あらすじ
重い腎臓病を抱えつつ将棋界に入門、名人を目指し最高峰リーグ「A級」で奮闘のさなか生涯を終えた天才棋士、村山聖。名人への夢に手をかけ、果たせず倒れた“怪童”の生涯を描く。第13回新潮学芸賞受賞。
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Posted by ブクログ
すごい小説?伝記??だった。
生きた軌跡が、奇跡が
猛烈な筆圧で記されている。
力強すぎて、苦しい程だった。
それは村山聖の凄み以外の何物でもない。
彼が執念強く生きたこと、
そのこと自体に感謝せざるを得ない。
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プロローグ
盤上には、初手とは思えぬ重苦しい空気が漂っていた
相手の顔を一瞥し、ゆっくりと右手を駒へと伸ばす
その一手に、数十通りの読みが詰まっている
指先が駒に触れた瞬間、部屋の空気が微かに揺れた気がした
本章
『聖の青春』生命賛美の★5
皆様は、ご存知だろうか?
あの天才、羽生善治の裏にもう1人の天才がいたことを、、、
プロデビュー当時、東の天才、羽生善治に対し
西の怪童、稀代の棋士、村山聖という漢がいた!
彼は、5歳の時、腎ネフローゼを発症し、29歳という短い生涯を全うするまでその病と晩年に発症した癌そして、将棋と闘った
病を抱えながら、14歳で故郷広島を離れ、師匠森信雄がいる大阪へ行き、師匠との共同生活が始まる
病により、ろくに学校に行けなかった聖は、パンツの洗濯から髪の毛のシャンプーも師匠にやってもらっていた
純真無垢、天真爛漫とは聖のための言葉のようで、
先輩棋士に対してもタメ口で話し、それでも皆から可愛がられ、愛された人物だった
入退院を繰り返しながら、病室から対局に向かうこともしょっちゅうという状況の中、奨励会突破からA級八段に駆け上がるまで、ただただ真っ直ぐ、自身の死期をまるで悟っているかのようにひた走った!
29歳の生涯と認知していながら、読中は死なないでくれと何度も願ったし、終盤は涙で多くの印字が滲んだ
将棋という盤上に命を賭して大輪を咲かせた
怪童村山聖という漢に最大の賛辞を捧げたい
因みに、天才羽生善治との対戦成績は6勝8敗
内、一戦は入院していたため不戦敗
よって、ほぼ互角である
もし、彼が生きていたら
そう、あの人とも、、、
エピローグ
張り詰めた一室で向かい合っているのは、
村山聖と藤井聡太
将棋を愛するものなら誰もが望む夢の対戦だ
しかし、それは叶わぬ夢の対決
独創的な指し手の聖は、藤井聡太相手にどんな一手を繰り出したのだろう
きっと嬉々として鬼手を放ったに違いない
完
あとがき
“何のために生きる。
今の俺は昨日の俺に勝てるのか。
勝つも地獄、負けるも地獄。99の悲しみも1つの喜びで忘れられる。人間の本質はそうなのか?
人間は悲しみ苦しむために生まれたのだろうか。
人間は必ず死ぬ。必ず。
何もかも一夜の夢”
彼が20歳前後に書いたメモ書きだ
そして、21歳の時に、こうも記している
“僕は死んでも、もう一度人間に生まれたい。”
彼の人生という年輪は、誰よりも密度が濃かったのか、、、
Posted by ブクログ
第2回広島本大賞
第13回新潮学芸賞
素晴らしい棋士がいたのですね。
命懸けで将棋に向き合い、真っ直ぐで、頑固者で、でも憎めないキャラクターの村山聖さん。
多くの人から愛されて支えられていたことに胸が熱くなりました。
特に師匠の森さんが献身的に世話をしていたことには驚きましたし、村山さんを大切に思っている様子がよく伝わってきました。
子供時代の入院生活の辛さは計り知れませんが、病気だったからこそ、将棋だけを追求する時間をとことん過ごせたことで才能を伸ばせた一面はきっとあると思います。
子供の強みを伸ばす子育ては理想だけど、現実的には好きなことだけをやらせているわけにはいきません。だけど、子どもが好きで自主的にやることは本当にその子の強みになるんだなと村山さんが証明していると思いました。
将棋のことは全くわかりませんが、とても厳しくてタフな世界のようでした。
出歩くこともままならない体調でも、体に鞭を打って対局に望む姿勢には凄みや執念を感じ、プロ棋士村山聖の生き様に胸が震えました。
Posted by ブクログ
将棋については全く詳しくないが、漫画「3月のライオン」を読んでいた中で村山聖さんの生涯について知りたくなり、この本を手に取った。彼の生き方、病への向き合い方、いきものや物事に対する考え方、すべてに感動した。「生き抜く」とはこういうことかと思い知らされた、素晴らしい1冊だった。
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昨年亡くなられた大崎善生さんの「聖の青春」を読みました。お恥ずかしながら大崎善生さんも村山聖さんも存じ上げなかったのですが、甥っ子が村山聖さんと同じネフローゼを患っており、村山聖さんが病気とともにどんな人生を歩んだのか知りたくなり本を手にとりました。繰り返す熱など、甥っ子と重なる部分もあり読んでいて苦しかったですが、病気を患いながらも力強く生きぬいた姿に希望を抱きました。甥っ子の病気を治すことはできないけど、師匠(森先生)のように側で支え、心の拠り所になるような存在でありたいです。
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打ち込めることをみつけ、ひたむきに生きた様子に胸を打たれました。将棋を知らない私でも読みやすかったです。村山聖さんから芯の強さや優しさを感じました。読んで良かったと思いました。
漫然と生きている自分の生活と比較してしまい、
不甲斐ないと実感しました。もっと時間と命を大切にしたいと感じました。
Posted by ブクログ
2002年刊行だから、結構古い本である。
評者は数十年来の将棋ファンだから村山先生の強さも病気のことも知っているつもりでもあったが、本書を読んで愕然とした。
「天才」と呼称するのが憚られるほどの努力と情熱。壮絶な闘病生活。家族や森師匠をはじめとする棋界関係者との愛憎溢れる濃密な関係。何も知らなかった。今更だが、読んで良かった。
村山vs藤井戦が見られないのは痛恨の極みだが、天国の村山先生はきっと対藤井の研究をしていることだろう。合掌。
Posted by ブクログ
村山聖という人間の生き様は、力強く、涙もろく、暖かで優しく、楽しくて、いつまでも面白い。
悔しいんだろうな。と、随所で感じた。
読んでいる私にはどうしようも出来ないからなのか、私も悔しい気持ちになっていた。
応援したくなる。
もう、彼はいないのだと本を閉じてから思った。将棋会館のどこにも村山聖はいない。
本を読み終わってから寂しさが込み上げてきたのははじめてだった。
今、この時代に彼が生きていたのなら、
どうしただろうか。その答えは、数々の棋譜に残されているのではないのだろか。私たちには時間がある。ゆっくりと村山聖という人間を知りたいと思いました。
Posted by ブクログ
とにかく村山さんがすごい
必死に生きようとした人の文言であり死にたい自分が共感するのは本来違うのだけど
人は悲しみ苦しむために生まれた は最後のお父さんの寄稿に引用されていた
Posted by ブクログ
。・゜・(ノД`)・゜・。
三月のライオンの二階堂のモデルがいたと知って読んでみようと思ったの。
そんな軽い気持ちで読み始めたの。
もう…感想なんて書けない。゚(゚´Д`゚)゚。
Posted by ブクログ
村山聖という類稀なる才能を持った棋士の生涯を描いたノンフィクション。
村山が将棋に対してどれだけ必死だったのかどれだけ生きがいだったのか、そしてどれだけ純粋だったのか。
彼が周りにどれだけ愛されていたのかも溢れ出る。同年代の棋士はもちろんの事、先輩棋士、後輩棋士、プロ棋士手前の奨励会の所属棋士、そして何よりも師弟愛。著者の大崎氏からも愛されていた事でしょう。そんな誰からも愛された棋士の生き様や想いや愛情がたくさん詰まった作品で読んでいると涙が浮かんできます。大崎氏も最近お亡くなりになり、今頃は酒でも飲みながら将棋の話でもしているのでしょうか。
Posted by ブクログ
怪童とよばれた天才の姿が、本当に魅力的。将棋界という、凄まじい天才たちが集まる世界を、ほんの少し垣間見た気持ちになれる。また読み返したい、素晴らしいノンフィクション。
Posted by ブクログ
亡くなってからあの人は天才だった、、というのではなく、本物の天才が闘った日々がリアルに描かれた本です。
お母様の愛情、周りの方の期待や心配。読み終わった後に涙が止まらない1冊でした。
将棋はこうも厳しく、面白い
Posted by ブクログ
あまりに純粋に生きた生涯。
神格化される部分だけでなく、不器用な男の子人間味ある部分に惹かれる。
幼い頃から病気により自由のない世界にいたが、将棋に出会い、将棋を通して世界を広げていく。
聖の青春というタイトルも良いな
Posted by ブクログ
幼少期から重病を抱えながら将棋の世界にハマり、プロ棋士として名人を目指した"怪童"村山聖の生涯。
昭和の時代で次男に対してここまで尽くしてくれた両親が素晴らしすぎる。
『3月のライオン』の二階堂のモデルなのかな。
Posted by ブクログ
幼少の頃から重い病を背負い、残された時間と競うように愚直にそして無邪気に将棋に向き合い、29年という短い生涯を駆け抜けた村山聖。時は命なり。
ただ漫然と生きている自分を省みて、色々と感じさせられる一冊。
父親が寄せた後書きに綴られた、村山聖本人の言葉が胸に沁みた。
「人間は悲しみ、苦しむために生まれた。それが人間の宿命であり、幸せだ。僕は、死んでも、もう一度人間に生まれたい。」
「人間は常に主観的で、自分自身の痛みでしか他人の痛みを理解できません。ですから体に障害があったり重い病気の人の気持ちを真に理解することはありません。哀れみも同情もありません。常に対等という意識です。・・・ネフローゼということを短所と思うよりも長所と思い、人と違った人生、変わったおもしろい人生が歩めるくらいの気持ちが大切だと思います。・・・もう何十年も走っていません。もう走ることはないでしょう。しかし力いっぱい走る体験より、もっともっとたくさんの体験をこの病気はくれたように思います。」
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Super8さんの本棚から
羽生善治さんと同時期に、ともに将棋界を牽引した村山聖さんの短い生涯を綴った作品。
「20歳になれてうれしいです。
20歳になれるなんて思っていませんでしたから」
5歳の時にネフローゼと診断された時から、常に病と、そして死と隣り合わせの生活をしいられてきた聖。
将棋で強くなりたい。そして勝ちたい。
その純粋な気持ちだけが聖を支えてきました。
最後の最後まで病気に耐え抜いた生きかたと、将棋への情熱が心をうちます。
お父さんお母さんの献身的な愛も聖を支えます。
家族の絆は最強です。
名人への執念。
最期まで貫いたと思います。
将棋の知識が少しでもあればもっと深く読み込めたかなとは思いました。
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audible92冊目。
今まで何度も書店で手に取ってきたのに、ずっと後回しにしてきて、ようやく読めました。
読もうと思っていたきっかけさえ忘れていたのですが、たぶん、松山ケンイチ主演で映画化されて…だったような。
天才棋士といえば藤井さんの活躍がめざましいですが、元祖は羽生さん、のイメージでした。
が、羽生さんと同世代にもう1人、こんなにも素晴らしい棋士がいらしたのですね。
どうして知らなかったのだろう…
将棋界に入ってからもかなり病気に苦しめられていましたが、ただ、闘病生活があったからこそ将棋に出会い、とことん将棋と向き合えたともいえるのですよね。
そこがなんとも、複雑です。
大崎善生さんの作品は、ずいぶん昔に『パイロットフィッシュ』を読んだだけだったのですが、こちらの作品でデビューされていたのですね。
実際に将棋界に関わっていた方だったとは知りませんでした。
Posted by ブクログ
7年前に松山ケンイチ主演の映画を録画して見てたけど、原作のことは全く知らなくて読んでなかった。映画も良かったが、原作は涙なしでは読めない。広島の人やったんや。同時期に広島や関西で過ごしてたのね、将棋に興味がないんで知らなかった。今も活躍してて欲しかったなあ~
Posted by ブクログ
天才棋士 村山聖の生涯を描くノンフィクション小説で有り、文章に凄く引き込まれましたね。
その生涯には非常に驚きと悲しみなど色んな感情をかき立てられました。
Posted by ブクログ
幼い頃にネフローゼという難病に罹りながらも将棋に出会い、いつか「名人」になることを夢見て命がけで指す、ノンフィクション小説。
なんという精神力…
素晴らしい師弟愛…
ライバルたちとの友情…
言動の端々が胸にささります
Posted by ブクログ
師匠の森さんと村山聖さんの関係性がまずすごく良い。村山さんの死生観や人との向き合い方のあまりの純粋さに時に圧倒され、涙しながら読んだ。将棋好きはもちろん、生きることを考える時に、向き合う時にお勧めしたい1冊
Posted by ブクログ
将棋が強いとか、努力家とか集中力が凄まじいとか病気と長年戦ったとか
それらも本当にすごいけど、この人がすごいのはたくさんの人に愛される人だったってことなんじゃないかなと思う
名人になったり、7冠制覇してた可能性もあるんじゃないかと思うとくやしいなぁ
Posted by ブクログ
棋士の世界と村山聖という天才がいたということを初めて知った。
もしも今も生きていたら…そんなことをついつい考えてしまう、壮絶な人生を見せてもらった。
村山聖という人に理由もなく惹かれる人たちは間違いなく彼の生きた証なのではないか。
こうして語り継がれるような人生を送ったことは誰よりも限られた生であることを理解していたから。
村山聖に会ってみたかった。
Posted by ブクログ
羽生世代の1人として実在した棋士、村山聖さんの生涯を記したノンフィクション小説。
羽生さんと共に世代を牽引した村山さん。短い生涯だったかもしれないけど、良くも悪くも天真爛漫で、コレと決めた道を貫いたこの人の一生こそ、生きるってことの本質だなと感動しました。
自分でも名前を知ってる棋士さんも出てきて、この時期の将棋界の歴史が追体験できたのも面白かったです。
Posted by ブクログ
常に死と隣り合わせで、それゆえに精一杯生きたということが、文章から伝わってくる。晩年、薬を使わずに、痛みを我慢していた事実は衝撃的だった。ご両親は、本人が望む治療を優先して見守っており、さぞ辛かったのでは、と想像を絶する。本を通して、素晴らしい棋士と出会えた。村山聖の生き様を忘れないでいたい。