あらすじ
親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った――。
男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。
臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。彼と出会う前の自分にはもう戻れない。
唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。
解説・石内都
※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
「私は変わったんじゃない。変えられたのだと思いたいのだ。傷つけられたのだと。今はもう傷しか残っていないから、何度も何度も自分でかさぶたをはがし、痛みと見えない血が流れるのを感じて、あの人のつけた傷を確認していたいのだ。」
私が帯に選ぶならこのフレーズ。
あらすじを見たときは、そんな歳の離れた人を好きになるなんて、、って思ってたけど、読んでみると不思議と藤子の気持ちがイメージできる。確かに全さんにはどうしてかわからないけど、惹かれてしまう。
全体の描写として、生と死とか、若さと老いとか、藤子の食の描写とか、対比として描かれてたんだなと、文章の構成がすごいなと感じる。
手元に置いておきたいと強く思う本。
Posted by ブクログ
こんな歳の差カップル、前まではなんで付き合ってるのか分からない、本当にそこに愛はあるのかって疑問に思ってたけど、この本を通して色んな恋愛の形があるんだなって思った。
主人公は20歳だけど、相手が30歳も年上なため、すごく大人な恋愛をしていた気がする。恋愛の明るくてハッピーな要素はあまり無く、全さんの写真の特徴でもある、影のような暗くてグロテスクな部分が所々垣間見えた。
藤子が全さんとの恋愛にどっぷりのめり込みすぎて友達との世界とか大学の世界にうまく入り込めなくなっていっちゃうところも、藤子のまだ幼い部分をリアルに描写しているなと思った。
恋愛の話ではあったが、すごくずっしりしていて、「当たり前」を考え直させる1冊だった。
Posted by ブクログ
こんなにまで哀しみが深く深く絡まり合った恋愛はしたことないけれど、疑似体験できるのが読書の醍醐味ですね。お休みの日に、夢中で一気に読んで、読み終わったら夜になっていて、読んだ後は頭の奥がぐったりと疲れていました。お口直しに、ドラえもんとか、川のせせらぎとかに触れたくなりました、枯れたオバには大変刺激が強かったです笑。
でもほんとうに面白かった。藤子の食べっぷりが好きです。桃のシーンエロかったな〜。わたしは今、肉を串で刺したやつ食べたい気分です。
Posted by ブクログ
生々しく濃密で、じっとりと重い余韻が残る本。
30歳も歳の離れた男性、しかも全さんみたいな容姿の男性を好きになることは絶対にないから藤子に共感はできない。できないのに、いつのまにか惹かれてやまない様子だったり触れたいって思う瞬間だったり、酔っ払ってクダ巻いてしまったり、捨てられたときの虚無感や絶望感は痛いくらいに刺さってしまって心えぐられた。
全さんのそこはかとない色気や根底にある人間としての温かみ、写真家としての才能。たしかにこういう男性って実際存在しそうだし好きになったら破滅だな…などと思った。
食と性ってよく同一で語られるけど、よりこの作品でそれを感じた。出てくる食べ物が美味しそうで、お酒が飲みたくなる。笑
桃を丸ごと齧り付いて食べる描写が扇情的で特に印象深い。
個人的には里見が登場人物の中で一番好きだったから死んでしまったのショックだった…彼を深掘りした話とか読んでみたい(腐)
全体的な感想としては、初めての作家さんだけどかなり好みの文体だった。他の本もぜひ読みたい!
Posted by ブクログ
ページを捲る手が止まらなかった一冊でした。
全さんの、写真家らしい一流の感性に惹き込まれる一方で、最後の別れがあまりにも悲しくて、でもそれが全さんらしくも感じました。
恋をすると周りが見えなくなる感じや、愛する人が突然いなくなった時に忙しさで気持ちを紛らわせようとする感じもすごくリアルで、思わず「これって本当にあった話なのかな」と思ってしまうほどでした。
2人の距離感もとてもよくて、読んでいるうちに私まで全さんに沼ってしまいました。
最後の別れも、全さんなりの優しさだったのかなと思うと苦しくなります。
全さんが残してくれた写真にも愛が詰まっていて、その記憶はきっと一生消えないんだろうなと思いました。
終始、感情の起伏が激しい作品で、読み終わったあともしばらく余韻が残りました。
Posted by ブクログ
表紙を見てずっと気になってた本。
ページをめくる手が止まらなくて一気読みしてしまった。物語にのめり込んだからこそ読み終わったあとの喪失感がすごい。
きっと全さんが優しくておだやかな人だったら、藤子はこんなにも全さんのことを好きにならなかったと思う。何考えてるかわからなくて自分のこと振り回すくせに目を離したらすっと消えてしまいそうな存在だったから恋したんだろうなって。わかるよ〜藤子〜〜
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父親を亡くした20歳の藤子の前に、突然現れた父親より年上の男、全(ぜん)。
あの人を知らなかった日々にはもう戻れない
あ〜めっちゃ好きだった〜
20歳と50代後半の男女の恋愛小説。
なんだか江國さんの小説っぽい雰囲気だった。
生々しくて、おもだるいのに、美しい。
全体的に静かなのに 鮮明で激しい 、、なんとも言えない独特な雰囲気に 惹き付けられた。
結末は予想がついてたけど、ぽかんと穴があいた様な喪失感が大きかった。
時は流れても藤子はこの夏の出来事をずっと忘れられずに生きて行くのだろうな。
個人的には里見くんが大好きだったんだけどな。
私もこういう人間でありたいな。
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なんか全さんが藤子を振り回しているように見えるけれど、実際には藤子の人生のほんの一部にしかなれなかったのが全さんで、そのことを本人も悔やんでいて作品にしたのだと思う。だからこそタイトルは「神様の暇つぶし」で、結局は藤子にとっての“暇つぶし”程度の存在にしかなれなかった。
里見死なないで欲しかったナー。。
Posted by ブクログ
マリエに続く二冊目の千早茜さんの作品
マリエのマリエさんに比べて藤子ちゃんは若く素直で真っ直ぐで、でも自分とは全然似てないので共感はできないけど彼女幸せになってくれたらいいなと思いました
タイプとしては違うと思うのですが、藤子ちゃん、山本文緒さんの恋愛中毒の水無月さんに似てるなぁと端々で感じたのですが、同じ感想の方いないですかね
作品が似てるというのではなくて、恋愛に生活や人生が狂ってしまうほどハマってしまう女性は上手く表現できないけど似たような狂い方をするのかな、と思って読んでいました
同じタイトルのGO!GO!7188の曲が無性に聴きたくなって読んでる間ずっとリピートしてました
Posted by ブクログ
生々しくて、表現がリアルで、想像しながら読んでしまった…
全さんみたいに、優しくて、大人で、さりげなく寄り添ってくれるけど自分のものにはならない。
そういう人沢山いると思うしズブズブハマってしまう女の子も沢山いると思う。
恋愛にのめり込んで大学に行かなくなったり友達との連絡が疎遠になったり、そういう人実際にいたな…
そして最後にいなくなってしまったのは全さんなりの愛だったんだなって思うと切なくなった。
Posted by ブクログ
初めは物語がゆっくりだったから読み進めるのに時間がかかった
全さんとの思い出が増える毎にだんだん物語が進んでいきスラスラ読めた
全さんがミステリアスでアブナイ感じの魅力を持つ男性であり天才肌を持った人とゆうこともあり藤子にとっては何もかも初めてで新鮮な恋だったのだと思う
でも恋は盲目で知れば知るほど相手を理解しようとするほどのめり込んで手放したくなくなるのだと思った
全さんにとって藤子は最初で最後の初恋であり忘れられない人になったのではないかと思う
最後は一緒にはなれなくそれでも一生心に残る忘れられない人となったのかもしれない
人は何を思って最期を送るのだろうと考えさせられた部分もあり本妻がいながら他の人を思って死ぬのは本当の愛はどこにあるのだろう
何が真実の愛だったのかとも思ったが正解などはなく人間は思った通り感情の赴くままに生きてる
全さんは猫みたいだと思った
いきなり現れて懐いて最後はいきなりいなくなる
猫は死に目を飼い主にみせないと言うがこうゆうことを言うのかなと思う
Posted by ブクログ
全の様な自分勝手で美しくも無い男が、なぜこんな魅力的に感じるのだろう。
ぐずぐずで瑞々しく、熟れた桃のような恋愛小説。食の描写が何とも官能的だった。
旅の帰りの新幹線、全はどんな気持ちで藤子を見つめていたんだろう。どんな想いで写真を選んだのだろう。あの夜、どんな表情で父の仏壇の前扉を閉めたのだろう。
「私たちの時間はあのひとの作品になった。」という一節が、藤子の恋とその終わりを示していて印象的だった。
個人的に里美がとても愛おしくなった。凛と美しくそこに居る姿がありありと目に浮かび、真っ直ぐに人を憎む所が可愛らしかった。とても哀しい。
Posted by ブクログ
千早茜の書く男は、なぜこんなにも魅力的なんだろう。
近付いたら火傷する、分かっているのに惹かれてしまう。見せない部分に色気を感じる。私もすっかり全さんの虜になってしまった。
禁断の一線を越えた時、神を見た2人の先にあったもの。それは、全身全霊を賭け、切り取った記録と記憶を濾過して残った結晶だったのかもしれない。
そのきらめきさえあれば、生きて行ける。叶わない夢を望むこと、それもきっと希望だから。
p240ーこの世には想像もつかない温度の人がいる。相手を焼き尽くすほどの高温のこともあれば、誰にも触れられないほど凍てついていることもある。そして、それは関わってみないと分からない。
Posted by ブクログ
「彼と出会う前の自分にはもう戻れない」
恋愛には縁がなかった藤子の胸が苦しくなるような大恋愛。
全さんと過ごした濃密な時間が描かれていて、読み終わった後もなにか重たいものが胸の奥に残るような印象的な作品だった。
全さんがモテるのは、カメラマンは今の一瞬を残すことができるからだという考えに、ちょっと納得。
切ないけどいい小説だった。
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自分以外の人を生きる全てにせず、添える匙加減が楽にできるのであれば、執念や執着が黒く影を伸ばすことはないかもしれないなと自分にもそんな節がきっと眠っているのだろうと思うと、誰かを想う生き物であることに頭抱えてしまう。意志とは背いて人は誰かを想えてしまう温かみのある生き物だから。
Posted by ブクログ
後半に進むにつれて勢いが増した本だった
第三者から見ればどうしようもない全さんなのに
主人公からしたらこの人だけが全てになってしまっていて、盲目的な恋愛の恐ろしさ 醜さを感じた。
タスク的に初体験をしようと焦って未然に終わった 多田くんと対照的にかかれた他の男子より浮いた存在の里見が印象的だった
彼の献血する理由も、より一層彼を綺麗なだけの存在としておくのではなく、彼の中にある執念 誇り 怒りを感じさせてくれた
藤子の初体験のシーンの描写がとても扇情的で印象に残った、その描写で後の絶望が際立ったと思う
女子校で王子的扱いをされてきて、自分が女の子としての言動をするのに抵抗があった藤子が 全さんに恋をして初めて男を知っていく、心の底から幸せを感じ、またそれを失っておかしくなっていく様を細かく描いた本だった
Posted by ブクログ
綺麗なもの、楽しいことばかりが恋愛ではないんだな思いました。
この先私自身がここまで深く人のことを好きになることがあるか分かりませんが、その時が来たらまた読み返したい作品です☺︎
Posted by ブクログ
自分にはないものを持っている同性への嫉妬、最初は何も望まなかったはずなのにその人に触れてしまったら自分だけを見てほしくてどんどん欲深くなる気持ち、自分は身を委ねているのに相手の全てはどう頑張っても手に入れることはできない現実とそれに対する焦り
なりふり構わず縋ってもやっぱり追いつくことはできなくて
自分には穴を埋めることもその人を繋ぎ止めることもできないもどかしさと残酷さを突きつけられる
追体験したわけじゃないのに主人公の気持ちが手に取るようにわかってしまって、つい涙が出た
Posted by ブクログ
「実際に同じ状況を経験したわけではなくても、この感情を私は知っている。」
小説を読んでいると、そう感じることがあります。それが小説を読む楽しさの一つだと思っておりますが、こちらはまさにそういう本でした。
Posted by ブクログ
最初はなかなか話が見えなくて、読み進めることができなかった。
でも、だんだん二人の関係性が色濃くなって、次はどうなるんだろう、気になる、と手が止まらなくなった。
読んでいると、私の頭の中には夏の入道雲がチラついた。一見変わった恋愛小説だが、「夏」を味わえる本だと思う。
後半はその呆気なさに、主人公に自分を重ねて涙ぐんだ。
人との関わりとはどういうことか、生きているとはどういうことか、生きる一瞬一瞬はどれだけ大切か、味わえる1冊。
Posted by ブクログ
わたしは全さんみたいな人は嫌いだ。どんなに優しくたってあまりに独りよがりで、自分勝手だと思う。気持ち悪いと思ったけど、やっぱり自分の恋愛だけが綺麗だと思ってしまうんだろう。確かに思い出は濾されてしまうものだ。
Posted by ブクログ
「みんな自分の恋愛がきれいなんだよ。
自分たちの恋愛だけが正しくて、あとは汚くて、気持ちが悪い。」
その通りだと思います。
終始、気持ち悪かった。
でも自分が絡んだらって考えると、きっと勝手に綺麗に染めるんだろうと思う。
溺れさせられたっていつかは色褪せます。
Posted by ブクログ
綺麗で優しいものだけが恋愛じゃないよね。
恋愛の欲望も狡さも希望も執着も詰まった一冊だった。
この長い人生に一生忘れなれない一瞬の出会いを作ったことが神様の暇つぶしなのかな。
Posted by ブクログ
題名の『神様の暇つぶし』の「神様」というのが全さんのことだと思っていたが、全さんにとっては藤子が「神様」のように神聖で特別な存在だった。
Posted by ブクログ
千早茜さんの本は初めて。「食べる」という行為を通じて人と人の距離が縮まる様子が何度も登場するのが印象的だった。人間の欲望、生と死を生々しく描いていて、読み終えた時にずしんとした重みが残った小説。
Posted by ブクログ
始まりらへんが、少し読みにくくて
過去と現在が私的には
分かりにくかったけれども、読み進めていくと
段々と気になってページをめくってたな。
私も高校生の時に、割と歳の離れた人と、、
みたいなのを経験してたから、よりなんか
移入してみてしまった。
自分が割と歳をとると、犯罪やん?!
とか色んな当たり前?みたいなのが
分かるけれど、その当時の自分は
わからなくって。
でも、周りからどう見えてるんだろうとかは
気にしたりして。
最後の終わり方はなんか、少し苦しいなぁって
なったけれども、でも、
自分が良ければなんでも良いよね、って。