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Posted by ブクログ
読後、その本のことが頭から離れない…思考が止まらない。そう思える作品が良い本だと思います。この作品がまさにそうでした。
読むだけで痛い。心の奥底まで震える。
自分の深層心理に触れられた気がする。
圧倒的情報量に頭がクラクラした。
次々移り変わる場面…現実世界や仮想現実の区界。家にいながら色々な世界を旅することができる。遥か上の視点から旅をすることができる読者はゲストよりも贅沢かもしれない。
グラン・ヴァカンスと同じく、至る所に散りばめられた残虐性に、その倒錯的な美しさにやはり惹かれてしまう。残酷なのにも関わらず、何故こんなにも美しいのか。圧倒的な文章量なのにも関わらず、最初から最後までつまらないと思う言葉がない。好きだなと思う文章が沢山あって読むのが楽しくて仕方なかった。ここまで壮大な小説は他に読んだことがない。その設定が、舞台が、唯一無二で本当に好き。好きという言葉でしか表せないのがもどかしい。心から愛している。
きっとこの作品に、文章に恋をしている。
この残酷で美しく病める世界にいつまでも囚われていたい。
Posted by ブクログ
ーーー人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった―第1章たる『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する、待望のシリーズ第2章。
飛浩隆『廃園の天使』シリーズ第2章の中篇集
凄いの一言。詩のような美しい文章が特徴的だった第1章『グラン•ヴァカンス』の肉厚なバックボーンを、物理世界と仮想世界の両面から描き出す。この中篇たちがあればこそ、第1章がさらに輝きを増す。
表題作は、AR(拡張現実)を一歩進めたような概念と、そこから更に飛躍させた技術の芽吹きがリアリティを持って迫ってくる。
最後の中篇にあたる「蜘蛛の王」も、純然たる冒険小説としても通用しそうな躍動感にワクワクした。
秒四十のレートで世界と摩擦すること、それが人間という現象なのだから。
Posted by ブクログ
『グラン・ヴァカンス』の先日談。
前著では、アイデアとしては新しい部分は少ないのだが、そんなものを全く弱点だとも思わせない圧巻の表現力が、惹きつけてやまない魅力となっていた。そして今作においては、今まで誰も考えたことのない(あるいは手を出せなかった)怪物を作ってしまうという偉業を成し遂げた。
仮想世界の「数値海岸」は、そこに訪れる人の欲望を映し出し形にする。ゆえにそこでは、アウシュビッツすらもお遊びとしか思えないような、AIに対する高品質な虐待が日々絶え間なくおこわなれる。それを防ぐためにおこわなれた「大途絶」。しかし、数値海岸は、決して平和になることはない。ゲストたちよりももっと残酷な、訳のわからない存在が現れて荒らし回っていく。人々の精神の暗渠としての、仮想世界―――……。
残酷で清新で美しいもの。それが、著者の考えるSF。正しくその言葉通りの、作品でした。
次回作の『空の園丁(仮題)』が、早く読みたいです。
Posted by ブクログ
『グラン・ヴァカンス』を読んだのはたぶん1年ぐらい前だけど、これは連続で読めば良かったなー。
『グラン・ヴァカンス』を読んだときは、”数値海岸”、”夏の区界”…etcと一つ一つの単語からも感じる凄まじいこだわり、静謐ってこういうことだなと思わされる文章力からなる見事な世界の美しさに圧倒された。そして、それとは全く正反対とも思えるんだけどやはり美しい残酷な痛み・苦しみの表現、これも本当に凄かった。
本書でも飛浩隆の書く世界の美しさというのは改めて感じ入った。が、それよりも彼の書く世界というのが”数値海岸”の中だけでなく、ちゃんと現実の理論があってフィクション(数値海岸)があるとまで練られているところが驚きだった。もちろん、この現実の理論もフィクションではあるのだが、まるで別世界か遠い未来でも見てきたんじゃないかと思えるほど虚構が理に敵っている。第三作が本当に楽しみです。
Posted by ブクログ
作家「飛浩隆」はSFとしてのフレームワークがしっかりしている事が好きな理由であるが、SFであるのに多彩な色・香り・風景・音などを感じられる希有な作家であると理解している。物語の内容については前作で語られなかった背景や、異なる平行時間の物語の入った短編集。期待が裏切られることは無いと約束する。
SFファンでなくとも本シリーズは読んでいただきたい作品の一本である。またこれは個人的ベストSFランキングの中では比較的近年にランクインした作品でもあり間違いなくベスト3に入る。
追伸:いつも読み返す時期は冬~春であり、これから暖かくなって行き、初夏を迎えるまでには「夏の扉」を読み返してみたくなる不思議な物語。
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小説・文芸
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