飛浩隆のレビュー一覧

  • 象られた力

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    「デュオ」ミステリ要素たっぷり、音と匂いの描写が素晴らしい。ページを捲る手が止まらない。「呪界のほとり」コミカルなキャラとテンポの良い展開でページを捲る手が止まらない。続編希望。ジジイ最高!「夜と泥の」視覚的・聴覚的な描写が素晴らしい。全体を通しての緊張感にページを捲る手が止まらない。「象られた力」視覚的描写が美し過ぎてお腹いっぱいです!次のシーンが「見たくて」ページを捲る手が止まらない。アニメとかにならないだろうか。

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    2012年11月19日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    『グラン・ヴァカンス』を読んだのはたぶん1年ぐらい前だけど、これは連続で読めば良かったなー。
    『グラン・ヴァカンス』を読んだときは、”数値海岸”、”夏の区界”…etcと一つ一つの単語からも感じる凄まじいこだわり、静謐ってこういうことだなと思わされる文章力からなる見事な世界の美しさに圧倒された。そして、それとは全く正反対とも思えるんだけどやはり美しい残酷な痛み・苦しみの表現、これも本当に凄かった。
    本書でも飛浩隆の書く世界の美しさというのは改めて感じ入った。が、それよりも彼の書く世界というのが”数値海岸”の中だけでなく、ちゃんと現実の理論があってフィクション(数値海岸)があるとまで練られていると

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    2012年10月05日
  • 象られた力

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    理想の文体かもしれない。
    憧れは山尾悠子氏、それはこれからも変わらないが、自分が目指すとしたら。

    肉体は五感を支配しているだろうか。
    あるいは、五感が肉体を支配するのだろうか。

    文字を読むということが、ここまでの体験をさせてくれるのだ。
    そんな満足感をもたらしてくれた一冊。
    しばらくは余韻を引きずりそうだ。
    五感が、騒ぎすぎて。

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    2014年01月07日
  • 象られた力

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    『THE FUTURE IS JAPANESE』で知った飛浩隆の初期作品短編集。
    音やモノのかたちが持つ「力」がキーワード。SFらしい意匠はふんだんに出てくるが、感情表現や視覚的表現に割かれている言葉の「質量」が大変に豊富で、視覚・聴覚・味覚などの五官に訴えてくるイメージが強い。読後感はむしろ異世界ファンタジーという方がしっくりくる。
    表題作の重厚な表現が炸裂する文章と、「呪界のほとり」のようなコミカルな語り口とが良いバランスでまとめられていて、緊張感とわくわく感が何ともいえない風味になっている。

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    2012年09月22日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    「ぼくはね、現実世界に対してなんで右クリックが利かないのか、それが子どもの頃から歯がゆくってさ」

    「ばかみたい?でも私は気づいてしまったの。小説の酷い場面に眉をひそめている私たちこそが、ほんとの実行犯なのよ」

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    2012年04月10日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    前作よりこっちの方が好きだけど、前作を読んでないと面白くないです。世界観が解明されてくる短編集な感じ。あっち側とこっち側の話が交錯してます。「ラギッドガール」と「蜘蛛の王」が特に面白かったです。見事な世界観。ゆるぎないですね。

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    2011年11月24日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    作家「飛浩隆」はSFとしてのフレームワークがしっかりしている事が好きな理由であるが、SFであるのに多彩な色・香り・風景・音などを感じられる希有な作家であると理解している。物語の内容については前作で語られなかった背景や、異なる平行時間の物語の入った短編集。期待が裏切られることは無いと約束する。

    SFファンでなくとも本シリーズは読んでいただきたい作品の一本である。またこれは個人的ベストSFランキングの中では比較的近年にランクインした作品でもあり間違いなくベスト3に入る。

    追伸:いつも読み返す時期は冬~春であり、これから暖かくなって行き、初夏を迎えるまでには「夏の扉」を読み返してみたくなる不思議

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    2011年03月19日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    「グラン・ヴァカンス」に引き続き、とても良かったです。「夏の視硝体」は前作の後で読むと切なくなりました。
    個人的に最も印象に残ったのは「魔述師」。これ、未来版『非実在青少年』問題…ですよね?
    現在リアルに起きている論争に関しては、フィクションを愛する者の端くれとして規制に反対ですが、この作品内の<ダイ・イントゥ>の行動には一定の倫理的正当性がある、と感じてしまう。そんな自分に気が付いて少しだけぞくっとしました。
    フィクションは現実を直接的に変えたりはしないけれど、優れたフィクションは現実を解釈する私達の内面を揺さぶる。
    文章の持つ力というものを見せ付けられた気分です。

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    2010年10月29日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    『グラン・ヴァカンス』の前日譚を集めた短編集。前作で残された謎の一部が明らかになり、緻密な設定の一端が伺える。阿形渓や<数値海岸>など退廃的で美しい登場人物、舞台が複雑に絡み合うのもたまらない。

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    2010年08月03日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    廃園の天使シリーズ中・短編集ということでしたが、一作目の背景が語られていて面白かったです。一作目で、イマイチぴんとこなかった用語にも説明がついて、ほっと一息というか。

    表題作も好きでしたが、ランゴーニの過去が語られる『蜘蛛の王』が一番楽しかった。彼にもナイーヴな少年時代があったんだなぁみたいな…。

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    2010年05月30日
  • ポリフォニック・イリュージョン 初期作品+批評集成

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    小説(初期作品集)、作品解説、批評集、対談、エッセイなどなどが収録されている。
    小説はちゃんとしっかり読んだ。先日読んだ「鹽津城」よりも、いわゆるSFっぽくてこれはこれで面白かった。でも、最近の作品の方が、日常と地続きにある異世界みたいな雰囲気があって、私の好み。
    小説以外は流し読み。ソラリスの作家のレムの話とか、ちょうど読んだところだったからうれしかった。あと、伊藤計劃を読み直したくなった。

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    2025年09月03日
  • 鹽津城

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    お初の作家さんでした。中短編集。この作家さん、今までなんで知らなかったんだろう。どのお話も、この後どうなっちゃうの〜!と気になって仕方がない。壮大なザ・SFではなくて、日常にいつの間にか入り込んでた非日常みたいな。その入り込み方がちょっぴり生々しいというか、ぬるり、とした薄気味悪さを伴う雰囲気があるのだけど、それがかえってクセになる感じ。別の作品も読みます!

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    2025年06月11日
  • 鹽津城

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    飛浩隆は初読なのだけれど、世界観にやられた。お気に入りは、大災害と40年間政権を握る男の「流下の日」 。1番気になった「ジュヴナイル」は前作『自生の夢』と関係があるらしいのでそっちも読まなきゃ。

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    2025年05月06日
  • 零號琴

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    ネタバレ

    グラン・ヴァカンスのようなのを想像していたら、「あしたもフリギア!」が出てきて、これは飛浩隆版プリキュア二次創作なんだなと思って読んだ。
    プリキュアは見たことがないので、フリギアが出てくるたび「プリキュアはわからないな」と引っかかってしまうので、ここがオジリナルだったらもっと読みやすかったなとは思う。著者的には必須だったのだろうけど。

    それと固有名詞がすべて難しい漢字と馴染みないカタカナばかりなので、話は面白いんだけどなかなか読むのに苦労した。
    紙で読んだけど、今回ばかりは検索しやすい電子のほうがよかったかもしれない。

    前半はそんな感じだったのだけど、後半はさすが怒涛の展開、認識が全てひっ

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    2025年04月27日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    ネタバレ

    穏やかで優しい海辺の田舎町の何気ない一日の風景、心安らぐ平凡な日常のシーンから物語が始まる。
    ただ、最初からシミュレーション内の世界であり登場人物達がAIであることを隠そうとしないためであろうか、のどかだがどこか不思議な雰囲気の導入だとも感じた。
    『1000年』という時間が比喩ではなく何度も文中に現れる。

    このAIたちに対しては、世界や時間・過去に対する認識や内面が揺れ動く様で人間のようだと感じる一方で、1000年間を(正気のまま)少年であり続けられることやそれだけの長時間を共に過ごしたヒトを失った際の反応など、狂ってしまわない点に「やはり人間とは違うモノだ」と感じる、相反する感想が入れ子に

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    2025年03月19日
  • 鹽津城

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    SFだと思って読んだら、いい意味で裏切られます。SFではありますが、文章の与える印象が純文学だと思いました。表現が簡潔なのに緻密で美しい、情景がありありと想像できる文章です。

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    2025年03月12日
  • 象られた力

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    端正な文章と五感を美しく言語化した作品集。SF的仕掛けの面白さはもちろんのこと、構成のリズム感や緩急が素晴らしかった。

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    2025年02月19日
  • 鹽津城

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    少し不思議な話系のSFでサクサク読めた!
    100年後はこんな風になってたりするのかな〜みたいな思いを馳せて読むのが楽しくて、ゆっくり場面を想像しながら少しずつ読み進めていくのが贅沢な時間の使い方ができて良かった!
    個人的には中庭の話と最後のシオツキの話が好きだったな〜。シオツキは、現実なのかお話の中のものなのか、それともすごい未来の話なのか、最後にゆっくり溶け合うのが海水は塩と水で別れたけど話はひとつになる感じで上手く言えないけど良かったな〜

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    2025年01月20日
  • 紙魚の手帖Vol.18

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    SF短編特集。創元SF短編賞を受賞した「喪われた感情のしずく」(稲田一声)が圧倒的に良かった。香水のように感情を纏える世界が舞台になっており、取り扱いとしては現在の薬物に近いだろうか。感情をまとうことについて想像を膨らませ、ある意味でリアリティを感じるような作品だった。とにかくこの作品が突出していて、他の作品も読んでいる時は楽しんだものの、本号を読んだ後でもずっと頭に残った。

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    2024年11月04日
  • ポリフォニック・イリュージョン 飛浩隆初期作品集

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    SF作家、飛浩隆の初期短編に自己解説と近年の掌編をくっつけた文庫オリジナルの作品集。飛浩隆、名前はもちろん知ってはいたが読むのは初めて。収録作の中ではデビュー作であり表題にもなっている「ポリフォニック・イリュージョン」が印象的。二人の一人称による語りが加速度的に混交していく文章的な面白さとそれを支えるSF的設定の面白さ。

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    2024年04月20日