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【2014年本屋大賞2位受賞作品!!】
病で夫<一樹>を亡くしたテツコと、一樹の父親<ギフ>の、奇妙だけど切ない、悲しいけどどこかあたたかい、二人暮らしの物語。
この物語は、この三人の話だけでなく、一樹の幼馴染や従兄弟、テツコと結婚したい<岩井さん>、ギフの亡き妻<夕子>などそれぞれの人物にスポットをあてた短編が、連作となってひとつの物語を作っています。
「自分には、この人間関係しかないとか、この場所しかないとか、この仕事しかないとかそう思い込んでしまったら、たとえ、ひどい目にあわされても、そこから逃げるという発想を持てない。呪いにかけられたようなものだ。」
「逃げられないようにする呪文があるのなら、それを解き放つ呪文も、この世には同じ数だけある。」
「悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ。」
心に沁みるコトバ、丁寧な暮らし、切ないけれど前向きに生きる力が、この本につまっています。
2015年に仲里依紗さん主演で実写ドラマ化され、また、渡辺ペコさんによるコミカライズ作品も発売されています。(書店員・あんにん)
Posted by ブクログ
本書を読んで一番強く感じたのは、人は「過去を乗り越えて」前に進むのではなく、過去を抱えたままそれでも日々を生きていくのだということだった。
この作品には、大きな事件や劇的な展開があるわけではない。誰かと話したり、ご飯を食べたり、仕事をしたり、誰かを好きになったりする。そんな一見すると何気ない日常の積み重ねによって、登場人物たちは少しずつ前へ進んでいく。
興味深いのが、タイトルの「昨夜のカレー、明日のパン」という言葉。昨夜のカレーは過去で、明日のパンは未来。その間にある「今日」を、人は生きているのだと思う。過去にどれだけ大きな喪失があっても、それを消してから未来へ進む必要はない。昨日のカレーを抱えたまま、明日のパンを楽しみにしてもいい。
また、テツコとギフの関係を見ていると、家族というものは必ずしも血のつながりだけで決まるものではないのだとも感じた。一樹は亡くなってしまったけれど、一樹がいたことで生まれた人と人とのつながりは残り続ける。人は亡くなっても、その人と過ごした時間や、その人によって生まれた関係まで消えてしまうわけではないのだと思う。
この作品を読んで、「ちゃんと前を向かなければ」と考えすぎなくていいのかもしれないと思った。過去を引きずることも、立ち止まることも、決して前に進めていないということではない。それでも今日を過ごし、明日になればまた何かを食べて、誰かと話して、一日を始めればいい。
人生には、どうしても取り戻せないものがある。でも、取り戻せないものがあることと、これから大切なものに出会えないことは別なのだと思う。
「忘れること」ではなく、「忘れられないものを抱えたまま生きていくこと」。それも一つの前向きさなのだと、この作品から教えてもらった気がする。
癒しとか信じてなかったのに。
今までは、何かを読んで癒されるとか、綺麗事のように思ってた。だけどこれは…
表現できない気持ちの奥の、かなしさや、やりきれなさ、おかしみ、強さ、いろんなことを、そうとは言わずに描ききられてた。みんな何かを抱えてて、みんな何かをもとめてる。日常の丁寧な積み重ねでそれを許されていくのね、と。気持ちがシンプルに整えられる読後感です。
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