小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
飲食業界の危うさの描写がなかなかに生々しく、キツいと感じる場面が結構あった。
だからこそ、そんな場所で働き続ける前向きな意思と、そこからより良くしていくために更に立ち上がろうとする主人公いつきさんの姿がとてもまぶしかった。
前作の主人公が皆でてくるのが純粋に嬉しく、いつきさん目線描かれるそれぞれの姿がなんだか誇らしく感じた。
また神保町店の店長三上さんの心情をかなりちゃんと知れたのが嬉しかったし、ほんとに格好良い人だなーと再認識できた。
登場する料理のどれもが実際の熱さとは関係ない暖かさを持っていて、感覚として美味しそうってだけでなく、心も満たしてくれそうな料理という感じがした。 -
Posted by ブクログ
とんでもない話だった。前作の終わりからして、3作目は「戦い」の巻になるだろうと思っていた。主人公が受けた傷に立ち向かう、そんな話になると思っていた。
ところが読み進めていくと、これは確かに戦いだけど、思っていたのとは全然違う方へ話は転がっていく。
ずしんと心が重い。この物語にはいろんな捉え方があると思う。
個人的にはこんな展開になってしまったことが悲しい。これは、ハッピーエンドなのだろうか?私にはバッドエンドの様に思える。
真に正しい、とはどうあることなのか。
この終幕のあと、二人は取り戻せるのだろうか。守るために失ったものは、あまりにも大きすぎる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説家って一句からこんなにも想像を広げられるんだなぁと、改めて尊敬してしまう。
どれも短いお話なのに読み応えあって、おもしろかった。
『異国より訪れし婿墓洗う』は、俳句もいいし、ストーリーもいい。
群を抜いて私の好みだった。その情景をイメージしただけで、グッとくるものがある。
『冬晴れの遠出の先の野辺送り』では、野辺送りというお葬式のやり方を初めて知った。
故人の馴染みある場所を歩いて火葬場まで行くなんて、見送る方法としてとてもいい風習に感じる。
(最近の葬儀のあまりの簡素化にショックを受けた私には尚更素晴らしいことに感じてしまったんだと思う)
ただ、ストーリーの中で裕子が小百合さんを恨ん -
Posted by ブクログ
ポトラッチ 贈り物を受け取ると、それよりも良い物をお返しに渡す。確かに、日常でそんな場面がある気がします。相手の喜ぶ顔が見たいからと、そう思いながら色々と贈り物を選んでいました。しかし、良く考えてみると、もしかしたら自分の為に選んでいるのかも。先に貰った相手より自分の方が良い人なのだと。
物語の始まりとして、残された元彼の不思議な遺言状を始まりとして、関係ある人々が様々な思惑で動き出します。
主人公の分かりやすく強気で合理的な弁護士という設定もあり、わかりやすい推理小説かと思いましたが、人の気持ちとは、簡単ではないなと思わせる結末でした。
贈り物とは、贈る側の気持ちと受け取る側の気持ちが入