【感想・ネタバレ】文学は何の役に立つのか?のレビュー

あらすじ

文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな意味があるのだろうか。──

人間の生を真摯に見つめ、現代の問題群に挑み続ける小説家が、文学の力を根源から問う。大江健三郎、瀬戸内寂聴ら、先人たちの文業にも触れながら、芸術や社会へと多岐にわたる自らの思考の軌跡をたどり、読者を新たな視座へと誘う。

『ある男』『本心』『富士山』を執筆しながら、平野啓一郎は何を考えていたのか。創作と時代を映すエッセイ・批評集成。

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Posted by ブクログ

平野啓一郎さんがこれまで講演で話されたことや、文芸誌などに寄稿された文学・文豪・文学作品への批評やエッセイなどを収録したものとなっています。その冒頭に収録されている或る研究集会の基調講演のテーマが「文学は何の役に立つのか?」ということで、これがそのままこの本のタイトルになっています。

このタイトルを少し噛み砕くと、「文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな価値があるのだろうか」ということになるのかと思いますが、この本を読んで私なりに思ったのは、以下のことでした。

文学は、①社会の不条理に気づかせ考えさせてくれること、②人間関係の機微を巧みな表現で心を動かされること、③現実社会からの解放すなわち現実逃避することで心を癒してくれること、④新しい価値観を知って多様性のある生き方やコミュニケーションを学ぶこと、
このように、文学(小説)の中の人物を通じて、読者の認識や感情に変化を起こさせる、あるいは経験させてくれる、ということです。

そういう意味では、文学は、世の中を真っ当に生きていくために役に立っている、お金を払って読むだけの十分な価値がある、と言えるのだと私は思います。

また、私が文学に求めるものという観点からの思いですが、世の中にはたくさんの文学作品があって、中には摩訶不思議な世界へ引きずり込んでいくようなものもありますが、それぞれに作者の想いが込められているので、その中には、きっと自分の悩みや苦しみの理解者になってくれたり、自分の想いとシンクロして強く共感できる作品があるはずです。そんな文学作品に出会えることを楽しみに、これからも読書を続けていきたいと思いました。

巻末には、生前親交のあったドナルド・キーン、瀬戸内寂聴、大江健三郎の葬儀で読まれた弔辞が特別収録されており、そこには大先輩作家への敬愛の念を強く感じました。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

学校の教科書に載せてほしい!と思うほどの内容。
子どもの頃は読書を娯楽として純粋に楽しんでいた。大人になって日々に忙殺され、今また読書をする時間を持つようになったが、読んでいて、この時間に意味はあるんだろうか、単なる趣味ではあるのだけれど…とモヤモヤした事が何度ももある。その感覚を、うまく解消してくれた。
難しくて理解に時間のかかる批評もあったが、総じて素晴らしい1冊。これは手元に置いて、時々じっくりゆっくりと読みたい。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

「役にたつ」ではなく「価値がある」と言い換えたい。

絵画については知識がなさすぎて言っている内容が理解できなかった。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

いろんな雑誌に著者が書いたエッセイを中心にまとめた本。わかりやすい。
平野氏はなんとなく敬遠していた作家だった。デビュー作の『日蝕』を読んだのもほんの数年前。ところがやはり同じころ、私は死刑について考えたくなっていて、たまたま書店で平野氏の『死刑について』を見つけ買って読んでみたところ、見事にはまった。文章の運び、思考の流れが滑らかで素直に頷けた。
ちょうど同じころに東京新聞で「本心」の連載が始まり、毎日欠かさず読んだ。読ませる面白さがあった。
そんなこんなで作家平野啓一郎の書くものが好きになった。
そしてこの本。文学をどう捉えるか考える上で私にとってよい導き手になった。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

秀作。
読む度に作者の見識の高さを感じさせられる。
戦争についての内容が多い。作者は戦争を体験した世代でないのを踏まえながら。
森鷗外の良さは分からない。三島由紀夫は凄い作家だと思う。
分人は面白い発想。人は場面毎に色々な顔を持つが全てその人なのだと。なるほどと思わされた。それでいいんだと。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

【文学は何の役に立つのか?】 平野 啓一郎 著

 いつも疑問に思うことがタイトルになっていたので読んでみました。本書は、著者の講演などをまとめたもので、表題については冒頭の35ページとなっています。著者も「答えるのに苦慮する問い」とのことですが、「一つの理由」を見つけたとあります。ネタバレはまずいと思いますが、この理由やその後の論考などは同意するところ大でした。

 平野氏の著作は好きでほとんど読んでいますが、本書のほかの論考を読むと、自分と幼少期の経験が似ていることがわかりました。また、文章もきらきらと美しいのですが、三島由紀夫に留まらず、ハイデガー、大江健三郎など多数の文学・芸術に接していることもわかり、本書は一つの芸術評論という建付けにもなっています。

 平野氏の『あなたが政治について語る時』も8月に出版され、並行して読みましたが、時事問題についても強い関心を持っていることがわかり、平野ワールドに浸った猛暑日でした。

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 評価が低いのは自分が理解できないところがたくさんあったからで、決してこれがつまらないというわけではありません。
 ドフトエフスキーなんてカラマーゾフ上巻で挫折したし、絵画に至ってはほとんど分かりませんでした。

 平野さんがあらゆる芸術の造詣が深いことは分かりましたね。

 瀬戸内寂聴や大江健三郎との対談や弔辞は、羨ましいですね。これからの日本文学会をしょって立つ人ならではです。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

本書はいわゆる、エッセイ集といったものであるから、タイトルにある「文学は何の役に立つのか?」について、延々と語られるわけではない。
小生はタイトルのみで本書を手にとったため、やや拍子抜けしたが、オッペンハイマーに関する内容はとても興味深かった。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

なかなかに難しい本でした。

ドストエフスキーに関しては、まともに読んでないからさっぱり理解できず(汗

三島由紀夫、森鴎外、安部公房は、少しだけ見識深めたかも。上面ですが・・・

個人と分人、なかなかに興味深いお話でしたが、説明しろといわれるとそこまで理解できていないのが本音かな。

文学は役に立つのか?
そんな高尚なことは考えず、読むだけの私です。

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2025年09月16日

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