あらすじ
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。寺尾聰主演の映画原作。
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Posted by ブクログ
泣きたいとき、誰かの優しさに触れたいときにおすすめの本です。
主人公の女性(母親)とその息子と、記憶が80歳しかもたない数学に愛情のあるおじいさんのお話。
心がほっこり温まりますし、最後息子が数学の教員になったというのは、穏やかで幸せな(小説としての)結末だなと思いました。
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主人公の家政婦と同じくらい自分が数字に魅了されていくのが心地よかった。これから何か数字を選ぶとき完全数28を選びそう。
博士とルートと主人公が野球を見に行くシーンと、誕生日会のシーンが情景がありありと思い浮かんで好き。
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〜永遠に愛するNへ捧ぐ あなたが忘れてはならない者より〜
N(自然数)は、博士の記憶で永遠に実在するもので、事故以降に出会った私(i=虚数)は存在しないようなものだが、息子ルート(√)は私(i=虚数)を存在させてくれるものではないのかと思いました。永遠の真実は、目に見えない。そこにこそ美しさや愛があるのだと感じました。
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1周目
後半はずっと泣いていた
最後のページは読み終わるのが惜しくて更に泣いた
読み終わったあとは、何故か水彩画のような小説だと感じた
小さい頃母親が好きで家に飾ってあったいわさきちひろの水彩画の少女のことを、急に思い出した
この10数年全く覚えていなかったのに
水彩画に感じる温かみを、同じように小説に感じた
純文学は難解なことが多くて苦手に感じていたけど、この作品で少し近づけた気がした
(それでも理解が難しい描写も多々あったが)
脳で思考するのではなく、心で小説を読むとはこういう感覚なのだろうか
心は脳の信号だとナブナさんは言ったが、体感的には心で直接温かさを受け取っていた
詳しい事実が語られないことが多い中、こんなにも人の愛が表現されている
解説の、「数学と文学を結婚させた」という表現に言葉を失った
1週間少したち、
軽く2週目
相変わらず温かい愛がそこにある
感想は細分化することが大事だとメモにとっているが、この作品においては、むしろ、
ぼやけたままのほうが良いのではないかとすら思う
言語化の必要性を感じないくらい心が安心している
また再読した時に何を考えるのかが楽しみである
(悔しくも?)少し思考が浮かんだ部分
派遣家政婦の仕事は行きずりであり、冷たさに過剰に心を使わないようにしていたという描写があることにより、
80分しか記憶されない冷たい事実と
過ごした中身の濃さのギャップがより引きたっている
神様のレース編みの描写、なんと美しい表現をするのかと感嘆
オイラーの公式、2週目で理解度が少し上がったが、
これに気づいた人はものすごい
並の人間には到底見つけられない神のレース編みである
三角数の美しさ、精巧さにも驚いた
数字がこんなに綺麗な法則を持ち合わせているとは
野球は興味が無いから特に理解が難しかったが、ユーモラス要素として効力を発揮していたのだと解説で気づく
今まで28はただの数字であったが、今後は完全数だと言う新たな肩書きが、私の中に出来た
Posted by ブクログ
こころがじんわりあたたまる優しい話。は読者を泣かせてやろうとする魂胆が見えて嫌いなのであまり読まないが、これは別腹。登場人物達の不思議な関係が、数学の問題が解かれていくように解れて結び付いて綺麗に収まっていくストーリーは、ついつい気持ちが入り込んで一緒に一喜一憂してしまう。本ばかり読んでいる数学が苦手な人にこそ是非、読んでもらいたい。
Posted by ブクログ
奇しくもドジャースがワールドシリーズを
歴史に残る試合で連覇した日に読んだら、
作中でドジャースという言葉が出てきて
運命めいたものを感じて、ゾクッとした
野球の話が結構ウェイトを占めてて、
中でも阪神タイガースがよく出る
往年の阪神ファンは、喜ぶかも?
他に類を見ない、唯一無二とも言えるこの小説に
自分なりに敬意を込めて数式で表すなら、
数学✕阪神(江夏)✕博士✕私✕√
=博士の愛した数式
といった感じでしょうか
事故で80分しか記憶が持たない博士に
「私」が関わっていく話
物語は「私」視点で淡々としたリズムで
語られるけど、それが心地良い
解説の数学者さんも、
小川洋子さんが訪ねてこられた経緯などを
あたかも野球の延長戦の如く
同じリズムで語られてるのが、
意図してなのかどうなのか、凄い
物語も解説も含めて、凄かったなぁ
Posted by ブクログ
初めて小川洋子さんの本を読んだのはこの作品が初めてです。
書店に並んでいるのを暫し見つめ、ついに手を取ってお会計に。
あまりにも綺麗な文章に思わず心惹かれました。
ストーリーもとても良かった。
切なく、胸がきゅっとなってしまうところもありましたが、博士とルートのやり取りもまるで親子のようでこちらまで嬉しくなることもありましたし、「私」が一旦博士のところの家政婦を辞めさせられた時には胸が苦しくなりました。
記憶が80分しかもたないなんて、どれだけ不安な生活を送っているのだろう…。
最後まで綺麗な優しい文章で、とても癒されました。
Posted by ブクログ
星10ぐらいつけたい...
家政婦の「私」とその息子が80分しか記憶がもたない「博士」と数式を通じて絆を深める物語。
数式も野球も全く分からない私が呼んでも面白かった。
もはや野球は嫌いだったんだけど、知ろうかな。知りたいな。とおもえました!!
生きてる世界がこんなにも数式や定理で表せることが出来るということを知って驚きが隠せなかった。何気ない数字ただの数字の羅列が博士にとっては愛するもので、それが人生なんだな。人の人生は当たり前のように過ぎていってるけどその当たり前に人生が詰まってて、どんな人のどんな人生にも意味があったりするんだろうな。と
自分の人生にも温かみを感じれるような。
そんな素敵な作品でした。
本当にありがとうございます。出会えてよかった。
心温まる
言わずと知れた名作。
不器用ながら愛に溢れた博士と親子の交流に、心が温かくなります。
博士の過去などを詳しく描かず、匂わせる程度なのも良かったです。
最高の出会い
主人公とルートにとって、博士はかけがえのない存在になっていく過程にほのぼのした気持ちにさせられました。毎日、会うたびに博士は二人のことは覚えていなかったけれど、丁寧に接する博士は温かい心の持ち主なんだなあ。ルートはのびのびと成長したことが窺われ、安心しました。博士と出会っていなかったら、別の人生を歩んでいたでしょう。博士に会えて良かったね。
数学が1番好きなのですごく刺さりした。
数学を入れ込むとどうしても論理的で冷たくなりがちですがこの作品は心が温まる作品です。引き続き数学を勉強したいと思います笑
ずっと気になっていた作品
かなり前から存在は知っていたのですが、なるほどこういうお話だったんですね。
博士と、男の子とそのお母さんと、3人が共に関わり合い成長していく姿に感動しました。
美しい数式
いろいろな数式や定理について調べながら読みました(結構大変)。
記憶が80分しかもたない博士を中心とした心温まる話に感動しました。
良い本に出会いました。
日向坂46の小坂菜緒さんが推していたので読んでみたのですが感動しました
スラスラと読みやすく、情景が頭をよぎります。
昭和生まれの私にはどこか懐かしさを感じる部分もありました。
やさしい
数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。
匿名
作者は数学の美しさに対して、心をひかれていて、それを博士を通して表現しています。
博士と家政婦とその子供との交流はとても暖かいものを感じます。
博士は長時間記憶を保つことができません。それは、異形なものであり、そのような不具者を描くところに作者の真骨頂があります。
この作品では不具者を描いてもグロテスクにはならず、それが一般受けしたのだと思います。
Posted by ブクログ
記憶が80分しか持たない数学者とその家政婦とその息子のお話。
博士とルートの関係がとても好き。優しさで溢れている。
記憶が80分しか持たない博士の人生は辛いものがあるかもしれないが、ルートとの出会いは忘れてもなおまた築ける関係性がとてもいい。
数学は苦手なので、定理とか数式の話はよくわからない。数式を見てもそれが美しいとはどういう意味なのか、やっぱりわからない。
でもこのお話は終始優しさでできていて、美しいお話だったなと思える。
第一回本屋大賞受賞作。
Posted by ブクログ
博士と義理の姉がどういう関係だったのかや「ルート」がどういう人間だったのかなど、引っかかったままの部分もあるが、そこは本筋ではなかったのだと思う。
博士が見ていた数字という真理の世界の一端を垣間見ることができて面白かった。
Posted by ブクログ
本屋大賞受賞作。全体を通して、博士の魅力に溢れた一冊でした。80分しか記憶が持たない博士と数学やタイガース(江夏)の話題を通じて交流を深めていくさまが、微笑ましかったです。博士とルートがタイガースファンであり、過去の名選手たちの名前が登場する中で時代を感じました。
Posted by ブクログ
数学。大嫌いだった。学生時代それはもう、本当にひどい成績。
それでもこの小説を読んでいて、数学の美しさに触れた気がする。
しかもそれだけではない。鬱陶しくも愛らしい80分しか記憶を持てない「博士」と、家政婦の「私」、その息子「ルート」が紡ぐ友愛が心の中にジワジワと染み入ってきて、気づけば心がフワフワ軽く柔らかくなったような、そんな感覚になっていた。
とはいえ、数学がテーマ。ドキドキもハラハラも、号泣するようなシーンもない。
それでも読み進める度に静かに、疲れた心が癒えていく。
そんな、とても素晴らしい物語だった。
Posted by ブクログ
帯に、「270万人が泣きました。伝説の第1回本屋大賞受賞作」とある。本屋大賞の最初の受賞作であり、映画化もされ、270万部を売り上げている作品ということは、傑作と言ってもよい。私は映画を観ていないが、博士は寺尾聰、家政婦は深津絵里が演じた。
家政婦はシングルマザーで、博士は、子供の名前に、頭の形が数式の√に似ているからルート君と名付ける。博士は数学博士だが、交通事故で記憶が80分しかもたない。この記憶障害があることから、家政婦は色々と難しい対応を迫られる。しかし、この家政婦がとても優しいので博士は幸せに生活できる。この作品の特徴として、博士の専門分野である数学が物語を引き締めている。博士は家政婦の子供ともプロ野球の阪神タイガースを通じて仲良くなる。
物語に馴染むのが難しそうな数学という博士の専門分野が、物語を豊かにしている。数学と文学という相容れなさそうな分野を融合し、博士の記憶障害という大きな特徴が、作者小川洋子という優しい文学者の筆致で表現されて初めて、物語として素晴らしい出来栄えになっている。
Posted by ブクログ
小川洋子さんらしい、静かで少し哀しくて、優しい物語。
ページ数が少ない本なんだけど、博士との温かい交流が細やかに描かれていてとても良かった。
ラストシーンにジーンとくる。
Posted by ブクログ
話の展開が急なわけでもなく、なにか特別なことがある訳では無いのに読後の達成感は凄くあって、物語が終わりに近付いて来るとドキドキした。
家政婦である「私」の博士に対する感情が恋愛なのか情なのか、憧れなのか何なのかは最後まで分からなかったが、何かしらの愛の形なんだろうなと思った。
Posted by ブクログ
数学というのがこんなにも情緒あふれる学問だったとは。まさに、「友愛」で結ばれた登場人物たちの奮闘ぶりを見て優しい気持ちになれる。「ルート」が全てを包み込む、そんなお話。
一つ一つのエピソードが何気ないが為に少し読み応えという意味では弱いかも。それぞれの心情も難しく感情移入もし辛い。
でも、博士の奇抜な容姿や言動を想像するのは面白いし、夕方の描写がいい、雷が鳴る夕方がすごく印象的なシーンでした。
Posted by ブクログ
小学生ぶりに読み直しました。
20代も半ばとなり、昔はルートの気持ちの方を考えていましたが、家政婦の私や博士、未亡人の気持ちもよくわかるようになっていました。
大きなハプニングもなく、ミステリー好きの人には物足りないかもしれませんが、読後にじんわりと心が温かくなるような話です。
自分が80分しか記憶が持たない状況に立たされると、こんなにも穏やかで小さい子に優しく、腰の低く振る舞えるものだろうかと考えてしまいます。
昔より数学の知識も増え、途中で断念することなく読み進められました。中学生以上の方におすすめします。
Posted by ブクログ
数学の美しさとは、本質が一瞬で見通せる感覚だと言われることが多いそうだ。なるほど、よく分からない。
複雑な現象がたった一つの式で説明できる。一見無関係に見えるものが、ある瞬間にたった一本の糸でつながることがある。無駄のない秩序、必然であること…
それらが数学の美しさだと言われても、やっぱりよく分からない。
それが、
「瞬く星を結んで夜空に星座を描くように、博士の書いた数字と、私の書いた数字が、淀みない一つの流れとなって巡っている」
「ああ。行けども行けども素数の姿は見えてこない。見渡すかぎり砂の海なんだ。太陽は容赦なく照りつけ、喉はカラカラ、目はかすんで朦朧としている。あっ、素数だ、と思って駆け寄ってみると、ただの蜃気楼。手をのばしても、つかめるのは熱風だけだ」
といった小川さんの魔法にかかれば、なんとも美しい広大な世界の片鱗に触れることができる。数学そのものの美しさへの理解には及ばずとも、数学と向き合う人間の姿を通して、数学と触れ合うことができる、そういう作品だった。
Posted by ブクログ
読むと、他のものに目もくれなくなるような、愛するものが一つある人生に憧れられる。
数学の魅力が丁寧に描かれていて、計り知れない不安の中で生きていく博士が信じるにふさわしいシンプルさと強さを感じた。
数学に魅力を感じるなんてと思ったけど、私が知らない学問を熱心に研究している人ってどこかでそれの放つ魅力を知ったんだろうなと思うと、羨ましいようなかっこよさを感じる。
Posted by ブクログ
美しさ 理系ではありましたが数学は得意ではなく、生物が好きでした。特に分類学、植物と動物の境界線なんかに興味を持っていました。そういった内容に数学は必要ないように感じますが、数学が関係しない領域がないこともうすうす感じています。
私には愛した数式はありませんでした。なかなか面白いタイトルだと思います。「博士の愛した数式」、とても美しい作品だと思いました。小川洋子さんの他の作品も読んでみたいと思いました。
80分しか記憶がもたない博士と、家政婦とその息子のお話です。記憶がもたない絶望や儚さが前面に出てくるのではなく、それを補い支え合う美しさを感じました。数学や音楽は緻密な計算のなかに美しさが存在しています。その、美しさが人間の美しさにも共鳴し昇華されていった結びの数ページには涙しました。とても良い作品でした。
匿名
あたたかいの一言
博士の切なさと家政婦さんのあたたかさを感じられるお話。読み終わった後に温かくなりたい人はこの本を読むべき。読み終わりまでルートと書いているところが個人的に好きだった。
Posted by ブクログ
家政婦をなりわいとしながら、シングルマザーとして10歳の子供を育てている。派遣された先で出会ったのは、80分しか記憶がもたない数学の博士。だから、毎日の挨拶は初めましてで、博士はきまって、数字のことを訊ねる。「君の靴のサイズはいくつかね」「電話番号は」「誕生日は」「生まれた時の体重は」そして、返ってきた数字の秘密を語る。「4の階乗だ」「一億までの間に存在する素数の数に等しい」「友愛数」「完全数」……。80分ごとに記憶がリセットされる博士と、博士にルート(どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる。実に寛大な記号)という愛称で呼ばれる子供とともに、博士の家で過ごす日々。野球観戦にゆき、病気の看病をし、誕生日を祝う。困難なことの多い日々の中、ささやかな幸せを感じている間に、博士の病気は進行する。
博士は、47歳の時の事故がなければ、数学者として栄誉ある地位についていたかもしれず、また、母屋に住む義姉への恋も成就させていたかもしれない。家政婦もまた、かつて自分を捨てた男(息子の父親)が、なんらかの賞を取ったことを知るところから、たとえばノーベル賞受賞者の妻という地位になった未来も、あったのかもしれない。が、現在の二人は、ぼろぼろの離れで暮らす、ふけだらけの、数学の懸賞に応募することぐらいしかしていない非生産者であり、子供を育てるために、派遣され、雇い主の気分をそこねぬよう働く家政婦である。そんなところで、博士は目をキラキラさせて数字のことを語り、そんな博士を母子は尊敬し、大切に思っている。人を思いやるというとても崇高で、美しい気持ち。博士にプレゼントするため、野球カードを探す母子と、それを受け取ったときの博士の様子。今さらだが、この世でもっとも尊いものを、見せていただいた。そして、映画は見ていないけれど、寺尾聰の博士が目に浮かんだ(はまり役!)。
Posted by ブクログ
本屋大賞をとり、SNSでも高評価で口を揃えて号泣ものだと書かれていましたが私は全くでした。
私が数学が苦手でも物語の素材の一つだろうと読み始めたのですが、野球にも興味がない私にはマイナスからの出発で感動までには行きつきませんでした。
Posted by ブクログ
短時間しか記憶を留めることができない老いた数学者(博士)と、彼の身辺のお手伝いとして雇われた女性、そしてその子供の交流を描いた小説。お手伝いの女性を語り手として話が綴られている。
過度に伏線を張ったり、ドラマチックな演出をすることなく、淡々と物語が進行する。印象に残ったのは、博士がオイラーの等式が書かれたメモで、語り手の女性と博士の義姉の口論を収めるシーンである。この解釈は読者に委ねられているが、様々な分野の数学が一つの式の中に調和していることを示して、互いを尊重するように諭したのだろうか。我ながら、ちょっと安易すぎる解釈な気もする。。
数学者の岡潔氏は、「春宵十話」という本で、数学には情緒が重要と説いていたが、その情緒を描こうとした作品なのだと思う。
Posted by ブクログ
家政婦として訪れた先で出会ったのは曲者の老人。私は数学者である彼を「博士」と呼んだ。かつての事故の影響で記憶に障がいを抱える彼と次第に距離を縮めるが…
これはそんな博士と私たち親子の心温まる物語
第一回本屋大賞受賞作という事で気になり読み始めました。
数学者が生涯を捧げるほど魅了される数の世界。その中に点在する美しさは自分からは縁遠いかけ離れた世界のもので一回読んで理解できるものではなかったですが、物語を通して博士が人生の中でどれほどまでに数の世界を愛し没頭したのか、そして彼が培ってきた子供への無償の愛の形を知ることができました。
博士と私とルートの3人。互いが互いを思いやる気持ちに心を温められると同時に博士のような先生に算数や数学の面白さを教わりたかったと月並みに思いました。
問題の難易度に関わらずフェルマーの最終定理が証明できた時ほどの賞賛をくれる先生、子供にとっても大人にとっても理想の指導者です!