あらすじ
幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。がそうは悟れない。この悟れない人間を悟れないままに、幸福の夢を追わせつつ救済しよう。人生はこの意味では喜劇であり戯曲である。従ってこれを導く人生論も、諷刺的、ユーモア的にならざるをえない。本書は厭世哲学者といわれる著者が、豊富な引用文と平明な表現で人生の意義を説き幸福を教える名随筆「処世術箴言」の全訳である。
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Posted by ブクログ
大人になるにつれ、幸せについて考えることが増えて、でもそれがうまく言葉で定義できず、哲学者の力を借りようと思い読み始めました。自分の考えてる幸せと答え合わせもできてとても良かったです。重なる部分もあれば、そうかな?と思う部分もあり、読むのに少し時間がかかってしまいましたが個人的にはとても学びがあった本でした^^バイブルとして何度も読み返したい。
Posted by ブクログ
中年にもなり、会社生活定年も見える年になると、自分の生きざまを振り返り、哲学に教えを請いたくなるものだ。
ずいぶん前のWBS スミスの本棚で紹介されていて、その後すぐ購入した。その番組後、この本は注目され一気に注文が殺到したとも聞いた。ずいぶん温めて、読んだもんだ・・・
さすがは哲学者、どう生きるかを教えてくれる。
・幸福になるというのはなるべく不幸にならないということ。大きな不幸がない人は幸福だという。
・真の勝者は、名誉を争う諍いで攻撃されたら、無視する。
・不合理なことに絶望するのは良くない。後々、問題は再検討を受け、論究の的となり大抵結局正しい判断が下される。
・なるべく誰にも腹を立てぬが良い。人の性格は変わらないものだ。
とは言え、ショウペンハウエルさん、結構偏見じみた考えもしてるのよ・・・
・見た目と虚栄に取り憑かれたフランス人 とか
・貴族男子が貧しい女性と一緒になると、金、持ち物を持って行かれるだけだからやめた方が良い とか
老人になると、人生の積み重ねた学びや好色の衰えから、孤独に向き合えるようになる、とか・・・
時代的には許されないようなコメントもしているけど、それもこれも含め、ちょっと偏屈哲学者が人生語った著として、また読み返したい。
Posted by ブクログ
ショーペンハウアーは十九世紀のドイツの哲学者であり『意志と表象としての世界』という浩瀚な哲学書も残している。だが彼の名を世に知らしめたのは『パルエルガ・ウント・パラリポメナ』と題された数々の随想集であった。本書はその中の最大編「処世術箴言(生活の知恵のためのアフォリズム)」の全訳であり、名文家ショーペンハウアーの魅力を余すところなく伝える好著となっている。
ショーペンハウアーは人生の価値を「人のあり方」「人の有するもの」「人の与える印象」の三つに分け、「人のあり方」に絶対的な価値を置く。「大抵の人が自己の本質そのものよりも、他人の頭脳に映じた自己の本質の映像にむしろ関心をもっている」という皮肉は、現代社会でも充分通用するであろう。そして他人の目を気にしない自己が行き着く場所は必然的に孤独の境地となる。「早くから孤独になじみ、まして孤独を愛するところまできた人は、金鉱を手に入れたようなものだ」とショーペンハウアーは言う。
主著『意志と表象としての世界』で「意志の否定」を説いたショーペンハウアーが、あるはずのない幸福を求めて人生訓を語っている。妥協の産物に過ぎない本書を鵜呑みにしないよう注意する必要はあるが、決して嘘が書かれているわけではなく、特に「第五章 訓話と金言」はうなずかされることしきりである。
リズム感あふれる翻訳も素晴らしく、全集版よりもはるかに読みやすい。ショーペンハウアー入門として恰好の書であり、興味を持った読者の手が主著『意志と表象としての世界』へと伸びることを期待したい。
Posted by ブクログ
人は不幸になったら急に過去の平凡な日々を憧れる…つまり、何事もなく終わった一日を幸せと思えるかどうか、これがこの本の要点だったと思います。
視点を変えれば基本的に私たちは幸福な毎日を過ごしていたのですね。
Posted by ブクログ
スミスの本棚で本谷有希子が勧めていて
興味を持って読んだ。
ショーペンハウアーと言えば哲学者だが
この本は非常に読みやすい。
幸福に関する考察はとても的を得ているので
目から鱗の箇所が多かった。
彼自身について言えば晩年は幸福ではなかったので、後半は少し陰鬱な感じはあるが多くの事を学べる本。
Posted by ブクログ
購入してから随分長い間積読状態だったが、いざ読み始めたらその面白さに一気に読み切ってしまった。
人生を知り尽くしたとでも言わんばかりの的確な考察が多く、現代でも十分に通用する。とても160年も前に書かれたものとは思えない。曰く『幸福に対する二大敵手が苦痛と退屈』、曰く『他人の意識のなかに起きることなど(中略)どうあってもかまわない性質のもの』などなど。ところどころに現れる毒のある表現にもニヤッとさせられる。
全体として”一切皆苦”に代表される仏教的な考え方が強いと感じながら読み進めたが、解説を読んでその謎が解けた。
久しぶりに良書に出会えた。
Posted by ブクログ
幸福とはなにか、伝えていることはシンプルだが、シンプルなことほど伝わりにくい。長く丁寧な文章の繰り返しで、筆者の思うことを伝えようとしている。
随所にあふれるシニカルな表現が心地よい。
Posted by ブクログ
職場や友人などの人間関係の悩ましさについて、あれやこれや愚痴っていたら、「これを読むといいよ。きっと今のお前に響くことがたくさん書いてあるから」と、父が私に差し出した本。。。差し出されて、即効で数ページ流し読みしてから、ぐいぐいと世界に引き込まれ、まるで、たった今の私のためにあるような本ではないかっ!と、うなづいたり、開眼したりしながら夢中で読んだ。初めて出会った、自分にしっくり来る哲学書。この本に響いた人たちとなら、本当の意味で親しくなれる気がする。
Posted by ブクログ
30歳を過ぎた頃に読むと、その後の人生が変わるかもしれない本だと思う。それ以前に読んでおくのも良いと思うが、それが本書に記されていることを行動として起こせるのだろうかと思ってしまう。30にもなれば、人生についてある程度の見解が開けてくる。その中で本書に出会うことで、さらに人生に幅を持たせ人間らしい人生を歩んでゆけるのではないかと思う。ただ著者に真似て言うならば、読んだからと言って変われるひとばかりではないと言うことだと思う。
Posted by ブクログ
頭に思い浮かんだことをダーッとすべて書きなぐったような面白い文章。文章を書きながら思考が猛スピードで止まらずアドレナリンが出ているのが伝わる。凄く独りよがりな感じで、私は結構好きだった。たまにこの没入感に浸る為に手に取ります。
Posted by ブクログ
精神の貧困と空虚とから起きる『退屈』。そこを埋めようと招き入れてしまう『不幸』。 教養を積み、精神の「貧困」を解消する事が真の「富裕」 なによりも、健康に勝る幸福なし。“外部評価を得ようとする『虚栄心』ではなく、内発的な自分自身に対する評価を持つ『誇り』を。” 突き詰めると、『孤独へのススメ』と読めなくもない。。 読後から少し時間が経っても未消化の部分は多いが、心に留めようと貼った付箋の数もまた多い一冊。
Posted by ブクログ
哲学者だけど、哲学になじみがない人に向けて書いたそうなので、読みやすい。何度も読みたくなる本でした。「幸福は人間の一大迷妄である」と裏表紙にはある。かといって、それを求めることを否定していない。ただ、どんな幸福を求めるべきか、そしてそのための我が身のあり方はどのようにするべきかを説いている。ちょっと長ったらしいなと思う点もあるが、そこは老人の繰り言ということで。
Posted by ブクログ
晩年の著書『筆のすさびと落穂拾い』の『処世術箴言』という編がこの書にあたる。
内容が濃いこともあり、全体の流れを掴むのに二度、何かしら自らの生活に生かそうと思えば三度は読む必要があるかも。
彼のは、幸福を求めるより不幸を避けるべきであるという考え方。
だから享楽を求めたり、期待しすぎてはいけない。
これは結構大事なことだと思います。
Posted by ブクログ
徹底的に斜に構えた姿勢の割に、とても誠実な読者への姿勢に、くすりと笑える一冊。
和訳もよいのだろうか、とても読ませる文体だった。
人間の悩みの時代を越えた普遍性に気づいて、少し心が軽くなる。
Posted by ブクログ
頭の中のもやもやをハッキリと書いてくれていて、とても助かった本。
虚栄心と誇りが違うこと。喜びはなんてことない時に起こるもの。享楽は消極的な意味合いなどなど。
孤独を感じる時、苦痛を感じている時、「でもこれがいいんだ!」と思わせてくれる一冊。
Posted by ブクログ
三ヶ月ぐらいかけてゆっくり堪能。徹底した厭世ぶり。人が幸福なのは不幸でない状態だとする彼の考え方は自分のそれと同じため、読んでいて気持ちよかったです。
快楽や物質や名誉を得るよりも苦痛を回避するべき。それはこの本に書かれていることであり、自分が普段実践しちゃってることです。そのため筆者によれば自分は幸福なはずです。そうなのかな。ふむ。そうなのかもしれない。
でもでも顧みれば自分が失ってしまったものはあまりにも多い気がします。幸せなぶぶもあればそうじゃない部分もありますね。幸せなんてやっぱり定義しにくいですね。
なかなか興味深かったです。
ショーペンハウアーの孤独は言い訳がましいな。
Posted by ブクログ
哲学書を読む楽しみは、個人的に二つあります。
ひとつは自分が何度か考えたことのある問題を、名のある哲学者たちも考えたことがあったのだと発見すること。
もうひとつは自分がこれまで一度も考えたことがない問題を指摘され、世界の見方が一変するときです。
本書は前者に当たります。
幸福は「モノの所有」と「他者との関係」では規定できません。
欲しいモノを手に入れたとしても、手に入れた途端、また新たに欲しいモノが出てきます。いて欲しい人と望ましい関係を築いても、また別の人との関係を望むようになります。
しかも病気になってしまえば、欲しいモノや築きたい人間関係以前に、ただただ健康であることを望むようになります。
モノの所有にしても人との関係にしても、常に相対化されてしまい、際限がありません。幸福であることの絶対的な条件を考えるとき、人やモノなど、自分の外部の状態によっては幸福を規定することはできず、外部がどんなに理想的な状態でも幸福であるとはいえません。
ショーペンハウアーは、幸福を、享楽が大きいことではなく、苦痛がより少ない状態だと指摘します。苦痛を少なくするには、社交的であるよりも孤独である方がよく、才能に優れた人なら、孤独であっても退屈とは無縁で、自足することができると説いています。
才能無き身ながら、共感することが非常に多い本でした。また、本書がよく売れているのも、社交に違和感を感じ、孤独を好む人が増えているからでしょうか。
Posted by ブクログ
ぎっしりとしている内容で、訳文も読みやすい方ではなかったですが、しっかりとした興味深い思想書でした。
厭世的でやや虚無的な傾向があり、生きる方にポジティブではないかと思います。その為自分なりの思考やら考えやらが定まってからの方が、この本に踊らされちゃいそうな気も。
Posted by ブクログ
1年以上かかって、ようやく1人旅をきっかけに読みを終えることができた。大学に入って哲学に興味を持って哲学書になるものを初めて購入したのが本書であるが、結論から言うと私はそこまで哲学には夢中になれない。この本は数多の古典的な哲学者に比べて比較的平易だし、自分の好きな哲学者だからスイスイ読めるかと思いきや読み進めていくと疲れてくるし、イライラしてくる。理由としては、論理的に解決することが不可能であると思われる課題に立ち向かっていくという哲学の本質上仕方のないことだが、どうにもこうにもややこしすぎる。そしてややこしいのに解決しきったとは言い切れない。ここが哲学の特徴であるが、自分はこの点が少し馴染めなかった。哲学に関してはガチガチの入門書ぐらいが自分には会う気がする。
Posted by ブクログ
ショーペンハウアーのパルレガの「処世術箴言」の部分の全訳。原著には「幸福について」という題は無い。
他人に期待しないで、適度にやんなさいよ、という内容だと読みました。
Posted by ブクログ
多少読みにくいが,随所に綺羅星の如く珠宝の言葉多数.
幸福は容易に得られるものではない,幸福をわれわれのうちに見いだすのは至難であり,他の場所に見いだすのは不可能である.
幸福が「われわれのあり方」すなわち個性によってはなはだしく左右されることが明らかである.ところが大抵はわれわれの運命すなわち「われわれの有するもの」あるいは「われわれの印象の与え方」ばかりを計算に入れている.
人間の幸福に対する二大敵手は苦痛と退屈である
Posted by ブクログ
人生とは、幸福とは何かについて。学生時代のおすすめ本だったが気がするが、やっと読んだ。学生時代にはわからなかっただろう価値観かなあ。「他人の生涯に起こった痛快な出来事を羨む人は、そのことの重要性を認め得る才能を持っていると認識すべき」「主観と客観の両面で考えること。景色が美しくてもレンズが曇っていれば劣悪なものとなるし、その逆も然り」「ことさらに民族や文化を主張することは、個人の特性に欠けることを表しているようなものだ」
Posted by ブクログ
「幸福について」だって。なんでこんな捻りもユーモアも無いタイトルにしたのだろう?昭和33年の編集者の感性かな?
幸せとは状況ではなく状態なのだろう。究極は悟りの境地ということなのだろうか。
特に、第4章「人の与える印象について」と第6章「年齢の差異について」はとても面白い。著者のシニカルなユーモアを存分に楽しめる。逆に第5章「訓話と金言」は引用ばかりで面白みに欠け退屈だから読み飛ばしても構わない。
旧約の「伝道の書」がお好きなようだ、度々引用されている。ところで本書p44に“つとに『伝道の書』が「知恵の上に財産をかぬれば善し。しかれば日を見る者どもに利益多かるべし」〔旧約『伝道の書』第八章第十一節〕と言っているのもその意味である。”とあるが、これは口語訳版を参照していると思われる。現在一般的な新共同訳版では『伝道の書』は『コヘレトの言葉』と訳されている。いずれの版にせよこの参照部分は第7章の11節であり〔〕内の引用箇所の記載は誤りと思うのだが。
それとも昭和33年頃の版では第8章だったのかな?
Posted by ブクログ
日帰り旅行のお供に。
移動メインなので結局ずっと読んでた……。
理解できれば、今でも通じる不変的なこと書いてあるんだけど、
哲学書によくある回りくどい・難解な表現で目が滑る滑る……。
でも、例えとかはわかりやすかったかな。
じっくり読み込めば、何が言いたいかちゃんと理解できる。
人の幸福って、いつの時代も変わらないんだなと思った。
幸せってモノじゃないんですよ。
Posted by ブクログ
哲学者・ショーペンハウアーによる『処世術の手引き』。
タイトルは“幸福について”だが、中身は“いかにして不幸をさけて通るか”がメインだった と、思う。
共感できる場面は多々あったけれど、この全てを現代に当て嵌めるのは、ちょっとどうだろう?
書かれた当時は是なりとされていたことも、今では時代錯誤だったりして。まあ、「昔はそーだったのね」くらいに思って読み流すべし。
それでも大概は、人生について真を穿った箴言・警句の数々。
哲学者はひたすらストイックである。厭世的である。人間嫌いである。孤独が好きである。
でもこれ読んで思ったが “寂しがり屋”な人間はどうすりゃいいんだ・・・
Posted by ブクログ
哲学って、もっと難しいイメージがあったんだけど、これはとっても読みやすい。
言いたいことが平易にかかれているので、頭にすらすら入ってくる。
ただ、やっぱり幸福とは本人の気の持ちようなんだよな、と、私の中で完結しました(笑)
Posted by ブクログ
著者の言いたいことがスラスラと頭に入って来なかった。ただ、これほどの文章を書けるほど、しっかりした哲学を持っているのはすごいと漠然と思う。
幸福とか享楽は消極的・否定的な性質のものと論じられていたけど、それでも追い求めてしまうのはなぜ?このことについての解決法も多分本文中に書いてあるのだろうけど、頭の中で消化しきれず、わからず終いだった。何度も読み直さないと。