【感想・ネタバレ】踊りつかれてのレビュー

あらすじ

誰かが死ななきゃ分かんないの?

首相暗殺テロが相次いだあの頃、インターネット上にももう一つの爆弾が落とされていた。ブログに突如書き込まれた【宣戦布告】。そこでは、SNSで誹謗中傷をくり返す人々の名前や年齢、住所、職場、学校……あらゆる個人情報が晒された。
ひっそりと、音を立てずに爆発したその爆弾は時を経るごとに威力を増し、やがて83人の人生を次々と壊していった。
言葉が異次元の暴力になるこの時代。不倫を報じられ、SNSで苛烈な誹謗中傷にあったお笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。ほんの少し時を遡れば、伝説の歌姫・奥田美月は週刊誌のデタラメに踊らされ、人前から姿を消した。
彼らを追いつめたもの、それは――。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても良かった
強いて言えば、特にけったくそ悪い大分の件はなくても良かったかと思うけど、ところどころに救いとなる人がいて、作者の世界への期待なのかと勝手に思いました
最後、ささやかな光があって救われました

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2026年04月26日

Posted by ブクログ

天ちゃん、生きててほしかった
ほんと「生きてこそーーー」

繋がりにふるえた


ネットの「みんな」はみんなじゃない
書きたい人は書きたいことしか書いてない
どんな人にも見られる可能性はある
広くて狭い
玉石混交

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2026年04月26日

Posted by ブクログ

宣戦布告から物語が始まる。
冒頭からぐっと引き込まれる。
不倫をきっかけにSNSで袋叩きにあい自ら命を絶った天童ショージ。
天性の歌声と美貌を武器に一時代を気づいた奥田美月、彼女は週刊誌の記事をきっかけに歌うことを辞めた。
彼らふたりのファンを名乗る男が復讐なのか、彼らを貶めた83名の人々の個人情報をネットにあげるところから物語が始まる。

彼らがどうやって生きてきたのか。匿名を武器に好き勝手言う数多の人にどのように潰されていったのか。
ネットにあげた犯人とその弁護士を通じて本当にこんな世の中が正しいのかを問いかける。
正しいって何なんだろう。
正義面して、他人を蹴落とすことができるネット社会の現代に一石を投じる作品。
根底には人が大事な人と顔をあわせて相手のことに興味を持ち愛するということの大事さを感じることの伝えたかったのだと思う。

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2026年04月18日

Posted by ブクログ

『踊りつかれて』(塩田武士)
作者は新聞記者として長らく活動した後、作家になった人と聞いています。綿密な取材を重ねた彼の本には、グリコ森永事件を扱い犯人から脅迫の録音に使われた子供の声を追った「罪の声」や、写実絵画をテーマに扱った「存在のすべて」は印象に残っています。
塩田さんの新作との事で読んだ本作も長い物語の最後まで読んで、静かな印象を受けました。

最初はSNS時代のリテラシーのない人を警告する目的だと思って読みはじめました。私は悪意のある小説とか、悪魔ものは、あまり好きでありません。この小説は最初、ネットで人の事を自分の不満の捌け口として非難中傷した人達の悪意と、それを私刑にしたものをこれでもかと書きたてて、気持ち悪いと思って、我慢して読みました。
最後まで読んで歌手のモデルかはわかりませんが、好きだった山口百恵さんや、お笑いタレントの誰かを私も思い出しました。

今読み終えて、この長い物語は、友情の物語だと思います。彼氏とか彼女とかの関係ではなく、一人の人間としてその人を敬い、心から相手の幸せを願う人が描かれてやっと自分事として読み終える事が出来た気がします。

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2026年04月14日

Posted by ブクログ

SNSはうまく活用できれば生活は豊かになる。
でも、きっと依存しすぎると自らが名無しのモンスターのようになってしまうのかもしれない…と、恐ろしく感じました。

『匿名性』『集団心理』
どの年代でも当てはまる脅威。
それをわかりやすく形にしてくれた小説だと感じました。

自分の『正義』は他人にとっても正義であるとは限らない。自分の『正義』が誰かを傷つけているかもしれないということを肝に銘じて生きていきたい。
それはSNS上だけではないけれど…。
そんなわかっていたようなことを改めて強く思わせてくれました。

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2026年04月07日

Posted by ブクログ

僕はSNSはやっていない。匿名性という盾の元で心無い言葉が飛び交う世界、面と向かっては言えるはずない言葉が存在できる世界をどうしても好きになれないでいた。だからこの物語のスタート自体に強く惹かれた。そこから始まった物語は、登場人物たちの人生を追っていく形で深みを持ち始める。誰も楽には生きられていない。でも、自分でない誰かを認めて尊重しながら生きていくことはかくも美しいかとこの物語を読むことで知れた。人を傷つける言葉や態度より、人を尊ぶ言葉や態度を持てる人間でありたい。

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2026年04月04日

Posted by ブクログ

ザ・ベストテンが歌謡曲番組の王者だったころ、芸能人を貶めるのは週刊誌やワイドショーだった。引き金を引くのは記者たちだ。現在は、SNSによって一般人が芸能人に引き金を引く。最悪の場合は命を奪う。言論空間が広がることは歓迎すべきなのだろうか、閉塞感だけを生み出していないだろうか。本作品ではSNSでバッシングされた二人の芸能人に関わる人が、自分が犯罪者になることを厭わずにバッシングした一般人の個人情報をさらしていく。もう何が正義で、いや、正義こそ悪なのではないかと曲解してしまうほどだ。この苦しみを本作品で追体験すると、気軽なSNS投稿は慎むようになるだろう。

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

装画から文章までとても美しい本。
内容は現代のSNSの汚すぎる掃き溜めについて。
匿名ってここまで品格を落とせるんだなぁ、と現実に目にする炎上や誹謗中傷で日々感じている。
そしてこれだけ炎上や誹謗中傷を繰り返しても、全然減らないし社会的制裁もなし。
今作のような行動に出られる人はほぼいないだろうけど、やりたい気持ちの人は多いだろうなぁ。
人のふり見て我がふり直せ、でSNSを利用する時は全方向に不快感を与えないように、を第一に考えないとだね。
毒にも薬にもならない、他の人にとってはどーーーでもいいことをつらつら書く場だと思っているし。

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

ネットによる誹謗中傷と芸能界の光と闇。
一人の天才少女に魅せられた音楽プロデューサーはなぜ犯行に至ったか。
緻密に貼られた伏線と圧倒的な情報量で描かれた犯罪小説。最後まで息もつかせぬスリリングな展開と大きな感動。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

「宣戦布告」のタイトルと共に、強烈な言葉が読み手を惹きつける。「よく聞け、匿名性で武装した卑怯者ども。」
不倫したことを火切にSNSで誹謗中傷され、自殺した売れっ子芸人の天童ジョージ。週刊誌につきまとわれ、有る事無い事書かれて、テレビから消された歌手、奥田美月。この2人の仇を取ると「宣戦布告」に書いてあり、同時にこの2人を誹謗中傷して追い詰めた83名の個人情報がばら撒かれた。逮捕されたのは有名音楽プロデューサー瀬尾。その弁護を引き受けることとなった久代。天童、奥田、瀬尾の人生を辿っていくこととなる…

前半から、本当に面白くめちゃくちゃ惹きつけられる!本を読むとどうしても展開が気になり、早く読んでしまいがちだが、面白すぎて読み終わるのが勿体無いとさえ思った!前半までは。後半は事件に出てくる奥田や天童、瀬尾の人生を辿っていく様子が書かれている。前半部分には、現代社会の問題にもなっているSNSの闇について、明確に言語化されていると思う。そして分かりやすく書いてある。SNSは「正しさ」で溢れている。正しくない行いは徹底的に叩かれる。正しいという正義の剣を振りかざし、画面越しに人がいることを考えもしない。まさに「安全圏のスナイパー」匿名だから自分の発言に責任もない。
本当に?本当にそれは正しいのか?本当に責任はないのか?思考停止してないか?誰も傷つけない平和な世界なんてあるのか?
自分がSNSに感じていた違和感を明確に言い当ててくれた。めっちゃくちゃ面白かった!

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2026年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マスコミ、ネット、誹謗中傷、問題提起が主題だと思ったら純愛だった
どんな人にも過去があり、受け入れられること受け入れないことさまざま、よく作り込まれて詰め込まれていて、お腹いっぱい
ときおり入るポップな掛け合いが救いではあったが、全体的に重かった。そして冗長、想像にまかせて欲しいところも全部出し切られた気がする。
そうは言いつつほぼ一気読み、次が気になるというより、なんか途中で置きにくい一冊でした。

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2026年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初は、ネットの誹謗中傷に一石を投じる物語だと思っていた。
けれど読み終えて残ったのは、誰が加害者で、誰が被害者なのかを簡単には決められない、視点の揺らぎだった。

瀬尾が個人情報を晒した83人は、美月や天堂を苦しめた加害者だった。けれど同時に、その83人もまた、それぞれの人生を持つひとりの人間だ。
復讐は許されるのか。もちろん、簡単に許されるものではない。
それでも「許せない」と断じるだけでは、この物語の核には届かない。

ネットで流れてくる断片的な情報を鵜呑みにし、誰かに貼られたラベルをそのまま信じてしまう。
自分の目で見たものではないのに、知った気になり、いつの間にかそれを自分の意見のように感じてしまう。
その危うさは、この物語の中や今の社会だけでなく、自分自身の中に確かに存在する。
だからこそ、肩書やラベルではなく、その人自身を見つめることの難しさを突きつけられた。

ラストシーンは情景が目に浮かび、特に印象的だった。瀬尾にとって、かつて仕事のパートナーとして互いに尊敬し合っていた美月と"生きて"再会できたこと、そして久代と出会い、今後の人生でも支える対象を持てたことは救いだっただろう。

また、久代の先輩である青山も印象に残った。
軽く見えるのに、人に興味を持つという芯が仕事に生きている。
押し付けがましくない優しさを持つ彼の存在は、この重い物語の中で静かに光っていた。

人を一面的に裁くことは簡単だ。
けれど、人を理解することはずっと難しい。
自分の人生においても、この難問はずっと付きまとうのだろうと感じた。

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2026年04月27日

Posted by ブクログ

audibleにて。途中まで「なんかずっと拗らせおじさんの自語り聞いてるみたいでしんどいなあ」とうっすら思ってたんだけど、途中からただただエモかった。メルヘンおじさん満足です。現代のネット社会の歪みみたいな題材を扱ってる作品はとても多いけど、それだけで読まないのはもったいない作品だなと感じた。

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2026年04月26日

Posted by ブクログ

最近気になっている塩田武士さんの最新作。
冒頭の「宣戦布告」の文章に引き込まれる。激しい口調で書かれているんだけど、たしかにそうだな、と思わせられる。
「匿名性」の世界で、「正義感」を盾に誹謗中傷をする。相手を限界まで叩きのめす。いつからこんな歪んだ世の中になったんだろう。
「誰かが死ななきゃ分かんないの?」
許されない社会って怖いし、物事の一面だけを見て、すべてわかった風に糾弾することの怖さ。でも本人はそれを正しさだと思っている。
「ほっといてほしい」は本当に心からの声だと思った。SNSって便利かもしれない。誰かを救っているかもしれない。でも、誰かを傷つけ、心を殺しているかもしれない。そういう想像力を持って使わなきゃいけないんだと改めて思う。

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2026年04月25日

Posted by ブクログ

読書備忘録982号。
★★★★。

新年度に入って半月ほど。
やっぱ疲れますよねぇ~。
会社員の皆様疲れますよねぇ~。
しかもうちの会社は組織を大幅に見直し。
システムから業務から動かない動かない!笑

備忘録書く気力が・・・。
最低限の備忘だけでも・・・。

序章。
キタァーーーーーー!
ネットの匿名性を利用した誹謗中傷、人格否定などなど、なんでこんな書き込みが出来るのか?その行為が相手に与える影響を想像できない輩。
そしてピン芸人天童ショージが自殺。歌手の奥田美月は姿を消した。
そんな輩に正義の鉄槌を下す神が現れた!
2人に対する加害者83人のクズどもの個人情報をすべてネットに晒す宣戦布告!
これは!ワクワクする勧善懲悪のものがたりか!
★5つ決定やな!ってなりました・・・。

蓋を開けてみたら、強烈な昭和恋愛ストーリーでございました。
踊りつかれたね。2人とも。
それでも★4つに踏みとどまりました!

なんたって心に響いたもん!
芸人、天童ショージのこの叫びが!
-----
もう吐き出したい。つらくて堪らん。
今はただただ「正しさ」が憎い。「正しさ」ってそんなあっけらかんと口にするもんやったか。みんな心の片隅で「正しさ」が持つ息苦しさを分かってなかったか。人は「正しさ」のために怒りたがる。でも、芯のない「正しさ」は、人間の神経を麻痺させる。人を責めて蹴落とす快感、堕ちてゆく人間をせせら笑う優越感、自分は地に足がついているという肯定感。そんな胸焼けするような感情のパーツを寄せ集めてできたのが「正しさ」や。
人間、真の「正しさ」の前にはひれ伏すようにできてる。でも、個人にそれが備わらんことは、みんな百も承知や。その不完全さを笑いに変えることで食べていくんが芸人とちゃうか。
-----
不完全さを笑いに変えて小市民の気持ちを楽にしてくれるのがお笑いやねん!と思う!
最近はヒトを傷つけないネタとか。アリとは思うけどモヤモヤするぅ!
もっと毒々しいネタが欲しい!

まあ、ええか。

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2026年04月17日

Posted by ブクログ

ネットの中傷で芸人が自殺、悪質な投稿をした83人をさらす。その人たちの一瞬の人生の変化がとにかく怖い冒頭だった。その後全員どうなったかを知りたくなる誰にでもある野次馬心…
今SNSをやっている人は冒頭だけでも読むべきだと思ってしまう。結局こんな恐ろしい事態になっても、他に興味のひく話題があがればすぐに流れてしまう。教訓になるのは一瞬。それでも一度ネット上に投下されたものは消えないし、その後の人生も続いていく。
被告人の瀬尾と美月、天童の繋がりがわかる後半も面白かったけど、とにかく前半の衝撃だけで読んで良かったと思う一冊。

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2026年04月09日

Posted by ブクログ

 匿名だからと思ってネットで無責任な噂を流した市中の人々が、逆に実名をさらされて被害者になる。自業自得といえばその通りだが、それにしてもあまりに悲惨な反撃にあってしまう。それを仕掛けた瀬尾という人物の人柄、30年前からの日とのつながりが解き明かされてゆく。読み応えのある社会派の小説だった。

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2026年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久代奏が関係各所に話聞きに行く場面が間延びしており、発言と人物が一致できなくなったりと混乱する部分があったが、彼らのコメントが若干の伏線?張られており、最後につながっていくところでスッキリ。

天童ショージの独白の部分はしんどかったな。実際に誹謗中傷を受けて自殺してしまう人の最期はこんな感じの幻覚をみてしまうのか。
SNSで発信する人は読んで欲しい。
匿名で一人の相手に罵詈雑言なんて厳罰化モンだよ。

最後のタオル渡すシーン泣けました。

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2026年04月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み進めていくうちに、なぜそこまでの行動に至ったのか、背景が徐々に明らかになっていく
私は読者として
「こんなふうに誰かを大事に思っていたら、壊されたときに普通じゃいられないよな…」
っていう感覚にスッと入ってしまった

でも同時に、そこが一番怖いポイントでもあって。
“優しさ”とか“愛情”みたいなものが、そのまま復讐のエネルギーに転化してしまう構造になってる

そういう感情のコントロールをしながら読んだ
ブレーキをかけながらじゃないと
読み進められないと思った

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2026年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SNSの誹謗中傷で命を絶った天才芸人と、週刊誌の虚偽記事で姿を消した伝説の歌姫。突然、彼らを追い詰めた匿名の人間たちの個人情報を晒す「宣戦布告」が謎の人物によって投下される——。



SNSの苛烈な誹謗中傷で命を絶った天才芸人、天童ショージ。そして、週刊誌の虚偽記事によって表舞台から姿を消した伝説の歌姫、奥田美月。彼らが持っていた圧倒的な才能や、表現に対する純粋な情熱という「美しさ」は、匿名の言葉という無責任な暴力によって、いとも簡単に砕け散ってしまった。

フェイクニュースが蔓延する現代社会において、情報の発信源(ソース)を確認する重要性は誰もが頭では理解している。にもかかわらず、その習慣がなかなか根付かないのはなぜか。それは単純に、事実確認という作業が面白くなくて、ひどく面倒だからだ。対照的に、根拠がなくてもドラマチックに脚色された情報は、実に面白くて爽快である。

映画『ベートーヴェン捏造』の中に、「本当かどうかはわからないけど、そのほうがおもしろいでしょ」と笑う教師に対し、生徒が「先生みたいな人が事実をゆがめるんでしょうね」と返すシーンがある。まさにこの「面白さ」や、物事を白黒はっきりジャッジした時に得られる「快感」こそが、人間の持つ恐ろしいエゴなのだ。
私たちは、真実という名の繊細なガラス細工を、「面白さ」や「わかりやすさ」という身勝手な力で乱暴に握りつぶし、鋭利な破片に変えて誰かを傷つけているのではないだろうか。

だからこそ、主人公である久代弁護士の独白が深く胸に突き刺さる。

「世の中には、頭で理解できることは数多くある。しかし、理解は角を落として丸くしない限り、心へは転がっていかない。その心に行き着いた考えや感情の向こうに、人間の真理があるのかもしれない」

正論やむき出しの感情、あるいは切り取られた事実は、鋭く尖ったガラスの破片と同じだ。そのまま投げつければ、相手の心を深く抉るだけである。真理にたどり着くためには、自分の中のエゴを律し、理解の角を落としていく慎重さと優しさが不可欠なのだ。

人間の「白黒つけたい」という快感やエゴを、社会全体で律していくことは相当に困難だろう。日々、理想と現実の相克に直面し、社会の在り方に絶望しそうになることもある。しかし、私はこの物語のラストで、加害者たちを晒した瀬尾が残した言葉に、確かな希望を見出している。

「今は思想の左右や地位の上下に囚われて、浅瀬で小競り合いをしているけど、必ず社会は『極端なもの』を排していく。(中略)みんなが自分のことを棚に上げて物申す恥ずかしさに気づいて、もっと人の心に近い『正しさ』に陽が当たるはずだから」

この祈りのような言葉を胸に刻み、私はこの複雑で厄介な社会を投げ出すことなく、皆で向き合っていきたい。鋭利な破片で傷つけ合うのではなく、いつか「人の心に近い正しさ」に陽が当たる未来を信じて。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

83人のネット私刑のその後の話かと思いきや
2人の天才の過去を辿っていく感じ。

言葉というものは手軽なコミニュケーションのひとつだけど、
相手を死に追いやるほどの武器にもなり、
攻撃する相手にも家族が、大切な人が
いるという想像力を一人ひとりが持つべきだと感じた。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

誹謗中傷、炎上が日常茶飯に起こっていて、当たり前の風景となっているこの現代は、冷静に考えて異常ではないかと今更思う。
SNSやマスコミの扱い方を慎重にと痛感するのはもちろん、人間ドラマは圧巻でした。

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2026年03月26日

mii

ネタバレ 購入済み

今だからこそ読んでほしい作品

これは本当に多くの人に読んでほしい作品。
プロローグの言葉が強すぎて序盤で挫折しかけましたが、そこを乗り越えたらあとはぐんぐん読まされました。

SNSがテーマの作品なので、きっと多くの方に刺さるはず。
実際私も、SNS黎明期の頃にSNSがどういうものかをきちんと理解できておらず、人を傷つける使い方をしてしまったことがあります。ものすごく反省したし、事が起こってはじめてSNSの危うさを学び、もう2度と同じことはするまいと誓いました。
ですが、記憶というのはどうしても風化するものです。劇中で主人公の久代さんが懸念しているように、喉元過ぎれば痛みは薄れ、また同じことを繰り返してしまうということは、実際あると思います。私も何度か同じ轍を踏みかけました。

気軽に発言ができてしまいますが、そこが世界という大舞台であり何億人という人々の視線が自身に向いているんだという事を常に心に留め置かねばいけません。誰だって人前で立つのは緊張するものです。そういう緊張感を持ってSNSに向かい合うべきだと改めて深く心に刻みました。

気づきと教訓を与えてくれる点では素晴らしい作品ですが、裁判以降の美月のエピソードがちょっと冗長だった印象。壮絶な過去でしたが、前半のSNSへの教訓でめちゃくちゃ釘が刺さったので、そこで切り上げても良かったかなぁと。でも瀬尾と美月と天童の関係性が紐解かれる様はドラマティックでよかったです。ヒューマンドラマとしてすごく密度が高く、読み応えがありました。

#深い #ドロドロ #ダーク

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2026年01月24日

Posted by ブクログ

SNSの闇。
コメントとかしたことないけど、気をつけよう。
しかし倍速で動画をみちゃう私には長かった。

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2026年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語としての価値というよりも、
「今のSNS社会の風潮って、どうなんですか」
「匿名性に隠れた、責任を持たない加害者/殺害者になっていませんか」
という、過渡期ならではの空気感を痛烈に批判する強いメッセージを感じた。

冒頭に提示される「宣戦布告」。
これは作中の犯人・瀬尾によるブログの文章だが、
著者、あるいは登場人物が現実社会に対して投げ込んだ、“意見の火炎瓶”のようにも見えた。

芸能人への誹謗中傷、匿名性の陰に隠れた暴言、
承認欲求や優越感を満たすために人を叩く愚かさ。
さらに、過激な意見や陰謀論的見解を、
単純な真実として盲目的に信じてしまう構造。
そうしたSNSにおける現代人の傾向を、
ここまで詳細に言語化している点にも大きな価値がある。


印象的だったのは、「情報のエントロピー」に関する比喩。

「エントロピーの値は、高ければ高いほど乱雑であるということです。つまり、現代ほど情報のエントロピー値が高い時代はありません。ネット以前は紙という物理的制限の中でギリギリ秩序が保たれていましたが、今や人々がグラブもつけずに殴り合っている状態です。机の上が汚いのと家全体、いや、街全体が散らかっているのとでは、比べ物にならないでしょ?」
「つまり、机の上を汚くしたのが昔の週刊誌で、街全体を散らかしたのがSNSを主体とするネットメディアである、と?」

また、ネット上では人が「実在」から「虚像」へと変わってしまう、という指摘も鋭い。

「この人たちは恐らく、面と向かっては同様の悪態をつくことはないだろうと思いました。目の前で傷つく人を見るのはきついですし、自らの俗悪さを他者に知られるのはバツが悪い。その他、反論されるリスクや自制のなさなど、対面では生じるはずのブレーキの諸要素が、ネットになると全て消え去ります。質感がなくなった途端、果てしなく増長してしまうんです」

さらに「コスパ」や「タイパ」、「アシスト機能」の重視によって思考時間が奪われ、
見栄えや承認欲求という浅瀬を漂い続ける状態を「短小文化」と名付けている点も印象的だった。

浅瀬ですぐに善悪を決めてしまう人の増加は、
ネット上の悪貨とも言える「猫情報と怒り」をウイルスのように拡散させ、
実体を伴わない虚像を「たった一つの事実」として閉じ込めてしまう。

「私見に過ぎないんですが……ネットのインフラ化によって『瞬時に答えが分かり、好きなものだけを手に入れられる』という前提が浸透し、その結果『事実よりも面白いことを優先する』『自分が見たい情報ばかり集める』『承認欲求を満たすために感情を吐き出す』人たちが増えたと感じています」

終盤、天童ショージの自殺直前の独白は、とにかく苦しかった。
言葉によるリンチを受け続け、心が疲弊し、正常な精神状態ではなくなっていく。

それでも彼は、社会に対する違和感を持ち続けるほどに知的で、
なんとか乗り越えようとする姿勢を持っていた。

しかしその誠実さゆえに、浴びせられた言葉を反芻し、対処しようとしてしまう。
その過程で、さらに心が削られていく。

心が弱かったからではない。
言葉という凶器によって刺され続け、
大量出血の末に命を落としたような、そんな理不尽さを感じた。

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2026年04月19日

Posted by ブクログ

「宣戦布告」としてSNSで誹謗中傷をした人の個人情報を晒すというあらすじに惹かれて読みました。

今の世の中の不寛容さ、匿名性・集団心理の恐ろしさ。その問題提起はすごく良いのですが、それ以外も盛り込まれ過ぎていて、少しぼやけてしまった印象が否めません。
自ら犯罪者となってでも闘いたかった理由を描く必要はあったのは理解できますがそこが長すぎて、直木賞の評言で京極夏彦さんが仰っている通り、テーマが中盤以降徐々に薄れていってしまった気がします。

けれど現実世界でもまだ結論が出ていない問題だから仕方ないのかもしれませんね。

本作の中に「これまで歴史を作ってきた人間が、こんなおかしな状況を放置し続けるわけがない」という文がありましたが、そうであってほしいと私も心から願います。
誹謗中傷の問題だけではなく、いい大人がSNSと適切な距離感を取れずにいる今の時代が過渡期であってほしいものです。

レビューから逸れましたが、そんなことを考えさせてくれる素晴らしい問題提起をしてくれる一冊でした。

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2026年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

素敵な表紙と踊りつかれというタイトルからの宣戦布告のはじまりに惹かれて読みました。
誹謗中傷によって苦しんでる人がいて社会問題にもなっているので読んでとても勉強になった。
専門用語も出てきて調べながら読んで、なるほどと思いながら読みました。
天童ショージの独白は読んでいて、あぁ、もうだめかもしれない、、と私も一緒に思ってしまいしんどかった。
匿名なら芸能人とかに悪意のあるコメントや正義を書いてみようとか、そもそも書きたいと思ったことがなかったのでP271の、瀬尾さんの発言が心に残りました。
私たちはニュースや投稿を目にするとすぐに内容にのめり込んでしまう。
憂さ晴らしに人を利用していないか、追い込まれる実在の人間を想像できているか自問してほしい。
美月の心情も知れたら良かったなと思いました。

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

主題は結局2人の人生についてだったのか?『なぜこんなことをしたのか?』に重きを置くのかと思っていたら2人のパートが膨らみすぎて思っていた方向と違った。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

SNSでの誹謗中傷は
芸能人、アスリートだけでなく、
いじめなどの加害者である未成年の実名や家族を晒したりなど
間違った正義中毒の人たちがたくさんいて、
本当に無法地帯だと思う。

好感度高い人の不倫などは
そりゃやっぱりガッカリするけれど
それで「こいつ○ねばいい」とは決して思わない。

でもSNSで過度の誹謗中傷を繰り返す人は、
結局はそこらへんにいる普通の人で、
本著でも加害者それぞれの話は興味深かった。

加害者の話が中心になるのかと思ったら
昭和平成の芸能界の話や
尼崎事件を彷彿とさせる他者が突然入り込んできて家族が崩壊する恐ろしい話など盛りだくさん。(描写が怖くてさすが「罪の声」の著者という感じ)

しかし、弁護士の久代を襲った犯人は結局誰だったのか、ハッキリとはわからずじまいだし
誹謗中傷加害者の歯科医は行方不明のままだし、
美月の家族を崩壊させた恐ろしい女、和江は忽然と消えてどこに行ったのか。

なんだか色々消化不良の中
後半の瀬尾と美月の思い出を辿る話が長くて、最後のメロドラマ調の展開がちょっと、んー。。。好みの分かれるところ。
でも「声」という歌は聴いてみたい。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

物語の中の人物が発言しているというよりは、作者の思いを物語の人物を介して伝えてきている感じだった。(当たり前なのだが)
そのため物語に没入が出来なかった。

内容的には、ネット社会の誹謗中傷について。
様々な場所で誹謗中傷はやめようと言っているのにも関わらず、なくならない。もはや文化であるかのようになっているものに対するアンチテーゼ。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

SNSの誹謗中傷によりお笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。
時は遡り、伝説の歌姫・奥田美月は週刊誌のデタラメに踊らされ、人前から姿を消した。

そして、「宣戦布告」
よく聞け、匿名性で武装した卑怯者ども。・・・・
重罪に認定された83人はネットにすべてを晒された。
犯人は美月とコンビをくんで一世風靡した音楽ディレクターの瀬尾政夫。
天童の同級生であり、なんとなく縁を感じていた弁護士の久代奏は
瀬尾から任命され弁護することに・・・。

なぜ、このようなことを起こしたのか?
本人が語らないまま、関係者の聞き取りで瀬尾の人となりに触れていく。
つかみのインパクトはある。
そして、だんだんと天童との関係性、美月との関係性が明かされていくのも面白い。

SNSの怖さやひとの愚かさなど
現在の問題点なども含め
心に刺さることばも多く、考えさせられることも多かった。

途中の回顧するところなどは美月の人となりを知り、
瀬尾との関係性を深く感じるのには必要なことだったのかもしれないが、
盛りだくさん過ぎたような気もします。
正直、中だるみ感はありました。

あの腐った女帝は誰に殺されたのでしょうか・・・。

そして、歌声きいてみたいな~。

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2026年03月17日

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