アルトゥール・ショーペンハウアーの作品一覧
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【第一章】人間の三つの根本規定 まとめ
一.人のあり方人柄。
→健康、力、美、気質、道徳的性格、知性
二.人の有するもの、あらゆる意味での所有物。
三.人の印象の与え方。
→名誉。人からどう見られるか
【フレーズ】
・内面的な富をもっていれば、運命に対してさほど大きな要求はしないものである。
・平
...続きを読む民も奴隷も征服者も 本音を吐かせりゃ、昔も今も、人と生まれて最大の幸福は 人柄に帰する
byゲーテ 西東詩集
【格偉人達の"物"に対する考え】
・ソクラテス
→「私に用のないものがずいぶんあるのだな」
・ホラーティウス
→ 「持たぬ人は多いけど、見向きもせぬ人は少ない」
・人生の幸福にとっては、我々のあり方、すなわち人柄こそ、文句なしに第一の要件であり、最も本質的に重要なものである。
・人柄のもつ価値は絶対的な価値だということができる。
・道徳的性格のみは、時の力でも如何ともしがたい。
【どういう生き方が理想的か】
・与えられた人柄を最大限に活用するだけである。
したがって柄に合った計画だけに努力を集中し、柄に応じた修行の道に励み、他のいっさいの道を避け、柄にぴったりとくる地位や仕事や生き方を選ぶことである。
・富の獲得に努力するよりも、健康の維持と能力の陶冶とを目標に努力したほうが賢明だということも明らかである。
・人の有するものよりも、人としてのあり方のほうが、我々の幸福に寄与することがはるかに大であるにちがいない。
【第二章】人のあり方について まとめ
・どんな場合にも肝心なのは、人のあり方、したがって人の本来有するものである。
けだし人の個性は終始一貫どこまでも人につきまとい、人の体験する物事はすべて個性に色どられるからである。
・健全な身体に宿る健全な精神が、我々の幸福のためには第一の最も重要な財産である。だから我々は外部的な財宝や外部的な名誉を得ようと努力するよりは、以下の維持増進にうんと力を入れた方がよかろう。
★『優れた性格と有能な頭脳と楽天的な気質と明朗な心と健康そのもののような頑丈な体格、要するに健全な身体に宿る健全な精神』
・種々の財宝のうちで最も直接的に我々を幸福にしてくれるのは、心の朗らかさである。なぜかといえば、このような長所は他の何物を持つまでもなく、この長所そのものによって報いられるからだ。
・だから何よりもまず高度の完全な健康を得て、そこから朗らかさが花と咲き出るように心がけるがよかろう。
・日々適当な運動をしなければ、健康を維持することができない。
→「生命は運動にある」アリストテレス
・全般的に見て、我々の幸福の9割が健康に基づいている。
→むしろ健康よりも一切を軽く見なければならない。
★孤独について
・内面の空虚から生ずるのが、ありとあらゆる種類の社交や娯楽や遊興や奢侈を求める心である。これがために多くの人が浪費に走り、やがて貧困に落ちるのである。こうした貧困を最も安全に防ぐ道は、"内面の富"、精神の富である。なぜかといえば精神の富は、それが優秀の域に近づけば近づくほど、退屈のはびこる余地を残さないからである。ところで思想の汲めども尽きぬ活発な動き、内面の世界、外面の世界の千差万別の現象に触れて絶えず新たに湧き起こる思想の流動、思想の時々刻々に異なった結合を生み出す能力と、これを生み出さずにはいられない衝動、といったようなことのために、緊張の弛緩した数刻の刹那はともかくとして、優れた頭脳は全く退屈知らずである。
ところが他方、高度の知性は高度の刺激感覚を直接の条件とし、意志、ひいては情熱の人一倍の激しさを根本としている。このような結びつきのために、すべての感情が他の人よりははるかに強く、精神的な苦痛はいうまでもなく肉体的な苦痛に対する感受性が高まり、どんな障害に対しても、いやほんの邪魔がはいったというだけでも、人一倍我慢ができない。そのうえ、想像力が旺盛であるためにいっさいの想念が強烈となり、したがって自己の嫌悪する想念も強烈なために、右の傾向がいやが上にも高められる。
才能に富む人間は何よりもまず苦痛のないように、痛めつけられることのないように努め、安静と時間の余裕とを求める。
そのために静かでつつましやかな、しかも誘惑のなるべく少ない生き方を求め、したがって、いわゆる世の常の人間というものに多少近付きになってからは、むしろ隠遁閑居を好み、ことに精神の優れた人であってみれば、いっそ孤独をすら選ぶであろう。それはそのはずだ。人の本来具有するものが大であればあるほど、外部から必要とするものはそれだけ少なくて済み、自分以外の人間というものにはそれだけ重きを置かなくてもよいわけである。だから精神が優れていれば、それだけ非社交的になる。
・凡人は娯楽と社交を求め、何よりもまず自己から逃れたい一心がはたらく。孤独の状態にある時には、各自の本来有するものが正体をあらわしてくる。この世では孤独と共同生活とのいずれかを選ぶかということ以外に格別の生き方もないからである。
★人間の内面にこそ湧く"幸福の源泉"
・内面の富を十分に持ち、自分を慰める上に外部からはほとんどあるいは全然何物をも必要としない人間が、1番幸福である。
・今独りになっているのはどういう人物かということが物を言うわけだ。
・優れた豊かな個性を持ち、とりわけ豊かな精神を持つということは、それが最も輝かしい持ち分からどういう展開を成し遂げたにしても、このような人間としては、最も幸福な持ち分に違いない。
・それに必要な条件は、独立と余暇である。
だから、そういう人は他の人とは違って、享楽の外部的な源泉に頼る必要がないだけに、節度・節約によってこの条件を獲得しようとするであろう。
・すなわち、あらゆる外部的な快楽のために自己の安静と余暇と独立を無くすことこそ、愚の骨頂である。
「幸福は余暇にある」アリストテレス
【第四章】人の与える印象について まとめ
・他人の目を気にすることほどくだらないものはない。
・結婚は互いに利害関係が一致すればすれば良く、それは打算的でよろしい。
・妻に不倫された男性は、男性が妻の有責を責め、少なくとも離別を持って罰することを要求する。
・幸福は思想そのものにあった。
このような幸福は自分の手から奪い取られるということがない。この幸福は「我々の手元にあるもの」これに反して、単に名声の幸福は「我々の手元にないもの」である。
【第五章】訓話と金言 まとめ
・最も幸福な運勢の人は、精神的にも肉体的にもそう極端に激しい苦痛を知らずに一生を過ごす人であって、最大級の激しい喜びや大きな享楽。授けられた人ではない。
→苦痛は積極的・肯定的に感じられ、したがって、苦痛のない事は、人生の幸福を図る物差しである。苦痛のない状態にあって、しかも退屈がなければ、大体において地上の幸福を達成したものと見て良い。
・どんなに心が痛んでも、今は過ぎたこととしておこう。どんなに辛くても。はやる心を沈めよう。未来の事は神々の懐にある。と考えること。
「その日、その日を一生と見よ」セネカ
★つまり、この唯一の現実的な時をできるだけ楽しいものにすること。
★幸福のためになる金言★
⚫︎すべての物事を局限(制限)すること
→苦悩は積極的だが、幸福は消極的だから。
⚫︎自ら孤独になり、自己に満足する生き方(思想を持つ)をすること
→孤独を愛さない者は、自由をも愛さないということ。
→精神の孤独に応じて身体的にも孤独(妻子のないこと)であれば、それこそ願ってもないことである。
→健康の次に最も貴重なこの地上の財宝は、孤独のうちにのみ求めることができる。
→人の本来有するものが多ければ、その人にとって他人の有する価値はそれだけ少ないわけである。
→知的水準の高い人は、孤独によって2つのメリットを与えられる。1つは自分自身を相手としていると言う利益であり、もう一つは他人を相手としていないと言う利益である。
→我々の苦悩のほとんど全部が社交会から生じるものであり、健康について我々の幸福の最も本質的な要素を出す精神の平成ということが、ちょっとした社交の為にも危うくされ、したがって相当程度の孤独がなければ存立し得ないものなのだから、それだけの理由から考えてみても、社交会を必要としないほどのものを、本来は神に備えていると言う事は、大きな幸福である
→従って早くから孤独になじみ、まして孤独を愛するところまで来た人は、金鉱を手に入れたようなものだ。孤独によって、人間はいわば原始人アダムとして、自己の本性に合致した原始的な幸福に立ち戻らされるわけである。
→ことに若い時から孤独に馴染んできたのであれば、孤立して自己自身を友とする習慣が加わってきて、第二の天性となっている。
⚫︎無駄な酒飲みや社交を求めるべきではない
→人間が社交的になるのは、孤独に耐えられず、孤独の中で自分自身に耐えられないからである。そういう人の精神には、独自な運動を自ら掴むだけの原動力が不足している。だから、酒を飲んでその原動力を高めようとする。こうした方法でついには本当の呑んべえになってしまうものが多い。そうなると、かえってそのために外部からの不断の刺激が必要になる。それも最も強烈な刺激、すなわち自分らと同類の呑んべえによる刺激が必要になる。
→この世で1番悪いものは、何といっても社交会だ。社交好きと言われるフランス人でありながら、ヴォルテールでさえも「この地上には口を聞くだけの値打ちもないような人たちがうようよしている」と言わずにはいられなかった。
⚫︎計画は、これを実行に移す前に、ゆっくりと再思三考するがよい。
⚫︎既に不幸な事件が起きてしまった場合、したがって、今更どうにもならない場合、こんなにならなくても済んだかもしれないとか、ましてやどうしたら未然に防げたかだろうかなどということは、考えてもみないくらいにすれば良い。そんなことを考えたりすれば、かえって苦痛を増して、どうにもやりきれなくなるかもしれない。その結果は、自分で自分を苦しめるばかりだ。すべて何事かが起きるのは、必然に起きるのだから、防ぐことはできないのだ、と言う大哲理を洞察して、宿命論の立場にのがれるがよい。
⚫︎朝の時間を有効に使え。
→朝は1日のうちでは青春時代に相当し、全てが朗らかで清々しく、軽快である。
⚫︎適度な筋トレと運動を習慣とし、心身が疲れたらしっかり労わろう。
⚫︎他人との接し方について
→多くの個性に接することをいつまでも避けていられる人は幸福というべきである。
→人の行為に腹を立てるのは行く手に転がってきた石に腹を立てるのと全く同じ愚かさである。
→相手によっては、「性質を変えるわけにはいかぬが、まぁ利用してやろう」と考えるのが、いちばん賢明な場合が少なくない。
→知り合ったばかりの人間を非常によい人間だと思ったりしないように、細心の注意を払うがよい。
→何事によらず気取ったり、ぶったりするな。
→なるべく誰にも腹を立てぬがよい。けれども人の性格は変わらないものだということを常に確信しておけ。
→「愛しもせねば憎みもせぬ」「何も言わず何も信じない」
→怒りでも憎しみでも言葉や感情に表すのは、無益である。危険である。愚かである。笑止である。低級である。だから、怒りでも憎しみでも行為に表す以外に、決して表してはならない。言葉や表情に表すことを完全に避けていれば、それだけ完全に行為に表すことができる。
→どんな出来事にも、いきなり大喜びをしたり、わめき苦しんだりせぬがよい。我々にとっては、何が有利か何が不利かの判断に欺かれることがあり得るからである。自分のわめき悲しんだ出来事が、後から見ると、自分にとって真にに最善のものであったり、大喜びした出来事が、最大の苦悩の元になっていたりする事は、ほとんど誰もが経験することだが、これは事物の変化と判断が我々を欺くことに伴う結果である。
【第六章】年齢の差異について まとめ
⚫︎人付き合いが煩わしくなくなる
→青年時代には、ドアの呼鈴が鳴ると楽しい気持ちになったものだ。どうやら来てくれたようだな、と思ったからだ。ところが後年になると、同じドアの呼鈴にも、私の感じをむしろ多少恐怖に似たものになった。さぁ来やがったぞ、と思ったからだ。才能のある優れた個人は才能があり、優れていればこそ、本当に人間の世界から属してきっていない。
人間世界に対して2つの感じ方がある。
青年期にはしばしば人間界から見捨てられているような感じがする。ところが後年になると人間世界を逃れているような感じがする。前者は嫌な感じである。この感じは人間世界を知らないことに基づいている。後者は心地よい感じである。この感じは人間世界を知っていることに基づいている。
老年期になると、現実世界からは何一つ得ることができないのだということがわかり、この洞察にすっかり安住してどんな現在でも、どうにかこうにか我慢ができさえすれば、これを享楽し些細なことにも喜びを感じるのである。
→何らかの意味で優れた人すなわち人類の6分の5を占める才能の貧しい分類にはともかく、属さない人は40歳を過ぎれば人間嫌いの徴候をまず逃れることはできまい。
→独自の認識、すなわち独創的な根本見解の素材は既に青年期に集められる。すなわち、優れた精神が自己の使命に従って世間に寄与するのは、つとに青年期に収集したものである。けれども、自己の持つ素材を使い壊すのは後年なってからである。したがって大抵の場合優れた著述家が傑作を発表するのは50歳前後ということが知られるであろう。
→青年は空漠として捕まえどころのないものを求める。欲望と憧れに胸を膨らませている。この欲望と憧れのために、青年は幸福に欠くことのできない平静を奪われる。
→老人になってもまだ研究力があり音楽や芝居を好み、総じて外部のものに対するある種の感受力が残っていれば、幸せである。
Posted by ブクログ
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大人になるにつれ、幸せについて考えることが増えて、でもそれがうまく言葉で定義できず、哲学者の力を借りようと思い読み始めました。自分の考えてる幸せと答え合わせもできてとても良かったです。重なる部分もあれば、そうかな?と思う部分もあり、読むのに少し時間がかかってしまいましたが個人的にはとても学びがあった
...続きを読む本でした^^バイブルとして何度も読み返したい。
Posted by ブクログ
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ショーペンハウアーの思想を筆者の意見を出来るだけ交えず簡単に説明された本
ショーペンハウアー入門に最適である
Posted by ブクログ
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ショーペンハウアーの哲学。
筆者は特任教授を務める梅田孝太博士。
専門は哲学・倫理学、クリティカルシンキング。
ショーペンハウアーの哲学は2冊目だが、1冊目は正直あたまに入ってこなかったし上澄を舐めただけのようなもので自分には響かないものだった。
ショーペンハウアーと言えば幸せについてのようだが、
...続きを読む幸せの裏側や側面には孤独があり、今回読もうと思うきっかけは孤独についてであった。
そんなきっかけで、たまたま手にした梅田孝太氏の著書だが思いのほか良かった。いや、私にはとても良かった。
いきなり哲学ではなく、ショーペンハウアーの生い立ちと人となり、人との関わりと哲学、ここから入っており哲学は少なめである。
少なめとは言え、深掘りしたいテーマや興味を持つものはショーペンハウアーの著書を読んでみたいとなるはずだから、その方向性はそれでよろしかろう。
おわりに、とある最後は、著者のあとがきだが、それがまた良かった。
少なめなな文量も良いが、それで良いんだよと背中をボンとされたようで肯定感に満たされる。
この後、ショーペンハウアーの「孤独と人生」を読むが、とても良い足がかりになったと言える。
Posted by ブクログ
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中年にもなり、会社生活定年も見える年になると、自分の生きざまを振り返り、哲学に教えを請いたくなるものだ。
ずいぶん前のWBS スミスの本棚で紹介されていて、その後すぐ購入した。その番組後、この本は注目され一気に注文が殺到したとも聞いた。ずいぶん温めて、読んだもんだ・・・
さすがは哲学者、どう生きるか
...続きを読むを教えてくれる。
・幸福になるというのはなるべく不幸にならないということ。大きな不幸がない人は幸福だという。
・真の勝者は、名誉を争う諍いで攻撃されたら、無視する。
・不合理なことに絶望するのは良くない。後々、問題は再検討を受け、論究の的となり大抵結局正しい判断が下される。
・なるべく誰にも腹を立てぬが良い。人の性格は変わらないものだ。
とは言え、ショウペンハウエルさん、結構偏見じみた考えもしてるのよ・・・
・見た目と虚栄に取り憑かれたフランス人 とか
・貴族男子が貧しい女性と一緒になると、金、持ち物を持って行かれるだけだからやめた方が良い とか
老人になると、人生の積み重ねた学びや好色の衰えから、孤独に向き合えるようになる、とか・・・
時代的には許されないようなコメントもしているけど、それもこれも含め、ちょっと偏屈哲学者が人生語った著として、また読み返したい。
Posted by ブクログ
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