小説・文芸の高評価レビュー
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境港の水木しげる記念館を訪問し、せっかくだからということで読んでみた。記念館で水木しげるの人生については一通り見ていたが、それでも幼い頃からの水木ファンとしては、長年の疑問が解けるうれしい本だった。
まず何より、「ゲゲゲの鬼太郎」のルーツについて。戦前の紙芝居『ハカバキタロー』が元になったというのは何かで読んだことがあったが、どこまでそれを踏襲していて、どこからが水木御大のオリジナルなのかは定かでなかった。
この本によれば、そもそも紙芝居というものは印刷をしない原本限り、そのため御大も「ハカバキタロー」を直接見たことはなく、話に聞いただけ。それも怪談の「飴屋の幽霊」のようなよくある話だったと -
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今回はマチ先生の診療と現代の医療機関が抱えている問題が書かれていました。
今回心に残った文章は、
「人間はとても無力なんだよ」との言葉に続き
「我々には未来を変える力はない。変えられないということは、虚しいことのように思えるけれど、実はそうじゃない。目の前の哀しい出来事は、誰のせいでもないということだ。」
「誰かの努力によって変えられるほど、世界は脆弱ではないんだ。だけどその理不尽で強固な世界の中でも、我々にできることはたくさんある。降り続く雨を止めることはできないが、傘をさすことはできる。暗くて危険な夜道に、灯をともすこともできる。」
です。
近しい人の死を経験したことのある方、ま -
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19世紀初頭に、既に長らく歴史の表舞台から遠ざかり朽ちた遺跡になりかけていたスペイン南部グラナダのアルハンブラ宮殿に一時期滞在し、かつての栄華を偲ばせる宮殿の様子や当地に残る説話をまとめて出版した、作家ワシントン・アーヴィングの手による物語。
イベリア半島最後のイスラム王朝・ナスル朝の滅亡はキリスト教勢力の国土回復運動(レコンキスタ)の象徴的な出来事として高校時代に世界史で習ったが、その授業で資料集に載っていたアルハンブラ宮殿の写真の美しさは今でも鮮明に脳裏に残っていて、この冬にスペインへ旅行へ行く大きな動機の1つになっている。
そして、その旅行のいわば予習として本書を手に取ったのだが、1 -
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【あらすじ】
店舗から製菓工場に配属されて3年になるかなめ。
異動当初はやる気満々だったのだが、製菓工場は元々が別会社であり、食中毒事件を起こしたことがきっかけでファミレスチェーンを運営するオオイヌに吸収された経緯を持つ。
元社長である部長を筆頭に社員も最古参のパートも前会社から残っている人間で、かなめは完全にアウェイだった。
そこに、本社からデザート部門の強化が伝えられるが ——— 。
【感想】
今回も仕事にやりがいを見出せない女性が主人公ですが、まんねりにならないところが素晴らしい。
前回までの主人公や〈キッチン常夜灯〉のスタッフや常連さんたちの物語も少しずつ進行しながら、かな -
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付け合わせが美味い!
分かる?ハンバーグ頼んだら、付け合わせの人参とポテトがびっくりするぐらい美味しくて、何屋さんやねん!っていうことあるじゃない?
いやサラダも美味いんかーい!っていうさ
と言うわけで、櫻田智也さん初読なんですが、本筋に関係のない余計なひと言がめちゃくちゃ多いのね
そしてそれがなんかこうわいの感性にビビッと来たんです
そこに緊張を緩ませる効果だったったり、登場人物たちの隠された人間味であったりっていう旨味がしっかり詰まってるの
うわー、わいこの人の文章好きだわー
あ、もちろん本筋の方も面白かったです
とにかく他のも読まなくっちゃだわさ -
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この作品は本当に、とんでもない。
次から次へと、そうくるか!そうだよな・・でもそうなるか!!の連続。
そして、なによりSF的発想の自由さだ。
今までの作品になかった新しいアイデアに、さらに胸熱なドラマ。
未知の生命との出会いのリアリティや、今人類が現実で直面している危機の加速した時に何が起きるのか・・
さらには生命の起源。偶然の出会いに見えるがそこにある必然性というか・・
あとは科学レベルの進み方が一様なわけないよな・・という、言われてみればそうだよなってなる。。
よく(界隈では)話題に上がる、隣人は友好的なのか、コミュニケーションをとれる次元の文明なのか。そもそも文明を持つのか・・