小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
過去に民族浄化ともいえる大虐殺を行ったことで、国連から国を《抹消》された国家。
国民は完全にアメリカナイズされた国に住み、その《以前》のことを恥の歴史として口にすることでも罰せられる。
そんな国で突然蔓延的に起こり出した、少年少女の、意識なく横たわり食欲も消えていく発作。
中にはその発作によって亡くなる子も出てきて、
そこに国連から派遣されてきた調査団。
彼らもそこにいたるまでの人生にそれぞれに抱えてきたものがあって…
登場人物は多くないのだが、いかんせん馴染みにくい海外の名前でなかなか入ってこないが、
登場人物に慣れると、
物語は一気に進むし、世界観にどっぷり。
SFでありながら、登場人物 -
Posted by ブクログ
平野啓一郎の「文学は何の役にたつか」を読み終えた。エッセイや評論集の類いで、中には僕には難解のものがあったが、大半は興味が惹かれるものだった。
三島由紀夫、ドナルド・キーン、瀬戸内寂聴、大江健三郎、安部公房、古井由吉、ハン・ガン、ドストエフスキー、森鴎外などたくさんの文豪が登場する。
寂聴さんにはかなり可愛がって頂いたようで、お酒の席で寂聴さんからたとえば甘粕正彦のリアルな話を聞いていたなんてことが書かれていると僕までなんかワクワク楽しくなったのだ。
この本を通じて、まだまだ読みたい本、読まなければならない本がたくさんあると実感した。
ちなみに平野啓一郎は「正気を保つため」に文学は役に立ってい -
Posted by ブクログ
ネタバレずっと面白くて吹き出しながら読んでしまった。コメディでありミステリでもあるけど(ギリギリ…)、一番はテンポ感で引き込ませる本だった。
ストーリーはタイトルの通り。太宰治「走れメロス」のパロディで、身代わりとなった友を助けるために王都へと急ぐメロスだけれど様々な事件が起こり走っている場合ではなくなってしまう…という…本当にタイトルまんまだな…
白眉はテンポ感。メロス冒頭の「メロスは激怒した」とか「腕をぶるんと振り、」とかあの独特の文章のテンポ感でずっと行く。ずっとあのテンポ感を守ってるのすごすぎる。言葉遊びとか音の遊びとかも入ってるし、シリアスなシーンもあるけど、終始あのテンポが崩れない。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ一文字めが一番むずいね笑
小説とは何かを読者に教えてくれる小説。
端的に言えばそんな小説です。
まあ実際にはそんな教養本みたいなものでもなくてね、途中ですごいファンタジーを捩じ込んでくるし、よく分からない!なんて時もあったね。
「小説を読んで何かをしたいと言ったか。
小説から得たもので現実を変えたいと言ったか。
現実のために読んでいると言ったか。
現実が一番で小説が二番だと言ったか。
俺は違う。
俺は書きたいない。
俺は。
読みたいだけだ。
駄目なのか。
それじゃ駄目なのか。
読むだけじゃ駄目なのか。」
内海集司は読むだけじゃ駄目なのかと疑問を外崎に向かって呈する。
ここから物語は急旋回 -
Posted by ブクログ
東京藝大の学生たちへの取材を基に、彼らの生活や原動力を綴ったエッセイというか、探検記。
私には、藝大の学生はとても生き生きとして映った。もちろん音楽にしろ美術にしろ究極的に自らと向き合うことが必要な分、煮詰まって辛い時間の方が多そうだとも思った。私が卒論、修論に取り組んでいた時、日常は体力的にも精神的にもしんどかったけれども、ほんのわずか少しでも人類史上でもしかしたら自分しか知らない世界が見えたかもしれないと思った時の興奮は心に刻まれている。当時は煮詰まっている時間の方が長くて、何をしていても頭の中の何割かは常に研究のことが占めていた。当時はそれがあまり好きではなかった。しかし今思えば、何のた -
Posted by ブクログ
ネタバレほぼ一気読み。
多様性という社会、そのものにもいろんな立場からいろんな思いがあるんだなと思った。誰がどの権利を持って、許してあげる?赦してあげる?立場になっているのか確かにそんなことは考えたこともなかった。自分も散々使ってきた「そういう時代だから」という言葉、これをこれまで構成してきたのも自分という自覚なかったなぁ…ほんところころ流行に乗せられて雰囲気でみんな生きてるのかも…と思った。他人の目線を気にして生きても仕方ないけど一方で全くないと緊張感がないという話もしっくりきた…
この物語で1番面白かったのは颯と尚成の会話の部分でその中で出てきたこのフレーズ「否定系の意思表示って、誰にも見えないん -
Posted by ブクログ
人生で一冊だけ本のタイトル挙げるなら、まずこの本を片手に他の本を見比べて腕を組み悩むことになると思う。
『紳士のスポーツ』ロードレースという競技を舞台とした本作。
主人公の白石誓はロードレースのプロチームに所属している。
ロードレースではエースの勝利をチームの勝利として、エースの勝利のためにアシストは尽力する。
白石の所属するチームのエースである石尾に暗い噂がつきまとう中、次期エースと噂される伊庭と白石は、ある策略に陥れられようとしていた。
開始1ページ目で描かれた死。
太陽の照り付ける抜けるような青空。
溶けた灰色のアスファルト。
そのわずか前まで熱をもっていた真っ赤な血。
揺らぐ視界に -
Posted by ブクログ
美空が就職活動に疲れ、久々にバイトに戻るところから始まるお話。
今の自分と同い年ということもあって、美空の気持ちや、家族の雰囲気もなんとなく共感できた…身の拠り所があるのっていいな。
この本を読んで、人の「死」の捉え方というか、認識の仕方は人によって違うのだと思った。
登場人物はみな亡くなった方を丁寧に送り、ご家族には前を向いてもらうために仕事をしている。
葬儀というものは残された側のためにするものだという認識は自分にはなかった。
美空のお姉ちゃんの存在や、おばあちゃんの思いも読んでいく中ですごく重要だった。
必ず来る死とどう向き合うか考えさせられる本だった。 -
Posted by ブクログ
岡藩(九州のたぶん現在の大分あたり)第三代中川久清は、江戸時代初期、伏見で正室ではない女性から産まれ、後継として江戸にやってきた。父の正室には男児がなく、無事跡を継ぐことができたが、父が亡くなった後に39歳にして岡藩を継いだところ、父がかなり切支丹に甘い政策をとっていたことが次々と明るみに出た。
おりしも天草の島原の乱の後であり、もとより厳しかった切支丹の取締りは更にキツくなり、そして周囲の大名家も徳川に睨まれたくないので、どんどん取締りをキツくしており、周囲より取締りの甘い岡藩領内には切支丹の百姓が逃げ込んでくる。幕府の隠密も入り込み、かなり厳しい情勢になっている。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。