飛浩隆のレビュー一覧

  • 零號琴 下

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    ネタバレ

    「グラン・ヴァカンス:廃園の天使」以来の第2長編とのこと。
    遅筆遅筆とはいいながらも確実に作を重ねている作家で、情けないことに9年前に読んだ「グラン・ヴァカンス」の思い出に酔うばかりで他の著作に手を伸ばせずにいた。
    ハードカバー版をチラ見して、重厚そうだなと感じていたが、なに、読み始めれば娯楽そのもの。
    キャラクターは丁寧に描き分けられ、漫画やアニメに親和性が高そう、と冒頭十数ページで、容易に軌道に乗れた(萩尾望都の絵柄で脳内再生)。
    ところがなんと漫画っぽいとかアニメっぽいという印象を越えて、そのまんまポップカルチャー諸々を取り入れた作りだと判り、断然面白くなった。
    あー「プリキュア」ね。そ

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    2021年11月10日
  • 零號琴 上

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    レビューは下巻にてまとめて。
    とりあえず、これまで読んできた飛浩隆作品に比して、ストーリーテリングの巧みさは素晴らしかったです!下巻でこの勢いを保ちつつどう展開するか、楽しみです。

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    2021年10月29日
  • 零號琴 上

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    良いところで上巻が終わり。楽器演奏の描写が異質すぎて、読み応えがありすぎる。それに、日本のカルチャーをゴリゴリ詰め込んで話を展開していくのは強引であるが、ホントに面白い。

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    2021年10月17日
  • 零號琴 下

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    単行本で二度読んだはずだが、面白くて文庫でも一気読み。イラストも解説も素晴らしい。「メタ戦後日本SF史小説」とも読めるだなんて、解説を読まないと気づかなかった。

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    2021年10月17日
  • 零號琴 下

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    ネタバレ

    楽器?をモチーフにしたSFに対し、あらすじを読んだだけでは面白さがわかりませんでした。

    しかし、読み進めるにつれ物語に強烈に引き込まれました。
    想像は無限であり、凄まじい力です。

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    2021年09月29日
  • 零號琴

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    すごい。すごい壮大なニチアサ合同劇場版を見てるような作品だった。
    街全体を巻き込んだヒーローショー風大スペクタクル仮面劇って舞台立てがまずアツい。光景を想像するだけで超楽しい。
    その劇を取り巻く様々な人々の思惑や情念や、主人公ペアの驚き・戸惑いが渾然一体となって迎えた本番がまた最っ高のエンターテインメントなんだわ!
    神話の世界に特撮や魔法少女の表層を重ね合わせて、さらにその下の地層には美褥という星に秘められた凄惨な歴史と住民たちの秘密があって……
    何重ものメタファーをそっと剥がしながら「今の描写ってまさか……」と考察するのもまた楽しい、幾重にもレイヤーがかさなったこの感じ。表現する言葉はきっと

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    2021年09月20日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    ネタバレ

    全く前情報無しに読み始め、序章はちょっと変わった良くある能力バトルかと思いきや。
    結構エグい描写が満載でゾクゾクしたが、悪趣味と思う人もいるかも。しかし話はなかなか凝っていてエヴァを想起させる様な描写もありかなり楽しめた。次回作も読んでみます。

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    2021年07月13日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    ネタバレ

    なんて残酷な、なんて美しい。
    絵葉書の中の風景のような《夏の区界》の美しさと、それが崩壊する恐ろしさと。
    そして崩壊しながら段々と見えてくる《夏の区界》の正体。
    目をそむけたくなるくらいグロテスクなのに、凝視したくなるほど美しい。

    挿絵もないし映像化もされていないのに、何故だか映像が想起される小説でした。

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    2020年11月01日
  • 自生の夢

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    ネタバレ

    初読み作家さん。
    文庫本での登録になってるけど、単行本が出た時に買っていて、今の今まで積読にしていた。でもそれでよかったと思う。
    一応近未来SFにしたけれど、これも、そうなのかな、、と首を捻りたくなる。ここよりも発達した場所の話なのだけど、ここと果たして繋がりのある世界のことなのか。世界の合わせ鏡の行く末を見ているみたいな気持ちだった。

    【海の指】
    世界が灰洋におおわれ、その中で一度分解されてしまう。国も人種もなくなって、周りを灰洋に覆われた場所で時折やってくる〈海の指〉という津波のような、分解された物事が再生されて地表を蹂躙してさらっていく現象に脅かされながら、人々は生活していた。そんな世

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    2020年05月24日
  • 自生の夢

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    圧倒されました。面白かったです。
    どれも良くて…大好きディストピアの「海の指」は〈灰洋〉に浮かぶ泡洲の、歴史的建造物がごちゃっと積み上がる風景を想像するだけでわくわくしました。画像検索しよう。
    DV旦那vs妻と今の夫とふたりの同僚たちとの戦いは壮絶。そして美しくも悲しい終わりでした。
    「自生の夢」が凄かった。〈忌字禍〉に対抗するために甦らせられた、言葉による殺人者「間宮潤堂」。〈忌字禍〉に殺されたようなものの詩人「アリス・ウォン」は忌字禍側についているけど、彼女が一番間宮を理解してた。もったいなかったね、と。
    圧倒されてうわぁと読んでいたけど、解説で間宮潤堂は伊藤計劃とされてて、なんだかじーん

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    2020年04月10日
  • 自生の夢

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    ネタバレ

    言葉から人格をかたち造るさまざまなSNS上に残る自分の断片を掻き集めたら、人格を再構築できるだろうか高度AIでなくても、どんな人となりなのかぐらいは推測できそうだ。

    文字がかたち造る想像の奔流に身をゆだね、異界への旅を堪能する。
    外出できないこんな時は読書を楽しもう。

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    2020年03月01日
  • 零號琴

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    過去の文明が残した遺物がある轍宇宙の美褥という惑星で、美玉鐘という楽器が500年ぶりに再現され、演奏されることになった。この惑星では毎週末に假劇という仮面劇が催される。観客も含めて全員が仮面をつけて参加する神話劇。500年祭でも美玉鐘の演奏に合わせて演じられることになっている。その台本には、新しい要素が盛り込まれると担った。ソラリスの海に、日本のサブカルチャーを放り込んだような、とてつもないけどすごい話だった。おすすめです。

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    2020年02月17日
  • 象られた力

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    初めての飛浩隆作品、短中編4作全部面白い。
    SFを前提にミステリ、ホラー、ファンタジーなど様々なアプローチをしてるけどどれも違和感なくしっくり収まっている。
    また、情景描写の上手さはもちろんのこと五感の描き方がとてつもなく上手い。文を通して“体験”しているような感覚すらあってただただすごいなと感じた。

    個人的には「夜と泥の」の設定が好みでもうちょっと読みたかった。逆に表題の「象られた力」は最後が蛇足に感じてちょっと醒めてしまった。けどそれでも面白かった。

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    2019年11月22日
  • 象られた力

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    いや〜まいったまいった。収録されている短編4作品いずれもよくできているのだが、共通するのは文字がイメージを想起させること。文字で世界がめくれ上がって裏返しになったり人が卵のように割れる感覚を味わわせる筆致の凄みがある。文字で音楽的な素晴らしさを想像させたり目の前の圧倒的な光景を想像させるような表現の妙は、自分もこんなふうに書けたらいいなと思わせられる。

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    2019年11月20日
  • 零號琴

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    物語への愛、サーガへの愛、コンテンツへの愛。

    それらをこめたスペースドタバタ小説である。

    そしてプリキュア、手塚治虫、特撮なんかへの愛も多量に。

    物語は人間を変えるどころではない。物語の質量は究極的には人間を形作るまで成すことが出来るのだ。

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    2019年10月12日
  • 零號琴

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    豪華絢爛SF活劇。キャラクター、SF的ギミック、謎、スケール感、小ネタ、ありとあらゆる面においてサービス精神満点であり、日本人作家が今現在可能なエンターテイメントの到達点の1つだと思う。批評する余地なんか全くないほど、めちゃくちゃ面白いです。

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    2019年08月10日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    ネタバレ

    AIたちが終わりなき夏を過ごす仮想空間「数値海岸<コスタ・デル・ヌメロ>」。ゲストとして訪れる人間をもてなすために構築されたこの世界には、もう1000年もゲストが訪れたことはなく、AIたちがルーチンのように夏の日々を過ごしている。
    そんな平穏にして停滞した世界に、ある日突然災厄が訪れる。世界を無効化するために現れた<蜘蛛>、それを操る謎の存在。AIではあるものの確個たる自我を持つ彼らは、自己の存在を死守するために蜘蛛との戦いに臨む。終わりなき夏のとある一日、絶望的な攻防戦が幕を開ける・・・

    飛浩隆作品は、これまで短編をいくつか読んでいますが、鴨的には正直なところ「何が描かれているのか/何を伝

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    2019年05月09日
  • 零號琴

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    何層に渡るのか全く分からない程の重層的展開。それでいて物語を貫く一本の線。作者も言うとおり「新しい」ものではない。ではないが、このパイのような、ミルクレープのような...なぜか甘いものしか比喩に出てこないが、新しくないものでもひたすら重層的に編むことで、見たことのない世界が創出された気がしてならない。
    「あしたもフリギア!」など、その際たるものである気がする。誰もが知っているはずのもの、その枠組みの中に、どこかで見たことのあるものの中に初めてのものを見出す感覚。
    それでいて、読みやすい。複雑ではある。何だっけ、誰だっけと思うこともある。しかしその語り口、キャラクターの強さ、そして浮かぶ光景と鳴

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    2019年05月04日
  • 零號琴

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    すごかった… 4層ぐらいのレイヤーが重なりあって話が展開するところはただただ圧倒されました。読み終わって、しばらくぼんやりしてから冒頭を見返したら「おおっ!」となりました。すごかった。

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    2019年04月28日
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I

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    90年代グロテスクの孫という印象の仕事。AI周りの描写は2002年という時期を考え合わせると非常によくできており、2019年の今読んでもまるで古ぼけていない。語彙は実に美麗だ。間違いなく何度も読み返し、あちこちのつくりを参考にするだろう。

    とはいえこの物語には瑕疵とまでは言えないが、個人的に看過しがたい点がある。
    人間の理不尽な残忍さを物語の基盤に埋め込んだだけならいかにもありふれていて薄っぺらいが、被虐者が残忍に「狎れ」た上で己の宿願を果たすため一層凄絶な手段を選択する描写を描くならば凄味は増す。物語後半に、檻に入れられた女のエピソードがあるが、そのことだ。しかし彼女の選択は辻褄が合わない

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    2019年04月05日