に21年ぶり。そんな本作は、物理の北山の面目躍如にして、原点回帰と言える大作だ。
居住地を旅立った後、凍てつく大地で気を失ったルーサ。目覚めると、そこは城壁に囲まれた都市・石球城だった。ルーサを助けたロメリアは、早速この謎の都市について説明する。石球城の外部から現れたルーサに、興味津々のようだが…。
石球城の城壁に沿って建つ13の灯台には、それぞれ巫女がいた。ぶっちゃけてしまうと、13人の巫女が次々と殺害された上に首を持ち去られ、現場はすべて密室状態という内容。おいおい、大丈夫か物理の北山? どんどん心配になってくる。
崩壊が迫る石球城の中枢に乗り込み、いよいよロメリアによる謎解きが披露される。13も密室があると、それぞれどんな密室だったか忘れかけているが、気にしない気にしない。最初から反則だろうと言いたくなるのをぐっと堪え、耳を傾けましょう。
…まあとりあえず、13の密室すべてが一応説明されるのはすごい。文字通り、物理の北山だったとだけ言っておく。そっちの謎については、ルーサのように違和感を覚えることはなく、最後まで気づかなかった。そんなもん住人以外気づくかっ!
これまた原点回帰というか、北山作品にはお馴染みの、終末的作品世界。今回はすごいぞ。石球城の終末には、驚愕の大仕掛けが用意されていた。13の密室はこのための前振りだった。なるほど、ルーサはこうして石球城にたどり着いたのかっ!
あまりにも鮮烈だった『『クロック城』殺人事件』のトリックが、長年にわたり、物理の北山の呪縛となっていた。『クロック城』は未だに金字塔に違いないが、その封印が24年を経てようやく解かれたか? 久々に、心から楽しかった。