あらすじ
婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》
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「人生で一番刺さった小説」との声、続出! 恋愛だけではなく、生きていく上でのさまざまな痛み、あらゆる悩みに答えてくれる物語。
主人公・西沢架は、いつも通り帰宅した自宅に、同棲中で家にいるはずの婚約者・坂庭真実がいないことに気付く。突如失踪した真実の手がかりを探すべく、架は真実の過去と向き合うこととなる。浮かび上がる現代社会の生きづらさと、徐々に明かされていく失踪の理由からは目が離せない。
本作の見どころは、なんと言っても描写の細やかさです。作家の朝井リョウさんによる巻末の解説の中でも触れられているように、この作品では「何か」「誰か」を選ぶときに私たちに起こっていることを主題としています。"選ぶ"という行為の中でどういったことが起きているのかを細部まで描写することで、私たち読者の心に何かしらひっかかるものを与えてくれます。
もちろんすべての人におすすめですが、人間を傲慢と善良の2種類に分けたとして、自分はどちらかというと善良側の人間だという人にこそ是非読んでいただきたい1冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アーイルイル、ソウイウヒト(-_-)と他人事みたいに思ってたけど、自分にも同じ傲慢さがあるかもと気づいて、急に背後から他人に見られてる感じになった。
仕方ない、みんな自分が1番可愛い。
それを傲慢ととる時私は心に余裕がなくて、善良と受け取れる時心に余裕があるのかも。
Posted by ブクログ
無意識に自分に高得点をつけて、相手がそれに見合うかどうかを品定めする。傲慢さ。
小説であるからこそ、腑に落ちたし、自分にも同じ傲慢さがあることに気付かされた。
ミステリー要素、それに続くクライマックス、読後感が素晴らしい。聖地巡礼も行きたくなる。
素晴らしい物語をありがとう。
Posted by ブクログ
現代社会がリアルに書かれていて、「人生で一番刺さった小説」という帯の言葉も納得できます。第二部からの伏線回収が面白く、誰にでもお勧めできる一冊です。
Posted by ブクログ
人を探すという形で、いろんな人から見た「結婚」「婚活」を描いた作品
出てくる人たちほぼ全員に少しだけ共感して好きになり、その出てくる人たちほぼ全員の傲慢さに少しずつ嫌いになり、
自分の中にもいるその傲慢さを浮き彫りにされる。
やめて!言わないで!しないで!
その一方でエンタメ本としてもある程度楽しめる作りにはなっている、総じて満足感がすごいなと
Posted by ブクログ
傲慢と善良、それはどちらとも自分の中に存在しており、どちらも切り離すことはできない。
分かっていても、自分の中に居続ける存在であるのでは無いかと思う。どちらかを悪だと思うこと自体、意味のないことなのかもしれない。
この二つは自分の中で向き合い付き合っていくしかないと感じた。
Posted by ブクログ
自分も真美と同じように、正直者すぎる一面がある。
だからこそ、「正直者は馬鹿を見る」という言葉にもあまり納得感を抱けなかったが、この本を読んで、初めてその真髄がわかったような気がする。
自分が外向きでは直向きに隠していた、むしろ考えないようにしていた「自分の腹黒い部分」をこの本から抉り取られてく感覚にも陥った。
とにかくリアリティーあふれる描写やメッセージの量が莫大すぎて、読書初心者の自分にとってはボリュームがありすぎた。
自己啓発本としての側面、恋愛ミステリーとしての側面、どちらも兼ね備えているし、リアリティーあふれる描写ばかりで一回読んだだけの自分ではこの本の旨みを収集しきれていないと思っているため、もう一度読んでみたいと思っている。
Posted by ブクログ
傲慢と善良。恋愛に婚活に限った話ではないですね。何かを選択するときに、自分の意志で選んだと思っていた…ことが傲慢さや善良さに侵されてしまっているのではないか、と考えさせられました。
匿名
いろんな形がある
自分も真実と同世代なので共感できるところがたくさんあった。女友達の意地悪さは胸糞だけどこういう人いる〜と思った。最後はグッときた。
傲慢と善良、誰しもが抱いているものだと思う。 婚活アプリやマッチングアプリは今や使っている人が多くなっているもの。自分がいざ使うことになった時、この人たちと同じような感覚に陥るような気がした。
なるほど
考えさせられる本でした。新しい視点を感じました。物語の中盤で「え?」となりましたが、最初から予想出来た人はいるのでしょうか、、、、!さすが辻村先生、、、、!
同じ事象を見る面からで異なることを思い知らせ、小説というより哲学書のように感じる面がある作品です。でも、辻村深月です。一気に引き込まれ、最後まで一晩で読みました。良かった!
人への深い分析が刺さる
恋愛小説だと思って、軽い気持ちで読み始めました。しかし、その中身は何とも深く人間心理を描いたミステリー。自分にも思い当たるなんとなく感じていたことや、していた行動がかなり解像度高く言語化されており、自分自身を見つめ直すきっかけとなりました。
辻村さんの小説を他にも読んでみたくなりました。
突然号泣しました
石母田のおばあちゃんの「あんだら、大恋愛なんだな」に突然どばっと涙が込み上げました。渦中にいる人同士はわからんけど、確かにそうだと。
そして最初は架が主導権を取っていたようなこの恋愛が最後は真実の方がどちらかといえば主体になっていて、ちゃんと対等に立てているのが羨ましいような気持ちになり、こんなお似合いの夫婦はないだろうと、心から2人を祝福したくなりました。
この先の人生、子供や親戚、友人付き合い、いろんな事が起きてもきっと、自分たち夫婦の軸を大事にして生きていけるのだろうと思えました。
架も真実も最高のタイミングで出会いをして、偶然を積み重ね、そして真実の嘘も失踪も2人の恋愛には必要なイベントだったのだと思います。
この夫婦も10年後には同じように思うのではないかと思います。架も真実も恋愛だけでなく人として成長した。自分というものを見つめ直せた、こんな最愛の相手はいないだろうと。
架は、婚活に疲れ果ててまたゼロから探すのが億劫だったから別の相手を探さなかったわけではなく真実がよかったんですよね?
彼女の本当の姿の中に自分がひかれるもの、見えたもの、そしてそれらを丸ごと愛する思いが芽生えたから、彼女を好きだと言ったんですよね?
そこだけもう一度読み直してみたいと思います。
選ぶという事は、自分に見合うかどうか価値をつけている、やたら自分の評価だけは高い、など人が普段隠しているもしくは無意識にやっているような、心の深いところまで掘り下げた、剥き出しに描写したすごい作品だなぁと感じました。
泣いた
私は真実に近いなぁ、すごく似ているなぁ、もしかしたら真実って私のことなんじゃないの?と思い、真実に感情移入しながら、私自信のこれまでの、いろいろうまくいかなかった人生と重ね合わせながら読んでいきました。というより、そうせざるを得ないような、内面をえぐり出される内容でした。架のような、女友だちも多い彼氏がいたことが私にもあり、もやもや、鬱々としながら、おそらく結婚してもうまくいかないであろうと思い、お別れした経験があります。
思い出したくもないような、自分が不器用が故の失敗や恥ずかしかったこと等を思い出しながら、真実と自分を重ね合わせながら読み進め、泣きすぎて瞼が腫れています。
めちゃくちゃ心に刺さる一冊でした。
匿名
著者との対話が楽しい
この著作の最大の魅力は、著者の人間分析の深さであろうと思います。その複雑微妙なところの言語化において、著者の視点による考えが成功しており、我々読者との対話も深まる満足感が大きいと思います。
Posted by ブクログ
真実が変わろうと思ってアクション起こしたことによって、お互いに傲慢だった事に気づけたし、気持ちにも素直になれたから行動することは大切だなーと思った。別に前向きな行動じゃなくても環境を変えてみたり今までの事と逸脱してみたりするだけで風向き変わるなーと思った。自分が変わるには行動!そこからなにか大切なことに気づけると思った。
(つい語ってしまたദ്ദിᐢ- ̫-ᐢ₎)
Posted by ブクログ
・マッチングアプリがどうのうこうのみたいな噂だけ聞いて読んだら、婚約者が失踪してそれを調査するというミステリーっぽい導入で驚き
・真実の関係者に話を聞いていく中で書かれている、現代の婚活中の人間に対する解像度の高さ
・自分もまさにアプリなどを通して婚活していたので食らった
・「ピンとこない」みたいな感覚とかまさにあって、「それが自分につけてる値段の高さです」とか耳が痛い
・「人は自分の長所でしか勝負しない」も自覚はないけどそうやってる節はありかねないなと思い、婚活に限らず気をつけようと思う
・あと地方住みの母親についても自分の母親がそんな感じだから共感の嵐
・自分の見えている世界の中でどうにか事実を結びつけて原因や理由を決めつける感じとか
・自分の周りの人やものを過大評価する感じとか
・お母さんヒス構文もそうだけど、お母さんのテンプレみたいなものってあるんだな
・最近アプリの恋愛と学生時代の恋愛の違いとして物語の有無があるのかなと思ってた
・学生時代の恋愛ではいいなと思う瞬間やグッと距離が近づくタイミングに物語性が生まれやすいけど、アプリだとそれが薄い気がする
・今作でもアプリがきっかけの恋愛で100%本気になれない架が失踪した真実を追うという物語を経て100%本気になる
・さすがに現実とフィクションじゃ話は違うだろうけどそんなことも思った
Posted by ブクログ
自分も、自分の家族もそういう思考なのかもしれない、とてもリアルで親近感のわく話しだった。自分の今後について考えさせられる話しだった。でも私がこれを結婚するかもしれない相手にされたらもう信じることは出来ないし、一緒に歩んではいけないなと、気をつけようとあらためて思った
Posted by ブクログ
婚活の孤独さや選ばれない自分への惨めさなど経験してきたから分かる部分。ここまで落ちぶれたくないという意地。色々なものが共感できる分、自分の傲慢さに気付ける作品。
Posted by ブクログ
我が家の親子関係知ってたんですか?と言いたくなるぐらい、心当たりがありすぎて胸がヒリヒリ。
真実の母親の過干渉、自らの知っている世界でだけ通用する常識を押し付ける行為は、母親にとっては"愛情表現"。なんなら、自らの子育てに自信満々で何の間違いもないですと言わんばかりの厚かましさ。
真実は、母親と物理的な距離ができたこと、母親の管理から離れた世界に出ることでようやく違和感を抱くも、長年にわたって築かれてきたある種洗脳に近い思考回路はそう簡単には改善されない。
でも、失意の中とはいえ、自分の意思に従って新しい世界に飛び込んだ経験が、真実を大きく変化させる。
人生の分岐点といわれるものには、その瞬間はそうと思わなくとも、あとから振り返ってみて「あぁ、あの時がターニングポイントだったのか」と思う瞬間がある。このときの決断を、自分がしたか何か他のものに流されたか。自分の意思で行動したかどうか。真実はおそらく初めて、自分の意思に従った。
この「意思に従って行動した」という自覚こそが、自分という「軸」になる。解説の朝井リョウさんの言葉を借りるなら、(この解説も非常に良かった)「自分の輪郭」が明確になる。
……と、真美と母親についてだけでもハッとさせられる描写の数々。久しぶりの辻村さんでしたが、読みやすいのに読み応えがあり満足。
いやでも自分の内面を暴かれてしまう恋愛もいいもんだなと思いつつ、こう思えるのは、自分がもう当事者にならないからだろうな。
Posted by ブクログ
架と真実の2人の視点で物語の全体像の解像度が高くなってから、主旨がだんだんと理解できるようになっていくのが面白かった。
タイトル通り、恋愛における傲慢と善良がテーマになった内容であったが、恋愛に限らず人間関係を構築する上での、純粋な気持ちだけではうまくいかないことが丁寧に表現されていて、悔しくも共感できる部分が多かった。
登場人物の多くが、インスタグラムなどの表現から少し前の世界線で生きているような感じがして、現代を生きている人間の考え方や価値観が少しズレている気がした。
あとは、群馬県が閉鎖的なイメージをつけられてしまっていて可哀想( ; ; )
Posted by ブクログ
マチアプしてる人には響くと思うって言われて読んでみた本。正直、めっちゃ響いた。20代中盤くらいで仕事も慣れてきて、周りも結婚しだしていつか自分もって考えてた。何人かと出会ってなんか違うなって思った人が結婚してて、この人と結婚したいって思える子が羨ましいみたいなこと言ってるのめっちゃ分かる!!ってなったんだよね。理想が高すぎるんでしょうね。結婚相談所を婚活の最終手段にしがちってのもあ~ってなった。必死に婚活してる人って感じがして自分はそんなに必死にならなくても出会えるよ。だって私こんなにも素敵な子なんだからね。って思っちゃってるってことだよね。いたすぎる。心痛すぎる。この本刺さります。
Posted by ブクログ
Audibleで聴いた。トータル11時間超の大作。本だと何ページになるんだろう。
「ピンとくる」の解釈とか、
「売れ残りのワゴンセール」とか、
「100点中の70点」(点、じゃない、%だってカケルが最後弁明してた)とか、
所々で、絶妙に心をえぐるパンチラインが出てくる。
タイトルにもある傲慢と善良。
両方ともどんな人間にも内在すると思うが、本作では、より人間の傲慢さのほうが描かれているように感じた。
マミの狂言だということはすぐ察せるので、ミステリーという括りは少し違う気が。
どちらかというと、人間の怖さを感じるサスペンスかな、と。
特にカケルの女友達。
さすがにあれを本人の前で言わないだろ、、
女性の妬み嫉み僻みってあそこまでなのか?
Posted by ブクログ
真美と架の恋愛からの推理小説かなと思いながら読んでいました。
真美がストーカーを受けていた。
そのうちに 真美が失踪
ストーカーに 拉致されたのか
警察に行っても 話にならず
読みながら 警察の動きも勉強になった。
実際 この警察の動きが どうなるのか
現代のように 警察の不始末に終わるのかと
ハラハラドキドキしながら 読み進む。
真美の過去を知りながら
架の過去も知る
複雑な感じで読んでいた。
そして 架の女友達の 観察がすごかった。
まさかと思って読んでいたら
若い子の勘の鋭さは脱帽で
私も 学びたいとさえ思った。
結果 私の想像を覆したおもしろさ。
初めての辻村深月氏の本
Posted by ブクログ
本の帯と解説に記載のある「この本はヘビーだ」との浅井リョウさんの言葉に深く、深くうなずいてしまった。
恋愛小説である一方で、人間の心理を細かすぎるほどまでに詳細に書き表している。物語の登場人物に没入する一方で、没入している自分に向き合わされるような、矢印を向けられるような、そんな本だった。読み応えももちろんそうだが、今の自分がこのタイミングで読むべき本だったなとも思う。
Posted by ブクログ
辻村深月さん作品で避けては通れない話題作。ボリュームも書いてある内容も重量感があり、読んでいてしんどかった…。
婚活と結婚観に留まらず、文章の矛先は読み手個人にも鋭く向かっているように感じました。進学、就職、結婚、出産、介護などのあらゆる選択に置き換えて、自分のためなら「傲慢」が、誰かのためなら「無知の善良」が、際立つから気を付けてねって言う忠告だと思っておきたい。それぐらい優しく解釈しないとやっていけない(;´∀`)
『しかし、この世の中に「自分の意思」がある人間が果たしてどれだけいるだろう。真実を責めることができる人間が、一体どれほどいるというのだろうか。』
「闇祓」「ツナグ」「かがみの孤城」を読んできて、摩訶不思議パワーが出てくるファンタジーが定番なのかと思っていた。今回それが一切無かったので、新しい発見でした!
2025.2
著書名の意味
本のタイトルに惹かれて手にしました。
その後、映画化決定ということを知り、ちょうど読んでいる最中だった書籍を
一旦置いておいて目を通しました。
私の年代で読むには、婚活がテーマなので、かなり若い内容かと思いました。
と同時に私が若かりし頃に「お見合い叔母さま」から言われたことが痛烈に蘇り、
いつの時代も婚活は同じなんだなと思いました。
気になっていた、タイトルの意味もすぐにわかりましたし、納得出来ました。
最後は予想通り収まってしまい、少々物足りなさを感じましたが、総じて
意外性もあり、面白かったです。今どきの小説という感じがしました。
傲慢と善良
婚活で知り合った2人の結婚までの紆余曲折の話…と思っていたが、大人しく良い子と周りから言われていたが自分に自信も無く、、決められない人。誰でもそんな部分はあるのではないか?私もそうだし。心を取り出して曝け出されたかのような気持ちになった。ただ、真実のように失踪する程の怒りや勇気は持ってない。
人間の本音が浮き彫りに
この作家さんの本は8割は読んでると自負してるが本当にリアルな人間模様を描くのに長けてると思う。いる!いるよ、こういう奴!とか、人が抱える矛盾とか綺麗事ではどうにもならないリアルを描き出すから刺さると思う。
が!本当に思うのが恋人やパートナーや伴侶の側に自分より遥か昔から側にいるその相手にとって恋愛対象になりうる性を持つ友人や自分とは真反対で自分をあまりよく思わなそうな人間がいるのは実に厄介だという事、分かっていたが改めて痛感した。
そういう奴らは自分達の思想や言動が善良だと何ら疑いなく動き、実に傲慢な行動に出て時には、彼、彼女の為!と未来さえ破壊しにかかる。
関わると碌な事がない。
だから何か決める時には自分達だけで。
俺も真実と同じで架の側にいるあいつらが大嫌いだよ。見当違い、権利のない嫉妬で邪魔するな。
とりあえず今までの架の追跡費用と真実の逃亡費用と式場キャンセル代は奴らが全額負担すべき。
匿名
アラサー〜30代の独身の子には勧められない本no.1 (笑)
私は多分架の女友達に近い傲慢な人間なのだと思いながら読んだ。
実際は真実のような女性とハイスペ架が結婚することってそうない。それこそストーカーされてるってウソを付くくらいしない限り。だからこそ女友達の猛反発も少し共感できてしまう(彼女たちが直接傷つけることを言ったのはダメだけど)
架がアラフォーで真実が28歳とかならあるあるは組み合わせだけれども、
それまでモテてこなかった女性が30半ばで急に大逆転ってほんとに聞いたことがないから、ラストも含めてファンタジーだし、
真実みたいな女苦手だなーと思いつつ面白かった
恋愛小説だったのか
出だしといい失踪という展開といい、サスペンスかミステリー小説だと思って読んでいました。
「善良」と「傲慢」が、登場する人たちの中で目まぐるしく表れて…
男性視点のパートの後半は、読んでいて息苦しく嫌な気持ちになるくらいでした。
それは巻末の解説で浅井さんが指摘していたことそのもののせいだと、読了して気づきました。
それだけに、ラストは納得できないというか、主人公達を理解できませんでした。
皆さんは、どう読んでいるんでしょうか。
Posted by ブクログ
どんな内容かまったく知らずに読み始めたので、婚活の話なのかと思い始めたときは若干本を閉じたくなったが、真相は気になり結局最後までページをめくる手は止まらなかった。
私自身、主人公女性と同年代の独身で、実際に結婚などについてリアルタイムで考えを巡らせていたりするので、婚活する男女の深い心理描写には見たくないものを見てしまったような感覚。
割と早い段階でタイトル回収され、そこからそれぞれの持つ傲慢さと善良さが見えてくる。読み進めながら、女性側の心理に「共感できないな」「こうなりたくないな」と感じ、そんな自分自身にも傲慢さがあることに気づかされ、なかなか苦しい。
そんな心理描写を受け止めきれず、だんだんいらいらしてきて、これを書いてるのは一体どんな人なのだと、作者は女性だと思ってたけど男性だったのか?とまで無駄に勘ぐってしまうほど。
小説がどのくらいビジネス的に創り込まれるものなのかはわからないが、読者ターゲット層のド真ん中おそらく私はいて、主人公女性に自身を置き換えたときに感じる共感と軽蔑の微妙なラインを作者によって攻めてこられたような気がした。
物語が物語の中に収まらず、その共感と軽蔑の隙間から「お前も傲慢だ」と言わんばかりに読み手の心理にじわじわ入り込んでくる感じが、この話が「刺さる」と言われる所以なのかもしれない。
そして私自身に最も「刺さった」のは、「自己評価は低いのに、自己愛は強い」という表現。これは素直に自分にもあてはまると思った。自己評価と自己愛は必ずしも一致しない。でもそれは、多くの日本社会に生きる人に言えることなのではないだろうか。自己評価を自己愛と同じぐらい高く持てばいいというものでもないし、逆に自己評価も自己愛も低かったら、おそらく生きていけない。実際、主人公女性は、ちゃんと自己愛があったから、青天の霹靂があっても自分で自分を落ち着かせる時間と居場所をつくるとができたのだと思う。
人は、傲慢さも善良さも兼ね備えている。自己愛も大事。というのが、私がこの話から得たものだろうか。
あとそれから、「結婚相談所は最後の手段じゃなく、最初の手段である」ということも。
ちなみに私は、主人公女性の名前が「真実(まみ)」であることから、彼女の話は真実(しんじつ)なのではとずっと思っていた。この名前が出てくるたびに「しんじつ」と読んでしまって何度も頭の中で読み直さないといけなかったので、違う名前にしてくれればよかったのにと思ったのだが、やはり、彼を好きだという気持ちは真実(まみ)のもので、真実(しんじつ)であったのだと思う。真実(まみ)と架(かける)の間にある、真実と架空、というのがこの話のテーマだとも言えるだろうか。
真実を軽蔑しながらも最後まで信じていた私には、「善良」な面もあったのかもしれない。
渦中
真美が嫌いな人種に、自分はどちらかと言えば近くて、陰ではこんなにも嫌われているのかと思うと怖くなった。
本の内容とは全く関係ないだろうメッセージが
自分を見直すきっかけになった。
偏見とプライド
水知らずのうちに人にレッテルを貼るということの意味を知れたいい作品。
優しいにもいろんな意味がある、本当の優しさなのか、憐憫からくる優しさなのか。
人との接し方を教えてくれる作品。
面白かった
先が読めるようで読めません。オチは正直言って賛否ある?とは思いますが、過程は十分楽しめると思います。一つ一つの些細な描写も、あーわかるわーってことがあり、個人的には親との関係など、共感できる部分がありました。全ての悩みに答える!と謳われてしまうとハードルが上がりますが、そこはさて置き読めば楽しめます。
Posted by ブクログ
朝井りょうさんの解説が秀逸です。
不正解のない人生を歩んできたから、はじめて自分が選択する場面で不正解を選びたくない。不正解のない人生を歩んできた自分の価値は高いはずだと無意識のうちに思っている。それを前提に接する人を値踏みする。それは現代の人間付き合いに共通することなのかも。
辻村作品で恒例の人物の重なり合いですが、「島はぼくらと」、「青空と逃げる」で、本作の登場人物が出てくるようです。
Posted by ブクログ
評価が高いため読んでみたが、登場人物の内面が
深く描かれている本ということもあり
展開がスローペースで読んでいて、
すごく長く感じて読み疲れてしまった。
謙虚と自己愛の強さは両立するという文を読んで
すごく矛盾しているように感じる二つだけれど
実は自己愛が強いからこそ、それを守るために謙虚に見せているという側面があるかもとハッとさせられた。
また、「値段、という言い方が悪ければ、点数と言い換えてもいいかもしれません。その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人は、"ピンとこない"と言います。―――私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、 私の値段とは釣り合わない。」
という文を読んで、改めて考えてみると
婚活や恋愛だけでなく、人間関係全般において、
無意識のうちに相手や自分に「価値」や「点数」をつけているかもしれないという指摘は、ドキッとした。自分の価値観やプライドが、知らず知らずのうちに「傲慢さ」として現れている気がする。
さらに真実は彼の前では善良であり、
親の前では善良であり
"いい子"と周りの人に思われている真実の
二面性だったり生きづらさや複雑さが
うまく表現されていてすごくリアルに感じた。
特に彼に嘘をついて逃げてきたことよりも、
彼に自分自身の点数をつけられたことを
怒っていたことがプライド(自己愛)が傷つけられたことへの反応であり、真実の内に秘めた「傲慢さ」が現れているなと感じた。
傲慢
高ぶって人をあなどり見くだす態度であること。
善良
すなおで性質がいいこと。
Posted by ブクログ
結果ハッピーエンドで良かったけど正直登場人物が誰も好きにはなれなかった。
でも私も「ピンとくる」の感覚がずっと分からなくて出会う人にピンと来ないって思ったことは多々あって、それが自分に見合う人じゃない、自分のレベルに合う人じゃないって無意識に思ってる感覚がピンと来ないなんだって言うのがなんかとても腑に落ちてちょっと自分の傲慢さを見直すきっかけになった。
あと善良すぎて損するって確かになと思ってずるさとかも必要だよな~って、今更な所でいい子ぶってないで出来る行動はしてから後悔しようよって思えた。
Posted by ブクログ
恋愛をする人の人間性が学べる本だった。
自分も無意識に人を選んだりすることはある。それが自分の傲慢によるものからだとも分かってる気はしていたが、この本を読んで少し理解が深まった気がする。
美奈子、梓、陽子は本当に嫌だった。彼女らからは善良の部分が全くもって感じられなかった。真実もあんまり好きではない。
Posted by ブクログ
読み始めは共感することばかりで、自分の気持ち知られてる?って思うほどびっくりした。
一つ一つの描写の解像度が鮮明すぎた。
読み進めて真美が失踪してる真実も分かり、けどその理由にはまあり共感できなかった
Posted by ブクログ
自分には合わなかった
それぞれの考えや思いがもう少し深く掘り下げてくれたならもう少し面白かったのかも
これなら後半のボリュームを増やして欲しかったです
二人の成長が見たかったな
前半のところは読んでいて辛さが強かった
思いなどが浅い感じがして感情移入が出来なかった
Posted by ブクログ
ヘビーで解像度の高い小説 あとがきで、朝井リョウさんが解説を書いています。ヘビーな作品、解像度の高い作品。流石の朝井リョウさんの解説だと思いました。
私にはヘビー過ぎて後半戦まで苦労しました。後半戦は慣れも読んであり、最後の朝井リョウさんの解説を読むと言うモチベーションで読み切れました。
朝井リョウさんありがとうございました。
Posted by ブクログ
女友達が嫌なやつ 婚約者の失踪→捜索と、
後半の裏側ゾーン。
女目線の結婚論が中々きつい、、
女友達の嫌な感じも腹立つし、
失踪の経緯も中々理解し難い、、
これに共感できるかな?
でも、読みやすくて一気に読んだ感じ。
Posted by ブクログ
未婚の立場で、共感する部分もあれば、出来ない部分もあったけど、想像していたよりもずっとあったかくて優しい気持ちになれる結末だった。
真実がいなくなって架が真っ先に思った「また1から、か」という思い、は自分も経験があって、分かると思った。
傲慢さと善良さよりも、「"ピンとくる・こない"は自分の自己評価額」というのが、たしかに、と思ったし言い得て妙だと思った。
自分で"選択"して行動するのはとても勇気がいることだけど、回り道をしたとしても、何歳だろうと、やっぱり自分で"選択"すべきだと思ったしそうやって人生を歩いていきたいと思った。
あんまりかも。
オチが早い段階で分かる人には、あんまりかも。と思いました。
作者の世界観のリアルな女性像があまりにも簡易的すぎて、本当はもっと女性ってややこしいのになーって感じです。
匿名
微妙
微妙というか全くつまらなかった。
唯一主人公のみがまともな人間で、真実とスーパー過保護な母は読んでてイライラした。
真実は結局のところ自立できていないまま終わり、終盤に浮気の雰囲気もなぜか出てきて意味不明。
半年もの間、身近な人間に迷惑をかけた自覚があるのだろうか?
なんでここまで本の評価が高いのか微塵も理解できなかった。
やたら長い割に「え?それで?」という結末なのでガッカリ。
本を一言で言うと「傲慢=恋愛の理想を求める自分の欲望」「善良=自分を愛するあまり性経験の少ない状態」のこと。
主人公は傲慢で善良。笑
解説は良かった。