あらすじ
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。寺尾聰主演の映画原作。
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Posted by ブクログ
温かいと感じた。人との触れ合いだとか向き合い方だとか生活する姿のどれもが穏やかで温かい気がした。
数学者や野球選手は別として、登場人物の名前が誰一人として出てこないのがどことなく数学に近い匂いを感じる。普遍的というか抽象的というか……。
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また一つ名作を読み終えてしまった。
80分しか残らない記憶って寂しいけど
時間は連続してる訳で
例えば野球を見始めて90分経ったら
見始めた時のことは思い出せなくても
10分経った頃のことは覚えてるのでは?とか
なんか素朴な疑問もあったりしたけど
まあそこは置いといて
数学の話は難しいところもあったけど
数字を愛でる博士ごと数も愛する主人公が素敵だった
あんなにキラキラ輝いた数字を感じたのは初めてだった
博士が身近にいたら、そら数学好きになるわな
私もなったかな なーんて
いつまで経っても新しく家政婦の主人公と息子は覚えてもらえないけど
連続した時間は確かにそこにあって
博士が覚えてなくても、築かれた関係も確かにあって
どちらか一方が忘れてしまっても
もう一方が覚えていたらそれはその人がいたってことでそこにあったということで
大切な人、時間は何にも変えられない大切な記憶になって誰かの心にあり続けるんだなと
覚えていられなくても、覚えていようとしてくれる博士の努力とか
覚えてもらえなくても一緒にいたいと願い続ける親子とか
ただ大切な友だちになったりとか
尊いなって、思った
もっと悲しくて切なくて涙が止まらないかと思ったけどそんなことなくて
どこか淡々と、前向きで、でも尊いあったかいものが胸に残るようなそんなお話でした
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愛に溢れた物語。
私、博士、ルークがお互いに愛情と敬意を持って接している関係性がとても素敵だなぁと思いました。博士がプレゼントを受け取るシーンが特に好きです。
優しさや思いやりを忘れてしまいそうな時に読み返したい本です。
Posted by ブクログ
記憶として残らなくても、愛は確かに心に残っていく。
記憶に裏付けされていない愛でも、それは間違いなく愛であり、人はちゃんと愛を交わし合えるのだと感じられる作品だった。
˖ ⊹ ࣪ ˖ ☽ ⊹ ࣪
博士とルートの間には2人の間だけの確かな絆があって、主人公と博士の間のそれとは違うものを感じた。
共通する思い出がなくとも、即座に通じ合える、子供時代の友達のような特別な絆。
だからこそ、記憶が積み重ならなくても、信頼や友情、愛情は育んでいけると信じられた。
ルートの何気ない言葉からも、博士を大切に思っている気持ちが伝わってきて胸を打たれた。
野球場の場面も良かった。
相手の立場に立って考えられるルートの優しさや、博士の数字の話に耳を傾けてくれるおじさんの存在に、人のあたたかさを感じた。
また、熱心な亀山ファンの存在が、博士を「少し変わった人」として浮かび上がらせるのではなく、同じように野球を愛する一人のファンとして自然にその場へ馴染ませていたのも、みんなそれぞれに変わってて、それでいいんじゃないかと思えた。
“永遠の真実は目に見えない”
この言葉の通り、この作品には目に見えない大切なものが静かに流れている。
思いやりとは、ただ優しくすることではなく、相手を理解しようとする思慮深さなのだと思った。
穏やかで優しい、お互いを思いやる気持ちに溢れた作品だった。
Posted by ブクログ
綺麗すぎる作品。
大まかにストーリーを読み進めて行ったが、繰り返し読みたい。いや読むごとに深さを味わえると思う。
記憶が80分しか持たない博士と家政婦とその息子、ルートの物語。人間ドラマだけでなく、数学的要素と文学的要素、さらに日本で人気スポーツの野球の要素を組み合わせた。
理系じゃない自分には意味わからなかった部分も確かにあった。しかし数学がいかに素晴らしいものか。考えさせられた。28の完全数 284と220の友愛数、痺れました…。
文章も美しく綺麗で…。
すべてに置いて美しい。
小説の面白さをひしひしと感じた作品です。
Posted by ブクログ
数学という科目が自分も好きで、それなりに知識もあったため、完全数や友愛数、その他の定理など作品に出てくる数学知識がすっと頭に入って読みやすかった
80分しか記憶が持たないため、ついさっきまで会話していた家政婦の事ですら忘れてしまう博士。
一見近寄り難く、実際に今までたくさんの家政婦が博士の世話を諦めたけど、ルートのお母さんだけはずっと博士のそばに居続けた。
記憶を保持できなくても、数学に対する莫大な知識、子供を大袈裟なまで思いやる心など博士にはたくさんの魅力があって作品が進んでいくにつれどんどん博士のことが好きになった。
話の最後、博士はルートから貰った江夏のカード、ルートは博士から貰ったグローブとお互いに1番大切なものを持ってこれからもそれを見る度にお互いの事を思い出すんだなって思いとても感動した。
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胸の奥がじんわりと温かくなるような優しさに満ちた作品でした。
家政婦である「私」の聡明さ、そして彼女が博士の世界に魅せられていく過程や、息子であるルートと共に成長していく姿に心を打たれます。混沌とした現世から切り離されたかのような、あの博士の離れの時が止まった静寂な空気感に、私も引き込まれていきました。
博士が子供に向ける無垢な愛情が、数式という純粋な言葉で綴られた非常に美しい物語でした。
Posted by ブクログ
近年の生成AIを利用する中で、記憶の削除という行為が博士の生きる世界に近いのではと感じた。生成AIにとってのコンテキストウィンドウ(文脈の許容量)の限界は、博士にとっての忘却と同じだ。
数学の定理は永続的だが、人は忘れてしまう。だからこそ、思い出そうとするきっかけが尊い。そんな気づきを、この物語は与えてくれた。儚いからこそ、今この瞬間の繋がりを大切にしたいと思える。
数学がこれほどまでに血の通った温かいものに感じられる、稀有な一冊。
Posted by ブクログ
切ないような優しいような言葉に言い表すのが難しいきもち。
ただとても穏やかな気持ちになる作品だった!
博士にとって記憶は関係なく、数学と子供は愛すべき存在なんだなぁ。
Posted by ブクログ
読み終わったあと、まだまだ世界は続くけどパッと広がって音楽が終わるような…なんとも言えない美しい気持ちになった。
博士がなんといっても愛しいし、ルートも母も、最後は義姉も温かくて好き。。
私は算数、数学が嫌いだけど、これをもっと早く読んでたら数字に意味を感じて愛することができたかも…。
初めて聞いた友愛数とか完全数とか、近くに子供がいたら自慢げに話してみたいと企んでいる。
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この言葉にはできない関係を、前に読んだ時には理解できず、なぜこの本が人気でなぜ映像化されたのか分からなかったけど、いまは最後、涙が出るほどよくその温度と切なさがわかる。
Posted by ブクログ
事故で記憶を保てない初老の数学者と家政婦母子が織りなす、数学の魅力に溢れた心温まるストーリー。人間の持つ優しさが最大限に描かれているように感じられる。スマホが無い時代の作品であり、スマホがこの世に無い方が幸せな事や感動することも多いに違いない、とあらためて感じさせられる。
Posted by ブクログ
数学で結ばれる、記憶を保持できない博士と家政婦と息子の温かい日常の日々。
数字は見方を変えて、隠れた法則に気づくことで、有機的で意味のある詞となる。そして、それを愛しそうに教えてくれる博士が好きになった。
まるで自分も4人目として博士と机を並べている気分になる。
博士の日々が幸せで本当に良かった。
Posted by ブクログ
読みやすく、心が温まる作品だと感じた。
博士の置かれている状況は複雑だが、博士自身は純粋で分かりやすい。
それ故に、主人公、ルートへと温かさもまた伝播したのではと思う。
解説では、学問という括りを超えて、数学と文学が結婚したと表現していた。数は無機質なものと思っていたが、素数・友愛数・完全数を博士から教えてもらい、性格を持った人物のように思えた。
となると、数学自体も登場人物がおり、文学と同じ土俵にあるのではと新たな視点を得られた良い作品だったと思います。
Posted by ブクログ
本をたくさん知りたい中でやはり読みたいと思った一作。
長い年月の関わりのように思えるのに、実は一年の数ヶ月内に行われた思い出がぎゅっと纏まっていた。
人の関わりの時間はとても濃く短いものだと思いました。
博士の深い子供に対する愛は感動して
なんて慈悲深い人なのだろうと感じました。
最終、ルートは数学の教師へ道を進めると知った時の博士の嬉しさはもう計り知れないでしょう。
とても美しい物語だと感じました。
数学が得意ではなかった私にとって中学、高校の時に読んでおきたかったなと思った作品でした。
声に出して、直感で楽しむことを教えてくれました。
Posted by ブクログ
子供の頃に何度も何度も読んだ本。人生で1番読んだ回数が多い本かもしれない。当時はこれが「名著」であることなんて分かっていなかった。
受験勉強やら、就職やらで読書から離れた期間があり、それでも教師という私の職業柄、本の素晴らしさに再度気付くことができた。そんなこんなで、最近になっては色んな本を読み漁っていた。しかし、法律上大人になって以降、この本を一度も読んだことはなかった。ここまで生きてきて、自分も成長(?)しているはずだし、なぜ昔の自分があんなに魅了されていたのか分析くらいできるようになっているだろうと思って、現在に至る。
読んでみた。
魅了されすぎて分析する余地もなかった。
なぜこの本はこんなに自分を魅了するのだろう。
次こそは冷静に読めるといいなあ。
心温まる
言わずと知れた名作。
不器用ながら愛に溢れた博士と親子の交流に、心が温かくなります。
博士の過去などを詳しく描かず、匂わせる程度なのも良かったです。
最高の出会い
主人公とルートにとって、博士はかけがえのない存在になっていく過程にほのぼのした気持ちにさせられました。毎日、会うたびに博士は二人のことは覚えていなかったけれど、丁寧に接する博士は温かい心の持ち主なんだなあ。ルートはのびのびと成長したことが窺われ、安心しました。博士と出会っていなかったら、別の人生を歩んでいたでしょう。博士に会えて良かったね。
数学が1番好きなのですごく刺さりした。
数学を入れ込むとどうしても論理的で冷たくなりがちですがこの作品は心が温まる作品です。引き続き数学を勉強したいと思います笑
ずっと気になっていた作品
かなり前から存在は知っていたのですが、なるほどこういうお話だったんですね。
博士と、男の子とそのお母さんと、3人が共に関わり合い成長していく姿に感動しました。
美しい数式
いろいろな数式や定理について調べながら読みました(結構大変)。
記憶が80分しかもたない博士を中心とした心温まる話に感動しました。
良い本に出会いました。
日向坂46の小坂菜緒さんが推していたので読んでみたのですが感動しました
スラスラと読みやすく、情景が頭をよぎります。
昭和生まれの私にはどこか懐かしさを感じる部分もありました。
やさしい
数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。
匿名
作者は数学の美しさに対して、心をひかれていて、それを博士を通して表現しています。
博士と家政婦とその子供との交流はとても暖かいものを感じます。
博士は長時間記憶を保つことができません。それは、異形なものであり、そのような不具者を描くところに作者の真骨頂があります。
この作品では不具者を描いてもグロテスクにはならず、それが一般受けしたのだと思います。
Posted by ブクログ
総じていい話だったけど、自分には皆が感動するほどそこまでぐさっと心に来るほどではなかった。感動したかった。年が過ぎて再読したらまた違った読み方ができるかもしれないので、後年の楽しみの一つに。仕掛けや伏線を期待してしまったが静かに丁寧に優しく終わった感じ。
ただ、小説に数学を入れてよくここまで読ませたものだと関心。著者は文系なのに。オイラーの式にルートが関する虚数が入っているのもにくい。未亡人目線の読み物も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
博士は自分だけの世界観を強く持っている人。その世界は時に周囲とのコミュニケーションを遮る結界のようにも見えるが、周りの人たちは博士自身だけでなく、その空間ごと受け入れ、愛しているように思えた。その温かい関係性がとても印象的だった。
また、「私」と博士を繋ぐ友愛数の存在も心に残った。数字は本来、言葉よりも冷たく機械的で、感情とは遠いもののように感じていた。しかしこの作品では、数字がむしろ人と人との絆を深める役割を果たしている。感情だけではなく、絶対に変わらない数学的な根拠があるからこそ、二人の繋がりがより特別で温かいものに感じられた。数学が苦手な私でも、博士が語る数式の美しさや、数字に宿る特別さは不思議と伝わってきた。
Posted by ブクログ
物語としての面白さと、文学的な言葉遣いが混じりあっていて、是非読書を始めたばかりの人に読んで欲しいと聞いて読みたくなった本。
やさしく、静かで、あたたかく、小説でしか味わえない体験をしてるなあという気持ちになれた。
Posted by ブクログ
言わずと知れた名作。久しぶりに再読しました。
80分しか記憶がもたない数学博士を毎日”初対面”の家政婦として訪れる「わたし」。そこに加わる10歳の息子。3人の切なくてあたたかい時間を描いています。
みんなどこかしら欠けているものがある。
それも含め、全員が互いの世界をそっと大切にあつかう様がとても心地よい。
尊敬と親愛の情は、必ず相手に伝わり、愛かたちづくるのだなと思わされます。
作品に漂う気品と優しさと静寂のわけは、「語らないこと」なのでは、と思いました。
おそらく親密であったであろう義姉との関係、博士が愛した数式として登場するオイラーの等式に込められた意味…
とっても気になるけど多くは説明されない。
そこに何かがあることを感じさせる上品な匂わせ(?)が他の作品にも共通する小川さんの文章の魅力のひとつだと思います。
そして、文学×数学をこんなに美しくかけ合わせられるなんて…数式が詩のように美しいと思ったのも、
この小説で初めて得た感覚でした。
Posted by ブクログ
博士 さかさまで文言える
ルートが成長してからも残る傷
博士を忘れない 別れをさっする
阪神試合 売り子に恋する博士
選手に盛り上がる中 数字の話ばかりする博士笑
辞めさせられる時本当に嫌な気持ちになった
墓に激突して死ぬしかとか最悪 なんでそんな情景描写思い浮かぶの?金取られるとか
義姉と家政婦の緊迫感を 数式でたつ博士
数学の問題解いてる博士が急に来て 君の料理作る姿を見るのが好きという
誇らしい 家政婦を受け入れてくれている 人も数学と同じように美しいものとして思っている?
80分がくるった p189
P195
非存在を存在させた 0
名も亡きインドの学者 尊敬
野球のルールに関しては逆にルートに教わる
フェルマー二の最終定理について調べる
面白い人本三宅の五大手法で感想書いてみよう
テーマ 変わることと変わらないこと?
数字を愛する 不変のものを愛する
変化するものの儚さが際立つ 子供を守ろうとする
か弱い存在 人と人の関係を描いている?
そういった永遠が保証されてないものを守ろうとする
数字が好きなのは 変わるもの、変わらないものへの愛の深さ
変わってしまうことを恐れるからこそ変わらない数学を愛している?
最後終わるの怖い
博士と会う最後の夜って言われるのがつらい
数学の
大人になってからも会いに行くのいいな
Posted by ブクログ
上手く言えないけれど、私ずっと数式なんて、数学なんて好きじゃなかったのに。
なのに、読み進めていくうちに好きになってしまった。
本編とは関係ないけれど、自分の誕生日が友愛数。
友に、愛される数だなんてすごく素敵な響きだなと思ったし、すごく嬉しかった。
博士はこんなささやかな喜びを「私」と「ルート」とそしてかつては義姉に、与えたのだろうなと込み上げるものがありました。
フェルマーの定理も、オイラーの公式も、私にはよく分からない。でも美しいと感じることはできる…。
忘れてしまっても、全てが無くなるわけではないこととか、それか繋ぐものとか……。
小川先生の伝えたかったことなのか分からないけど、私はそういうものをこの本の中に捉えました。
すごく好きな一冊になりました。
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博士、家政婦、ルートの間で家族愛のような雰囲気が生まれ、誰も病気を責めたりせず愛情をもって博士に対する姿勢が胸を打つ。数学は苦手で深く理解が出来なかったが、阪神ファンなので話にはついて行けた。
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・三宅香帆さんが「小説初心者にお勧め」とyoutubeで語っていて、そういえば読んだことないな、と思い購入
・交通事故に遭って以来、80分で記憶が消えてしまう元数学研究者の老人(「博士」)と、家政婦として派遣された母親とその子供の母子家庭親子の交流を、「数学」という触媒で優しく美しく描く
・博士は母親の子供を「ルート」と名付け可愛がり、母親以外から愛情を受けた経験がない息子は、博士との数学のやりとりを通じて心を通わせ、母親自身も博士と数学の世界に引き込まれていく
・一般的には無味で冷たい印象を与えがちな数学に温かみを与える斬新な試みだと思う
・ストーリー構成自体はシンプル、起承転結は簡単に予測可能。だからこそ数学の存在が際立つ
・自分は数学好きの文系だが、数学に対する親しみを持たせてくれる心地良い体験だった。オイラーの等式に無限のロマンを感じた
・数学科出身の友人は何名かいるが、独特な人が多い。もしかしたら彼らの持つ世界観にも少しだけ触れられているかも知れない
・『フェルマーの最終定理』byサイモンシンとセットで読むとまた味わいが深まる
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記憶が80分しか持たない博士が家政婦の主人公と息子ルートと出会い、博士とともに成長していく物語…?
博士を見守る不思議な義姉…
ただずっと、3人が数学とタイガースの話を通じて仲良くなっていく様子が描かれる。といっても博士の記憶は80分しか持たないので、関係性は毎度一からやり直しになる。博士の中で私とルートの記憶は何も残ることがない。それでも尚、博士はいつまでもルートを可愛がるし、楽しそうに数学の話をしてくれる。ルートも私もずっと、博士と話すことを楽しみにしている。ちょっと数学が好きになれた1作。
自分の記憶が80分しか持たないってのはどういう気分なのか。。自分たちの存在がすぐに忘れられてしまうっていうのもどういう心持ちでいればいいのか。。難しい。
オイラーの公式は、異なる数学分野(解析学、幾何学、代数学)を繋ぐ関連性から、世界一美しい公式とされている。
博士があの時オイラーの公式を書いたのはなぜ?
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現代には数多くの文学賞が存在するが、その中で唯一、本屋大賞は全くと言っていいほど外れがない。読み手、買い手が評価する文学賞ならではだと思う。当たり障りの無い万人受けする作品と言ってしまえばそれまでだが、皆が面白いと思える作品はそれだけで価値がある。
この作品はその本屋大賞元祖ということで、数学者といういかにも取っつきにくそうな主人公像を、違和感なく、かつ美しく文章に溶け込ませており、すべての人がのめり込める作品になっていると思う。
初版発行から二十年以上が経過し、登場人物の会話等には時代を感じさせるものや、もはや現代の若者は知らないのではないかという内容も散見されるが、それでもなお多くの人が手に取っているのは、作品の魅力ゆえであろう。
個人的には、作中で何度も博士は既に亡くなっている事に触れながら、それを、作品の結末では敢えて詳述することなく、それまでのストーリーを読者に回想させながら終わるエンディングがとても好きだった。起承転結の結を、時の流れと同じく終わりの話にしてしまうのではなく、起、承、転、までのまとめ、回想として使う。これによって、あくまで物語のお話の中の出来事であるのに、読者は、それまでを受動的に振り返ることができ、懐かしみにも似た感情を持つことができる。この作品の温かさはそこにあると思う。
また、読者や博士以外の登場人物はこうやって回想することができるのに、博士とだけはこの記憶を共有できないというのは、お話の中の一主人公にすぎないのに、何故か寂しさや悲しさを感じる。
こうやって、読後、登場人物と時間を共有したような気持ちになれる作品は、総じて素晴らしい作品であると私は思う。
Posted by ブクログ
記憶ではなく、数字に対する敬愛とルートに注ぐ愛情が結びつけた素敵な物語だった。
博士にとって目の前の数字と子供は、記憶がなくても常に変わらない、普遍的な愛情の対象だったのだろう。
Posted by ブクログ
記憶が持たない博士と家政婦とその息子の話。
数学と阪神タイガースで繋がった3人は家族ではないが、優しい愛に包まれていた。
純粋なルート君や、2人から貰ったカードをぶら下げている博士が可愛かった。
最後にはその数学に魅せられたルート君が数学の教師になったのも良かった。
江夏の背番号が完全数であるというのがこの物語をより一層面白くしているテーマである気がした。
匿名
あたたかいの一言
博士の切なさと家政婦さんのあたたかさを感じられるお話。読み終わった後に温かくなりたい人はこの本を読むべき。読み終わりまでルートと書いているところが個人的に好きだった。