小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ激重作品だったが、いつもの湊かなえ作品のようなダークさではなく、かすかな暖かさも感じれる作品でした。
宗教2世の話で前編が政治家を殺した暁の手記、後半が宗教2世の環境で苦しみながら作家となった星賀の話。
不遇な家庭環境で孤独を感じていた二人だが、お互いの同じ境遇に共通の想いを抱え、暗い世界の中にある一筋の光に縋って生きていく。
宗教自体は、人々の心の拠り所としてあって然るべきものではあるが、人の弱みに漬け込んで搾取する団体と化すると、本当に当事者が幸福なのか。
本当は星賀が、宗教団体からの解放と自分の人生を取り戻すために政治家を殺そうとしていたが、暁は星賀は生きるべき、希望の星という想いを抱え -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公・グレースと異星人バディ・ロッキーを好きにならない読者はいないだろう。
グレースは"良き人"だ。
自ら進んでヘイル・メアリー号に乗ったわけではない。臆病なところも書かれている。それでも人類(もちろん太陽系以外も含む)の利益のため、将来を担う世代である子供たちのため、という動機が根底にあり、ミッションを投げ出したりはしないという確信をストラットに持たせてくれるような道義心のある人物だ。
主人公として納得性のある性格で、飾らない、等身大の人格者。
それは親愛なる隣人・ロッキーも同様であった。
読み進めれば進めるほど、二人に愛着がわいてくる。
二人の間で交わされる異文化コ -
Posted by ブクログ
「西の魔女が死んだ」を読んで改めて感じたのは、しっかり寝て、しっかり食べて、しっかり運動するという、人間が生きるうえで本来とても大切なことを丁寧にやるだけで、私たちは自然の一部としてのサイクルにちゃんと戻っていけるということでした。
心も身体も、そして脳の中も余計な不純物が少しずつ抜けていくようで、それがとても心地よかったです。
おばあちゃんの言葉にはいつも温かい温度があり、心を温かくさせてもらえました。
まいが魔女修行をする姿を見ながら、私自身も一緒に修行しているような感覚になり、これからの人生でも、私なりの魔女修行を続けていこうと思いました。
自分で決めて、自分で決めたことをやり遂げる -
Posted by ブクログ
大切な積読在庫からの一冊!
青山美智子さん『リカバリー・カバヒコ』。
ステキな連作短編であることは間違いないであろう、あとはいつ読むか?
私にも真面目?に普通に生きていても、嫌なトラブルが襲ってくる。斜め45度、死角から飛んできて解決方法が今の所見当たらない。
まさに今日のわたしです。
リカバリー・カバヒコ、まさにそんなワタシに
ピッタリな内容でした。
カバの遊具カバヒコに触るとケガや病気が治る!
ファンタジーかと思いきや、カバヒコはただ、
公園に佇んでいるだけ。
5編それぞれの登場人物は、
毎日いろいろ考えて一生懸命生きている。
ただ考えすぎて、余計に自分を追い詰めてしまう、これある -
Posted by ブクログ
ネタバレ光を取り込んで成長する生命体アストロファージにより、太陽、そして地球の危機だ。
だがアストロファージが通ったのに無傷の惑星タウ・セチが見つかる。そこで人類は、違う銀河系にあるタウ・セチへの調査宇宙船を出すプロジェクト・ヘイル・メアリー、つまりやけっぱち作戦を計画する!
下巻は、地球代表の科学者グレースと、エイド星代表の技術者ロッキーが協力して、それぞれの星の生命体を救うための奮闘記です。自分の星の生命体を救うためにまっしぐら!のグレースとロッキーが気持ちよく読めるし、生命の輝き、人間も異星人も信じられるような爽やかさがあります。ロッキーはかわいいし優秀だし、彼の口調が伝っちゃいそう。「幸せ!