【感想・ネタバレ】ゼロ打ちのレビュー

あらすじ

大和新聞の記者・片山は、選挙の取材中に「ある都議会議員の不審死」を知り、懇意にしている刑事に探りを入れた。一方、国会議員のベテラン秘書の中村は、新人候補の大学教授の選挙応援に駆り出された。苦しい選挙戦のなか、本人の女性スキャンダルが拡散され──。「政治」と「カネ」と「犯罪」の深い闇。政界のタブーに昂然と斬り込んだ問題作、待望の文庫化。巻末に、著者と動画メディア「文藝春秋PLUS」編集長とのスリリングな特別対談を収録。(「ゼロ打ち」とは、選挙の開票開始直後、開票率0パーセントに近い時点で特定候補者の当選確実を報じること)

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Posted by ブクログ

相場英雄『ゼロ打ち』ハルキ文庫。

タイトルの『ゼロ打ち』とは、選挙の開票開始直後、開票率0%に近い時点で特定候補者の当選確実を報じることらしい。

先日、参議院選挙があったが、投票日の投票締切り時間の20時の時点で続々と当選確実の一報が出ていたが、あれが『ゼロ打ち』かと納得。確か出口調査の結果などで当選の判定をするのではなかったか。

自分の住む福島選挙区では投票締切り直後では立憲民主党の男性候補が出口調査の結果で1位だったのだが、開票が進むうちにカルトの旧統一教会と深い関係を築き、政治資金パーティーで集めた金を還流させて282万円の裏金を作り、ブライダル補助金の見返りにブライダル会社からは100万円の賄賂を受けった自民党の女性現職候補が1位に躍り出たのだ。それはまるでいきなりジャンプしたかのような逆転劇だった。しかし、出口調査を行った都市部では圧倒的に立憲民主党が優位だったのに対して、投票率が都市部よりも高く、自民党が圧倒的優位の田舎の市町村にまで開票が進んだ結果、劇的な逆転劇となり、ジャンプしたかのように見えたのであろう。

それにしても、東北6県の中で自民党候補を当選させたのは福島県だけで、しかも裏金と賄賂に塗れた犯罪者を当選させてしまったことは、在住10年目のにわか福島県民の自分としては何とも恥ずかしい限りである。

またまた前置きが長くなってしまった。さて本作。報道機関の選挙速報の裏側と選挙を巡る政治の裏側に深く斬り込んだ社会派小説である。直前に与党が惨敗した参議院選挙がこともあり、興味深く読めた。

そして結末。決して正義が勝つとは限らないという世の中の現実を見せ付けてくれるたことには、非常に腹落ちした。


大和新聞の社会部の記者である片山芽衣は、選挙については全くの素人でありながら、突然選挙取材に駆り出されることになった。しかも担当する選挙区は都内で一番の激戦区であった。

そんな中、片山は選挙取材中に都議会の三雲議員が不審死を遂げたことを懇意にしていた刑事から耳打ちされる。片山は都議会議員の不審死事件を取材したいと選挙取材を断ろうとするが、上司から選挙が終わるまで待てと言われ、渋々それに従う。

一方、国会議員のベテラン秘書の中村は、新人候補である大学教授の若宮の選挙応援に駆り出される。苦しい選挙戦の中、若宮の女性スキャンダルがネットニュースになり、拡散されるが、中村と同じく都議会議員秘書で若宮の選挙応援に駆り出されたという神津がそれを無事収める。そればかりか都知事の応援を取付けて、劣勢を跳ね返すことに成功する。


今回の参議院選挙でも様々な出来事があった。

野党推薦となった元議員女性がかつての不倫問題の再燃で推薦取消しとなり、無所属で立候補して落選した。その野党の党首もつい最近、お姉ちゃんと不倫していたのにと、首を傾げるばかりだ。

また、与党で比例区から立候補したベテラン候補が落選を確信し、開票の翌日の早朝に政界からの引退会見を開いたのだが、直後に最後の当確が出たという笑い話のような出来事もあった。

極めつけは与党の大惨敗にも関わらず、首相が続投宣言したことだろう。しかも、選挙前に約束していた給付金とやらは白紙にされ、相変わらず人を馬鹿にしたようなネチネチした内容の無い話を繰り返している。一部の報道機関が首相引退を表明と号外で誤報を打ったことも付け加えておこう。

本体価格840円
★★★★★

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

選挙をテーマにした小説を初めて読んだ。派手さはないものの、綺麗事だけでは済まない魑魅魍魎とした世界なんだということが想像できた。選挙日にはどの局も選挙特番しかやっていないので、いずれかの番組は見るが、いち早く当確情報を出すことにそこまでの価値があるんだろうかと懐疑的に感じた。

0
2025年08月17日

Posted by ブクログ

久々の相場作品
選挙の裏側がリアルっぽく面白い
ラスト以降もエピローグとして読みたかった
片山記者で続編もアリかな?

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

突然の解散総選挙…
大和新聞社会部の敏腕記者・片山芽衣は突然、選挙班に駆り出される…
慣れない選挙班での日々だったが、取材中にある都議会議員の不審死を知り独自で調査を始める
一方、民政党の新人候補の応援を任された国会議員の秘書・中村は苦しい選挙戦に悩まされる
物語はこの二人の視点で進む
そして都議会議員の不審死を通して結びついていく

『ゼロ打ち』とは選挙開始直後後、開票率0%な近い時点で特定候補者の当選確実を報じること…
これ、いつも不思議だったし、開票が終われば当選は分かるのになぜ早さを競う必要があるのか?
と思っていたが、納得…
そして
政治に結びつく「金」「犯罪」
やっぱり表に出せないことはたくさんあるわね…
怖い!怖い!
これからは選挙の見方も変わりそう…(笑)

それにしても「NHR 」「大池ゆかり東京都知事」とか…ちょっと笑ってしまった…

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2025年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったには面白かったが。復讐するかのように新聞社に移った上司と殺しちゃう元ワルの都議会議員秘書の設定が無理があるような・・・。

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2025年11月20日

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