飛浩隆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
遠い未来。人類は〈行ってしまった人たち〉によって整備された〈轍宇宙〉と呼ばれる銀河団に居住地を広げていた。〈行ってしまった人たち〉が遺した楽器を扱う特殊楽器技芸士のトロムボノクは、大富豪フェアフーフェンの依頼で、相棒のシェリュバンと共に惑星〈美縟〉へ赴く。そこは首都全体が巨大楽器〈美玉鐘〉のために設計され、毎週末には建国神話〈美縟のサーガ〉にまつわる假面劇が上演される異様な星だった。だが、トロムボノクとシェリュバンにとって初めての假劇の夜、何者かが放った刺客の〈亞童〉にフェアフーフェンが殺される。サーガが語る美縟建国の真実とは。そして、〈美玉鐘〉が500年ぶりに鳴るとき奏でられるという秘曲〈零
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「グラン・ヴァカンス:廃園の天使」以来の第2長編とのこと。
遅筆遅筆とはいいながらも確実に作を重ねている作家で、情けないことに9年前に読んだ「グラン・ヴァカンス」の思い出に酔うばかりで他の著作に手を伸ばせずにいた。
ハードカバー版をチラ見して、重厚そうだなと感じていたが、なに、読み始めれば娯楽そのもの。
キャラクターは丁寧に描き分けられ、漫画やアニメに親和性が高そう、と冒頭十数ページで、容易に軌道に乗れた(萩尾望都の絵柄で脳内再生)。
ところがなんと漫画っぽいとかアニメっぽいという印象を越えて、そのまんまポップカルチャー諸々を取り入れた作りだと判り、断然面白くなった。
あー「プリキュア」ね。そ -
Posted by ブクログ
すごい。すごい壮大なニチアサ合同劇場版を見てるような作品だった。
街全体を巻き込んだヒーローショー風大スペクタクル仮面劇って舞台立てがまずアツい。光景を想像するだけで超楽しい。
その劇を取り巻く様々な人々の思惑や情念や、主人公ペアの驚き・戸惑いが渾然一体となって迎えた本番がまた最っ高のエンターテインメントなんだわ!
神話の世界に特撮や魔法少女の表層を重ね合わせて、さらにその下の地層には美褥という星に秘められた凄惨な歴史と住民たちの秘密があって……
何重ものメタファーをそっと剥がしながら「今の描写ってまさか……」と考察するのもまた楽しい、幾重にもレイヤーがかさなったこの感じ。表現する言葉はきっと -
Posted by ブクログ
ネタバレ初読み作家さん。
文庫本での登録になってるけど、単行本が出た時に買っていて、今の今まで積読にしていた。でもそれでよかったと思う。
一応近未来SFにしたけれど、これも、そうなのかな、、と首を捻りたくなる。ここよりも発達した場所の話なのだけど、ここと果たして繋がりのある世界のことなのか。世界の合わせ鏡の行く末を見ているみたいな気持ちだった。
【海の指】
世界が灰洋におおわれ、その中で一度分解されてしまう。国も人種もなくなって、周りを灰洋に覆われた場所で時折やってくる〈海の指〉という津波のような、分解された物事が再生されて地表を蹂躙してさらっていく現象に脅かされながら、人々は生活していた。そんな世 -
Posted by ブクログ
圧倒されました。面白かったです。
どれも良くて…大好きディストピアの「海の指」は〈灰洋〉に浮かぶ泡洲の、歴史的建造物がごちゃっと積み上がる風景を想像するだけでわくわくしました。画像検索しよう。
DV旦那vs妻と今の夫とふたりの同僚たちとの戦いは壮絶。そして美しくも悲しい終わりでした。
「自生の夢」が凄かった。〈忌字禍〉に対抗するために甦らせられた、言葉による殺人者「間宮潤堂」。〈忌字禍〉に殺されたようなものの詩人「アリス・ウォン」は忌字禍側についているけど、彼女が一番間宮を理解してた。もったいなかったね、と。
圧倒されてうわぁと読んでいたけど、解説で間宮潤堂は伊藤計劃とされてて、なんだかじーん