まとまらない言葉を生きる

まとまらない言葉を生きる

1,980円 (税込)

9pt

誰の人生も要約させない。あなたのも、わたしのも。

■推薦
「生きた心地」を求めていいんだ。
「ダメだ」の言葉に抗っていいんだ。
誰でも。言葉で。
――望月優大(「ニッポン複雑紀行」編集長)

強くて安全な言葉を使えば、
簡単に見落とすことができる。
だけど取り零された隙間に、
誰かが、自分が、いなかったか?
――はらだ有彩(『日本のヤバい女の子』著者)


■内容
偉い人が「責任」逃れをするために、「敵」を作り上げて憂さを晴らすために、誰かを「黙らせる」ために言葉が使われるようになったこの世界で、凝り固まった価値観を解きほぐし、肺の奥まで呼吸しやすくしてくれるような……そんな「言葉」との出会いは、まだ可能だろうか?

本書は、マイノリティの自己表現をテーマに研究を続ける文学者が、いま生きづらさを感じているあなたに、そして自らに向けて綴った、18のエッセイである。

障害者運動や反差別闘争の歴史の中で培われてきた「一言にまとまらない魅力をもった言葉たち」と「発言者たちの人生」をひとつひとつ紹介していくことを通して、この社会で今、何が壊されつつあるのか、人間としての尊厳をどのように守っていけるのかを考えていく。

■目次
まえがき 「言葉の壊れ」を悔しがる
第1話 正常に「狂う」こと
第2話 励ますことを諦めない
第3話 「希待」という態度
第4話 「負の感情」の処理費用
第5話 「地域」で生きたいわけじゃない
第6話 「相模原事件」が壊したもの
第7話 「お国の役」に立たなかった人
第8話 責任には「層」がある
第9話 「ムード」に消される声
第10話 一線を守る言葉
第11話 「心の病」の「そもそも論」
第12話 「生きた心地」が削られる
第13話 「生きるに遠慮が要るものか」
第14話 「黙らせ合い」の連鎖を断つ
第15話 「評価されようと思うなよ」
第16話 「川の字に寝るって言うんだね」
第17話 言葉が「文学」になるとき
終話 言葉に救われる、ということ
あとがき まとまらないを愛おしむ

■装画・挿絵
榎本紗香(しょうぶ学園)

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まとまらない言葉を生きる のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年07月08日

    言葉について、深く丁寧に考察されています。

    安易にまとめない。やさしく言い換えない。
    発せられた言葉そのものを尊重し、大切に扱っていく。

    個々のエピソードに心揺さぶられ、まとまらない言葉の愛おしさを想いました。

    最後に述べられている、「要約」することと、「一端を示す」ことの違いについての考察が...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年06月30日

    いい本だった、心に響いた、深い、
    どれも薄っぺらくてこの本の感想を書くのには
    相応しくないと思う。
    (自分で書いていて)
    それだけ言葉の力は大きい、
    そして言葉を発することは生きることに繋がっている。
    どんな言葉を選んで使うのか、
    自分の感情や思考にピッタリの言葉。
    それだけでなく、世の中の思想につ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年06月24日

    遅ればせながら読みました。素晴らしい本でした。

    言葉が必要な人たちに限って、言葉が奪われていく。

    心ある人たちに対して、心ない言葉が投げつけられていく。

    言葉の破壊や凋落を憂いながら、言葉の意義や可能性への希望も忘れないように、この本は折に触れて何度も読み返していきたいと思います。

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    Posted by ブクログ 2023年03月01日

    私は昔から障害や病気を持った方達にあまり出会ってなかったため、その内実を考えたこともあまり無かった。
    相模原事件など凄惨な事件も、どこか他人事で見てしまっていた節があった。
    偏見という偏見も、同じ街に暮らす人という意識も、どちらもまるで無かったが、この本を通して初めてと言っていいレベルで深く考えさせ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年02月10日

    言葉は人を傷つけ、言葉は人を守る…一瞬スッキリする他人を刺す剣のような言葉が溢れるかえる今、なんとなくモヤモヤしているけど刺されることを跳ね返す盾のような言葉たち、いや防御というよりもやもやを許さない社会に切り込む言葉たち、それが「まとまらない言葉を生きる」です。それはハンセン病の患者や障がい者や女...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年08月19日

    まえがきの最初の数ページで、私が日頃感じていたモヤモヤやちょっとした言葉に対する恐れを、感じている人がここにもいたのだ。と親近感と安堵に包まれた。
    他人の尊厳をいとも簡単に踏みにじる発言・行動をし、そのことに気が付かず自分の主張が、他人の尊厳を踏み躙ったうえでの主張や言葉が正しいと思っている人たちに...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年05月30日

    日頃、社会やSNSに飛び交う「壊されつつある言葉」。こちとら、暴力的な言葉に生きる力を削がれてる場合じゃないのです!言葉には力がある。諦めず、しかも楽しく!抗う言葉を見つけていきましょう。

    第15回池田晶子記念「わたくし、つまりNoboday賞」受賞作。

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    Posted by ブクログ 2022年05月08日

    「文学者」の荒井さんが、「近年の言葉」について、考えたことをまとめていらっしゃる。自分の知らない世界・差別・そしてソーシャルアクションが見えて興味深かった。

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    Posted by ブクログ 2022年04月10日

    私が辛い立場にたったとき、
    自分を苦しめない言葉を
    社会に積もらせたい。
    誰かのため以上に自分のために。

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    Posted by ブクログ 2022年03月09日

    安易にまとめず、要約せず、端折らず。
    飛び交う言葉に向き合う。
    もやもやと腑に落ちない言葉、出来事が溢れている。
    スッキリハッキリ解が出ないことも、あれこれ考え続ける。
    それが大事なのかも知れない。

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