飛浩隆のレビュー一覧

  • 零號琴

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    ネタバレ

    中々読み進めるのが大変だった。分厚い本書。
    まさかこんなにもプリキュア=フリギアが前面に出てくるとは思わなかったけど、360話からなるシリーズのあらすじ読んでるだけで「何それ面白いアニメ観たい」てなった。

    パウルがどうやって生きてたのか、結局のところなづな・みさぎ・假劇チーム達が何を目的動いてるのか?が読んでる途中から解らなくなってしまったので、集中して読んでないと「今何を読まされてんだ?」ってなる。なった。

    美縟びと全員がムヒだったのにはビックリ。

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    2020年03月14日
  • 自生の夢

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    この作品も恐らくは著者の膨大な想像力の一端に過ぎないのだろうな。設定はSFだが、文学的で叙情的でロマンチックな作品群。ノスタルジックで怪奇的な「海の指」と「星窓」が特に刺さる。表題作を含むアリス・ウォン関連作や「はるかな響き」では【ことば】の可能性が主軸となっている。近い将来、AIが自由意思を持つ未来が訪れようと、生身の人間が持つ言葉の力はそれを凌駕すると信じたい。私は頭で作中の場面をイメージしないと文章を譜に落とせない質だが、Cassyの世界観をイメージするのは至難の技だった。是非改めて再読したい作品。

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    2020年02月27日
  • 象られた力

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    こういうアイディアが浮かぶって、どういう頭の作りになっているのかしら。舌を巻くというのか、とにかく痺れます。

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    2019年08月22日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    中短編5編
    グランヴァンカスの世界が,その成立事情や理念,崩壊のプロセスなどわかる仕掛けになっている.短編それぞれも面白いが,グランヴァンカスを読んでなかったら★は3かな

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    2019年07月15日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    前作「グラン・ヴァカンス」は、舞台となる仮想空間「数値海岸<コスタ・デル・ヌメロ>」の成り立ちやここに至るまでの経緯等がほとんど描かれておらず、謎が謎のまま幕を閉じる作品ですが、この「ラギッド・ガール」に収録されている作品群を読むと、その謎のかなりの部分が解明します。こちらを先に読んでも作品としては十分成立しますが、「グラン・ヴァカンス」を先に読んでおくことを絶対におススメ。物語の解像度が、相当異なってくると思います。

    人間が仮想空間を”体感”するために、計算資産をできるだけ食わないように実レベルで開発された画期的技術「情報的似姿」。「ラギッド・ガール」に収録されている作品の半分は、この「情

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    2019年06月16日
  • 零號琴

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    ネタバレ

    想像しえぬものが、想像された。舞台となる惑星美縟は假面と假劇の国。ここで500年ぶりに掘り出された美玉鐘による秘曲零號琴が奏でられる。謎が謎を呼び、最後は驚きのENDを迎える。主人公はトルムボノクとシェリュバンだが、周囲を彩る咩鷺も菜綵も素敵だ。假面作家と假劇作家の哦鵬丸とワンダ夫妻も個性ありすぎで、大富豪のパウル・フェアフーフェンは何がしたいのか最後までワクワク。読んでて思ったのは、ワンピースの小説版みたいな・・・。ぶっ飛んだ設定の中で、主人公が格好良く立ち回る。そのうちにその世界の謎が明かされていくみたいな。特に最後の大假劇上演のクライマックスはサンジの結婚式みたいな・・・。彩を添えるはプ

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    2019年04月20日
  • 零號琴

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    久々にちゃんと本を読んだ…。今年は年間100冊は厳しそうだなぁ。

    日本SF大賞を2回も受賞している作家による、600ページの長篇作品。
    冒頭から、主人公の職業「特殊楽器技芸士」という文字面に「また凄いのが来たなぁ」と思ったのですが、中身はその文字面を遥かに上回ってきた。
    語り口は非常にキャッチーで、キャラの活き活きした(…)動きで楽しく読み進められるのですが、何と言うかオーバーレイされているモノの個性と物量が物凄い。
    とにかく色々な要素が詰め込まれていて、個人的には、読んでいて疾走感と理解のバランスが取れないくらい。(こういう時、理解をある程度捨てて波に乗ってしまうタイプです…/でも、日本育

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    2019年02月11日
  • 零號琴

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    大変重厚な本で、非常に格調高く始まり、音楽の哲学に迫る本格SFとして進んでいくのですが、読んでくと、プリキュアなどの返信アニメとゴレンジャーとか戦隊モノ、そしてウルトラマンら特撮のメタ構造で 、メタメタもメタ、巨神兵まで入り乱れ、「え、私も夢でならこんな世界を見ることあるけど、これ辻褄合うの収まるのー?」とパニクってるうちに…どろろと百鬼丸にメタモルフォーゼして、鎮まるんですねえ。なんという力業!
    すごい…すごいよ。
    いろいろよくわからなかった点もあるのですが、今度のSF飲み会で、理解力の高い若い後輩たちにきこうっと!
    しかし、去年から読んでる『天冥の標』シリーズといい、どうしてこう、おと

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    2019年02月03日
  • 象られた力

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    ネタバレ

    面白かった。読んでいる途中で書かれた年を知って少し驚いた。

    デュオ>象られた力>夜と泥の>呪界のほとりで、の順に好き。『デュオ』がすごく読ませる。切なさと恐ろしさが同居した読み心地。設定的にはSFなのだが、偉大なピアニストを殺すべきなのかという葛藤、殺しても死なない「名無し」の行く末、誰が死に、誰が生きるのかという展開の妙が面白い。この文学的なSFこそ本邦のSFの持ち味だと個人的には思う。

    『象られた力』はもっとSFへの振り幅が大きいが、破壊や破滅の正体がSF的設定を紐解く中で徐々に明らかにされていく、という仕掛け自体は『デュオ』に似たホラーな感触がある。図形が人間の持つ本来の能力のみなら

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    2018年12月28日
  • 零號琴

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    漢字が読めなくて苦労……。特に名前や地名……。表現、言葉遣い、自分が普段使っている言葉と違う点でものがたりがなかなか入ってこなかった。でも、壮大な話でありながら、会話にはスイスイ入り込んでしまう吸引力。8年も推敲した著者の壮大な時間を思うと、自分の文化度の低さが哀しくなるね。登場人物、場所、状況をメモに起こしながらもう一度読み返したいな。

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    2018年12月19日
  • 象られた力

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    日本SFの本を探していれば必ず目に入る題名なので。
    思ったよりも昔(1980〜1990年代)に書かれたもの。

    最初は目新しい単語と色彩で置き換えただけのSF短編集か、と思っていましたが、後半は全くそんなことなく。社会の仕組みや人間の根本を改変するSFではなく、宇宙の見方、人の感じ方と空気を変える着想と描写に力強さを感じました。
    「夜と泥の」「象られた力」が素晴らしい。
    宇宙に咀嚼され消化される人類、人工生物によって永遠に引き起こされる神話。視覚言語と、形に詰まったエネルギー、崩壊の文様。図形と形に満ち溢れている世界はなんて力に満ちているのだろう。満ち溢れている力に気づき感じとり、圧倒された。

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    2018年11月09日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    続き物の二作目だった!しかも三部作だった!これは帝国の逆襲から観始めるようなもんなのかも、と思ったけど、全然関係なく楽しめた。いやありがたい。

    SFと言えば宇宙を攻めずにはいられないわけだけど、いや思いこみだけど、ここは宇宙には行かずに仮想現実オンリーで来た。しかし今の現状を考えると、もしかして近い将来にこんな世界が来るのかも、来たらスゴイかも、と思ってワクワクしてしまうし、その世界をめっさ考え尽して、こんな問題が起きて、こうなるんじゃね?って宇宙シリーズよりよほど現実感があるというか、こんなことを考えてる人が普通に大学とかにいるんじゃねーかとか。思ったり。

    でもって短編がゆるゆると絡まり

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    2018年07月08日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    〈数値海岸〉の世界観に複数の視点から触れる短編集。

    表題作が一番好きかな。読み終わって印象に残っているのは、阿形のざらざらとした皮膚の質感や太い指だから。
    こういう比較した言い方は良くないのだろうが、真賀田四季レベルのインパクトがあるキャラクターだった。

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    2018年01月22日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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     ヴァーチャルの世界に存在する仮想リゾート「夏の区域」が滅びゆく一日を描いた作品。
     ヴァーチャル世界なので、登場してくるのは人間ではなくAI(人口知性)である。
     仮想と現実の闘争、とあるが、現実側の現実感があまりないので、どこまでも仮想の世界内で閉塞されているように思う。
     はてさて、これがSFなのだろうか。
     ここ数冊、SFと呼ばれているジャンルの本を読んでいるが、どれもこれも僕自身のSFイメージとは合致しない作品ばかり。
     どうも、僕のSFイメージが誤っているようだ。
     まぁいいけど……。
     仮想と現実の闘争の中で、AIたちは様々な殺されかたをしていく。
     まぁ、もとも

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    2018年01月04日
  • BLAME! THE ANTHOLOGY

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    鴨が偏愛するコミック・アーティスト、弐瓶勉氏の代表作「BLAME!」を元ネタに、現代日本を代表するSF作家が腕を振るった二次創作アンソロジー。
    「BLAME!」を読んだことのある方ならお分かりの通り、あの作品は世界設定が全てです。その世界の中で、どれだけ物語を展開できるかが腕の見せ所なわけで、プロのSF作家としても面白いお題だったんじゃないかと思いますねー。収録された5作品は、どれも全く異なるテイストの作品でありながら、ちゃんと「BLAME!」の世界の中で展開しており、なおかつ幅広いイメージを読者の眼前に提示します。「BLAME!」の世界観の揺るぎなさ(換言すると、細かいところは各自の想像に委

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    2017年06月20日
  • BLAME! THE ANTHOLOGY

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    原作を知らないのに作家陣に興味があって購入。
    原作未読でも十分楽しめる作品もあったが、漫画も読んでみたい!

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    2017年05月13日
  • 象られた力

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    SFともファンタジーともホラーともとれる短編集。文章が綺麗。映像が浮かぶ様だ。
    「夜と泥の」の情景描写に感動した。

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    2016年08月24日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    飛浩隆の長篇SF。自我を持つAI達が取り残された残酷の楽園の終末を描く。
    美しい描写とうまくフォーカスされた人物の心理表現が際立つ。やや描写の詳細さの度合いがブレる頻度が高く、長期間にわたる執筆期間の影響があるのかな、と感じた。ヴァーチャルな世界を読者に視覚化させるために必要な過程として詳細な描写がなされる部分もあり、読中感は常に官能的とまではいかない。
    SFといいつつ、SF的要素は飽くまでガジェットで、その中で展開される風変わりなエピソードが読者の欲望をうまく捉えているように感じる。人によっては、自分の中に眠る破滅願望なり、加虐・被虐願望が映し出されるように感じるかもしれない。
    ガジェットや

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    2015年04月24日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    とても人を選びそうな本。
    美しい描写で残酷な展開が続く。
    全体の流れとしては突飛ではないけれど、容赦ない展開やぞくりとする一文を期待してページをめくっている自分に気付いて怖くなる(そしてその期待は裏切られない)
    この小説を面白かったと感じる自分は、夏の区界を訪れるゲストとなんら変わりない嗜好を持っているのかもしれない。

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    2015年04月24日
  • 象られた力

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    「デュオ」
    二転三転する圧巻の展開。ゾクゾクした。名無しは今どこにいるのだろう。サスペンスホラー風味で怖かった。
    「呪界のほとり」
    栗本薫みたい。ファンタジーっぽいSF。他の3つと比べると微妙。
    「夜と泥の」
    沼の戦いの描写が引き込まれる。美しい物語。これは好きだなあ。
    「象られた力」
    オチは不要な気がした。これはホラ話ですよ、ってわざわざ言われなくても分かっているわけで。発現のエンブレムのアイディアが秀逸で、図形が溢れ出すイメージに圧倒された。

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    2015年04月19日