あらすじ
親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った――。
男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。
臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。彼と出会う前の自分にはもう戻れない。
唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。
解説・石内都
※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
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「私は変わったんじゃない。
変えられたのだと思いたいのだ。傷つけられたのだと。今はもう傷しか残っていないから、何度も何度も自分でかさぶたをはがし、痛みと見えない血が流れるのを感じて、あのひとのつけた傷を確認していたいのだ。そんなものを後生大事に抱えている私のもとへ、あのひとが帰ってくるだろうか。」
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見返りを求めないスタンスでいたはずで、だからずるいとか悔しいとか寂しいとか思っちゃダメで、でも思っちゃう自分を卑しく感じて…本当に恋をした人の心の行ったり来たりがなんてリアルなんだ。触れたい、抱きたいって言葉が淫靡さを保ったまま切なく使われる感じがたまりません。また写真ってのが憎い。美しいその一瞬を切り取って残し続ける残酷さ!
30ほども離れた歳の差の傍から見たら歪なひとつの恋愛だけど、本当に恋をしたことがあれば誰もが藤子に共感してしまうような
恋をする前の自分にはもう戻れない、と言うけどきっとそれは成長のひとつと分類してもいいんじゃないかな。新しい感情を獲得したことを喜んであげたいなと。
千早さんの言葉の選び方が好き。
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登場人物みんなが複雑な感情を抱いているようで、純粋に自分の人生を生きているように見えた。
目の前の欲望に素直に、いつまでも若く繊細に。
みんな自分の恋愛だけが綺麗
別にいい人間でいようとしなくてもいい
里見は藤子にとってどれだけ心強い存在だったか。
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千早さんの表現の細かさとリアルさ。例えば、2人が微妙な空気感になった時の「全さんだけが私をみなかった」。この時の空気感がものすごくリアルになる言葉で凄みを感じる。
私もどちらかというと細かい日々のシーンや人の目線、発言、動きに敏感であり、相手のこころがわかるほうで、この感覚を文章にしてくれている初めての感覚。
拒絶されても挑戦しようと思える瞬間があった。
私もかなり積極的な方だが、しかし相手の思いがこちらに向いてると確信があるときだけ。Fujikoはその確信もないまま、でも真っ直ぐに体当たりしていた。物語の生の短さの描写も相待って、拒絶されようが挑戦することの大事さを学んだ。
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暑苦しいほど熱い恋愛なのに、溢れそうな想いを言わないふたり。千早さんの本初めて読んだけど情景が浮かんですごく読みやすかった。夏になる度、思い出すような物語。
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「人は自分の恋愛だけが美しい」
恋愛話をしてくる友達が、時には私が、人からされたアドバイスを聞けない理由がこの一言に凝縮されていると思った。「自分の恋愛」という所謂きれいで神聖な領域に、自分なりの哲学がある領域に、"何も知らない他人"から土足で踏み込まれることの不快感。
みんな自分が悲劇のヒロインでありたいのかもなぁ、と妙に納得させられた。
情景が目に浮かびやすい、想像力を掻き立てる文章が素晴らしかった。特に後半は生々しすぎて通勤中に読むのが恥ずかしく感じるくらいで、家でこっそりと続きを読もうとした。それくらいはっきりと情景が描かれている。生々しいシーンは得意ではないが、総合してもとても面白く読めた。
藤子に対する全さんの想いに関する表現は控えめで、メタ視点があるからこそ多少汲み取れたものの、少しわかりにくかった。
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始めは自分の生活を一変させた全さんが自分を弄ぶ『神様の暇つぶし』なのだと考えていたが、その時しかない若い時の藤子が自分の生活を変えさせるための『神様の暇つぶし』に全さんが弄ばれたとも捉える事が出来、読む時によって題名の解釈が変化するのも大変興味深い。また重要人物である里見が同性愛者であったことや、途中で白血病で亡くなってしまうという展開に衝撃を受けた。藤子と同じように理解されない恋を歩み、孤独であるという点での共通点があった人物が亡くなってしまったのも、菜月から電話がかかってくるのも、藤子が自分の過去を懐古する契機になっているように感じられ面白い。また初めに出てきた藤子を追う記者?みたいな人はあまり主要人物としては出てこないが、最後のオチを作るのにいい役をしている。全員が全員いなければ物語を進めることが出来ない。素晴らしい作品だと思った。また「記憶を濾過する」「自分の物語」などの表現が好きだ。
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恋愛って自由だなって。
「みんな自分の恋愛が正しい。」
これが本当にそうだなって。
自分でもまさかこの人を好きになるとはって思う人のことを愛してしまったり、他人からやめといた方がいいよって言われる人を愛してしまったり。
性別、年齢、容姿、性格、恋愛において色んな条件とかあるけどそれは人それぞれで
だからこそ他人のその恋愛の価値観を押し付けてほしくないし、押し付けないようにしようって思えた。
最後はとっても涙しました。最高の本でした。
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みんな自分の恋愛だけが綺麗とか、どんなに愛し合っててもそれぞれ自分の中の物語の中にいるとか、本当にその通りだなーと思った。
人のことをどんなに理解したくても、結局は自分の尺度でしか見れないよね。当たり前かもだけど。
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これは一気に読まなきゃならない作品
自分の生活の合間合間に、軽く挟める世界観ではなく
一気読みでその世界観を味わいたかった
全さんは素敵だけど
読み手の私がもう藤子よりひとまわりもふたまわりも年上で(作者と同い年だった)
あまり共感できないところも…
全体的に
カッコいい話
でもリアルで生々しい話
あとお腹空く
いや、どうしたってタバコの匂いは嫌い私は
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里見の言葉「みんな自分の恋愛だけはきれいなんだよ」…まさにそのとおりで、そこから生まれる葛藤や嫉妬、衝動が人を狂わせる。現実でも。
個人的に、全さんには手を出さずに思いとどまって欲しかったけど、それがあったが故の芸術家写真家であり、最高傑作と言われる写真集が出来上がったのも事実で、なにが正しかったのかはわからない…。
蛇足だけど、全さん年の割に元気だなー笑
もしかして亡くなった友人のバイアグラくすねて飲んでた?
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正直途中までの感想は「気持ち悪い」だった。最後まで読んでその感想を少し恥じたけれど、これは私の価値観の問題なのでもうどうしようもないんだと思う。
読んでいて「なんて例えがうまいんだ」と思わされる描写がいくつもあるのが楽しかった。いちばん好きなのは思い出を傷に例えるところ。思い出さずに綺麗に濾してしまえばいいものを、綺麗な思い出にしないように、「かさぶたを剥がす」ように思い返す。
どうしても「気持ち悪い」という感想は消せなかったけれど、綺麗じゃない恋愛も美しいのかも。いや、そもそも「恋愛」という単語で括るのは失礼かも?
人への想いって執着なんだな。愛も憎しみも。感情を読まされている感覚で、ページを捲る手を止められなかった。
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たくさんTwitterに流れてきたから読んでみたかったやつ、あーこれが有名文章かーって思ったやつ出てきた時嬉しかった
女々しさを嫌悪しながらも切望してる主人公が自分の思いを隠そうとしながらも好きな人と関わっていくのが良かったな、辛くなるだけって分かってるけどどこかで信じたくてでも結局辛いだけなんだよなー、自分が進めるのがいつになるか分かんないけど全部含めて歩き出せるときが来るといいなー、自分の恋愛だけは美しいっていいねー、自分だけは肯定してあげたい(2026.9)
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20歳の親を亡くしたばかりの藤子の前に家が向かいで父親より少し年上の写真家の全さんが現れる。全さんは漢という感じでゴツゴツした手、ギラギラした目などの男らしい、藤子にはないものを持っている描写がたくさんあった。
親子ぐらいの歳の差の2人だが、藤子が全さんに段々と惹かれていくお話。
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何気ない日常や感情がすごく伝わる文章で常に情景を浮かべながら読み進められました。
私はまだこんなに人を愛したことがありませんが「愛する」ことの形にはこんなものもあるのかと学ぶことができた一冊でした。
どんな形であれ人の愛を肯定できるそんな大人になりたいな。
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自分だけは特別。好きな人のことになるとなぜかそう思ってしまう。不安な一方で、自意識過剰にまで思ってしまうこの自信はどこからくるのだろう。
一度は経験したことがある感情に共感すると思う。
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うーん、たしかに良いんだけど。良いんだけど。
面白いんだけど、たぶん愛とか恋とかセックスとか、そうなるよね…そうだよね…って感じになってしまった!
たぶん、テーマが、わたしの得意ではなかっただけ。
リアルだし、心のザラザラした部分を感じ取れるしすごいんだけど、直接的なシーンやことばがなくても情景的な文章がとても素敵につくりだせる方だと思っているから。表面的にしか感じ取れなくて、ちょっと悔しいのかも?今回は私にはあまり合わなかったかも!
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最初の10ページを読むのに何故か凄く時間がかかった。
各々いろんな形の恋愛をしていて、それが標準で、自分とは違う人は変だと思って。さとみさんみたいな冷静で肯定も否定もしないような優しいお友達ほしいな。
全さんもフジさんも、どちらも、「神様」だと思っていてどちらも心の支えだったんだよなーみたいな薄い感想しか出てこない。
でも私は全さんにのめり込む理由がわからなかった。お父さんを無くしたばかりだから?暇だった(のめり込めるほどのものがなかった)から?
それしか見えない!みたいな恋愛がしたいとおもった。
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星3.8
主人公の女子大生は、恋愛経験が無く。
父親が亡くなった事が切っ掛けで、父親より上の男性と出会い、惹かれるようになっていき……。
人によって、評価が別れるかな?
それは、今までの恋愛経験だったりで、どこまで共感できるか。
ウブな私(オッサンだけど)には深すぎたかな。
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全さんに沼る気持ちはあんまり分かんなかったな〜。里見くんに惹かれる。
全さんと藤子の生命力の対比がすごかった。
生々しくて、のめり込んで読んでいた。
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女子大生の藤子とカメラマンの全さん
親子ほど歳の離れたふたり
全さんに触れたい気持ちがどんどん
高まり恋愛に落ちる
藤子をただの被写体として全さんは近づいて来ただけなのか
裏切られた思いのなか
写真集が発売され編集者から
全さんの想いを知らされる…
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主人公が大学生時代を振り返る回想形式で進む物語。登場人物が少なく、話は理解しやすい。
男性目線では、主人公が惹かれる相手の魅力が今ひとつわからなかったが、主人公自身の心情描写は丁寧で、一人の人物として生きている感じがあった。個人的には、大学の同期である里見という人物に一番好感が持てた。
全体としては普通に面白く、読んで損はなかったが、特に積極的にすすめるほどではない。
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千早さんの小説はいつも五感に訴えかけてくる。普段あまり好むタイプの小説ではないのだけど食べる描写や、痛み、匂い、そういったものがたたみかけてくるのを味わいたくて手に取ってしまう気がする。
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個人的には、まともな大人は30歳も年下の女の子に手を出さないという価値観を持ってしまっているので、”残り少ない命だったからこそフジコに惹かれていた”という事実が判るまでは、いきなり交わり始めてかなり気持ち悪いなぁと思いながら読んでしまいました、
(事実判っても結構ヤバい奴ではありますが、一旦そこは、うん、一旦、了解、って感じで、、、)
あと交わっている時の表現?が生々しくて官能小説読んでるっけ、?、、?となりました笑(読んだことないので分からないですが、、、)
そして疑問が結構あって、、、
全さんは病院から抜け出してフジコの家まで来る途中結局誰に刺されてたんだ????途中出て来たおばさん????物語の最初にインパクト持って来たくてとりあえず血だらけにしといた感ない???
里見死ぬ必要あった???いきなりあっっさり死んでびっくり仰天
全さんのたくさんの表情?に惹かれてたのは分かったけどそれだけ???お父さんが亡くなったばかりで脆かったからってこと???
あとほんっっとに細かくてマジレスすぎて申し訳ないけど、許可なしに裸の写真撮ってきたり、勝手に出版の話になってるの”!?”すぎるし有り得なすぎてツッコミ入れちゃった、、、あとそれが出版されるのにお金とかもらってる???もらってなさそうだけどやばくない????大丈夫????(ちゃんと止めてくれる大人がいて欲しかった)
【総括】
気持ち悪いと思ってしまったり個人的に引っかかってしまうところが多々あったりであまり好みでは無かったですが、ここまでの感想が出てくるというのは作品としては正解なのかな、と思ったのと、読みやすくてすぐ読み終わったので星3にします。
浮気されても別れられない、みたいなタイプの女の子は好きかもなって思いました。
Posted by ブクログ
五感に訴えかける文章が相変わらず魅力的。
だが今回の恋愛対象が主人公・藤子の父親より年上で、かつ外見の小汚さが鮮明に描写されているので読み心地の悪さを感じた。
申し訳ないがこの属性は守備範囲外だ。
他人の恋愛は汚くて、気持ちが悪い。まさにその通り。
恋愛面では感情移入できず、終盤の展開も若さゆえの恋愛の代償としてあまりに酷では……と悲壮感を覚えてしまった。
それでも藤子は精神的に成長して、一人で強かに生きているのは救いだ。