飛浩隆のレビュー一覧

  • 自生の夢

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    言葉が形をもって動き出す、浸食する、襲い掛かる。
    言葉を愛する人ほど、鮮烈にイメージし畏怖する状況ではないか。
    頭に浮かんだ言葉を自動で記録してくれればいいのに、そうすればこぼれ落ちてゆく思考の中できらめく美しいものをもっとすくいとれるのに、そう考えたことがある人はいるのではないか。
    言葉は夢でもあり災厄でもある。
    私たちがそれに意味を与える以前から言葉は言葉であったろうか。
    相変わらず広く深いイマジネーションの渦に導かれる短編集。連作とも言える。
    本当にこの人の書く文章が好きだ。

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    2025年11月30日
  • 鹽津城

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    かなり久々の飛浩隆は日常不条理SFというか作中人物の脳内妄想世界というかあり得る生活のちょっとしたバグみたいな感じでおもしろかった 現実にずっと居ると思ってたら実は信用できない世界で、他者理解なんてこんなものかもしれないな

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    2025年08月22日
  • 鹽津城

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    最初の未の木のみ読んだ。これは「君の名は」だな、と感じた。映画よりもっとなまなましいけど。
    面白い。評価はその作品のみですが一応。

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    2025年05月18日
  • 鹽津城

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    物語を俯瞰してみることができるのは読者にあらかじめ用意された特権だから当たり前体操なんだけど、やっぱり並行世界がある瞬間に交差したり、それを示唆するシーンってグッときちゃう。おもしろかった!

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    2025年05月18日
  • 鹽津城

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    『自生の夢』以来の短編集。
    その間に長編では『零號琴』や、初期作品と評論を収めた『ポリフォニック・イリュージョン』なども出ている。寡作な作家ということもあって久々に作品に触れた気がした。

    本作には5つの短編と1つの中編が収められているが、どれも高水準というか、とてつもない作品たちで、一気に読むのが勿体なく感じるほどだった。
    プロットの奇抜さ、面白さは勿論だが、その世界を表現する文章の精度というか純度の高さからか読後クラクラと目眩がするような感覚に陥る。
    本当にどれも高いクオリティで、印象的な作品たちなのだが、表題作の『鹽津城』が個人的には物語の深さも射程も、より広くて好き。

    次作は『廃園の

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    2025年03月19日
  • 零號琴

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    ネタバレ

    ★5どころか★11くらい進呈したい作品。
    気力が弱って本が読めなかった時期にも何故かこれだけはすんなりと読むことができて、端末に入れた電子書籍を御守りのように思っていた一冊。

    美褥と美玉、假劇とフリギア、頑固職人と美少年と神々と魔女たち悪女たちの絢爛豪華なSFエンタメ。卓越した文章と物語の引力が先へ先へと導いてくれる。飛浩隆先生、ありがとうございます。

    壮大な世界の中にアニメや漫画、特撮、音楽の小ネタが無尽蔵に仕込まれていて、それを見つけるのが愉しい。

    個人的な小ネタハイライトは「酒は旨いし姐ちゃんはきれい」という台詞。昭和歌謡(そんな小ネタもあるんかい)の名曲「帰ってきたヨッパライ」の

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    2025年02月06日
  • 鹽津城

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    ネタバレ

    見たことない難しい漢字のタイトルだけど読みやすいしするする入ってきます。

    1つめからフェティッシュ満載、未の木の杏子が変態でツボだった。4つめの緋愁で最後は主人公にフラグが立ったところで終わるのがいい。以下省略って感じ。数日後にはあの集団に加わってるんやろな。
    次の文に行くともう違う世界で、気づくと元に世界に戻ってくる。クラクラしながら流れに沿ってたらあっという間に読み終わってた。

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    2024年12月01日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    読後、その本のことが頭から離れない…思考が止まらない。そう思える作品が良い本だと思います。この作品がまさにそうでした。

    読むだけで痛い。心の奥底まで震える。
    自分の深層心理に触れられた気がする。
    圧倒的情報量に頭がクラクラした。
    次々移り変わる場面…現実世界や仮想現実の区界。家にいながら色々な世界を旅することができる。遥か上の視点から旅をすることができる読者はゲストよりも贅沢かもしれない。

    グラン・ヴァカンスと同じく、至る所に散りばめられた残虐性に、その倒錯的な美しさにやはり惹かれてしまう。残酷なのにも関わらず、何故こんなにも美しいのか。圧倒的な文章量なのにも関わらず、最初から最後までつま

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    2024年09月20日
  • 自生の夢

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    SF作家飛浩隆の中短編集。これまでいくつかアンソロジーで短編を読んできた中でも強烈な印象があったけれどやはり凄まじい作家だ。特に表題作『自生の夢』といくつかの派生作品は言語・言葉をテーマとする作品群だが、なんというか読む前と読んだ後で自分が別物に変えられてしまったような感覚がある。変わってしまったのが言葉や意識についての認識なのか、自分の考え方や物の見方なのか、そしてそれがどの程度なのかを思考したり言語化するのは難しいのだけれども。伴名練氏の解説も流石。なんとなく手が伸びず未読のままになっていた『屍者の帝国』、いよいよ読もうかと思う。

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    2024年07月27日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    理系ではない頭では設定に理解がついていかない部分はあるけれど、それにしても面白かった。
    登場人物はAIであり、グロテスクで救いのない場面が続くけれど、無機質ではない。むしろ、情や執着や羞恥心のような人間味と、生きていることの切なさのようなものがある。もっと雑にいえば、なんだかよくわからないけれど、切ない。
    なんだかよくわからないというのは、設定やストーリーではなく、読み終わった後の感情がうまく形容できないという意味である。その、「なんだかよくわからない」を受け入れられる人にはこの本をお勧めしたい。

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    2024年02月25日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    ネタバレ

    凄まじかった、これも…。
    廃園の天使シリーズⅡ作目。前作で登場した仮想リゾート〈数値海岸〉がどのようにして作られたか、〈大途絶〉がなぜ起こったか、他にもいくつかのキャラクター達の起源が明かされる反面、新たなキャラクターや謎、まだまだわからないことも多い。
    上手く言葉に出来ないけど、人間が抱えていながら現実世界では抑制して生きている(対象は自他問わない)破壊衝動みたいなものが、似姿では抑制がはずれ顕著になる。もっとも純粋な悪意みたいなものになる。〈天使〉も〈鯨〉もジョゼに埋め込まれた〈歯の女〉も、もとは人間から抽出された要素が振るう猛威なんだと思うと人間てやっぱり怖いね。でも正直この卓抜した想像

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    2024年02月19日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    ネタバレ

    読み終わりたくなかった…読み終わってしまった…。
    「零號琴」が面白かったのでこちらも、と手を伸ばしたのだけれど凄まじかった。2章のアンヌの登場あたりから面白さがどんどん加速していく。徹底した、容赦のない残酷さ。無慈悲さ。全編とおして、それこそ「天使」みたいな無機質さと美しさを感じる文章。
    美しい永遠の夏の区界。表向きのコンセプトは「古めかしく不便な街で過ごす夏のバカンス」だけど、それは「踏みにじられる為のイノセンス、無垢」という意味合いも内包していて、その成り立ちからしてもう、この区界そのものが残忍さと美しさの集積で出来ている。 
    「零號琴」のときもそうだったけど、本作も一見美しく豊かな世界観

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    2024年02月09日
  • 零號琴 下

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    ネタバレ

    凄まじい本だった。豊富で繊細な言葉が、こっちの想像力の枠を押し広げていくかんじがする。詩的な文章、色や質感を表す無数の語彙、文体が好きだし、上巻のアヴァンタイトルでもう参ってしまった。それでも作者のいわんとすることに私の貧困な想像力が追いついた気はしなくて、特に下巻の仮劇本番なんか、全然仔細に理解出来ていないんだろうな。一気読みしたこともあって体力すら追いついていないし…疲れた…笑
    〈行ってしまった人たち〉の未知なる力によって支えられた世界観や魅力的なキャラクター、何よりストーリーを夢中で追っていたら、最後の最後で物語は時間を遡り、陰鬱で恥辱にまみれ、だからこそ隠されていた「初め」を明かす。S

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    2024年01月28日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    これほどまでに文章だけで人を惹きつけることができるのか、と思った。どこまでも残酷で、救いがない。「作られた」存在であるAI。だがそこに確かに感情は存在している、心はある。例えそれすらも最初から規定されていたものだとしても。読めば読むほど苦しくなるのに読むのをやめられない。かけ離れているように思える残酷さと美しさが共存していた。そのアンバランスで脆く壊れそうな、高度の低い宝石のような美しさが好きだった。

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    2023年11月03日
  • 自生の夢

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    「自生の夢」(飛浩隆)を読んだ。
飛浩隆さんの作品読むのは「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」以来二冊目。
    
六つの短篇収録。
    
やっぱり飛浩隆さんの創造力(!)についていくのは容易じゃないな。
    
私の貧困な想像力では長い鼻に触れてあぁシワシワの太い蛇の様だなと思うのがせいぜいで全体を理解なんかできっこないのにこんなに面白いのはなんでだ。
    
「曠野にて」の中で克哉が選択したセンテンス
『鳴き砂の浜へ、硝視体をひろいにいこう。』(本文より)
を読んでニヤリとしてしまった。
「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」の書き出しのセンテンスだからね。
    
「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」では登場人物たち

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    2023年08月14日
  • 零號琴 上

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    センス・オブ・ワンダーに満ち溢れた快作。基本はSF。それに神話をもとにしたファンタジー、重要人物の死を題材にしたミステリー、兄妹の財産の奪い合いなど盛りだくさん。後半もとても楽しみ。

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    2022年10月20日
  • 零號琴

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    遠い未来。人類は〈行ってしまった人たち〉によって整備された〈轍宇宙〉と呼ばれる銀河団に居住地を広げていた。〈行ってしまった人たち〉が遺した楽器を扱う特殊楽器技芸士のトロムボノクは、大富豪フェアフーフェンの依頼で、相棒のシェリュバンと共に惑星〈美縟〉へ赴く。そこは首都全体が巨大楽器〈美玉鐘〉のために設計され、毎週末には建国神話〈美縟のサーガ〉にまつわる假面劇が上演される異様な星だった。だが、トロムボノクとシェリュバンにとって初めての假劇の夜、何者かが放った刺客の〈亞童〉にフェアフーフェンが殺される。サーガが語る美縟建国の真実とは。そして、〈美玉鐘〉が500年ぶりに鳴るとき奏でられるという秘曲〈零

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    2022年03月31日
  • 自生の夢

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    カルチャーショックってこういうことだろうか…って読みながらずっとびっくりしていた。
    難しいけど読みきりたい、と辿り着いた解説を読んでさらに驚いた。これは文脈を読み取れる人ならより一層楽しい読書体験だろうなあと羨ましく悔しい。もっと本を読まねば。
    個人的には「海の指」の鮮烈さに圧倒され酔ってしまった。美しくて映像的。漫画も読みたい。

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    2022年01月15日
  • 零號琴 下

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    傑作である。
    オマージュの大盤振る舞いでオタクであるほど面白いはず。

    本作で終わらせるにはもったいなさすぎる世界観。続きを読みたい!

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    2023年06月25日
  • BLAME! THE ANTHOLOGY

    購入済み

    実は初BLAME!でした。

    有名な作品なのに、初BLAME!がこの本でした。飛浩隆先生目当てで買いました。
    予備知識なしで読み始めたのですが、とても面白かったです。一番最初の「はぐれ者のブルー」を読むと、世界観を大まかに理解できるので、その後の話もスムーズに入って来ました。そして、その後の話も新しい情報を提供してくれるので、どんどん世界が広がります。
    どの話もワクワクするような世界観で、BLAME!の世界に引き込んでくれます。原作の漫画も読みたくなってしまいました。

    #ダーク #ドキドキハラハラ

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    2022年09月29日