小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
あまりにも良すぎて、語り尽くせない……
短いのに、物語としても詩としても哲学としても、いっぱい心に訴えかけてきて、深く深く心を満たしてくれる。特に後半は、感極まって涙があふれてしまった。
この本の大切なメッセージは、シッダールタが川から聞いたこと、そして最後のゴーヴィンダとの会話だと思う。言葉にはできないので、言葉にせずに心にしまっておこうと思う。
物語でシッダールタが知っていったもの、教えや我慢や放蕩や愛の施しや執着……。それらは、大きな川全体の一部の完全な瞬間だった。
読者である自分も、例えば「避けたいな」「避けたかったな」と思う出来事や状況を、そんな見方に変えられるのかもしれない。
シッダールタがそんな見方を手に入れたのは、彼が観念的な真理だけでなく、いま目の前に見えている世界を蔑ろにしなくなったからだと思う。ほんとうにこういう生き方をしたい、と思った。
シッダールタの物語だけれど、この本でいちばんお気に入りなのは、後半で出会う渡し守。シッダールタが彼に心の内を話していくように、自分自身の心のことも同じように受け入れてくれたような気がする。
この作品を読んだのは、手塚訳に続いて2回目。最新の訳なのでとても読みやすかったし、巻末に載っている翻訳のこだわりについての記載もおもしろかった。 -
Posted by ブクログ
一般の人の、日記の抜粋から、戦争の悲劇が身近に、強く伝わってきた。
当時の、軍、政府、皇室、メディアが一体となって、国民を戦争へ駆り立てて行く様子が、生々しく、ゾッとした。
当時の人たちの日記や手紙から、ただ家族と過ごしたい、生きたいという気持ちが、端々にうかがえる。
そこが根底にあり、戦うモチベーションを上げていることがわかり、とてもかなしい気持ちになった。
みんな死にたくないし、愛する人たちとできるだけ長く過ごしたいと強く思っていた。
その気持ちを、戦争は巧みに利用している。
現代はインターネットが普及し、SNSで些細な感情を吐露することも簡単だ。
ゆえに、フェイクやデマ、煽動もとても簡単だ。
今、世界のあちこちで大きな戦争が起きており、とても危険な状況だと感じる。
まずは、自分ができることをやってみようと思う。
まず、思考を止めないこと。
SNSでの投稿を鵜呑みにしない。
その発言をしている人に私は実際に会ったこともなく、性別年齢すらも知らない。
なのに、なぜ信じてしまうのか?
多くの人がいいねし、バズっているから?
プロパガンダが簡単に広められる。SNSの怖さ。
少し前の私は、こんな世界情勢の中、自国も核を持ち、防衛力を上げていかないと危険だと強く信じていた。愛する人たちを守るためには。
でもこの本を読んで、また、夏に広島の原爆記念館を訪れ、その考えが揺らいでいる。
強化した防衛力や核を、人間は正しく使用できるのか?
明らかな負け戦に、なぜ、10代の若者たちに特攻までさせ、原爆を2つも投下されるまで、終わらせることができなかったのか。
この本を読み、責任所在のあいまいさ、戦争の目的、戦争後のビジョン、すべてがはっきりせず、欠けていたと知り、現代の国の政治、会社組織にもあてはまると感じた。
どうしたらいいんだろう。
はっきり言えることは、大好きな人たちと、平和に日常を暮らしたいということ。
戦争は、一般市民には災厄しかないということ。
自分は心から何を望むのか。
問い続けること、声をあげることはとても重要だということ。
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1901年から、満州の広大な土地を巡ってさまざまな思惑が動いていく物語。
歴史上の出来事をもとに、その中で生きる人々が歴史の教科書のように平面でなく、立体的に浮かび上がってくるようで、ゾワゾワした。
そこに理想郷を築き上げようとした日本人。
あくまで満州国として現地の人々が統治することを望み、日本に石炭を輸入してもらおうとするが
軍はそうはしなかった。
日本が奪い取った土地で日本人がなにをしてもいいだろう!現地のものには働き口を与え、住まわしてやる!くらいの勢い。
やがて大きな戦争をひきおこし、最悪の結末になることも知らずに‥
後半が楽しみ。
はたして、須野明男はどんなことに関わってくるのか?
いままで亡くなっていった人々の思いは繋がっていくのか?
ただ1人教会を守り続け、誰であろうと助け続ける牧師に未来はあるのか? -
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20年ぶりの再読
人生の時間は、
長いようで短く、短いようで長い。
あの時、目の前の人と向き合えたなら。
あの日、あの言葉を言わなければ。
Kは、自分の理想と現実の狭間で思い悩み自ら命を断つ。
先生は、友を追い詰めた自責の念と、その思いと共に生き続けることが出来ず死を選ぶ。
私は、今まさに亡くならんとする父と遺書を送り付けてきた先生の間で葛藤する。
高校生の頃は、先生やKや御嬢さんと近い目線で三角関係のお話だと思っていたのに。
自分の人生を誰かへ語り残したくなる先生、卒業証書を見て満足した私の父、胸のうちを明かしてもらえないと思いながらも夫の側に居続けた妻。
たくさんの幸福とたくさんの後悔を抱えて、
生きてゆけるひと。
生きてゆけぬひと。
きっと、どちらも人間の自然な姿なのだ。
それにしても、
私、先生、K、御嬢さん、父母、兄妹、と。
名前が一つも出てこないところもまたとんでもないのである。 -
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ネタバレ良かった点
19年にわたる壮大な物語
亮司と雪穂の視点を直接描かない独特の構成
事件の謎と人間ドラマが融合している
読み終えた後も二人の関係について考えさせられる
気になった点
長編作品のため、読み進めるのに時間がかかる
主人公の心情が直接描かれず、解釈が難しい場面がある
犯罪の積み重ねが重く、読者によっては精神的な負担を感じる可能性がある
まとめ|『白夜行』は、二人の人生をどう受け止めるかが問われる作品
東野圭吾さんの『白夜行』は、殺人事件の真相を追うミステリーでありながら、亮司と雪穂の人生そのものを描いた作品です。
二人は幼い頃に出会い、互いの存在を抱えながら生きていきます。
しかし、その関係は罪と犠牲によって支えられていました。
そして、最後に亮司は命を落とし、雪穂はその場を去ります。
この結末が意味するものは、読者によって異なるでしょう。
二人の間に愛情があったのか。
それとも、罪と依存によって結びついていただけなのか。
作品は明確な答えを示しません。
だからこそ、読み終わった後も二人の人生について考え続けてしまいます。
『白夜行』は、読者の心に長く残る、重厚なミステリー小説です。
ミステリーが好きな方はもちろん、人間の心の闇や、愛情と罪の複雑な関係を描いた作品が好きな方にもおすすめしたい一冊です。 -
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村山由佳さん著「DANGER」
現時点での著者の最新作にあたる作品。
この作品、凄く丁寧に作られている。
まず文字のフォント。
過去と現在(現在と言えど1990年代)の二時代が平行して描かれていく中で書体のフォントを使い分けしながら、ある局面では全ての行の段を上下一文字ずつ排除する事で、どの時代の誰目線の物なのかと強調している。
物語もさることながら、この1冊に絡む校正校閲や出版社の方々のアイディアと力量が凄いと感じさせられた。
物語も素晴らしい。
戦争が大きく関わる物語。
当然生死が一番大きく関わってくるのだが、その時代のその土地での日本軍の生き方、女性の生き方、現地人やロシア人の関わり等々。
戦争が終わったにも関わらず、内地にいた一般人達が味わったであろうその屈辱や痛み、苦しみ、悲しみが凄く伝わってくる。
戦争を題材とした小説は結構読んできているがこの作品は一味違う。
戦争が終わり、自分達はどうなってしまうのか?
遠く離れた土地で異なる言葉や文化、同じ境遇の仲間も徐々に失っていく中で果たして日本に帰れるのか?
捕虜として暮らす生々しさ。
辛さ、寒さ、貧しさ、不安さ…
極僅かに、時に感じられる喜びの瞬間…
もし自分がその立場だったらと想像してみても、自分自身の実体験としっかりと落とし込む覚悟すらないことに気付く。
とんでもない過酷さであり環境下だ。
この作品の異質さを強く感じさせられた。
そもそも捕虜として囚われたその時代を生々しく描いた作品は意外と少ないのではないだろうか?
そしてタイトル、果たして「DANGER」とはなんだろうか?
過去に戦争に携わった方々の生身の言葉に触れ、戦争を知らない世代が戦争がない時代に生きている事に幸せを噛み締める。
それは知見を得て比較してこそ強烈に噛み締められる幸せの味。
何一つ知ろうともしないで幸せを語る人は見る人から見れば的外れ。時に「DANGER」だろう。
幸せに対義する、正反対にあるものを知らない、知ろうともしないのだから幸せという言葉自体の意味が軽い。
正反対の物を知れば知るほど幸せという物に対して深さでの比較ができ、幸せと感じられる味わいも格段に違うだろう。
そうした辛い経験をした方々に対して、または幸せの対義を知っている方々に対して、自身の理想論的な幸福論を振りかざす、その浅はかな心や言動がなによりも「DANGER」なのではないだろうか?
自分のこじつけかもだがそう感じた。
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