飛浩隆の一覧
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ユーザーレビュー
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「自生の夢」(飛浩隆)を読んだ。
飛浩隆さんの作品読むのは「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」以来二冊目。
六つの短篇収録。
やっぱり飛浩隆さんの創造力(!)についていくのは容易じゃないな。
私の貧困な想像力では長い鼻に触れてあぁシワシワの太い蛇の様だなと思うのがせいぜいで全体を理解なんかでき
...続きを読むっこないのにこんなに面白いのはなんでだ。
「曠野にて」の中で克哉が選択したセンテンス
『鳴き砂の浜へ、硝視体をひろいにいこう。』(本文より)
を読んでニヤリとしてしまった。
「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」の書き出しのセンテンスだからね。
「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」では登場人物たちが受け止める激痛に立ち竦んでしまいそうになったもんだから「ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉」が積ndleのままだよ。
読まなくちゃ。
Posted by ブクログ
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センス・オブ・ワンダーに満ち溢れた快作。基本はSF。それに神話をもとにしたファンタジー、重要人物の死を題材にしたミステリー、兄妹の財産の奪い合いなど盛りだくさん。後半もとても楽しみ。
Posted by ブクログ
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遠い未来。人類は〈行ってしまった人たち〉によって整備された〈轍宇宙〉と呼ばれる銀河団に居住地を広げていた。〈行ってしまった人たち〉が遺した楽器を扱う特殊楽器技芸士のトロムボノクは、大富豪フェアフーフェンの依頼で、相棒のシェリュバンと共に惑星〈美縟〉へ赴く。そこは首都全体が巨大楽器〈美玉鐘〉のために設
...続きを読む計され、毎週末には建国神話〈美縟のサーガ〉にまつわる假面劇が上演される異様な星だった。だが、トロムボノクとシェリュバンにとって初めての假劇の夜、何者かが放った刺客の〈亞童〉にフェアフーフェンが殺される。サーガが語る美縟建国の真実とは。そして、〈美玉鐘〉が500年ぶりに鳴るとき奏でられるという秘曲〈零號琴〉とは。 稀代のSF作家によるサービス過剰なワイドスクリーン・バロック。
上記のように、あらすじを書こうとすると特殊な用語の乱れ打ちになってしまう。だが、このバカでかい世界観と〈美縟〉の独自文化を情報圧縮力の高すぎる華麗な文体で魅力的にプレゼンし、読者をサクッとわかった気にさせ、最初の假劇と暗殺事件までわずか100ページ。こんな超絶技巧はこの人にしかできない。
とにかく、音楽を見て、触って、嗅いで、食べられるものかのように語る魔術的な文章にはひたすらにうっとりさせられる。「カリヨンの左肩から、音の金砂銀砂が、数段構えの滝となって流れてきた」とか、「美玉鐘の予鈴は、繰り返すたびに音が音の上に折り重なりあって、複雑さ、玄妙さをいや増していく。たとえれば水面に張った油膜にやどる虹のゆらめきであり、あるいはデカルコマニーやマーブリングといった技法だけが示しうる『不測の美』である」とか。
この人は五感のどれを表現するときにも、同時に他の感覚にも訴える描写をするという共感覚的な才能がある。それがただの喩えではなく、本当に音を見、味わうことのできる人が感じた通りに書いているとしか思えないほど、一読してしっくりと身体に馴染んでしまう。そして街全体が楽器を鳴らすために存在する磐記という都市のことも、その鐘の音が聴覚のみならず人体に多大な影響を及ぼすだろうことも、自然に了承させられてしまうのだ。
だから、私はてっきりこの小説も飛浩隆が自分だけの交響曲を最後の一音まで完璧に鳴らしきるために全ての設定があり、キャラが配置されているのだと思いこんでしまったのだ。そのせいで大假劇が開幕してからはここまでプリキュアやまどマギを引っ張ると思わずに戸惑ったし(もちろん大笑いもした)、フェアフーフェンの野望や〈ウーデルス生まれ〉の謎に関してはスカされた気がしてしまった。〈美縟〉の忌まわしい歴史を暴く「無番」の章も、第二部で披露されたヌウラ・ヌウラによる〈真空管〉カリヨン試奏の素晴らしいシーンから導きだされるような壮大なカタストロフを期待していたぶん、既読の飛作品に比べてずいぶんと淡白に感じられたのだ。
だが、それはこの作品の主眼ではなかった。この物語は「最終回」のその先を描くこと、を語るために書かれていた。
物語に従事するため、生みだされた者たち。一旦想像され、人びとに共有されてしまったら、「最終回」のあとも消え去ることは叶わないキャラクターたちはどこへ向かうのか。こうした物語論・キャラクター論は今までの飛作品にも通底するテーマだと思う。今作でも梦卑という便利すぎる家畜が登場した時点でこの話になるだろうという期待はあった。ただ、まさかそれが特撮ヒーローや魔法少女アニメへのオマージュが何重にもかけ合わさった作中劇という形で表されるとは予想外だったのだ。
しかし、はるかはるか遠い未来の別の星で、ウルトラマンやプリキュアや巨神兵を思わせるキャラクターが躍動する物語が生みだされ、それに心躍らせる人びとがいること。それはまさに今、物語を消費しキャラクターを消費し尽くしている私たちを赦し、祝福しているのではないだろうか。
自分たちは「最終回」の運命を選びながら、梦卑に物語の続きを500年演じさせた〈美玉〉の人びとは罪深い。「最終回」を終え、〈轍宇宙〉の外側へたどり着いたフリギアたちを假劇のために呼び戻したワンダも、罪深いのかもしれない。現実世界の相克として物語という〈かがみ〉を必要とし続ける私たちは弱いのかもしれない。
『グラン・ヴァカンス』はその罪と弱さを徹底的に描いて読者の眼前に突きつける作品だった。だが、『零號琴』には語ることをやめられない弱い生き物である私たちへの、"仕方ないなぁ"という憐れみと慈しみの目線がある。それは、梦卑と同じく人類の想像から生みだされたサイボーグであるシェリュバンが主人公に選ばれていることからも確かだと思う。
「最終回」のその先、を描くのだからすっきりとした結末は描かれなくて当然だ。この小説からはありとあらゆる方向に向かって、豊かすぎる枝葉が自由に伸びている。これは飛浩隆による『はてしない物語』なのだ。この小説自体が人びとの無限の想像力に応える梦卑なのだ。そして伸びた枝葉から生みだされた物語はいつか、フリギアや五聯たちのように地球文化の遠い遠いこだまとなって、私たちを宇宙の果てまで連れていってくれるかもしれない。
Posted by ブクログ
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カルチャーショックってこういうことだろうか…って読みながらずっとびっくりしていた。
難しいけど読みきりたい、と辿り着いた解説を読んでさらに驚いた。これは文脈を読み取れる人ならより一層楽しい読書体験だろうなあと羨ましく悔しい。もっと本を読まねば。
個人的には「海の指」の鮮烈さに圧倒され酔ってしまった。
...続きを読む美しくて映像的。漫画も読みたい。
Posted by ブクログ
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傑作である。
オマージュの大盤振る舞いでオタクであるほど面白いはず。
本作で終わらせるにはもったいなさすぎる世界観。続きを読みたい!
Posted by ブクログ
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