あらすじ
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。寺尾聰主演の映画原作。
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Posted by ブクログ
自分の勝手な解釈で、的外れかもしれませんが…
この作品を通して、人の感情に関わる問題で悩み解決しようと考える事に、捉え所がないが、数式について同様に捉え所がない、答えが出ない事を考えるならば、後者に集中する事が、まだ、健全かつ美しい世界が見出せる希望が、登場人物の『博士』を通して感じさせられました。
主人公の『私』と息子の『ルート』そして赤の他人の『博士』の素数が友愛数(友愛三つ組)として繋がっていくドラマは素晴らしいです。
数式と尻込みする難しい世界というより、ほのぼのとしたクスクスっという笑いもあって、読みやすいです。
とはいえ、ここまで本格的な知識を仕込んだ『小川洋子』さんにリスペクトさせられました。
Posted by ブクログ
博士からルートへの眼差しが優しく、本当に子供を愛しているんだなということが伝わって胸が温かくなった
その愛をルートがまっすぐに受け取っていて、周囲の大人よりも博士の本質を見定めて、しっかり懐いているのがまた微笑ましい。ヒヤヒヤするシーンもあり、博士死ぬんだろうなと思っていたが最後はルートが数学の先生となって再会するという予想外のラストで、不覚にもホッとしてしまった
個人的にハッピーエンドはあまり好まないのだけど、本作はこの終わり方で良かったと思った。記憶が持たないとはいえ、一目見たらルートがもう大人になっていることはわかるはずなのに、博士から見たら彼はいつまで経っても可愛い「子供」なのだから、今までと同じように頭を撫でるというラストの描写、すごく素敵だった
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この愛は純粋で、静か。
愛する対象に何も求めない。
印象的だったフレーズがあった。
「いくら対象が突飛でも、彼の愛し方は正当的だった。相手を慈しみ、無償で尽くし、敬いの心を忘れず、時に愛撫し、時にひざまずきながら、常にそのそばから離れようとしなかった。」
この空気感、三浦しをんさんの「愛なき世界」を読んだときと似ているかも。
自分の中の穏やかで、凛とした部分を引き出してくれる本。
Posted by ブクログ
以前読んで、とても良かった記憶だけが残っていて、細かい内容をすっかり忘れてしまった本を読み返してみようと思った。その一冊目がこれ。
20年近く経って読んでも、やっぱり良い。派手さはないけれど、読み終わったあとにしみじみとした静かな余韻が残る感じが思い出された。
数学とは無縁の人生を歩んできたけれど、この本で垣間見ることができる世界は、とても整っていて、深くて、美しい。もし若い頃、もう少し感受性が強い時期にこういう世界に触れていたら、少し違う人生を歩んだのかも、なんてことを考えながら読んだ。
あらためて、人生ベスト5に入る一冊。
Posted by ブクログ
〈最近、歴代の本屋大賞受賞作を読み漁っています。〉第1回の本作は、わたしが高校生の頃に発刊・受賞されたものでした。なかなか当時は学業に忙しく、その後も学生/社会人と読書習慣の度に異なる作者さんや異なるジャンルの本ばかり読んでいたので、この頃まで巡り会うことができませんでした。
こんな素晴らしい傑作に。
わたしも、数字(数学よりは笑)や素数が、好きです。(よく運転中に周りの車のナンバープレート見て足し算して、あ、11だ素数だ、23だ素数だ、とか無意識にやっちゃうタイプです)
そしてプロ野球も好きなので、両者がテンポ良く絡み合い繰り返され、博士と私とルートの3人の仲を深めていくキーになる本作は、とてもわたし好みでした。
小川さんの文体も、ワードチョイスも、とても気に入りましたし、この素晴らしい日常のお話を280ページほどで描いてしまう端的な構成力も、感銘を受けました。
20年経った今でも色褪せない、名作のひとつに出会えて良かったと思いました。
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去年はミステリーばかり読んでたので
温かい物語を欲して手に取りました。
数学の難しい公式(私は数学が大の苦手)が
出てきて、大丈夫かな読み進めれるかなと
思いましたが不思議とスラスラ読めました。
博士は不器用ながらにルートを守り
主人公とルートは博士を慕い、
最後はずっと涙が止まりませんでした。
終わってほしくないな、と久しぶりに感じた読書体験でした。
Posted by ブクログ
読む前は、優しい博士と親子が数学を通じて繋がる温かいストーリーなのかな、と予想していた。
読み始めると、あれ?博士そんな無愛想なん?と驚き。身の回りのことも自分でできない小汚い数学好きのお爺さんかい!って思った。
読み進めると、優しい博士だとわかった。
記憶を80分しか保てない日々の中での、初対面の人との数字の話は、緊張や気まずさを緩和させる目的だったし、博士の愛した数式たちと同等に親子のことを大切にした。こんなに愛情深い人だったなんて。
ルートの11歳の誕生日パーティー以降、
読みながらずっと泣いていた。
また、何回も読み返したい。自分にとって大切な本になった。
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とても大事にしている本です。
折に触れて読み返します。
温かく、切なく。感じ取るものが多すぎて言葉にならない。でも大事なことってこういう事だよね、ってそっと教えてくれるような。
自分の中で優しさが込み上げてくるような。
記憶が80分しか持たない博士、その担当をする事になったシングルマザーの家政婦、そしてその子供のルート。
記憶が80分?そんな設定!とまず驚きます。
例えば、大事な人を失くしても、記憶は消えない。きっとお互い心の中で残る。というその大前提が、ない。
私はやっぱり最後までその事が切なかったです。
でも、確かに存在した時間は消えない、自分が忘れなければ…って私の心が追い付くまで、物語がそっと寄り添ってくれました。
やり切れないような悲しみを抱えていても、日常は穏やかな愛に溢れていて、それに気付ける自分でいたいなと思う。純粋で、文章も美しい。あと博士を通して数学の面白さも教えていただきました。
この本に出逢えた事にとても感謝しています。子供たちにも読んでほしいな。
Posted by ブクログ
昔数学が好きだったので手に取ってみた。
私が数学の問題を解いていた時に感じていた気持ちをとても美しく文章に起こしていて感動した。
数字を通して暖かい場面も悲しい場面も綺麗に描写していてとても良い本だった。
とにかく文章が優しい。
奇跡の愛の物語という言葉がとてもぴったりの本だった。
Posted by ブクログ
一見孤独とも判断されてしまうような数学者の博士が、ルートや「私」、との出会いを通して日常に彩りが加わっていく暖かい物語。
この話の大きな話題は阪神タイガースと数学だった。博士にとってルートは愛おしいという一言では表せないほどのかけがえのない存在であることがいろいろな場面から読み取れる。でも、博士の記憶は80分しかもたない。そんな特徴があるがために少し切ない気持ちになってしまう場面もしばしばあった。3人によって紡がれていく思い出が消えてしまうから。
物語の終盤では博士が施設に入ってしまう。博士は80分の記憶すらもてなくなってしまう。
1番感動したのは博士が2人の記憶が消えてもなおルートと「私」にプレゼントされた江夏豊のカードを首にかけて大事にしていた場面。永遠にある愛やー。とにかく心が暖かくなった。それとこの物語を通して江夏豊さんの存在を初めて知った。素敵な話。
心温まる
言わずと知れた名作。
不器用ながら愛に溢れた博士と親子の交流に、心が温かくなります。
博士の過去などを詳しく描かず、匂わせる程度なのも良かったです。
最高の出会い
主人公とルートにとって、博士はかけがえのない存在になっていく過程にほのぼのした気持ちにさせられました。毎日、会うたびに博士は二人のことは覚えていなかったけれど、丁寧に接する博士は温かい心の持ち主なんだなあ。ルートはのびのびと成長したことが窺われ、安心しました。博士と出会っていなかったら、別の人生を歩んでいたでしょう。博士に会えて良かったね。
数学が1番好きなのですごく刺さりした。
数学を入れ込むとどうしても論理的で冷たくなりがちですがこの作品は心が温まる作品です。引き続き数学を勉強したいと思います笑
ずっと気になっていた作品
かなり前から存在は知っていたのですが、なるほどこういうお話だったんですね。
博士と、男の子とそのお母さんと、3人が共に関わり合い成長していく姿に感動しました。
美しい数式
いろいろな数式や定理について調べながら読みました(結構大変)。
記憶が80分しかもたない博士を中心とした心温まる話に感動しました。
良い本に出会いました。
日向坂46の小坂菜緒さんが推していたので読んでみたのですが感動しました
スラスラと読みやすく、情景が頭をよぎります。
昭和生まれの私にはどこか懐かしさを感じる部分もありました。
やさしい
数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。
匿名
作者は数学の美しさに対して、心をひかれていて、それを博士を通して表現しています。
博士と家政婦とその子供との交流はとても暖かいものを感じます。
博士は長時間記憶を保つことができません。それは、異形なものであり、そのような不具者を描くところに作者の真骨頂があります。
この作品では不具者を描いてもグロテスクにはならず、それが一般受けしたのだと思います。
Posted by ブクログ
本屋大賞第1回受賞作ということもあり、ずっと読みたいと思っていてやっと読めた。
数式にも野球にも興味はないが、スラスラ読めた。
最後泣きそうになった。
Posted by ブクログ
「博士の愛した数式」を読んで、私は博士が発する一つ一つの言葉、数学や数字にたとえられたものの奥に、人として大切な何かがある気がして、気づけばずっとそれを探しながら読んでいた。
ルートや母親にとって博士は「毎日会う身近な存在」だが、博士にとっては毎回が「初めまして」それでも博士は、初めて会うはずの相手のために泣き、心から愛情を注ぎ、心配で震えることさえある。そんなことが本当にできるのか。それは博士の人柄なのか、それとも生まれ持った優しさなのか。少なくとも私には、同じようにはできない気がする。
もし「私の記憶が80分しかもたない」となったら、私は何を思い、どう人と関わるのか。嫌なことや不安な気持ちは80分で消えるかもしれない。でも同時に、忘れたくない大切な瞬間も消えてしまう。「それは悲しい」という感情すら残らない世界とは、どんなものなのだろうと考えずにはいられなかった。
また、母とルートの「博士のための嘘」素敵でした。相手を想うからこそ仮面をかぶることができる。その優しさは、二人だからできたのか、それとも相手が博士だったからなのか。愛とは何かを静かに問いかけられているように感じました。
正直、私はまだこの物語の本質に触れきれていない気がしています、きっともっと重要な何かがあるはずだという確信があります。だからこそ、もう一度読み返したい。優しくて、美しい物語でした
Posted by ブクログ
第一回本屋大賞ということで手に取った作品だったがとても読みやすく癒されるハートフルな話だった。数字にしか興味がなく数字をこよなく愛してきた博士のルートに対する愛情は√と名づけた訳がよくわかるほど、愛おしく彼なりの愛情表現がなされていたと思う。あと印象的だったのは問題を解く時の博士のリアクションだった。あの過程を楽しむ感じは自分が受験勉強をしていた時の感情を思い出しまた何か解いてみようかなと思った。
Posted by ブクログ
博士の数学に対する愛情が伝わった。
80分という短な記憶の中でも、数学に向き合ってるのが印象的だった。
本を読んでいるうちに博士が、本当はすごく弱く、ルートに対しても愛情を持っていたのが分かった。
Posted by ブクログ
僕の記憶は80分しかもたない。そんな現実を毎朝突きつけられる元数学教授の博士。その博士の身の回りの世話をする家政婦とその子供の「ルート」が暖かく見守る。博士も子供愛に溢れ、記憶からなくなっても毎回ルートを慈しむ。この3人の暖かい関係性が、この物語全体に広がっていて、見ている私もこの暖かな家庭(?)の中にいるようにさせてくれる。
Posted by ブクログ
みんなが思いやりの心でつながっていて、
80分しか記憶が持たなくても、3人が集まる時間はいつも暖かい。
終始やさしい気持ちで読めた。
ルートというあだ名が可愛い!
Posted by ブクログ
物語の中心は、「記憶が80分しか持たない」数学博士、家政婦とその息子の3人。 数学や家政婦の息子に対する、博士なりの愛し方やその温度に、居心地の良さを覚えた。会話や仕草の描写を重ねるだけで、「いきいき」という言葉を使わずにそれを表現してしまう、小川さんの創造力にも魅了された。
Posted by ブクログ
80分ごとに繰り返される出会い。
温かい話なのに、
ずっと切ない。
幸せな時間なのに、
それが長く続かない事に気づいてる。
結末が見えすぎてるのに、
最後の方ちょっと泣いた。
Posted by ブクログ
昔読んだが、もう一度読み直した
博士のと義姉とのミステリアスな関係が、興味深い
家政婦とその息子と博士との関係が家族のように成長していく過程が好き
ちょっと儚くもある
ついでに映画も見たが、私は本で想像を膨らませている方が良かった
Posted by ブクログ
初代本屋大賞!!
老数学者と彼に仕える家政婦のお話。
数学を通して人に心を開かない博士が家政婦とその息子と和解していく姿に心温まった。
家政婦の女性と博士の唯一無二の関係性がまさに友愛数であると思った。
珍しいテーマであるにも関わらず、数学という軸を基に全ての要素が噛み合って読みやすい作品であった。
今年は歴代の本屋大賞に触れていきたい。
Posted by ブクログ
ちょっとずつ読んだ
本屋大賞受賞作品
自然の描写がとても秀逸だった 文学
空気感が伝わってくる
博士のルートへの愛がいいねぇ
3人の関係が良かった
数学のことが好きになれそうな、興味が湧く内容
結局義理の兄とどーゆう関係なのか、Nは誰なのかははっきり書かれていない
家政婦に戻したのもどんな気持ちだったかは書かれていない
映画も大昔に観たけどもう1回観たくなった
Posted by ブクログ
記憶を短時間しか留めておけない数学者と、家政婦親子の年齢差を越えた友情の物語です。
作中に虚数が出てきますが、西加奈子の「i」にも虚数が出てきますが、全く捉え方の違う同じ数字を知ることが出来ました。
数学が苦手な方でも、全然問題なく楽しく読める1冊です。
匿名
あたたかいの一言
博士の切なさと家政婦さんのあたたかさを感じられるお話。読み終わった後に温かくなりたい人はこの本を読むべき。読み終わりまでルートと書いているところが個人的に好きだった。
Posted by ブクログ
読むと穏やかな気持ちになれる本。詳細な数式についての説明が始まると途端に脳がフリーズしてしまい、自分の理解が追いつかないところが我ながら残念だった。
Posted by ブクログ
全体として、派手な展開はないのに、読後には深い余韻が残る作品です。数式の美しさ、言葉の節度、そして人のやさしさが、過不足なく釣り合っている。静かだけれど、確かに心の奥をあたためてくれる一冊だと思います。
Posted by ブクログ
母の愛読書のため読む。
少し前は断念したけど、今回は読み終えた。
と言うくらい、日常を描いた静かなお話だった。
それでいて、数学を解くことしかこれまで考えてなかったけど、博士は難しい数学も知っていながら、身の回りに溢れている、数やその理論を愛していることが不思議で仕方がなかった。数の描写がその数字の性格を示すようで、面白く、そこまで面白がれたら全てに意味があるようで楽しいだろうなと感じた。
博士のルートへの愛と、ルートの博士を信じる心は今の私が持たなければいけないところだ。子ども達を全身全霊で愛し時には甘やかし、信じないといけない。
そんな1月の末。
Posted by ブクログ
博士が主人公に対しては無頓着な態度をとっていたけど、ルートに対しては人が変わったように優しく丁寧に接しているところが素敵だなと思った。主人公がルートの出生時の体重をすぐに言えるところや、キャンプに行ったルートを過剰に心配するところなどから子への愛情を感じてよかった。博士が主人公と出会って友愛数の話をするところが宇宙の広大さなどを感じて好きだったけど、80分しか記憶を持たない博士にとってそれは忘れてしまう出来事の内であり、心通じ合えた感動が主人公の中にしか残らないところが切なくて、自分だったらまた足のサイズとか聞かれた時に一瞬でも悲しい顔とかしてしまいそうだと思った。あと主人公の、毎回自分の記憶が80分であることを宣告される博士の気持ちをわかってなかったみたいなセリフがあるが、私もそれを言われるまで博士の気持ちにちゃんと寄り添えていなかった。何度も説明させないために気遣う博士のことを思うと切なくなった。博士の過去とか事故とかNの存在をもっと深堀されたらきっと泣いてしまっただろうなと思う。ただ、私は野球の知識と興味が薄いので野球観戦のシーンだけは退屈に感じてしまった。