あらすじ
科捜研トップと言われる鑑定技術力と幅広い知識、そして、信じられないほどの愛想のなさで警察内部でも有名人の土門誠。科学鑑定に並々ならぬ熱意を捧げ、「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門は、遺体や現場に残された、少しの違和感も見過ごさない。そこに隠されているのがどれほど残酷な事実だったとしても、土門は必ず真実を追究する――。
『楽園の犬』『われは熊楠』など、次々と話題作を刊行し続ける気鋭の作家が描く、鑑定ミステリ。
感情タグBEST3
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古書店を舞台にした「夜更けより静かな場所」に感動し岩井圭也を調べた時点で、「われは熊楠」を読んでいた。3冊目はaudibleで「この夜が明ければ」。
4冊目となる本作で鑑定人土門誠にたどり着いた。知の塊のような土門に惹かれ、シリーズ化してないかと調べ、TVドラマになったものが1作目だとわかった。
見てなくてよかった。脳内の土門のイメージを変えなくて済む。次は「最後の鑑定人」を読もう。さらに続く「追憶の鑑定人」も楽しみだ。
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土門真の過去が、周囲の人間の目線から語られる。
まだ、科捜研にいた時代の土門。
尾藤との出会いから結婚生活の一端も知ることができて楽しかった。加賀副所長も好きだ。それだけに、その後の展開が、、、
菅野のパートは、苦さもあるけれど、あのままにならなくて本当によかった。
続きが気になるので、3作目が手元にあってよかった。
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主人公は、っていうか主役は科捜研の砦!土門 30歳男性インテリ
幾度も繰り返されている「無表情 ベージュの上下スーツ 寡黙 」
だが、人間であり、生きており、排せつも恋愛も所Ⅸ久慈もする・・正直、想像しがたいが。
自室に閉じこもり、内省の時間が生きているうちの5割はあろうかと。
対象となる事件の主役脇役には事情があり、感情がある。
もちろん、土門にも‥しかし、彼の身上は「人はうそをつくが 科学はうそをつかない」
しかし携わる人には誤謬も、バグも、勘違いもあり得る‥それが幸運に繋がることもあるし、残酷な事も。
久しぶりに燃える程面白いシリーズに出会った・・追いかけなきゃ。
読む順は多少ランダムでもよさそう
Posted by ブクログ
最後の鑑定人の方を先に読んでたので、その先の続編かと思ってたら、それより過去のお話でした。
短編の事件を通して土門さんの成り立ちがわかった気がする。冷静で理論的、でも人間味もある、感情的にもなるけとそれを相手に表現するのは不器用な感じ。
事件の中身も科学がいいバランスで混ぜられてて読んでて楽しかった。
Posted by ブクログ
目次
・罪の花
・路側帯の亡霊
・見えない毒
・神は殺さない
四話どれも印象に残るストーリーだった。
前作と比べて、登場人物たちの人間の深い部分を描いているのかな、と思う。
土門は無表情で感情が読み取れない。
しかし、とても人間らしい土門誠がこの作品の中に生きている。
特に最後の【神は殺さない】は苦しかった。
ある事件により心が深く傷付く土門。
そんな土門が自分を頼ってくれないことに打ちのめされる尾藤宏香。
ラストシーンの切なさ。:゚(;´∩`;)゚:。
「人は嘘をつきますが、科学は嘘をつきません」
真実を明らかにすることは、残酷なことでもあるんだな…
あぁ、辛い…
またいつか、続編が出ることに期待したい。
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連作短篇4篇
科捜研の土門、無愛想で寡黙、他人に興味のない性格ながらその鑑識能力の凄さから科捜研の砦と呼ばれている。彼が事件を解決していく過程に目を見張らされ、それに関わった人を惹きつけていく様子にほっとする。最後の4話目にはびっくりしたけど、夫婦として末長く幸せであってほしい。
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面白い。シビれた。『最後の鑑定人』の続編だが、時系列は以前。私立科捜研の土門が警察組織に従事していた頃の物語4編。能面で不愛想な科捜研の技官、土門誠。その取っつきにくさから敬遠されがちだが恐ろしく頭が切れ、その優秀ぶりは警察内外でも有名だ。「科学は嘘を吐かない」を信条に次々と事件を解明していく。小さな糸口からジワリジワリと科学的アプローチで真相に近づいていく展開に思わず手に汗握る。そして土門その人の人間味も前作からアップしてより解像度が深まった。お気に入りは『路側帯の幽霊』『見えない毒』『神は殺さない』
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「最後の鑑定人」の前日譚ということで、どちらから読もうか迷ったのだけど、こちらを後にして大正解だった。
「最後の鑑定人」の通り名には実績からくる華やかさだけでなく哀しみも含まれているということが深く感じられてさすが岩井さんだと思った。
岩井さんの作品は読む人を裏切らない。次回作も楽しみ。
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2作目は1作目の過去、主人公が科捜研にいた頃の話です
1作目にも登場する結婚相手との出会いのエピソードや、上司との決別を含めた全4話
1作目よりも、面白かったです
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シリーズ2作目なので、続きかと思ったら、土門と尾藤が出逢って結婚した頃に遡った話。まあ、立場が科捜研と科警研の時代なので1作目の不自然さは逆にない感じ。で、結局別れた理由までは知らされず
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ドラマ化もされた『最後の鑑定人』の続編・・というか、前日譚。
凄腕鑑定人・土門誠がまだ科捜研(科学捜査研究所)に在籍していた頃のお話、連作四話が収録されております。
あの土門さんの、科捜研時代のストーリーということで、第一話「罪の花」では、前作『最後の鑑定人』にもチラっと登場した科警研(科学警察研究所)の尾藤さんとの出会いが書かれているのも興味深いですね~。
勿論、各話とも抜群の安定感で、遺体や現場に残されたほんの小さな違和感も見過ごさない土門さんのストイックな仕事ぶりがカッコよく、見事に事件を解決にもっていく展開にグイグイ惹きこまれて読みました。
そんな真摯に真実を追い求める土門さんが、何故科捜研に入ったのか・・彼の父親の死に対する忸怩たる思いを吐露する場面もあったりして、“人間・土門”の部分も垣間見れるのも良かったです。
中でも印象的だった話は第四話「神は殺さない」ですね。
火災現場の死体の“ある痕跡”から事件は思わぬ方向に向かっていくのですが、そこから浮上したまさかの“容疑者”と、土門さんとのの対決が圧巻で、辛い場面ではあるのですが読み応えがありましたね。
結果、この件よって土門さん自身も深く心の傷を追ってしまう事になり、とても切ない結末でした。
「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間だ」
・・という決め台詞も痺れる、人呼んで「科捜研の最後の砦」、土門さんの魅力がクセになる(?)鑑定ミステリを堪能させて頂きました。
是非さらなる続編を期待したいですね♪
ところで、めっちゃしょーもない事ですが、土門さんて某ス〇ィーブ・ジョ〇ズばりに、服装選びに時間を取られない為に、ベージュの上下のコーディネートを7セット揃えているらしいのですが(尾藤さん談)、何故ベージュなんですかね?ベージュのセットアップというと、つい「SUPER EIGHT」の村上信五さんを思い浮かべちゃうのは私だけですかね~(;´∀`)
Posted by ブクログ
岩井圭也の科捜研の砦を読んだ。
主人公の土門は科捜研の砦と呼ばれている。
土門が解決できなければ誤った判断がされてしまうということだ。
どんな些細なことも見逃さない。
私にはとても考えられないような観察力だ。
こういう仕事自体私には向いてないように思う。
最後は、悲しい結果だが、少しストーリーに無理があるような気がした。
科捜研も進化しているんだなと感心しながら読んだ。
ドラマになりそうな内容だった。
Posted by ブクログ
最後の鑑定人シリーズ、2作目。
前作の前日譚。
前作を読んで一番気になっていた人物の視点から物語が始まって、テンションが上がった。
現在の土門を作り上げたのは何なのか。
彼の過去を辿ることで、見えてくるものがあったので、この順番なのは◎。
ありふれた事件だと思っていたら、わずかな痕跡から驚愕の真相が明らかになっていく様に、前作同様引き込まれた。
特に「神は殺さない」。
犯人は容易に想像できるので、そこに関しての驚きはなかったが、事件に関わる2人と犯人の心情を考えると、やるせない。
土門の苦悩と決めゼリフの重みが一番感じられる事件だった。
それまでに土門が関わってきた人たちが全員出てくる展開が、個人的には胸熱ポイント。
前作よりも今作の方が土門の人間味を感じられて好みだった(*ˊ ˋ*)
9月には3作目が発売されるので、楽しみです♪
✎︎____________
私たち職員は依頼されれば全力で鑑定をこなします。一方、鑑定結果がどう活用され、捜査がどんな顛末をたどったかについて知らされることはあまりない。この検査は、被疑者という科学鑑定の終着点を直接見届けられる唯一の機会なんですよ(p.43)
私たちの主人は刑事部や警察幹部ではありません。科学です。科学は嘘をつかない。われわれ科捜研は真実を明らかにするため、科学の僕として働いているに過ぎません(p.51)
人間が科学を使っているなんて傲慢だ。正義を果たすため、科学の足元にすがっている存在こそが自分たちなのだ。(p.52)
終わりのない道を一人で歩くのはつらい。この道で合っているのか、この速さが正解なのか、常に不安と闘いながら歩むことになる。しかし誰かが先を歩いていれば、道標となってくれる。追いつき、追い越したくなる。そうやって苦闘しているうち、一人で歩くよりもはるかに速くなる。(pp.64~65)
私にはわかるのです。身近な人間が死因不明と判定される、その悲しみが。だから、自分自身の手で、一人でも多くの遺族に答えを示したかった。(p.97)
組織の力学なんて関係ないよねぇ。だって、科学は嘘をつかないから。嘘をつくのは、いつだって人間だ(p.205)
人は、生きてるととてつもない悲しみに襲われることがある。僕はそういう現場をたくさん目にしてきた。だから自分の身に悲劇が起こっても、うろたえない自信があった。でも、いざ実際に起こってみると、そんな経験は役に立たないものだねぇ。みっともなく取り乱して、この世の終わりみたいに落ち込む。それでもなお、乗り越えられない悲しみというのがあるんだよ(p.208)
嘘をつくのはいつだって人間だ。けれど、だからこそ、正直であろうとすることは美しい。他人を騙さず、自分を偽らない。そういう理想を掲げて生きることが、間違っているとは思わない。互いに正直でさえあれば、どんな生き方であろうと悔いることはない。(p.268)
Posted by ブクログ
はまると抜け出せないと噂の岩井圭也さん♪
5作目に手に取ったのは、『科捜研の砦』
科学鑑定に秀でた法医学専門の土門 誠。
彼は上司の加賀副所長と共に、
「科捜研の砦」と呼ばれている男。
物語は以下4つのエピソードで構成されている。
・罪の花
・路側帯の亡霊
・見えない毒
・神は殺さない
人間と違い、科学は嘘をつかない。
真実を追求する彼の生き様を描いた作品だが、優秀が故の生きづらさを感じる。
特異な能力を持つ人は、孤高の存在として描かれる。いつも着ているベージュのスーツは同じ物を7着!!こんな人に洋服を選ぶ楽しさは?
なんて愚問なんだろうなぁ。
だって、結婚記念日のことは、家庭運用についての
レビューと捉えちゃう人だしなぁ。
それなのに、不覚にも「見えない毒」では土門さんに
人間的魅力を感じてしまった。
余談だが、科警研という存在を本作で初めて知った。
あれ?でも科捜研は何で知ってるんだっけ?
・・・と、直ぐに沢口靖子さんが思い浮かぶ。笑
どの話も科学の進歩と警察捜査の舞台裏を垣間見れる内容で、読みやすく興味深かった。
それにしても、岩井圭也さんの引き出しの多さには驚かされる。
って、これ『最後の鑑定人』シリーズなんですね。
気付くの遅いって?
そちらも読んでみよう♪
Posted by ブクログ
SL 2025.6.14-2025.6.16
誰より優れた才能を持ちながら性格に難ありで周りから浮いている主人公は他にも例がある。
ただ土門誠は己の技量に驕るでもなく決して高圧的でもなく、実は人間的な感情も十分持ち合わせているから、一緒に仕事をした人たちは彼をただの変人とは思わなくなる。
ラストの事件がやるせ無い。
「最後の鑑定人」の続編だと知らないで読む。時系列的にはこちらが先だったのでまあよかったのかも。
Posted by ブクログ
科捜研の砦と呼ばれる技官の周囲の人の視点で語りられる連作ミステリ。科捜研ってマリコさんのイメージしかないのだけれど、直接事件に関わりに行くのも難しいし、上手く味付けしてあるな〜と。時間がどんどん進むのも好き。
Posted by ブクログ
前作より数段面白かったー!
前作では、土門の地味な人柄に魅力を感じられなかったけど、本作では人間くさく苦悩する土門の姿に共感し魅力を感じた。
3話目の『 神は殺さない』はもちろん良かったけど、2作目の『 見えない毒』も良かった。
土門と尾藤のコンビも良かった。
登場人物達は、土門の愛想の無しに辟易しながらも土門の能力を尊敬し、人柄に魅力さえ感じている。
そして、そんな様子を伺えると私がこっそり嬉しい。
Posted by ブクログ
科捜研時代の土門の連作短編集 4編
最後の鑑定人の第2弾
「科学は嘘をつかない」
という信条の元、科捜研トップの鑑定技術と知識の科学鑑定で真実を追求する土門
土門の現在の状況の一作目を補完する第2作
各作品とも 土門に関わる他者からの視点で描かれるのですが、信念ある有能な変人ですので
最初は、受け入れ難い様子
隠蔽捜査の竜崎さんと同じで 最後は結局信頼していくんですね
すごく読みやすい質と量なので、どこかに連載していたのかと思ったのですが
「罪の花」以外は、書き下ろしとのこと
どんだけ書いているんでしょう
Posted by ブクログ
『科捜研の女』ならぬ『科捜研の砦(男)』。鋭い視点で現場を洞察。微細な証拠を看過せず、科学技術で死因を究明。暴き落とす。科捜研の矜持を守護した土門のバグには、被害者が渇望する正義も共在していた。
Posted by ブクログ
真実を知ること暴くことは周囲に波風が立つよね。その本質を見て判断できる人達ばかりならいいけど、いっときの風や風聞で右往左往するのはみっともないね。真実を追求しようとする姿勢はなかなか評価されないけど、絶対必要な人やと思う。
Posted by ブクログ
シリーズ2作目は科捜研で「最後の砦」と呼ばれていた土門誠が心に大きな傷を負った事件や妻となる尾藤との出会いが描かれる短編集。意外ときちんと人間関係を築いていくのが面白い。土門が周りの人たちにかける真っ直ぐな言葉が響くのは本人が思ってるよりもずっと感情豊かだからかも知れない。それだけに最後の話ではどれだけ悲しみが深かっただろうかと切なくなる。こうやって正しい答えに辿り着こうと何度でも検証し事件に真摯に取り組んでくれる人がいたら安心だし心強い。土門の鑑定技術も幅広い知識も素晴らしかった。科学は嘘をつかない。
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尾藤さんとの馴れ初めが描かれていて面白かった(いつの間にか付き合って、いつの間にか結婚してましたが)
過去編は良くも悪くも…
次回は未来に向かっていく話が読みたいです
Posted by ブクログ
「最後の鑑定人」の前日譚となる物語だった。
「最後の鑑定人」では全体的に犯行理由が自己中で共感できるものは少なかったけれど、本作の事件は少し共感できて少し悲しい話が多かった。
でもどの物語も土門さんと関わっていく中で、将来の不安を和らげたり、自分を見つめ直したりと少しずつ前に進んでいく姿がなんだか心が救われる。
また、土門さんと尾藤さんとの出会い〜結婚している時のストーリーは気になっていたので、知られてよかった。
Posted by ブクログ
岩井圭也さんの作品、初読みです。2025年初作家49人目です。
こちらは夏ドラマでやっていた『最後の鑑定人』の前日譚です。
ドラマは1回だけ観てそのあとは観ていないのですが、その後に小説原作だという事と最新刊が出たことを知り読んでみたくなりました。
刊行順では『科捜研の砦』より『最後の鑑定人』の方が先なのですが、時系列で読む方がよくわかるよというレビューを見て先に読む事にしました。
お話しは短編4つであっさりとしたお話しでした。
ミステリ色は薄め。
最後になぜ土門が科捜研を辞めて、鑑定所を立ち上げるに至ったかという、事件が描かれます。
それを読んだので次に『最後の鑑定人』を読むのが楽しみです!
Posted by ブクログ
科捜研の技官で最後の砦と評される土門誠を中心に、彼を通して事件の解決に携わる人々を描いた連作短編集。
警察組織って大変そうだな、というのが一番の印象。技官と、現場に出る捜査員達の立場の違い等、本当に大変そう。それでも、たんたんと科学に殉じて結果を導き出す土門。そんな土門に、影響されていく周りの人々…。
この先どうなるのかな?という、終わり方でしたが、どうやら続編があるようで気になります。
ハラハラとしたサスペンスではありませんが、短編集で読みやすい作品でした。
Posted by ブクログ
この本をどこで知って本棚に登録したのか忘れてしまったのですが、シリーズものの第2作だったのですね。
内容的に、先日読んだ「可燃物」と似た雰囲気がしました。
事件が混迷を極める、もしくは間違った判断に行きかけたときに、切れ者(今回は、「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門)による観察、直感による鑑定により事実が明らかになっていく。
*-*-*-*-
私的には、すこし話が淡々と進みすぎてしまった感がありました。
刊行順通りに読んでいたら、登場人物の背景含めてのストーリー展開もあったりして良かったのかなぁ、、、と思ったり。
あと本当に個人的な意見なのですが、最終章「加賀副所長のお話」は、最後にさらにどんでん返しがあって、加賀さんと土門さんはいい関係で終わってほしかった。。。
「もう1回なにか来い!」と願いながら、少し残念な気持ちで読み終わりました。