【感想・ネタバレ】神の涙のレビュー

あらすじ

怒り、逃亡の果てに
アイヌの地で何を見たのか

「読後、無垢な感動に満たされる」唯川恵(解説より)

北海道・屈斜路湖。アイヌの木彫り作家・敬蔵と孫娘・悠の家に、
尾崎雅比古と名乗る若い男が訪ねてきた。男は弟子入りを懇願。
初めは煙たがられていたが、敬蔵から木彫りを教わり、山に入るようになる。
しかし、男には誰にも明かせない過去があった――。

自然を尊んで生きる敬蔵、アイヌから逃げ出したい悠、
自らの原点を探す雅比古。感涙の新家族小説。

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Posted by ブクログ

2025.02.16〜02.21
ハラハラ、ウルウル、イライラ。色々な感情を抱きながら読み終えた。
私はアイヌのことを知らずに生きてきた。知らないことで、差別をすることなく生きてこられた。もし、知っていたら、どうだったんだろう。

そして、原発事故。
喉元過ぎてしまった。計画停電、節電、すっかり忘れていた。そうなんだよね、今も苦しんでいる人がいるんだよね。

何もわかっていない。わかっているふりをしている。
敬蔵の言葉が心に刺さった。
わかる努力をしなければ。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

現在のところ、マイ・ナンバーワン馳星周さん。北海道のアイヌの家族愛を描く。小生の子供の頃の周囲にも、同じ方々がいて、やはり可哀そうなことを目にしてきましたので、よくわかります。大感動作。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

日本の政治にこっちを愚弄してる、なんてグロテスクなことをするのか、と憤りを抱えているが、カムイの考え方で生きていきたいという気持ちになった。すごく良かった。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

良かった。泣いた。
神(カムイ)の涙…そのタイトルの持つ意味がこの本の隅々まで行き渡っていると感じました。
アイヌをテーマにした本は数冊読ませて頂きましたが、やはり自然に対して畏敬の念を持つ生き方に心をうたれます。
本書160ページに書いてある熊被害の予測など、正に今問題になっている事。
自身も現代社会の恩恵を受けっぱなしである身ですが、そんな生活の中でも本書に出会い、アイヌを知れた事に感謝します。

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2024年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

"少年と犬"の作家さんの、アイヌをテーマにした作品。
個人的にはこちらのほうが好きだった。
少年と犬と同様に、東日本大震災が一部で関与している。

アイヌであることを誇りに思う敬蔵
アイヌであることから逃げたい悠
アイヌであることを知り、アイヌのことを通して自分のことや生きる意味を見つけようとする雅比古

私は北海道にいつも行きたいと思いながら結局まだ行った事がない
アイヌのことも映画や本やドキュメンタリーでしか知らないけれど、とても惹かれる。
父親がみちのくでちょっと濃いめの顔なので、アイヌの血が少し混じってないかななんて憧れすらある。
最近のアイヌの子孫はどんな生活を送っているのだろう。
アメリカでは先住民がより声を上げるようになってきているが、学校とかではどうなんだろう。
雅比古との出会いで、悠や敬蔵がかわっていくのが素敵だった。そして、二人も雅比古に影響する。最後もいい。
"少年と犬"もよかったし、この作品も好きだったから今後も読んでみたい。


悠はアイヌであった母から何も知らされないで育った。
悠の母はアイヌの父(敬蔵)が嫌いだった。
雅比古の祖母は敬蔵の妹だった。妹も、敬蔵に愛想をつかして北海道を離れた。
敬蔵は酒癖が悪く、それが娘と妹との確執の原因だったわけだけど、アイヌ全体としてアルコールの問題は何かあったんだろうか。
(アメリカ先住民ではアルコールは大きな問題なので)


敬蔵の彫る作品はどんなものなんだろう。
アイヌでは木彫りなどで動物や人を彫ると、それにその魂が宿ることから祭祀に使うもの以外にはもともとはあまりクマなどは彫らなかった、木彫りのクマは大正以降の観光をうけてのもの・・・と先日読んだ"アイヌ文化と森"で書かれていた気がする。
うちにもあった気がするなぁ。


震災からの殺人事件について・・・
私たちは都合のいい頭をしていて
のど元過ぎれば熱さ忘れる宛ら、あの時には自粛だ停電だ、と、いろいろ騒いだのに
もうケロッとしている。
忘れるということは生きることで大事な機能ではあり、過去に縛られるのではなく、今を生きて、よりよい未来を望む・それにむけて生きていくことは大事なのだけれど。
記憶の奥にしまっておくことと、風化させることは違う。
3.11は今でもよく覚えていて、人生で初めて"あ、今日私はこうして死ぬのかもしれない"と思ったことも覚えている。(関東だったけど、割と高い階にいてそれくらい怖かった)
揺れが収まって建物に戻った後も、窓の外から港の工業地帯から火と煙が見えた。こわかった。ニュースもこわくて、いい年して一人で夜を過ごせなかった。
関東ですらそんななんだから、
東北の人は何百日、何年もそれ以上の恐怖とストレスとトラウマと哀しみと不安・・・

自然災害は人間にはどうすることもできない。
でも、被害を最小限にすること、対応の仕方、本当は防げた被害もあった点・・・そういうことの大切さを改めて日本国民が、世界が考えさせられた震災。
現地で任務、責任感から作業をされて被ばくされた東電の方をはじめ震災後に被災された方には頭が上がらない。
そのうえで、今回は上層部への怒りが殺人事件に発展してしまい・・・・・・

デモに関しては私も同じような気持ちを感じたことがある・・・
行動をして変えようとするのはすごいけど
BLMとか色々見ていて、このなかに"やってる自分に満足してる"人、どれくらいいるんだろうとか、思っちゃうんですよね。マイノリティになったことあるの?代弁してくれてるつもり?
どこか冷めた自分がいます。そう覚められるのは、アフリカンアメリカンの人が生死を覚悟するほどの社会的不条理を私が分かっていないからだろうか。


本書はフィクションだけど、2019年には元東電幹部への無罪判決が出た。
難しいことだし、本の感想から離れるのでここでは書かないけど、複雑な、なんとも言えない気持ちを感じた国民は多いはず。
私たちは東電のサービスを日々受け、リスクと隣り合わせに住む人たちのことは考えずに、あたりまえのように不便なく電気のある生活を送っているのだから。

原発とは異なるけど、私の住むニューヨーク州の田舎の一部地域ではNYCや州外からのごみを受け入れている。ごみから染み出た有毒物質により、ある種のがんの発生率が高いことから、最近とくに議論になっている。
私はその地域内ではないけど、そう遠くはないし、正直どうしてこの美しい地域がNYCのごみをうけいれなきゃならないんだよ、と頭に来る。NYCにいくと、ゴミが凄いんだ。そこにすむ人たちは(もちろん全員がそうではないけど)まるでファッションのようにエコを唱えるけど、なんだか胸糞悪いんだ。でも、私も首都圏にくらしていたから、人のことは言えないな。
そんなことを思い出した。

また脱線しましたが・・・

自然のもつ癒しの力の描写が素晴らしく、まるでその場にいるような感動を感じました。
山というのは、やはり神が住まう場所、神に近い場所なのだと思いました。
(このレビューを読み返しているときに、たまたま米良さんの"もののけ姫"がランダム再生で流れて、染み入りました。もののけ姫、何度観てもいいよなぁ・・・そしてこの歌詞すごいよなぁ。久石譲もすごいなぁ。)


'はんかくさい"、知らない方言?でしたが、結構使えそうな言葉です。温かみのある(冷淡ではない)言葉に思えました。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

章の区切りと前後半の悠とまさひこの回と読み易いと思うし内容が良いから止まらない 不夜城は未読で殺人バイオレンスホラーが読めない身体になってしまったので、読む事はないけど、きっとハラハラドキドキが続く物語なんだろうな、とはいえ推理小説しか読まず消えた巨人軍の西村京太郎はほぼ読んでいたけど、急に殺人を読んでいて吐気が来る嫌悪感義が出るのです。アイヌの勉強になり神を想う敬蔵の彫師の集中力の凄さ、悠のお兄ちゃんにおじいちゃんに家族になれたなる迄の1年間の記録が 5年後に帰る場面で終えて嬉しい 3人の像が部屋に置いてある 悠を抱きしめる お酒を断ち長生きする敬蔵 ホロっと来ました。青春18きっぷで川湯温泉に乗り換えで1時間滞在したこと思い出す。駅内に喫茶店あるのかな

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2024年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想
アイヌに誇りを持つ祖父、差別を嫌って街を出たい孫娘どちらの気持ちも分かる気がする。それぞれの立場での葛藤が描かれている。

話の合間に出てくる北海道の自然の素晴らしさと失われていく文化や自然とのバランスなど学ぶべきことも多い。

読んでいて、単純に北海道に行きたい!摩周湖の霧滝が見たい!つつじが原のお花畑が見たい!えぞ鹿肉のカレーが食べたい!あと、「はんかくさい」という方言も何となく気に入った。

久しぶりに読んで良かったと思える小説だった。心が温まった。

あらすじ
アイヌの木彫り職人の敬蔵は、両親を事故で亡くした孫娘の悠と二人暮らしだ。敬蔵は木彫りと酒飲みにしか興味がなく、悠はアイヌであることを嫌い、街の外の高校に行って、いずれは誰もアイヌであることを気にしない東京に行きたいと願っていた。

そんな敬蔵の元にある日弟子にして欲しいと尾崎という青年が現れる。尾崎には何か事情がありそうだが、近くで働きながら、木彫りを学ぶことになった。

尾崎は母を福島の仮説住宅で亡くしており、似た境遇の樹と健吾と出会う。最初はボランティアに精を出していたが、次第に東電の社長に責任を取らせるという話になり、計画を立てて、元社長を拉致して謝罪させるつもりが、誤って死なせてしまう。

尾崎の祖母が、実は敬蔵の妹であり、尾崎にもアイヌの血が流れていた。健吾が尾崎を追って、北海道に来たことにより、東電社長の殺害は敬蔵と悠の知るところとなり、一悶着あったが、尾崎とケンゴは自首する。この事件を通じて、敬蔵と悠は言いたいことが言いあえる本当の家族となった。

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2023年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

頑固な祖父と反抗的な孫。
あー先が読めるぞ。些細なことで孫が生意気なこと言って、爺ちゃんが怒鳴って、何日も口を聞かないとか…はいはい、幾度となく読みましたよこの展開…と思ってましたが大間違いでした。
頑固ではあるけどいつも悠のことを想ってる敬造、アイヌや敬蔵を嫌いだといいながらも感謝の気持ちを忘れない悠。言葉が足りなくともお互いが心の奥で想い合う所が、あぁ・・リアルな家族の形だなぁと感じた。
人は人を裁けないー。
雅比古は本当にはんかくさい事をしたけども、その答えに辿り着けたから”捕まるまで逃げる”のではなく”自首”を選んだのだろう。
最初から最後まで、3人が大好きでした。

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2023年04月06日

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アイヌの老若男女血縁者3人が夫々の経緯から一緒に生活をする中、個々の想い、罪の償いで離れ離れとなるもお互いの気持ちとアイヌ魂を深めて心を通じ合い最後は、一緒に暮らすハッピーエンドで親族の繋がりを描く

北海道の屈斜路に住む無骨でアイヌ魂を継承する平野敬蔵は、若い頃酒に呑まれアイヌの生活スタイルから周りと上手く渡り合えず妹、娘と出て行かれ1人暮らしの中、娘夫婦の残された孫娘の悠を引き取り木彫りを生業として一緒に暮らす。悠はアイヌである事から虐められて育つ生活から高校その先は家を出てアイヌ差別の無い生活を望む。そんな2人の生活に突然、雅比古と言う東京から来た青年が訪れて木彫りの弟子を願い、通いでの3人の生活が始まる。雅比古は、東北震災で母を亡くし東京で福島原発問題に不条理に憤りを持つ2人と知り合い東電社長を拉致するも意に反して殺してしまう。雅比古は自首する前に母の兄と思われる敬蔵に会いに行くも自分もアイヌの血が流れる確信を持つに連れ真剣に敬蔵の弟子となり継承したい気持ちが募る。最後は、逃げる共謀者を説得して共に捕まり5年の勤めを終えて敬蔵の待つ屈斜路に戻る。そこには、北大生となり卒業後は、あれだけ嫌っていた屈斜路に戻ると言う悠も居る。

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2022年09月02日

Posted by ブクログ

木彫りを通してアイヌの文化と言いますか、アイヌ魂を感じられるのが興味深く読みました。登場人物も魅力的ですし、展開も面白い。終わり方もいいです。

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2021年12月09日

Posted by ブクログ

若かりし頃友達と北海道旅行に行きアイヌの木彫りのお土産を買ったことを思い出しました。
熊に襲われたときはドキドキでした。敬蔵、悠、雅比古みな無事で良かった 最後の10ページほどは泣けました。良かったです。

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2021年09月14日

Posted by ブクログ

この世界は、とてもシンプルにできている。
北の大自然に囲まれたアイヌの思想が美しいのは、そのためだと思う。文中、山が合わない人は海を好む、とあったがまさにその通りだと思った。
出し抜いてのしあがって生きていく競争社会で、削られてしまう人間の本質を取り戻す手がかりだと思った。
「罪は神がさばく、人はただゆるすだけ」心に残る言葉だった

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2021年08月15日

Posted by ブクログ

羆もアイヌも迫害される謂われなど無い。
元々先に住んでいたのは私たちでは無いのだから。
唯一の被爆国であることを忘れて、原子力発電を止めないことも含めて、改めて人間の愚かさを感じさせる。
そんな中でも、心優しく生きる主人公たちの愛のお話です。
数少ない人にオススメしたくなる本でした。

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2021年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイヌとは縁もゆかりもなかった人たちが、木彫りを生業とするアイヌとの生活を通して自らの生き方を見つめ直していくのがおもしろかった。
展開が読めなくてドキドキするけど、登場人物たちがみんな不器用で、でも心があたたかくて、ホッとする。

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2021年07月21日

Posted by ブクログ

「はんかくさい」あほらしいとか、ばかくさいという意味以外にみずくさい、もどかしい時に使う言葉らしい。
決して人を罵倒するときに使う言葉ではなく、親しみと優しさが込められた言葉。

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2021年07月08日

Posted by ブクログ

絵画を見ているかのように色彩豊かな大自然が広がった。人は大切な人のために変われる。強くなれるし優しくなれる。アイヌの情熱が教えてくれた。

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2020年12月17日

Posted by ブクログ

馳星周『神の涙』実業之日本社文庫。

個人的に馳星周と言えば未だにノワール小説のイメージが強いのだが、最近はハートウォーミングな動物小説や社会問題への怒りを描いた小説などでも多くの傑作を書いている。

本作は差別を受けるアイヌ民族や福島第一原発事故の犠牲者といった弱い立場の人びとの存在を背景に家族小説という新たな分野に挑んだ作品である。非常に面白く、結末には感動した。

ある日、北海道の屈斜路湖の近くで孫娘の悠と二人でひっそりと慎ましく暮らすアイヌの木彫り作家・敬蔵の元に尾崎雅比古と名乗る若い男が現れ、敬蔵に弟子入りを志願する。最初は頑なに弟子入りを拒む敬蔵だったが、やがて雅比古の弟子入りを許す。

実は東京から殆ど身一つで北海道に渡って来た雅比古には誰にも明かせぬ過去があった。アイヌである自分の血を恥じて、都会に逃れようとする悠とアイヌにルーツを持ち、アイヌの文化を深く知ろうとする雅比古……

発端は大地震と大津波だったかも知れないが、原発事故という人災に責任を取らず、莫大な退職金と天下り先の子会社から巨額の報酬を貰い、海外に逃れた当時の電力会社の幹部たち。原発事故の後処理には莫大な税金が投下されたというのに……

勿論、原発の利権や交付金に目が眩み、悪魔に魂を売り渡した地元も自業自得といったところだろう。一方で他所の土地に危険な原発を作り、電力を浪費する人びとの存在も無視出来ない。東日本大震災の時、計画停電などの節電は僅か1ヶ月しかもたなかった。あれから10年、原発問題などもう遥か昔に風化してしまったようだ。

自然を愛し、自然を畏怖し、自然と共に生きるアイヌの人びとからすれば、こうした自然に逆らう人間の行為はおかしなものに見えることだろう。

本体価格830円
★★★★★

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2020年12月07日

Posted by ブクログ

ノワールではない、とても心温まる話。
家族は素敵です。

そしてアイヌの考え方も素敵です。
全てを受け入れる。
それは本当に難しいことです。
心を開いていく過程がとても良かった。

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2024年10月25日

Posted by ブクログ

自然を敬い厳寒のときも暖かなときも現実をそのまま受け入れて生きていくことの難しさと尊さ。物語としての面白さもテンポもよく読後感も暖かかった。

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

大自然の中でゆっくり時間が流れていく感じから
後半は急にスピードアップ
(読書ペースも)
先が見えない世の中で社会人人生も気がつけば後半(ゴールが移動するかもですが)
”今を感謝し楽しむこと”の再認識が出来ました

星は4.5

福島については、どちらかというと事業者側の目線となります、、

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2023年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイヌのことは、子供の頃、『コタンの口笛』で初めて知った。あとは国語の授業で金田一京助や知里真志保のことを聞いたのを朧げに覚えていて、吉村昭の『間宮林蔵』や川越宗一の『熱源』に登場するアイヌの人たちは鮮烈だった。孫がゴールデンカムイに夢中になっているのを知っているが読んだことはない。ともかく、この『神の涙』はミステリーであるから当然、今まで読んだことのある小説のどれとも違っていて、家族の有り様の描き方などがのちの『少年と犬』につながっていいくのだ。たぶん。

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2023年08月01日

Posted by ブクログ

人それぞれが抱える悩み、主観的にも客観的にもその悩みの大小など分からなくなるほどに圧倒的な存在感のある自然の雄大さがとにかく美しかったです。

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2022年11月16日

Posted by ブクログ

読みやすいし、ストーリーも面白かった。
幻想的な場面もイメージしやすかった。
たいていは、その状況を理解させたいばかりにくどい説明となる本が多いが、この馳さんの本はちょうど良かった。
アイヌの苦悩や魅力、福島の話と考えさせられるとても良い機会となった。
最後の展開は少し冷めたが。

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2021年04月07日

Posted by ブクログ

アイヌの地で暮らす木彫り作家の敬蔵と孫娘の悠。
そこにやってきた尾崎という若い男。
アイヌが和人(わじん)から虐げられ搾取された歴史と現在も残る差別、また東日本大震災、原発事故で傷ついた人々の苦しみと怒り、それらが登場人物たちに重くのしかかっているのだが、この3人は触れ合うことで少しずつ変化していく
読むほどに、北海道の自然と敬蔵の生き様に惹きつけられる気がする。
祈りと許し、とても心に残る作品でした。

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2021年03月09日

Posted by ブクログ

面白くて休日に一気読みした。作者は不夜城のイメージが強いけれど、真逆のソウルメイトのような家族愛に溢れている作品もある。初対面同士のやりとりで、どこの出身かを話題にすることが多いので、悠や雅比古のように自分の出生に疑問を感じたり差別を受ける側にいたら、不自由な社会だろな。。

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2025年01月23日

Posted by ブクログ

アイヌ民族であることに誇りを持つ彫刻家のおじいさんと、
その孫でアイヌ民族であることを隠したい女のコ。

旅行で訪れた、北海道のアイヌコタンのことを思い出しながら読みました。
アイヌコタンとは、アイヌ民族の村のこと。
異文化の雰囲気に内心ドキドキ。
手彫りの彫刻がびっしり並ぶお店に入りました。
そこで買った木彫りの人形は、今でも大切に手元にあります。
つくり手の温もりが伝わってくるよう。
また必ず行きたい、と記憶に強烈に残っています。 

アイヌ民族のことをもっと知りたい、と思う一冊でした(⁠^⁠^⁠)




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2023年10月28日

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