あらすじ
公園から忽然と姿を消した三歳の琴美。両親は必死に捜すが、一向に見つからない。――22年後。自堕落な生活を送る幸子のもとに、一通の手紙が届く。差出人は、消息不明の妹を捜し続けている男だった。同じ頃、浜名湖畔で楓は父親の誠司とペンションを営んでいた。ある日を境に、誠司に対して不信感を抱く楓。父は何か秘密を抱えて生きているのではないか。交わるはずのなかった人生が交錯したとき、浮かびあがる真実。切ない想いが胸を満たす長編ミステリー。
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Posted by ブクログ
先が知りたすぎて、一気に読んでしまった。
いきなりの20数年後でえっとなったが、書かれていない間のことを想像すると、切ない。
誰が誰なのかは思った通りではあったが、本当のご家族は聖人すぎるなー。こうありたいとは思うし、こうあればこそ、その後の幸せなんだろうけれど。
あと解決編?みたいなところはちょっと突然すぎたかも。
でも大満足な読後感。
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読みました。
もどかしい感はあるけど、母親の深い、自分の思いは娘のために飲み込むような愛情に泣かされました。
取り返せない年月を思うと犯人を恨むのも当然なのに、大切な娘を作ったのはその犯人との年月でもあることを受け入れる家族の偉大さ、寛容さに涙します。
欲を言えば最後に犯人と主人公の後日譚も知りたかった。
ただ、犯人は犯人なんだけど、犯人と呼びたくはないのですが。
匿名
子供が行方不明になる。母親の悲しみが痛いほど伝わってきて何度も涙が出ました。ずるい人間や、自分達の保身に走る人達。関係のない人間からの心無い言葉。被害者家族に対してそんな酷いことができる人が本当に存在するのが事実で怒りが湧いてきました。そんな中でも子供を思う親の強い愛は変わらなく。琴美ちゃんが見つかるのを願いながら読んでいました。
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義母、夫、ご近所、どこにも味方がいない、娘が行方不明になる、辛すぎる第一章。その22年後の第二章。そりゃぁこの構成なら真実はそうでしょうけど、至る過程や描写が丁寧で引き込まれる。
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ハッピーエンドなようで、和彦の老後の様子(琴美のトラウマを残したままぼけていってる感じ)や遼太郎から琴美への手紙の他人行儀感(呼び方があなただったあたりが特に!)など、やるせなさや悲しさも残る小説だなと感じました。それでも遼太郎の「琴美が健康でさえいればいい」という手紙の内容には救いも感じ、最初に嫌な人!と腹を立てながら読んでいた登紀子も含めた家族団欒の描写があってよかったです。
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この結末は予想出来なかった。
過ちは赦し、哀しみは乗り越えれば良い、シンプルだが、簡単ではない。そのメッセージを結末に乗せ、それを悟らせず、読み手の想像力を掻き立てる起承転までの展開に感服した。
結末は、通勤電車などではなく、自宅でじっくりと味わう事をお勧めしたい。
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評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
公園から忽然と姿を消した三歳の琴美。両親は必死に捜すが、一向に見つからない。―22年後。自堕落な生活を送る幸子のもとに、一通の手紙が届く。差出人は、消息不明の妹を捜し続けている男だった。同じ頃、浜名湖畔で父親の誠司とペンションを営んでいる楓。ある日を境に、楓は誠司に対して不信感を抱く。父は何か秘密を抱えて生きているのではないか。交わるはずのなかった人生が交錯したとき、浮かびあがる真実。切ない想いが胸を満たすサスペンス長編。
最後は丸く収まったので良しとしたが、やっぱり被害者家族の事を考えるとたまらない気持ちになった。
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3歳の娘が行方不明になり、お迎えに遅れた自分を責める妙子。22年後、登場人物が繋がり事件が動き出す。→まずペンションの親子の秘密はすぐにわかる。美津子のことも。わかりやすいんだけど、それでも泣ける。どんな理由があったにしても、許されない…。妙子や家族の22年間の思いを想像すると、やるせない。しかし、後半すぐにたどり着いたのに、前半でなぜたどり着けなかったのか。あと、修平はきっと誰の子であっても受け入れてた気がする。
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保育園へのお迎えが少し遅れただけで、3歳の娘がいつも遊んでいる公園から姿を消した。
代わりに保育園から連れ出したという、それほど交流のない同じ保育園に子供を通わせる女の怪しいこと、怪しいこと。
母親の必死の捜索にもかかわらず、娘は見つからない。
行方不明のまま月日が流れ、浜名湖でペンションを営む親娘と、自堕落な生活を送る女の話が同時進行的に語られていく。
子供を探し続ける母
人気ペンションになりつつある親娘
自堕落女
この4人がどこでどう絡み合ってくるのか?
驚きと、悲しみと、安堵と…。
いろんな感情が湧き上がってくる。
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全体を通して起承転結がはっきりしており読みやすい。
序盤に琴美が行方不明になる場面では、家族含む関係者の心理描写が非常にリアルで繊細で胸を締め付けられた。
真相解明のための話の繋げ方が上手く驚かされた場面もあったが、物語の結末は正直予想通りだった。
ミステリーというより感傷的な小説で、しかし他人事にもできない生々しさがある作品。
※個人的にあとがき・解説も読みたい派なので、ついてないのは少し残念でした。
Posted by ブクログ
誠司のしたことは、たとえどんな事情があったにせよ許されることではない。
22年の間の家族の思いや、父•和彦の認知症のことを考えると「生きていてくれてよかった」では済まされない。
それにもかかわらず、
宿泊客としてペンションへ訪れ、長年探し続けた娘が目の前にいるのに
その生き生きとした幸せそうな姿を見て
事実を告げず、それまでの人生を尊重しようという母•妙子の決断は、本当の愛だなと思った。
家族と離れ離れになってしまったが、愛されて生きた琴美と
家族がそばにいながらも、消えたいと願ってしまった恋文。
どちらが幸せだったのだろう。
Posted by ブクログ
三歳の娘が公園からいなくなり・・・
それから二十数年
いくつかの話が並行して進行していき
消えた娘とどんな関係の人たちかな?と思いながら
読み進めました
そして明かされる謎
そういう展開でしたかと、なるほどなるほど
と物語を楽しめました
Posted by ブクログ
急に子供がいなくなることがあったら、正常ではいられないと思う
なによりも怖いことだと思う
1日で一気に読んでしまった
琴美ちゃんのお母さんの気持ち、自分を責める気持ち、時間が経つにつれ胸が押しつぶされるような感じ
絶対体験したくないと心の底から思いました
Posted by ブクログ
3歳の子供は生きることを決め、あなたにあの本をさし出した。
家族を忘れ、あなたのことを心からパパと呼んだ。
どんな大義名分であっても、
やはり児童誘拐は許されません。
決して許されません!
読みやすくて一気に読み終わりました。
Posted by ブクログ
娘がいなくなった前半を読むと、熱い息のような塊が胸でぶくっと広がるような辛さが追体験させられ、痛かった。展開がわかるような進行だったけど、丁寧に語られていく物語が心に染みた。
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展開については予想通りの所が多かったがそれぞれの特徴ある個々の空気感が分かりやすく感じられる所など面白く結末がきれいに纏まっていてすっきりした。
Posted by ブクログ
後半はあっという間に読んでしまった。もう少し一人一人の人間描写が欲しかったし、さおごの解決への展開が急すぎて。またエンディングはテレビドラマの最終回みたいでまとめすぎ。
Posted by ブクログ
今回も春口さん独特の不穏な空気感が冒頭から如実に表れて、一気に物語に入り込み琴美の「行方」と小説の「行方」が気になり一気読みでした。
ママ友の星野朱里(ほしの あかり)娘の恋文(れもん)を初め、癖のある登場人物がたくさん登場し、途中から推理的要素も含まれ、飽きる事無く最後まで読めました。
内容的には以前にも読んだ事がある様なありふれた部分もありましたが人物描写が丁寧に描かれていたので感情移入も出来、読後感も良かったです。
Posted by ブクログ
公園から突然姿を消した3歳の琴美。直前まで一緒に居たという母娘の証言は要領を得ず、両親が必死に探すも見つからずに22年が過ぎる。
母親に味方がおらず、前半は読むのが非常に苦しい。徐々に真実が分かっていく後半はイッキ読み。
Posted by ブクログ
⭐️行方
琴美の行方を探す妙子の描写、緊張感と悲壮感が伝わり心が痛んだがページからをめくる指が止まらなかった。毒親にめげずに真実を探る恋文が格好良い!誠司の身勝手さにはモヤモヤが残り憤りさえ感じた。サスペンス長編とあるが、ミステリー要素のヒューマンストーリー。
Posted by ブクログ
母親だからこそ刺さる小説だなぁ。
本当に本当に犯人は憎くて憎くてたまらないし
自分の事も責めてしまうだろうし
でも
娘が元気で幸せに暮らしていてくれたら
どんなに救われるか、、、
個人的には恋文ちゃんがGJすぎる。
頑張ったね、偉いよ、幸せになってね。
Posted by ブクログ
娘が行方不明になり母親が責められるシーンは心が痛く、何もかも怪しい朱里の態度にもイライラし、最初の方は読むのが辛かった。。兄の作文も悲しくて薄目で読んだ。
途中犯人に同情的な描写があるものの、全然同情できない。突然家族と引き離された3歳の琴美のこと、22年間被害者家族がどんな気持ちで過ごしてきたか、妙子の気持ちや和彦がボケて未だに琴美を失ったときの恐れを引きずっていることを考えると悲しく、怒りしか沸かない。
それでも新しい家族と一緒に、元の家族のところに戻ることができて、ハッピーエンドだったのは良かった。修平は聖人。
不遇な家庭で育って辛い思いをした幸子は案外頭が回るし、ヒロも挑発した後に素直に謝ったり幸子を大切に思ってたり意外と常識的なところがあって、2人とも憎めないキャラだった。
Posted by ブクログ
読み始めて少しして、以前読んだことがあることに気づいたけど、結末がどんなだったか忘れてしまってた。
親ガチャって言葉は嫌いだけど
お金持ちか貧乏かとかじゃなく、
子供を愛せるか、そうじゃないかという意味では
親ガチャってあるんだろうなぁ。
ちゃんと愛情を持って育ててくれたら、血が繋がっていなくたって大丈夫だろう。
それがどんな始まりの関係であったとしても。
Posted by ブクログ
3歳の琴美が突然姿を消してしまった。
そして22年後…
なんとなく途中から展開が見えてきたけど、
結果はよかった。
ただ、幼稚園に迎えに行って我が子が居ないって…
連絡も無く他の母親に引き渡すとかあり得ない
Posted by ブクログ
幼稚園年少の琴美の母親がパートの残業をしている間に、同じクラスの子恋文(れもん)の母親が子どもと一緒に琴美を連れ帰り、公園で遊ばせ、目を離したすきに琴美だけ行方不明になってしまうところから始まります。
行方不明になった頃とその20年後くらいの場面が行きつ戻りつしながら、いくつかの場面が同時進行するのですが、バラバラだった
場面が次第に一つの事件につながっていくのです。
『幸子(ゆきこ)』という名前の女性が登場するあたりから、嫌な予感がじわじわと漂いだすところからが、面白かったです。
後半で何となくストーリーの行方が想像できてきたので、そこがちょっと残念。
Posted by ブクログ
子どもがいる人は私と同じく「ちょっとしたことが原因で我が子がいなくなる」というストーリーは苦しんで読んだのではないでしょうか。辛すぎます。救いのある話でよかったです。
Posted by ブクログ
パートの事情でいつもの時間に琴美のお迎えに行けなかった山口妙子は、遅れて着いた保育園で、星野朱里が連れて帰ったと聞かされる。確かに朱里の娘の恋文(れもん)とはクラスメートだが、そんなに親しいわけでもなく、ましてやお迎えの代わりを頼んだわけでもない。彼女たちを追って公園へと向かったが、そこでは琴美の姿だけが見つからなかった。
しょっぱなはこの、朱里という全く責任感の無い親にイライラするが、話はそこから一気に先に飛ぶ。視点がころころ変わるので、これが結局どうつながっていくのか考えながら読むことになるが、まぁ思った通りの着地点で意外性はそこまで無い。ただ、3歳の子がお母さんから急に引き離されて、新しいお父さんをそんなに認識できるものなのか、そしてそれまでのことを全て忘れてしまえるものなのかはちょっと疑問。
Posted by ブクログ
*
初めての春口裕子さんの小説『行方』
ある日、突然当たり前の日常から姿を消して
行方不明になった3歳の琴美。
娘を探す両親と兄の遼太郎の一途さに
胸が締め付けられます。
一瞬の判断の間違いのせいで、手のひらから
零れ落ちてしまった当たり前の日々。
その失って初めてその大きさに慄き、嘆き、
悔やむけれど取り戻すことができないからこそ、
更に自分を責める様が手に取るように伝わります。
信じ続ける人達を待つ結末はどういったものか。
仮にラストがイメージできたとしても、
最後まで作者の作ったストーリーに沿って
読んでほしい。
Posted by ブクログ
3歳の娘、琴美が行方不明になった。
その日はパートが長引き、お迎えに間に合わなかった。
そんな琴美を幼稚園から連れて帰っていたのは、普段あまり付き合いのない朱里という母親だった。
自分が公園で目を離した隙にいなくなったのに悪びれる様子もない。怪しすぎる…
それなのに、捜査は進まず22年の歳月が過ぎる。
何もなく、諦めることの出来ない家族。
その頃、琴美と同い年だった朱里の子供も事件の詳細を知る。
また、浜名湖で父親とペンションを営む楓。
様々な糸が、20年以上の月日を経て繋がる。
各々の抱える苦悩。
過ぎ去った日々はもう戻らない。
あまりにも残酷で悲しい。
2021.3.21
Posted by ブクログ
子供がいなくなるという状態が22年間。。。考えただけでも胸が痛くなる。残された家族は暗いトンネルの中にいる状態だとの表現はピッタリとはまった。その後警察官になった兄と当時一緒にいた女の子恋文(かれん)により解決されることになる。結局は悪人による犯行という事件でなかったわけだけれど22年間という月日を苦しめたという点では絶対に許されない。その後に下された判決は妥当なものかどうかわからないけどトンネルから抜け出せた家族にとってはこれしかない結末だったといえる。