あらすじ
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。寺尾聰主演の映画原作。
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Posted by ブクログ
〈最近、歴代の本屋大賞受賞作を読み漁っています。〉第1回の本作は、わたしが高校生の頃に発刊・受賞されたものでした。なかなか当時は学業に忙しく、その後も学生/社会人と読書習慣の度に異なる作者さんや異なるジャンルの本ばかり読んでいたので、この頃まで巡り会うことができませんでした。
こんな素晴らしい傑作に。
わたしも、数字(数学よりは笑)や素数が、好きです。(よく運転中に周りの車のナンバープレート見て足し算して、あ、11だ素数だ、23だ素数だ、とか無意識にやっちゃうタイプです)
そしてプロ野球も好きなので、両者がテンポ良く絡み合い繰り返され、博士と私とルートの3人の仲を深めていくキーになる本作は、とてもわたし好みでした。
小川さんの文体も、ワードチョイスも、とても気に入りましたし、この素晴らしい日常のお話を280ページほどで描いてしまう端的な構成力も、感銘を受けました。
20年経った今でも色褪せない、名作のひとつに出会えて良かったと思いました。
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読む前は、優しい博士と親子が数学を通じて繋がる温かいストーリーなのかな、と予想していた。
読み始めると、あれ?博士そんな無愛想なん?と驚き。身の回りのことも自分でできない小汚い数学好きのお爺さんかい!って思った。
読み進めると、優しい博士だとわかった。
記憶を80分しか保てない日々の中での、初対面の人との数字の話は、緊張や気まずさを緩和させる目的だったし、博士の愛した数式たちと同等に親子のことを大切にした。こんなに愛情深い人だったなんて。
ルートの11歳の誕生日パーティー以降、
読みながらずっと泣いていた。
また、何回も読み返したい。自分にとって大切な本になった。
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とても大事にしている本です。
折に触れて読み返します。
温かく、切なく。感じ取るものが多すぎて言葉にならない。でも大事なことってこういう事だよね、ってそっと教えてくれるような。
自分の中で優しさが込み上げてくるような。
記憶が80分しか持たない博士、その担当をする事になったシングルマザーの家政婦、そしてその子供のルート。
記憶が80分?そんな設定!とまず驚きます。
例えば、大事な人を失くしても、記憶は消えない。きっとお互い心の中で残る。というその大前提が、ない。
私はやっぱり最後までその事が切なかったです。
でも、確かに存在した時間は消えない、自分が忘れなければ…って私の心が追い付くまで、物語がそっと寄り添ってくれました。
やり切れないような悲しみを抱えていても、日常は穏やかな愛に溢れていて、それに気付ける自分でいたいなと思う。純粋で、文章も美しい。あと博士を通して数学の面白さも教えていただきました。
この本に出逢えた事にとても感謝しています。子供たちにも読んでほしいな。
Posted by ブクログ
昔数学が好きだったので手に取ってみた。
私が数学の問題を解いていた時に感じていた気持ちをとても美しく文章に起こしていて感動した。
数字を通して暖かい場面も悲しい場面も綺麗に描写していてとても良い本だった。
とにかく文章が優しい。
奇跡の愛の物語という言葉がとてもぴったりの本だった。
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一見孤独とも判断されてしまうような数学者の博士が、ルートや「私」、との出会いを通して日常に彩りが加わっていく暖かい物語。
この話の大きな話題は阪神タイガースと数学だった。博士にとってルートは愛おしいという一言では表せないほどのかけがえのない存在であることがいろいろな場面から読み取れる。でも、博士の記憶は80分しかもたない。そんな特徴があるがために少し切ない気持ちになってしまう場面もしばしばあった。3人によって紡がれていく思い出が消えてしまうから。
物語の終盤では博士が施設に入ってしまう。博士は80分の記憶すらもてなくなってしまう。
1番感動したのは博士が2人の記憶が消えてもなおルートと「私」にプレゼントされた江夏豊のカードを首にかけて大事にしていた場面。永遠にある愛やー。とにかく心が暖かくなった。それとこの物語を通して江夏豊さんの存在を初めて知った。素敵な話。
Posted by ブクログ
僕の記憶は80分しかもたない
博士と、家政婦として通うようになった主人公とその息子の交流を描いた話
どんでん返しやあっと驚く事件はないけれど、互いを思い合う行動の数々に心があたたまった
時間をあけて何度でも再読したい一冊
Posted by ブクログ
読み終えて、まず心に浮かんだのは
「凄い」という言葉だった。
物語としての完成度はもちろんだが、
小川洋子さんの数学への深い理解と、それを文学として昇華させる力に、
ただただ圧倒された。
物語の中心にいるのは、
不慮の事故によって、ある時期以降の記憶が80分しかもたない数学博士。
博士のもとにやって来る家政婦と、その息子・ルート。
この三人が、数学を通じて少しずつ関係を結んでいく様子は、
どこか不思議で、けれどとても静かで美しい。
読み進めていくうちに、
博士の人間像が少しずつ浮かび上がってくる。
数字や数式に対する純粋なまなざし、
誠実で、子どものように無垢な心。
最初は風変わりな人物として描かれていた博士が、
いつの間にか愛すべき存在に変わっていることに気づかされる。
その感覚は、家政婦やルートが抱いていく思いと、
きっと重なっているのだと思う。
この作品は、数学の美しさや奥深さを語る物語でもある。
けれどそれ以上に心に残ったのは、
数学を媒介として描かれる、人と人との関係性だった。
血のつながりがなくても、
記憶が続かなくても、
人は誰かを思い、慈しみ、
確かな絆を育んでいけるのだということ。
劇的な展開があるわけではない。
大きな感情の起伏を煽る物語でもない。
それでも、読み終えたあとには、
胸の奥に静かなあたたかさが残る。
数学の厳密さと、人の心のやわらかさ。
その両方を、これほど美しく同じ物語の中に描いた作品は、なかなかないのではないだろうか。
「凄い」という言葉の中に、感動と敬意と、やさしい余韻がすべて含まれている。
そんな一冊だった。
Posted by ブクログ
80分しか持たない記憶、家庭環境、過去の叶わぬ恋など一見すると悲しい側面ばかりだが、3人の関係が美しく描かれていて、優しさに溢れた本。とても良い本に出会えた
Posted by ブクログ
小川洋子の書くお話は決まってぴったりと終わる。果てしなく連綿と続いていくようで、しっかりとその1行前でも後でもない位置で、確かに終了の合図が打たれる。決まってじんわりと胸が温かくなる。
小川洋子の文体は時に私たちや博士やルートたちを抱き寄せるようで、と思うと時に突き放すようで、そのバランスが美しい。それらを足し合わせると必ずイコールゼロになるようになっている。美しい。
「本当に正しい証明は、一分の隙もない完全な強固さとしなやかさが、矛盾せず調和しているものなのだ」。彼女自身が書いたこの1文が、奇しくも彼女の書く文章のすべてを見事に言い表している。
Posted by ブクログ
「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―――記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。
⋯⋯⋯久々に泣いた。
心温まる
言わずと知れた名作。
不器用ながら愛に溢れた博士と親子の交流に、心が温かくなります。
博士の過去などを詳しく描かず、匂わせる程度なのも良かったです。
最高の出会い
主人公とルートにとって、博士はかけがえのない存在になっていく過程にほのぼのした気持ちにさせられました。毎日、会うたびに博士は二人のことは覚えていなかったけれど、丁寧に接する博士は温かい心の持ち主なんだなあ。ルートはのびのびと成長したことが窺われ、安心しました。博士と出会っていなかったら、別の人生を歩んでいたでしょう。博士に会えて良かったね。
数学が1番好きなのですごく刺さりした。
数学を入れ込むとどうしても論理的で冷たくなりがちですがこの作品は心が温まる作品です。引き続き数学を勉強したいと思います笑
ずっと気になっていた作品
かなり前から存在は知っていたのですが、なるほどこういうお話だったんですね。
博士と、男の子とそのお母さんと、3人が共に関わり合い成長していく姿に感動しました。
美しい数式
いろいろな数式や定理について調べながら読みました(結構大変)。
記憶が80分しかもたない博士を中心とした心温まる話に感動しました。
良い本に出会いました。
日向坂46の小坂菜緒さんが推していたので読んでみたのですが感動しました
スラスラと読みやすく、情景が頭をよぎります。
昭和生まれの私にはどこか懐かしさを感じる部分もありました。
やさしい
数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。
匿名
作者は数学の美しさに対して、心をひかれていて、それを博士を通して表現しています。
博士と家政婦とその子供との交流はとても暖かいものを感じます。
博士は長時間記憶を保つことができません。それは、異形なものであり、そのような不具者を描くところに作者の真骨頂があります。
この作品では不具者を描いてもグロテスクにはならず、それが一般受けしたのだと思います。
Posted by ブクログ
ちょっとずつ読んだ
本屋大賞受賞作品
自然の描写がとても秀逸だった 文学
空気感が伝わってくる
博士のルートへの愛がいいねぇ
3人の関係が良かった
数学のことが好きになれそうな、興味が湧く内容
結局義理の兄とどーゆう関係なのか、Nは誰なのかははっきり書かれていない
家政婦に戻したのもどんな気持ちだったかは書かれていない
映画も大昔に観たけどもう1回観たくなった
Posted by ブクログ
去年はミステリーばかり読んでたので
温かい物語を欲して手に取りました。
数学の難しい公式(私は数学が大の苦手)が
出てきて、大丈夫かな読み進めれるかなと
思いましたが不思議とスラスラ読めました。
博士は不器用ながらにルートを守り
主人公とルートは博士を慕い、
最後はずっと涙が止まりませんでした。
終わってほしくないな、と久しぶりに感じた読書体験でした。
Posted by ブクログ
記憶を短時間しか留めておけない数学者と、家政婦親子の年齢差を越えた友情の物語です。
作中に虚数が出てきますが、西加奈子の「i」にも虚数が出てきますが、全く捉え方の違う同じ数字を知ることが出来ました。
数学が苦手な方でも、全然問題なく楽しく読める1冊です。
Posted by ブクログ
なんとなくほっこりするような物語が読みたくなって最近また読んだ。
記憶が80分しか続かない数学博士と家政婦とその息子の切ない切ない物語。
小川洋子さんの文体はとても綺麗でどこか神秘的な雰囲気が漂う比喩表現が純文学の王道という気がして、とても良い。
例えば、沈黙を表す表現一つとっても「森の奥に隠れる湖のように、透明な沈黙だった」という風に神秘的で静謐とした情景が目に浮かぶ、そんな表現。
偏屈で扱い辛い博士と徐々に心を通わせていくストーリー自体も良かったが、この文章表現が好み。
Posted by ブクログ
解説や考察を読んで、この本に秘められた魅力を感じることができた。
最近はミステリーとかどんでん返しとか、そういった分かりやすい面白さがある小説を読んでいたので、純文学を楽しむにはもう少し時間をかけて本を読み解く必要があるのだと感じた。
読み返してみると、たくさんの伏線があって、よくできた構成だと感心する。
正直読み終えた直後の感動はそこまでだったけど、これは時間をおいて後から色々考えると、とんでもなく面白い小説だったのだということが分かった。第一回本屋大賞受賞というのは納得である。
また違うタイミングで読みたいと思える小説だった。
Posted by ブクログ
博士と家政婦とルートの、家族とも友達ともまた違う温かい関係性がとても良かった!
登場人物全員良い人だった。
数学の美しさがちょっとわかったような、、、全然理解できてないような、、、
Posted by ブクログ
記憶障害の老数学者とシングルマザーの家政婦親子との交流を描いたストーリー。話の展開が適度に予想を外していて、展開のスピードもちょうど良い。さらっと読めるが、ある程度の充実感がある。
Posted by ブクログ
eのπℹ︎乗+1=0
「無関係にしか見えない数の間に、自然な結び付きを発見した」と表現されていたオイラーの定理。どうやら美しいらしい、この定理。
最初は博士の言う、数字は「気が付いた時には、もう既にそこにあった」に懐疑心を抱いていたけど、確かにそうかも。循環しない無理数を、同じく循環しない無理数のπと虚数で累乗し、1を足したら=0になるこの数式が、ただの偶然には思えない。もしかして世界の在り方そのものを表しているんじゃないか…?とさえ思えてくる。そして、些細で周知の気づきを素晴らしい発見だと感嘆できる博士の数学観。何かに魅せられている、を体現した人物だった
Posted by ブクログ
博士を博士と呼ぶことの愛情みたいなものがよかった。 博士みたいな、あんまり人を受け入れることを簡単には出来なさそうな人が人と触れ合うことの奥ゆかしさがいい。
Posted by ブクログ
再読
一度目よりも物語を楽しめた。数字や数学が得意でないのだが、それでも何とか理解しようと努めた。結局数学についてはよくわからなかったけれど、物語の世界観は伝わってきた。
Posted by ブクログ
優しさを考えた本でした。
文章から、先を想像させる箇所がいくつかありましたが、予測とは違うことが心地よく、余韻があったり、とてもよかったです。
匿名
あたたかいの一言
博士の切なさと家政婦さんのあたたかさを感じられるお話。読み終わった後に温かくなりたい人はこの本を読むべき。読み終わりまでルートと書いているところが個人的に好きだった。
Posted by ブクログ
全体として、派手な展開はないのに、読後には深い余韻が残る作品です。数式の美しさ、言葉の節度、そして人のやさしさが、過不足なく釣り合っている。静かだけれど、確かに心の奥をあたためてくれる一冊だと思います。
Posted by ブクログ
母の愛読書のため読む。
少し前は断念したけど、今回は読み終えた。
と言うくらい、日常を描いた静かなお話だった。
それでいて、数学を解くことしかこれまで考えてなかったけど、博士は難しい数学も知っていながら、身の回りに溢れている、数やその理論を愛していることが不思議で仕方がなかった。数の描写がその数字の性格を示すようで、面白く、そこまで面白がれたら全てに意味があるようで楽しいだろうなと感じた。
博士のルートへの愛と、ルートの博士を信じる心は今の私が持たなければいけないところだ。子ども達を全身全霊で愛し時には甘やかし、信じないといけない。
そんな1月の末。
Posted by ブクログ
博士が主人公に対しては無頓着な態度をとっていたけど、ルートに対しては人が変わったように優しく丁寧に接しているところが素敵だなと思った。主人公がルートの出生時の体重をすぐに言えるところや、キャンプに行ったルートを過剰に心配するところなどから子への愛情を感じてよかった。博士が主人公と出会って友愛数の話をするところが宇宙の広大さなどを感じて好きだったけど、80分しか記憶を持たない博士にとってそれは忘れてしまう出来事の内であり、心通じ合えた感動が主人公の中にしか残らないところが切なくて、自分だったらまた足のサイズとか聞かれた時に一瞬でも悲しい顔とかしてしまいそうだと思った。あと主人公の、毎回自分の記憶が80分であることを宣告される博士の気持ちをわかってなかったみたいなセリフがあるが、私もそれを言われるまで博士の気持ちにちゃんと寄り添えていなかった。何度も説明させないために気遣う博士のことを思うと切なくなった。博士の過去とか事故とかNの存在をもっと深堀されたらきっと泣いてしまっただろうなと思う。ただ、私は野球の知識と興味が薄いので野球観戦のシーンだけは退屈に感じてしまった。