小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
もうすぐ地球が滅亡するという終末世界で、自動車学校の教官と生徒が殺人犯探しをする物語。今までに読んだ同様の設定の作品のなかで、一番リアルだと思える状況を描いていたように思う。
何もしなくても人類はもうすぐ死んでしまうのに、なぜあえて殺人を犯したのか、犯人は誰なのか、謎を追うミステリでもあり、家族の物語でもあったなぁ。暁人と光の兄弟の絆がすごく素敵で、そんな2人と、自分と弟とを比べて見ているハルちゃんが切なくて、でも弟を想う強い気持ちを感じる。
途中で犯人はなんとなく分かってしまったけど、それでも最後の最後まですごく面白く読めて、無理のない納得感のある終わり方だった。この方の作品全部読みたいと思うほど、すごい作家さんに出会ったな〜と思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
満たされない恋と人生。珠玉の恋愛短篇集。
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この作品に書かれたような艶やかな夜の合間で揺らいでいたい。
恋すること、生きていくことの悲しみや喜びがせつなさ100%で胸に迫ってきた。
――窪美澄
輪郭が溶け合うように恋して
根本がまるで違うことに溺れた。
好きな人じゃない、好きだった人。
手放した有り得たかもしれない未来がちらついて、胸がざわめいてたまらなくなった。
――宇垣美里
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「きょう、いま、わたしは愛する人にやさしくされたいのだ」
満たされない恋とままならぬ人生を情感豊かに綴った、珠玉の恋愛短篇集。
日菜は24年生きてきてはじめて知った。空白ができると好きと言いたくなること。セックス後の彼氏はセックス前の彼氏より百倍恰好よく見えること。なのに彼氏は言う。「俺の優先順位を、もう少し下げてくれない?」。なぜそんなことを言われなければならないのか。(「恋と厚顔」)
あのとき彼と結婚していたら、もっと違う現在があったのだろうか。「そんな結婚、変」。5年前はそうとしか思えなかった。ふっと、彼の香りが蘇る。あの不思議な二人はいま、幸せに暮らしているだろうか。(「卵とキウイ、あるいは跨線橋」)
【編集担当からのおすすめ情報】
『1ミリの後悔もない、はずがない』での鮮烈なデビュー、『彼女がそれも愛と呼ぶなら』の連続ドラマ化、『結論それなの、愛』の吉川英治文学新人賞候補入りなどで注目を集め続ける著者の恋愛小説集です。
渋谷、三鷹、羽田、恵比寿、吉祥寺――東京を舞台に、5つの短編で様々な男女の恋愛模様が描かれます。
満たされない恋や執着、思うように生きられない現状への葛藤。情感豊かに描かれる人間模様に、否応なく心が揺さぶられます。読者の心に深く刻まれること間違いなしの、珠玉の恋愛短編集です。
『能動的にその人とコンタクトを取るとなったら、たとえそれが定期的なやりとりや二人きりで会う約束に繋がらないにしても、やはりもやもやしてしまう。』
『大切にしてくれない人を大切にする必要はない。ただそれだけのことに、なぜ向き合わなかったのだろう。
わたしは時々、見なくていい部分を凝視してしまう。そういうとき、その視界の外にある温かな可能性は目に映っていない。』
『恋はなんて厄介なんだろう。快適だと感じる距離が似た人を好きになればいいのに、こんなにも違ったと気づくのはいつも、惹かれ、引きずり込まれ、境界線を主張するには手遅れなほど愛を交わしてしまった後だ。』
『クズは面白いんですよ。自由で軽やかで、しつこくなくて。まれに絶妙な言葉をくれる』
【個人的な感想】
どの短編もサラッと読めるのにグサグサ刺さる言葉が多かった。
今年のベスト5に入る本に出会えた。
根拠がなくても人に『大丈夫、なんとかなる』って言ってほしい夜があるよな〜と思いながら読んだ。
他人に依存するんじゃなくて、1人でも生きていける強い女になりたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ美しく洗練された表紙だと思った。生殖の記。古事記を連想した。重厚な話が展開されるのだろう、と想像して読み始めたら、それは生殖器視点の語りだった。
人間ではない視点でコミカルな語り口。作者はふざけてるのか等と思いつつも、さくさく読み進められ、その中で、いつの間にか、人間の幸せとはなんなのだろう、という真面目な問いに辿り着いた。娯楽としての面白さと、哲学としての興味深さが共存している、斬新な本だと思った。
成長だけが全てではない。仮に生産性がなくたって、平等に扱われなければならない。平等権は基本的人権の内の一つだ。
人間は成長や拡大を目指し過ぎている、という視点と、実は誰もが成長や拡大には限界があることに気づいているが、相互監視の状態で言い出せないだけ、という視点が興味深かった。
成長ができなくても、本人が幸せに生活できる環境を整えられたら理想的だ。しかし、成長しない/生産性の低い人間をほっておいてくれるほど社会は優しくない。
途中、ちょうど他の本でも読んだ、アドラー心理学の話も出てきた。共同体への貢献が幸せにつながる、という話。確かに「貢献できている」という思いは、幸せに繋がるようにも思う。
しかし、これって実は洗脳なんじゃないか、なんて思ったりした。社会に貢献できていることを、褒め、讃え、幸せと感じるように矯正されているのでは、なんて考えた。
また、同性婚への議論も、当事者ではない私は、ついつい「理解が進んで良かったね」等と考えてしまうが、そもそも理解しているしていないに関わらず、これまで不当に扱われていたこと自体がおかしいのだ、という当たり前の主張に、耳が痛かった。
以下、引用。
そもそも同性愛個体同士が婚姻関係を結ぶためにどうして異性愛個体の許可が必要なのでしょう。異性愛個体同士の結婚に同性愛個体は賛成も反対もしていないのに。そんな余地もないのに。
引用終わり。
こちらの主張ももっともだと思う。特権を持っている人間は、それが当たり前になってしまい、自身の特権に気づかない。このことには、自分自身も注意を向けていきたいと思う。
生殖器がしゃべる、という、ギャグ漫画のような設定から、こんなにも考えを深められる物語になるとは思いもしなかった。朝井リョウ氏の他の作品も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
2026/10/01自分のことを普通でなんの取り柄もない人間だと思っている影子のクラスにやってきた転校生の鈴木真昼は全国的なグループに所属する芸能人で、名前の通りとても目立つし、人当たりもいいし、勉強も頑張ってるという非の打ち所がない男子。
2人が委員会の活動で一緒になったことをきっかけに話すようになるのだが、普通の生活を送りたいという真昼に対して最初は嫌悪感を抱いていた影子だったが、彼を取り巻く色々な出来事や彼のことをどんどん知っていくうちに考え方が変わっていく。2人の仲が進展していくのはもちろんですが、その過程がただの高校生活の延長ではないことや、現代ならではの生きづらさや色々な問題点にフォーカスを当てて書かれた結構メッセージ性のある小説だと思います。
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