あらすじ
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。寺尾聰主演の映画原作。
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主人公とその息子のルート、80分の記憶しか持たない博士のやり取りを淡々と、だが丁寧に描いている。ルートに対する博士の無償の愛、それを素直に受け取るルートの素直さにほっこり。主人公親子も博士に対し、感謝や親愛の気持ちをしっかり示そうとし、時に冷たい印象を与える未亡人も博士のことを思っていた。登場人物それぞれ複雑な背景があるが、一方で慮ることがどれほど素敵で尊いものなのかを教えてくれる作品。
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人生で感銘を受けた本の中で最も古くに出会い、今でも愛読している本。
出会ったのは、算数に得意も不得意も無かったような学生の時分だったと記憶しているが、それでも漠然と「数学は美しい」と思えた一冊。
ハッピーエンドだとかバッドエンドだとか結論づけるものは何も無く、示唆されるものも明らかにはされず、ただ数学の美しさとかけがえの無い思い出が語られている。
とても面白く、美しく、数字について思いを馳せたくなる素晴らしい本である。
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これも何度読んだかわからない本だが、改めて再読した。これ以上好きな本に出会ったことはない。
最近大学で、なぜ自分が理系を選び、必死に勉強しているのかわからなくなってきていた。だがこの本を数年ぶりに読み、もしかするとこの本があったから私は今理系の道を選んだのかもしれないと思い、今までの漠然とした不安感が完全に払拭され、この選択に誇りを持てるようになった。
博士は本当に素晴らしい人格であり、私も見習いたいと思う。たくさん学び、自分がその成果を得られなかったとしてもこの学びをもっと若い子たちに伝えることができたらそれ以上の幸せはないだろうと思った。この本に出会うことができて幸せだった。皆んなに紹介したいと思う。
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高校生の時からの愛読書。
何度も何度も読み返してしまう。
家政婦として務めた先の主人は記憶が持たない数学博士。
家政婦の1日の始まりは博士との自己紹介だった。靴のサイズの話。
博士と知り合ってから日常生活には数字が色んな所に転がっている。
頭の形がルートに似てるからと家政婦の息子は「ルート」と呼ばれるようになった。
いつの間にか博士と家政婦と家政婦の息子はどんどん仲良くなって、
ルートにとって博士は特別な存在に。
とても暖かくて、読んでいて幸せなるお話。
また時間があったら読み返したい。
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博士は不器用で記憶も80分しかもたないけれど、誰よりも優しい心の持ち主だった。彼の愛している数学で人を癒すことができる。彼のおかげで、数字が意味を持つ。
ただ、博士の記憶がもつ時間がどんどん短くなったときには、こんなに優しい博士が何でこんな目に遭わなければならないんだ、もっと幸せになってほしいのにと悲しくて泣いた。
人に優しくしたいな、優しくされいなと思った本だった。
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220、284、28、11、
私にとっては何の変哲もないただの数の羅列も
数学者の博士にとっては奇跡みたいな存在で、誰かにとっては意味のあるものなんだと思うと突然、ページの中の数字が輝いて見えました。
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第1回本屋大賞受賞以来新潮文庫がものすごく売り出している作品ということは以前から知っていて、何かの折に購入したきり本棚に眠らせていました。数日前にこの作品に触れているメディアを目にする機会があり、読み始めた次第です。
「ママが博士を信用しなかったからだよ。博士に僕の世話は任せられないんじゃないかって、少しでも疑ったことが許せないんだ」
というルートの言葉が強く心に残っています。本文を通して、純粋で思慮深く、思いやりに満ちた少年だと感じました。
もちろん博士の記憶が80分しか持たないことが話のメインとなりますが、「私」と博士とルート、それぞれの関係性や言葉の掛け合い、また阪神タイガースのアクセントも、作品を素晴らしいものにした要素だと思います。
あたたかく美しい小説でした。
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実におもしろい、ほのぼのとしたストーリーだった❗️
76歳でなくなった数学者は、良い終末を迎えれたのだと。
義理のお姉さんも、穏やかに息を引き取るのを見守ったのだろう。
ただ、どうして義理のお姉さんは、義弟の世話ができなかったのか⁉️
読者のかたは、どう思いますか⁉️
『司馬曰く、人は皆、頭にスクリーンを持っていて、そこに様々な光景を映し出します。
耳から入った「言葉」という情報も、頭の中で映像やイメージに変換され、このスクリーンに投映されます。
落語や読書が好きな人は言葉を聞きながら、あるいは読みながら、このスクリーンに様々な光景を映しだして楽しんでいるわけです。
言葉や文字というものは単なる記号に過ぎませんが、人はそれを介して感情やイメージを伝え合います。
そして笑いが起きたり、同情したりします。読書はこのスクリーンの解像度を上げる役割を果たします。』
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数学の本質的な面白さに気づけなかった学生時代の自分に読ませたい一冊でした。
老数学者と家政婦の「私」、ルートが見ている数字の世界は、真実であり、文学的で、まるで生きているようでした。
特別悲しい出来事が明示されるわけではないですが、数学と野球の世界を通して特別な関係性にある三人から感じとられる感情に涙を誘われます。
ルートはお父さんに似て、元々理系の素質があったのかもしれませんが、それを刺激して研ぎ澄ましたのは間違いなく博士でした。
私もこんな先生から数学を学びたい…
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数学全然わからんけど、とても面白く読めました。
特殊な高校に通っていて、本に出てくる数学の内容はほとんど初見でしたが楽しめました。
こころ温まる物語。
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3人の絆が、お互いに思いやる心が読んでいてとても暖かかった。
3人は一緒にいる時はもちろん、離れてからもこの時を思い出せば優しく暖かくなれたのではないでしょうか。
そして未亡人。彼女もまた、博士を想っていた。だからこそ博士と一緒にいたかったのだが、記憶障害の件が直視できなかった。だからこそ家政婦をお願いした。だけど必要以上に親しくはなって欲しくなかった。葛藤が分かります。あの数式を見て3人がどのような関係なのか理解できるのだから、それなりに数学に造詣があるか、博士に説明されていたのでしょう。
最後に4人でいる風景を描写してくれたのは良かった。
いちいち知らない単語が出てくると調べないといられないので、読むのに時間が必要でしたが面白かったし暖かい気持ちになれました。
さすが本屋大賞受賞作と思わされました。
分量は多くないので、誰にも勧められる名作でした。
Posted by ブクログ
物語に登場する博士が、大学のある先生にイメージがぴったりだったのでその先生を想像しながら読みました。
その先生の講義は心に残るものが多く、先生の考え方が好きでした。
先生と博士は子どもに向ける眼差しが似ているので、読み終わると心があたたかくなる作品でした。
ずっと気になっていた作品
かなり前から存在は知っていたのですが、なるほどこういうお話だったんですね。
博士と、男の子とそのお母さんと、3人が共に関わり合い成長していく姿に感動しました。
美しい数式
いろいろな数式や定理について調べながら読みました(結構大変)。
記憶が80分しかもたない博士を中心とした心温まる話に感動しました。
良い本に出会いました。
日向坂46の小坂菜緒さんが推していたので読んでみたのですが感動しました
スラスラと読みやすく、情景が頭をよぎります。
昭和生まれの私にはどこか懐かしさを感じる部分もありました。
やさしい
数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。
匿名
作者は数学の美しさに対して、心をひかれていて、それを博士を通して表現しています。
博士と家政婦とその子供との交流はとても暖かいものを感じます。
博士は長時間記憶を保つことができません。それは、異形なものであり、そのような不具者を描くところに作者の真骨頂があります。
この作品では不具者を描いてもグロテスクにはならず、それが一般受けしたのだと思います。
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学生の頃に出会いたかった〜。数学嫌いだったのが残念。80分しか記憶が保てない博士と家政婦、その息子ルートの心温まる物語。文系の私が読んでも、数って奥深くて面白いんだと感じました。なぜその答えが出るのか?数字が大きくなっても簡単な計算方法はあるのか?美しい公式、素数の素晴らしさなんて考えた事もなかったので、博士の世界観がとても興味深い!
博士とルートは大の阪神ファンなので、昔の阪神の話が沢山出てきました。江夏選手は名前しか知らなかったけど、すごい投手だったんだろうなぁ〜
Posted by ブクログ
博士の記憶が80分というところから始まった小説。最初はファンタジー要素があるのかなと疑心暗鬼になってましたが、読み進めてみると痴呆症が進行していく中で出会う人と生まれる家族愛に引き込まれました。
義理姉との関係性やルートをとてつもなく可愛がる博士の本質は読者に任せる、みたいな流れがちょっと不完全燃焼なのか、これが本ならではの世界なのか、、
イマイチ消化できず、、
心は温かくなるとても良い小説でしたが星5まではいかずでした、、!
考えが変わるかもしれないので、また数年後に読み直してみたいです。
Posted by ブクログ
心情や行動の描写が秀逸で、登場人物それぞれのやり取りを心地よく想像することが出来た。日常にありふれているはずの、普段見逃しているであろう幸せに目を凝らしてみようと思えた。
Posted by ブクログ
心温まるお話だった。80分しか記憶が持たない数学教授。という設定は知っててちょっと悲しいお話なのかなって勝手に思ってた。
数式が出てくる度に数字に魅せられたのは、
教授の言葉のおかげ。不思議と数式がキラキラして見えた。
友愛数とか28が絶対数とか、オイラーの公式とか、小川洋子さんの入念な下調べが垣間見えました。ほんとすごい。。
数学にも子どもにも敬意を払って、丁寧に接している教授、毎回記憶は無くなっているけど、
同じ言葉が何度出てきても全然嫌じゃなかった。
それくらい魅力的な人だった。
√も数学の先生になってて、20過ぎても博士のことが大好きで、うるうるきたよー。
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心がずっとふわふわする小説だった、1日で一気に読めてしまった
ルートと博士の信頼、愛情はどのシーンも読んでいて心地よいもので、この時間がずっと続いてくれ、幸せになってくれと願っていた
Posted by ブクログ
優しい物語すぎる。映画とかだったら泣けちゃいそう。
この人が言うこの言葉は他の人が言うよりも価値があるからみたいなやつ、大好き。毎回リセットされるのに、ルートに同じ対応する博士が何よりも博士の人柄を表していて、本当に素敵❣️
Posted by ブクログ
積読のこの本を買ったのは、19年前でした。2005年12月。挟んでいたレシートより。
文庫化されてすぐ買ったもよう。
読んでみて一言。優しい物語でした。
書き手の小川洋子さんの語りも優しい。すべて優しいお話しでした。
なぜすぐに読まなかったのか。。と思えるお話しでした。
Posted by ブクログ
出版から20年経ってようやく読んだ。なので話の筋そのものはその間になんとなく似たようなものを見たりしてたのだろう、新鮮さを感じたではなかった。しかし人々の心の働きや関わりあいを、とある美しい数式へ投射した一節は見事と言うほかない。それだけでも、読んでよかった。
匿名
あたたかいの一言
博士の切なさと家政婦さんのあたたかさを感じられるお話。読み終わった後に温かくなりたい人はこの本を読むべき。読み終わりまでルートと書いているところが個人的に好きだった。
Posted by ブクログ
宇垣美里さんがYoutubeで小川洋子さんを紹介していたことがきっかけで手に取りました。
文章がすっきりしていて綺麗でした。
すっとはいってくる。読みやすい。
博士が語る数字の話が物語に奥行きと深さを与えて人間関係を間接的に表現するところが惹かれました。
28
完全数 江夏の背番号
220 284
友愛数 私 と 博士
714 715
ルース=アーロン・ペア ルート と 博士
Posted by ブクログ
2004年、第1回本屋大賞の大賞作ということで購入。
純文っていうのかな?あんまり読まないジャンルだったからそういう意味では面白かったが、帯の「270万人が泣いた」というのに期待してたけどミリも泣かずに終わった。泣きたかった。
Posted by ブクログ
よかった。
しかし数学とメロドラマを絡める着想が斬新だったものの、細かい心理とかはぼんやりしていて、雰囲気小説という感じだった。
あと最後も背番号が完全数で完全試合とか、カツカレーを食べて勝負に勝つみたいな変な験担ぎのダジャレにすぎず苦笑しました
Posted by ブクログ
ホーキンス博士の話だと思ってたんだけど全然違った。博士のイメージがどうもパプリカの理事長と被ったな(多分見た目は全然違うんだけど)。
うーん。いい話だったんだけど。私は数学が全然好きではなく、数式に対する「きれい」とか「すごい」とかの感覚がてんでわからない。なのであまりハマれなかった。
元彼が数学教師で、オイラーの定理もフィルマーの最終定理の話も聞いたことがあった。彼は「綺麗な数式」の感覚がわかるんだろうし、なんていうか……普通は博士のことを「変わった博士」というキャラクターとして見られるんだろうけど、「数学好きな人って本当にこの博士みたいに数学の話ばっかりしているものだ」って事実を知ってしまっているから、なんか妙に「数学好きって本当にこうだよね……」みたいな気持ちになってしまい、あまりハマれなかったような気がする。この本は悪くなく、私は『辞めていった家政婦側』だったというだけの話だ。