飛浩隆のレビュー一覧

  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    総評
    ・まず美しい。全てが破壊される悲しみとなかなか掴めない不安が美文に裏打ちされている。
    ・次作「ラギッド・ガール」を読んだうえで書いているが、なるべく本作中で完結した感想にする。

    内的感想
    ・序盤から「夏」の描写力に驚く。その象徴のようなジュリーのかわいらしさ、幼気な(ように見える)明るさが、読み終わってから振り返ってみると物語を進むための活力であり同時に絶望感の源であったと感じる。昔感じていた「夏が終わる」ことへの不安や焦燥に似たものがあるのか。
    ・登場人物が自らをAIと自覚し、そこが仮想の世界であると自覚している、という点が不思議と衝撃だった。衝撃というのは、似たような状態は(具体例は思いつかないが)他作品にはあると思うが、たいてい作中で現実世界と並列された仮想世界として描かれる。ただ本作中ではいわゆる現実世界は示唆されるが登場はせず、仮想世界内だけで物語が完結する。それは構造的に見て現実世界であると言えてしまうのでは?
    ・硝視体が「情報を代謝する」という表現に感動した。「外から何かを受け取り変換し何かを発する能力」の説明としてこのうえない表現。
    ・監禁される刺繍女のエピソードが印象に残った。「すべてがFになる」が苦痛のエピソードのひとつとして消費される贅沢。

    外的感想
    ・終始圧倒されながら読んでいたため構成に気を配れず。ただストーリーラインとしてはシンプルで、「外敵から世界を守る」というだけではある。それを複雑化しているのは設定の部分で、逆に言えばこれだけの設定を正確に並べるには簡素なストーリーが最適と思える。
    ・やはり硝視体という存在が秀逸。見た目に美しいが秘密を抱えどこか屈折した個性を持つ、その正体が謎として最初のフックとして機能するうえ、AIたちの状態とも重なる。そして正体が明かされるとAIたちとの一致がさらに深みを増す。
    ・(続編があるという前提はあるにしろ)仮想世界の中だけで完結し、しかもある程度の謎は回収し切らず残したままにもかかわらず読後に不満がない豪腕。

    0
    2026年07月06日
  • 自生の夢

    Posted by ブクログ

    直接関連がない世界観の話であっても、収録順に読むと表題作の内容を受け入れやすくなっていると感じた。言うならば道慣らしのよう。

    10年以上前に発表された作品たちだが、大規模言語モデルが数年前に爆発的に広まったことを思うと、言葉の力に着目した筆者の慧眼と豊かな想像力には驚くばかり。
    特に、ARが発展したら起こり得るとされたデメリットの描写は、成る程確かにそんな感情も湧きそうだ、と人間に対する思考観察の深さに唸らされた。

    0
    2026年03月24日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

    Posted by ブクログ

    残酷描写といえば…で、再読。
    初めて読んだ飛浩隆作品がこれでした。

    デジタル世界に構築され、AIキャラクターがキャストを務める仮想リゾート。今では当たり前にイメージできる娯楽のありかたが、2002年の刊行時に既に詳細に描き出されている、ばかりか、もう行き着くところまでいってしまっている。
    そこでやれることは(悪い意味で)やりつくし、あげくサービス自体が崩壊。AIたちが呼ぶところの「大断絶」によって現実世界からのゲストが途絶え、放棄されて、すでに一千年が経っている。凡人の想像の2歩先を行く物語のはじまり。

    とにかく何もかもが美しい。
    見捨てられたリゾートで、自律するAIたちが生きている。風光明媚、清らかな風景の見えない下層には、倫理の壊れた舞台設計がある。響きのきれいなフランス名のAIキャラクターたち、その個性と関係性。ちょっと古くさい台詞回しすら、かれらのロールにあてがわれたプロンプトがそうさせていると思えてくる。
    硝視体が見せるあざやかなエフェクト、ピクセル単位までこまやかに描き出される五感。姿も武器も異なる敵たちと、万華鏡のように変化する戦いのバリエーション。全体にまぶされたフェティッシュで猥褻なにおい。
    ストーリーが展開するごとに世界の深度が増し、絶望の種類まで変わっていく。違う世界の存在を覗かせながら、すべてが見えそうで見えないもどかしさ。

    それを描き出す言葉と文章のなにもかも、残酷描写までもが美しい。

    そして、あまりの残酷に心を痛めながらも、これはすべてAIたちの話で現実ではないんだという意識が、つねに、うっすらとある。その逃げ道にすがって読み進めている自分の薄情さを自覚する、その罪悪感まで計算済みで作品に絡め取られている心地がする。

    2002年に初版刊行。私が読んだのは、電子書籍版の刊行が2013年だったようなので、少なくともそこ以降です。
    2002年の時代感覚の中でこれを読んでみたかったなぁ。9.11とFFXの翌年。まだYouTubeもtwitterもなかった頃に、これ。
    どれだけの衝撃だっただろう…

    0
    2026年02月07日
  • 象られた力

    Posted by ブクログ

    飛浩隆先生。SFなんだけど、簡単にそうくくってしまうのが勿体ないような中編集。

    「デュオ」主人公はピアノ調律師。チューニングハンマーを武器に闘う調律師なんているんだ…!それもジョークではなく、洗練された戦術とゆるぎない殺意をもって。音楽の描写も凄い。バイエル8番がこんなにも不穏で、読み手をざわつかせ昂らせることってある?
    個人的な「癖に刺さる」という意味でも稀少な一編。

    表題作「象られた力」。圧倒的。宇宙世界に生成された多層の文化と、その破壊。文章の美しさ、映像を惹起する力が凄まじい。多文化のひびきに酔い、人々と図像のふるまいに魅了され、そして善悪を超えた圧倒的な力に平伏すしかない。
    きわめて映像的でありながら、じゃあ実写?アニメ?CGでなんとかなる?なんて考え始めると、見たいような、でも何を見せられても追いつかない、物足りない気がしてしまう。

    主人公、クドウ圓(ヒトミ)がいい。牡鹿みたい、と恋人(も、悪くていい)に評される男。もつれた黒髪、食事の所作までどこか色気がある。彼に見惚れる(文字で書かれた情報なのに見惚れてしまう)そのためにだけでも読む価値はある、そんな愉しみもある小説です。

    0
    2025年12月11日
  • 自生の夢

    Posted by ブクログ

    言葉が形をもって動き出す、浸食する、襲い掛かる。
    言葉を愛する人ほど、鮮烈にイメージし畏怖する状況ではないか。
    頭に浮かんだ言葉を自動で記録してくれればいいのに、そうすればこぼれ落ちてゆく思考の中できらめく美しいものをもっとすくいとれるのに、そう考えたことがある人はいるのではないか。
    言葉は夢でもあり災厄でもある。
    私たちがそれに意味を与える以前から言葉は言葉であったろうか。
    相変わらず広く深いイマジネーションの渦に導かれる短編集。連作とも言える。
    本当にこの人の書く文章が好きだ。

    0
    2025年11月30日
  • 鹽津城

    Posted by ブクログ

    かなり久々の飛浩隆は日常不条理SFというか作中人物の脳内妄想世界というかあり得る生活のちょっとしたバグみたいな感じでおもしろかった 現実にずっと居ると思ってたら実は信用できない世界で、他者理解なんてこんなものかもしれないな

    0
    2025年08月22日
  • 鹽津城

    Posted by ブクログ

    最初の未の木のみ読んだ。これは「君の名は」だな、と感じた。映画よりもっとなまなましいけど。
    面白い。評価はその作品のみですが一応。

    0
    2025年05月18日
  • 鹽津城

    Posted by ブクログ

    物語を俯瞰してみることができるのは読者にあらかじめ用意された特権だから当たり前体操なんだけど、やっぱり並行世界がある瞬間に交差したり、それを示唆するシーンってグッときちゃう。おもしろかった!

    0
    2025年05月18日
  • 鹽津城

    Posted by ブクログ

    『自生の夢』以来の短編集。
    その間に長編では『零號琴』や、初期作品と評論を収めた『ポリフォニック・イリュージョン』なども出ている。寡作な作家ということもあって久々に作品に触れた気がした。

    本作には5つの短編と1つの中編が収められているが、どれも高水準というか、とてつもない作品たちで、一気に読むのが勿体なく感じるほどだった。
    プロットの奇抜さ、面白さは勿論だが、その世界を表現する文章の精度というか純度の高さからか読後クラクラと目眩がするような感覚に陥る。
    本当にどれも高いクオリティで、印象的な作品たちなのだが、表題作の『鹽津城』が個人的には物語の深さも射程も、より広くて好き。

    次作は『廃園の天使』シリーズの続編ということで、めちゃくちゃ楽しみ。

    0
    2025年03月19日
  • 零號琴

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ★5どころか★11くらい進呈したい作品。
    気力が弱って本が読めなかった時期にも何故かこれだけはすんなりと読むことができて、端末に入れた電子書籍を御守りのように思っていた一冊。

    美褥と美玉、假劇とフリギア、頑固職人と美少年と神々と魔女たち悪女たちの絢爛豪華なSFエンタメ。卓越した文章と物語の引力が先へ先へと導いてくれる。飛浩隆先生、ありがとうございます。

    壮大な世界の中にアニメや漫画、特撮、音楽の小ネタが無尽蔵に仕込まれていて、それを見つけるのが愉しい。

    個人的な小ネタハイライトは「酒は旨いし姐ちゃんはきれい」という台詞。昭和歌謡(そんな小ネタもあるんかい)の名曲「帰ってきたヨッパライ」の一節なんだけど、後半に入ってこの世界の在り様が分かると、元ネタの歌詞よ……!それか……!ってなる。

    ネタバレにもほどがある一行なんですよ、これ。未読の方は決して歌詞検索されませんよう。

    0
    2025年02月06日
  • 鹽津城

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    見たことない難しい漢字のタイトルだけど読みやすいしするする入ってきます。

    1つめからフェティッシュ満載、未の木の杏子が変態でツボだった。4つめの緋愁で最後は主人公にフラグが立ったところで終わるのがいい。以下省略って感じ。数日後にはあの集団に加わってるんやろな。
    次の文に行くともう違う世界で、気づくと元に世界に戻ってくる。クラクラしながら流れに沿ってたらあっという間に読み終わってた。

    0
    2024年12月01日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

    Posted by ブクログ

    読後、その本のことが頭から離れない…思考が止まらない。そう思える作品が良い本だと思います。この作品がまさにそうでした。

    読むだけで痛い。心の奥底まで震える。
    自分の深層心理に触れられた気がする。
    圧倒的情報量に頭がクラクラした。
    次々移り変わる場面…現実世界や仮想現実の区界。家にいながら色々な世界を旅することができる。遥か上の視点から旅をすることができる読者はゲストよりも贅沢かもしれない。

    グラン・ヴァカンスと同じく、至る所に散りばめられた残虐性に、その倒錯的な美しさにやはり惹かれてしまう。残酷なのにも関わらず、何故こんなにも美しいのか。圧倒的な文章量なのにも関わらず、最初から最後までつまらないと思う言葉がない。好きだなと思う文章が沢山あって読むのが楽しくて仕方なかった。ここまで壮大な小説は他に読んだことがない。その設定が、舞台が、唯一無二で本当に好き。好きという言葉でしか表せないのがもどかしい。心から愛している。

    きっとこの作品に、文章に恋をしている。
    この残酷で美しく病める世界にいつまでも囚われていたい。

    0
    2024年09月20日
  • 自生の夢

    Posted by ブクログ

    SF作家飛浩隆の中短編集。これまでいくつかアンソロジーで短編を読んできた中でも強烈な印象があったけれどやはり凄まじい作家だ。特に表題作『自生の夢』といくつかの派生作品は言語・言葉をテーマとする作品群だが、なんというか読む前と読んだ後で自分が別物に変えられてしまったような感覚がある。変わってしまったのが言葉や意識についての認識なのか、自分の考え方や物の見方なのか、そしてそれがどの程度なのかを思考したり言語化するのは難しいのだけれども。伴名練氏の解説も流石。なんとなく手が伸びず未読のままになっていた『屍者の帝国』、いよいよ読もうかと思う。

    0
    2024年07月27日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

    Posted by ブクログ

    理系ではない頭では設定に理解がついていかない部分はあるけれど、それにしても面白かった。
    登場人物はAIであり、グロテスクで救いのない場面が続くけれど、無機質ではない。むしろ、情や執着や羞恥心のような人間味と、生きていることの切なさのようなものがある。もっと雑にいえば、なんだかよくわからないけれど、切ない。
    なんだかよくわからないというのは、設定やストーリーではなく、読み終わった後の感情がうまく形容できないという意味である。その、「なんだかよくわからない」を受け入れられる人にはこの本をお勧めしたい。

    0
    2024年02月25日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    凄まじかった、これも…。
    廃園の天使シリーズⅡ作目。前作で登場した仮想リゾート〈数値海岸〉がどのようにして作られたか、〈大途絶〉がなぜ起こったか、他にもいくつかのキャラクター達の起源が明かされる反面、新たなキャラクターや謎、まだまだわからないことも多い。
    上手く言葉に出来ないけど、人間が抱えていながら現実世界では抑制して生きている(対象は自他問わない)破壊衝動みたいなものが、似姿では抑制がはずれ顕著になる。もっとも純粋な悪意みたいなものになる。〈天使〉も〈鯨〉もジョゼに埋め込まれた〈歯の女〉も、もとは人間から抽出された要素が振るう猛威なんだと思うと人間てやっぱり怖いね。でも正直この卓抜した想像力で容赦なくAIの世界を蹂躙する作者が一番怖いみたいなところあるけど…
    続きも楽しみです。

    ⚫︎あらすじ
    人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート〈数値海岸〉。その技術的/精神的基盤には、直観像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった──〈数値海岸〉の開発秘話たる表題作他『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにする全五篇を収録。解説/巽孝之
    (ハヤカワオンラインより引用)

    0
    2024年02月19日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読み終わりたくなかった…読み終わってしまった…。
    「零號琴」が面白かったのでこちらも、と手を伸ばしたのだけれど凄まじかった。2章のアンヌの登場あたりから面白さがどんどん加速していく。徹底した、容赦のない残酷さ。無慈悲さ。全編とおして、それこそ「天使」みたいな無機質さと美しさを感じる文章。
    美しい永遠の夏の区界。表向きのコンセプトは「古めかしく不便な街で過ごす夏のバカンス」だけど、それは「踏みにじられる為のイノセンス、無垢」という意味合いも内包していて、その成り立ちからしてもう、この区界そのものが残忍さと美しさの集積で出来ている。 
    「零號琴」のときもそうだったけど、本作も一見美しく豊かな世界観の裏には幾重もの秘密と時間のレイヤーが埋まっていて、読み進めることはそれらを暴く作業になる。つらいんだけど、物語が進むのが面白くてやめられない。個人的にアンヌが好きなのでアンヌのところが辛かったな。ジョゼも可哀想だった。貧しい農夫と刺繍妻の話は本当に怖かったし。
    とにかく続きが楽しみ。

    ⚫︎あらすじ
    仮想リゾート〈数値海岸〉の一区画〈夏の区界〉。南欧の港町を模したそこでは、ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。だが、それは突如として終焉のときを迎える。謎の存在〈蜘蛛〉の大群が、街のすべてを無化しはじめたのだ。わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦が幕を開ける――仮想と現実の闘争を描く〈廃園の天使〉シリーズ第1作。
    (ハヤカワオンラインより引用)

    0
    2024年02月09日
  • 零號琴 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    凄まじい本だった。豊富で繊細な言葉が、こっちの想像力の枠を押し広げていくかんじがする。詩的な文章、色や質感を表す無数の語彙、文体が好きだし、上巻のアヴァンタイトルでもう参ってしまった。それでも作者のいわんとすることに私の貧困な想像力が追いついた気はしなくて、特に下巻の仮劇本番なんか、全然仔細に理解出来ていないんだろうな。一気読みしたこともあって体力すら追いついていないし…疲れた…笑
    〈行ってしまった人たち〉の未知なる力によって支えられた世界観や魅力的なキャラクター、何よりストーリーを夢中で追っていたら、最後の最後で物語は時間を遡り、陰鬱で恥辱にまみれ、だからこそ隠されていた「初め」を明かす。SFの最高のカタルシスだし、それを味わえてとても幸せ。でも欲を言うならセルジゥの活躍をもっと見たかったし、パウルやクレオパトラの鼻を明かす痛快さも味わいたかった。笑 とにかく続きが読みたい。せめてセルジゥがもう少し身体のパーツを取り戻すところが読みたい…。

    作者がノートで述べていた通り「お気楽な読み物」だと思って読んでいたから、解説で「それだけじゃない」可能性の一端を知って目を剥いてしまった。買ったのがずいぶん前なので帯付きの本だったんだけど、帯の煽り文句「それは日本SFの呪いか、それとも希望か」ってそういうことか。そういう読み方もあるのか。
    かつて一度だけ鳴った零號琴は原爆のメタファーでその余韻は今現在も続いている。その上で、私達(SFファン?戦後日本SFそのもの?)は梦卑ではないだろうか。原爆によって焼きついてしまい、同じ仮劇を何度も繰り返すことで自らを想像している。その目を覚まさせることに作者の企みがあると、解説はいう。
    〈亜童〉はアトム、〈牛頭〉はゴジラ、……多分〈鉄靭〉は鉄人だよね。〈守倭〉はウルトラマン? あとはなんだろう…。〈鋳衣〉〈孤空〉〈ぼう藍〉…うーん。

    ⚫︎あらすじ
    想像しえぬものが、想像された。 著者デビュー40周年記念刊行
    はるかな未来、特種楽器技芸士のセルジゥ・トロムボノクと相棒シェリュバンは、大富豪パウル・フェアフーフェンの誘いで惑星美縟を訪れた。そこでは首都磐記全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉が五百年ぶりに再建されるのを記念し、首都の全住民が参加する假面劇の準備が進んでいた。だが案内役の咩鷺、菜綵とともに劇を観ていたトロムボノクらは、突如何者かの襲撃を受け――規格外の想像力に彩られた著者第二長篇
    (ハヤカワオンラインより引用)

    0
    2024年01月28日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

    Posted by ブクログ

    これほどまでに文章だけで人を惹きつけることができるのか、と思った。どこまでも残酷で、救いがない。「作られた」存在であるAI。だがそこに確かに感情は存在している、心はある。例えそれすらも最初から規定されていたものだとしても。読めば読むほど苦しくなるのに読むのをやめられない。かけ離れているように思える残酷さと美しさが共存していた。そのアンバランスで脆く壊れそうな、高度の低い宝石のような美しさが好きだった。

    0
    2023年11月03日
  • 自生の夢

    Posted by ブクログ

    「自生の夢」(飛浩隆)を読んだ。
飛浩隆さんの作品読むのは「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」以来二冊目。
    
六つの短篇収録。
    
やっぱり飛浩隆さんの創造力(!)についていくのは容易じゃないな。
    
私の貧困な想像力では長い鼻に触れてあぁシワシワの太い蛇の様だなと思うのがせいぜいで全体を理解なんかできっこないのにこんなに面白いのはなんでだ。
    
「曠野にて」の中で克哉が選択したセンテンス
『鳴き砂の浜へ、硝視体をひろいにいこう。』(本文より)
を読んでニヤリとしてしまった。
「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」の書き出しのセンテンスだからね。
    
「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」では登場人物たちが受け止める激痛に立ち竦んでしまいそうになったもんだから「ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉」が積ndleのままだよ。
読まなくちゃ。

    0
    2023年08月14日
  • 零號琴 上

    Posted by ブクログ

    センス・オブ・ワンダーに満ち溢れた快作。基本はSF。それに神話をもとにしたファンタジー、重要人物の死を題材にしたミステリー、兄妹の財産の奪い合いなど盛りだくさん。後半もとても楽しみ。

    0
    2022年10月20日