飛浩隆のレビュー一覧

  • 自生の夢

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    ネタバレ

    全体の基盤に「言語」のテーマ性、そして伊藤計劃の存在がずっとうっすら漂っている。出典は忘れたけど作者本人がどこかで「SFは美しく残酷なものと信じている」と言ってた通り、本作もすべての文章が美しく、凄絶で、大体ラストは寂しいか恐ろしかった。

    「海の指」…グランヴァカンスの筆致に近いかんじ。人への恋しさ、各々が抱えた寂しさ、それを丸ごと蹂躙していく恐ろしい状況。明るくない結末に向かって疾走していく感覚はずっとあるのに文章が面白すぎて最後まで一気読みしてしまう。志津子さんが「来た」ら、絶対怖いよね…

    「自生の夢」…一番強く伊藤計劃へのリスペクトというか、存在を意識しているのを感じる。彼に宛てた文

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    2024年03月19日
  • 零號琴 下

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    SF的想像力
    理解しようとしてはいけない
    音で感じる。

    読み方の難しい漢字も勝手にイメージで読んでしまう度胸が大切。

    「音」とは波動であり「空気の揺らぎ」である。人は脳を通じて「音」を認識する。

    ドタバタ的アクションSF物語なので、そのものでも忙しく楽しい。
    か、「SF的想像力」を駆使して深読みすると、なかなか難物となる。
    あとがきの解説には助けられた。

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    2023年11月16日
  • 零號琴 上

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    上下一括感想
    下巻にて

    チョット今の段階で感想が書けない。

    「五聯所」……ゴレンジャー?
    「フリギア」……プリキュア?
    地下から掘り出したのは巨神兵?

    下巻へ

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    2023年11月12日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    全体の辻褄の合い方が心地よかった。
    グロさ、官能、残酷さ、優しさ、諸々の要素が絡み合った、AIながら人間味あふれる描写が魅力的だった。
    描写が丁寧なためか、感情移入して辛い場面が多かった。酷く痛々しく、醜い。
    ありふれた設定かもしれない。それでも引き込まれる強さがあった。

    ど好みではない。
    続きは読みたいと思う。

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    2023年06月08日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    前作グラン・ヴァカンスは終盤まで全体像が見えてこない話の展開に何度も挫折しかけ、正直あまり面白いとは思えなかったのですが、ラギッド・ガールを読み、やっと「廃園の天使」という作品の詳細が見えてきて「あれ?グラン・ヴァカンスってもしかして面白かったのか??」という気持ちになりました。今は読み返したくて仕方がないです。

    さて、本作ですがいずれの短編も単独で読み応えのある作品ばかりで、非常に面白い短編集でした。特に表題作からクローゼット、魔述師までの流れが素晴らしいですね。人間を仮想現実世界に送り込むまでの現実的な課題とその解決方法はリアリティに溢れており関心しましたし、そこから生じる課題(現実に及

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    2023年03月28日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    人の訪れることのなくなったリゾート地での一夜の攻防戦。設定はむずかしいものではなく読みやすい、けど耽美でありエログロでありすごくそそられる世界でした。

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    2023年01月04日
  • 零號琴 下

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    読み終わったあとに、もう一回、読み返したくなる。
    スケールが大きくて、設定も細かく、把握しきれなかった箇所が結構あるだろうなぁ。
    假面、假劇、秘曲零號琴、亞童。おもしろい要素がふんだんにつめこまれておりました。

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    2022年03月22日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    情景描写を想像するのが難しく、こういうことかな?と随時思いながら読み進めていった。だが、ストーリーを淡々と読み進めていっただけで、私の感受性が乏しいだけかもしれないが、残酷な場面であっても事実として受け止めただけで、感情が生まれることはなかった。

    ラギッド・ガールは今作に比べ好評なので、そっちに期待する。

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    2022年03月13日
  • 零號琴 上

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    固有名詞に使われる漢字が難しすぎて読みにくくてしょうがなかった。
    でもなんとか読み進めて行くうちに読み方覚えてきて、そうしてら徐々に内容が頭に入ってくるようになってきてどんどん引き込まれて行く。
    読みにくさにめげないことが大切。

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    2022年02月09日
  • 自生の夢

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    伊藤計劃氏から最近のSFにハマり、たどり着いた一冊。少し気を抜くとついていけなくなりそうな、自分の持つ想像力でぎりぎりで楽しめた。海の指、星窓は文章なのに景色の美しさを感じられたし、設定も最初は?だったけど読むほどにSFらしくて面白かった。後半の表題作含む"詩"をテーマとしたアリスウォンの話では、横文字に付いていきつつぎりぎり理解して読み進めた(受け止めきれなかったのが悔しいくらい!)。潤堂の能力は伊藤計劃氏の「虐殺器官」を思い出した。本でこれだけ感じられるものがあって誹謗中傷で人がしぬこの世を思えば、言葉で人を殺める人がいても全然フィクションじゃないなと思う。
    著者のほか

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    2021年12月31日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    前作「グラン・ヴァカンス」は評価を三にしようか四にしようか迷いましたが、今作を読んで四にして間違いなかったと感じました。

    前作で語られなかった部分が短編を読むごとに明らかになり、気持ちいいです。

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    2021年12月10日
  • BLAME! THE ANTHOLOGY

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    原作の続きでキリイのその後を描いた作品も期待していたのですが、それはなかったですね。私は飛浩隆作品が気に入りました。BLAME!ファンにおすすめ。?

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    2021年11月18日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    ネタバレ

    将来こういったバーチャル世界が数多開発され、その中で旧式のものは整備が追いつかず、似たような状態が起こる可能性があると感じました。

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    2021年10月17日
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II

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    SF。シリーズ2作目。
    〈数値海岸〉を舞台にした短編集。
    一言でいうと、やっぱりスゴイな…、という感じ。
    エロくて、グロくて、美しい。
    全体的に、前作よりも分かりやすかったかも(あくまで比較的)。
    もう1回『グラン・ヴァカンス』読みたくなる。
    「蜘蛛の王」がベスト。アクションシーンが多くて読みやすいが、SF的アイディアに溢れていて、とても楽しく読めた。

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    2021年07月15日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    清新で残酷で美しく、か。まさにそのとおり。強いイメージを残す。

    何十年か越しで続編も書かれているそうだが、これはこれで完結しているよな、と思う。

    こんなに読みやすい小説でも一気に読めなくなっている。。。

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    2021年04月25日
  • 象られた力

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    強大な思念の力。封印された記憶、のような実体のないものが何を伝えたいのか、装飾を丁寧に剥ぎ取って明らかにしていく。その”もの”の語る声を聴く。それが飛氏の作品に込められたテーマのように思う。 「象られた力」で惑星が秘める歴史を暴いていく過程は『零號琴』を彷彿とさせた。 『悪童日記』の双子を思い出させるような「デュオ」が最も好みだなと感じていたが、時間が経つほど表題作「象られた力」の印象が強くなって消えない。 読んだ者の心に深く印象を刻む物語、この本『象られた力』自体が、強い思念の力を持っている。

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    2021年04月25日
  • 自生の夢

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    良品の短編集。SFなので、世界観が掴みにくいものもあるが、冒頭の『海の指』は、読みやすく、いきなりその世界に入っていける。中盤、『自生の夢』、最後の『はるかな響』が、好み。
    全編を通して、文字や文章が生物のように自生する世界。

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    2020年10月05日
  • 自生の夢

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    SF短編集...いくつかはつながっている...
    だが、これは映像化できない、不思議な感覚。SFならではというか。映像にはっきりならなくてもイメージとしては大まかに捉えられる、そういう文字媒体ならではの感覚を覚えさせてくれた。

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    2020年09月11日
  • 象られた力

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    80年代後半から92年までに書かれた中篇4篇を収めた作品集。

    「デュオ」
    交通事故で恋人を亡くし、自身で演奏する能力も失ってピアノの調律師となった緒方は、恩師からグラフェナウアー兄弟を紹介される。デネスとクラウスのシャム双生児であるグラフェナウアーは、一本ずつの腕をテレパスによって統合し完璧にピアノを奏でる天才だった。耳が聞こえず喋ることもできない兄弟の手話通訳を務めるジャクリーンと親しくなるうち、緒方は双子に“もう一人”が存在することを知る。

    特にクラシックにもピアノにも詳しくない人間にも、聴力以外の感覚を喩えに使って双子が奏でる悪魔的な音楽を感じさせる表現力。「ふかふかの鍵」のくだりは

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    2020年08月23日
  • 零號琴

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     非常にスケールの大きなSFだった。といっても、銀河を股にかけて、という感じではないけれど。良い意味でぶっとんだSFだった。
     大假劇が始まってからの盛り上がり方が凄くて、図らずも(図れるものでもないけど)何度も鳥肌が立った。超ド級のヒーローショーを見ているような感じ。
     話が進むに連れて、一つの言葉や事物に幾つもの意味・価値が付与されていくので、あらゆるものが何かのメタファーなんじゃないかと、疑ってしまう。隠喩自体は一般的な技法だろうけれど、ここまで多重の意味を内包させるのはなかなかないんじゃないかな、と思う。
     面白く読んだけれど、一方で終わり方は少し寂しかった。感情的な意味でも、少し尻す

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    2020年07月13日