小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレ最近日本では、自然災害のニュースをよく目にする。行政機関、とりわけ政府が、災害発生中にもかかわらず赤坂あたりでどんちゃん騒ぎをして、あまつさえその様子をSNSに投稿までしてしまう我が国においては、公共の援助を期待できる可能性は薄い。必然的に日ごろから自分たちで対応できる力を備える以外に、生き延びる道はないと言ってもいいのではないだろうか。
さて、本作では豪雨により孤立した限界集落に近いへき地で、たまたま墓参りに訪れていた男が孤立した村に閉じ込められ、そこで旧因によって引き起こされる騒動と事件に巻き込まれる。こうした村で、本作に描かれているような旧弊がどの程度のこっているものなのかは判然としない。しかし、高齢者が構成員の大半を占める集落では、旧弊に囚われて生きている人たちも多いのではないか。
豪雨は今やいつでも起きる。場所によっては雨ではなく、雪のこともあるかもしれないが、いずれにせよ自然災害によって地理的な孤立が発生することは、いつだって我がことと捉えておく必要があるだろう。そして、このような状況に遭遇すると、人はパニックを起こすこともまた覚えておかなくてはならない。
この小説は、豪雨により自分が住む場所が孤立状態に陥ったとき、どのような状況が発生するかということのシミュレーションになっている。物語はフィクションだが、さもあろうというリアリティを備えている。災害は豪雨にとどまらず、豪雪や震災、それにともなって発生する津波など、多様な災害に応用できる。
パニックに陥った集団の中でおこる悲劇。人がパニックによって少しずつ狂気にさいなまれていく。
人々が少しずつ狂っていく過程を、作者は丁寧に描き出し、しかもリアリティは最後まで失われることはなかった。恐ろしい物語であるが、昨今の日替わりで災害が発生する我が国において、本作はいわば読む災害マニュアルとしての役割も果たしてくれるのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
読み終わった直後、どう感想を書けばいいのかわからなかった。
面白かった、すごかった、感動した。
どの言葉もしっくりこない。
真相が明らかになったとき、それまで読んできた物語の見え方が一気に変わった。
「献身」というタイトルの意味も、読み終えて初めて本当の意味で分かった気がする。
ミステリーとして真相を知りたいという気持ちで読み進めていたはずなのに、最後に残ったのは謎が解けた爽快感ではなく、石神の生き方と想いに対する、簡単には言葉にできない感情だった。
10点満点で評価するなら10点。
でも、できることならそれ以上の点をつけたい。
読み終えた今のこの感情を忘れたくないと思った作品。 -
Posted by ブクログ
これは本当の話。信じられないかも知れないが「国民英雄」の圧政粛清の時代には、かつての「建国の元勲」が次々と「祖国への裏切り・反革命勢力との内通」を公開自白したのち処刑されていったのだ。あまりにあからさまなので「(連合国の一角を)悪し様に言うのは好ましくない」として出版は拒否された。一応「ナポレオン」はスターリンであり、「養成した9匹の猛犬」はゲーペーウー、「スノーボール」はトロツキー。
誠実なインテリとして、メディア・リテラシー&記録の偽造・改竄されないことを訴えているようだが、一般大衆はそれほど物覚えが良くないし(記憶を頼りに権力に逆らうほど)正直でもない。
(本書のテーマ=スターリンによる’36〜38大量粛清を日本の教科書も緘黙)’37年に着想し’44年2月に脱稿したが、刊行する出版社はなかなか見つからず戦後となり、アメリカ版は46夏となりフランス語版はさらに遅れ「ナポレオン」を「カエサル」としてはと提案されてオーウェルは激怒したというあ。’47年、ドイツにあったウクライナ難民キャンプでウクライナ語版が頒布され別に序文が書かれた「ソ連には口出ししないが。社会主義者の矜持として、現状についてはきちんと伝えないと」現物は残っていないが英語に訳し戻したものが巻末付録。
(’36年結婚の直後スペイン内戦が勃発。対フランコ救国戦線に義勇兵として参加した体験は『カタロニア讃歌』にまとめられている)P178この戦争の初期、外国人は全般に、政府を支持する様々な政党同士の内部闘争には気がついていなかった。いくつかの偶然のおかげで、私が参加したのは多くの外国人の属する国際旅団ではなく、POUM民兵、つまりスペインのトロツキストたちの派閥だった。だから1937年半ば、共産主義者たちがスペイン政府を(すくなくとも部分的には)掌握し、トロツキスト狩りを開始したときには、二人とも{夫婦共}被害者側になっていた。一度も逮捕されず、生きてスペインを出られたのは本当に運がよかった。友人たちの多くは射殺され、そうでない人々は長い懲役を受けたり、あっさり姿を消したりした。スペインでのこうした人間狩りは、ソ連での大粛清とほぼ並行して行われていおり、いわばそれを補うものとなっていた。スペインでもロシアでも、糾弾の中身(つまりはファシストとの共謀)は同じで、そうした罪状はどう見てもウソだったと考えている。こうしたことをすべて体験できたのは、貴重な具体的教訓だった。民主国での啓蒙された人々の意見を、全体主義的なプロパガンダがどれほど簡単にコントロールできてしまうかを教えてくれたのだ。スペインでのこうした人間狩りは、ソ連での大粛清とほぼ並行して行われており、いわばそれを補うものとなっていた。スペインでもロシアでも、糾弾の中身(つまりはファシストとの共謀)は同じで、そうした罪状はどう見てもウソだったと考えている。こうしたことをすべて体験できたのは、貴重な具体的教訓だった。民主国での啓蒙された人々の意見を、全体主義的なプロパガンダがどれほど簡単にコントロールできてしまうかを教えてくれたのだ。妻も私も罪のない人々が単に異端の疑いをかけられただけで投獄されるのを見てきた。それなのにイギリスに帰ってみると、陰謀説が横行している。
結末で、支配階級の豚はニンゲンと晩餐会を開きカードゲームして、窓の外から見る動物たちにはニンゲンと見分けがつかなくなる。丁度、ナルニア国物語の最後で、アスランがライオンと見えなくなることの裏返しのように。 -
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村山由佳さん、初でとても良かった。
近すぎて遠い存在だった幼馴染のトキヲとの、はつ恋。お互いに人生の紆余曲折を経て、酸いも甘いも経験して、再会して、人生を一緒に編むようになる。
『汝、星のごとく』に似ていて、学生時代のまだ恐れを知らない眩しすぎる恋愛とは程遠いけれど暖かくて大木の幹のような恋愛。
月毎の草花や旬の食べ物、季節の移ろいを感じるも良し、大人の恋愛小説として、関西弁のトキヲにときめくのも良し。
個人的には認知症を患った母と、取り残され着実に老いてゆく父とハナの家族の描写がとても好きだった。哀愁たっぷりで鼻がツンとするような切なさがあるけれど、リアルで暖かくてホッとした。
「彼があのトキヲであるからこそ、父親だって素直に甘えられるし、リラックスしていられる。何もわかっていないように見える母親でさえ、そうだ。ぱっと見はいかにもむくつけきトキヲに、こんなにも安心して肩を預けているのは、その二つの手がもっとずっと小さかった頃に自分の肩の上にあったのを、どこか心の深いところで覚えているからかもしれない。」
「特別な日のとっておき、などと構えなくても、人生には特別でない一日なんかないのだから、毎日、気分の上がるものを選んで、着て、めいっぱい使う。使われるのがモノの使命だ。使命を全うさせてやらずにとっておくだけでは、それこそもったいない。」 -
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出たーーーーーー!
出た出た出たーーー!
死神女史出たーー!
。゚(゚´Д`゚)゚。
感涙にむせぶわい
お元気そうで良かった
そしてなんかピリッとする
この空気感ね
はい、というわけでケッペーちゃんです
研修中の新人女性警察官のケッペーちゃんは今回は生活安全課で右往左往ラオウしてます
我が生涯に一片の悔いなし
しかし人はみなラオウのようには生きられないのです
悔いを残して死んでいった人たちの想いをすくい上げる
それがケッペーちゃんたち警察官の仕事のひとつなのです
本シリーズにはひっじょーに様々な仕事に従事する警察官がたくさん出てきます
そう殺人事件を追う刑事だけじゃなくてね
警察には色んな人がいて、みんながわいたちの生活を守ってくれているのや
ありがとう
あーりーがぁあ〜とぉおお〜♪(突然の水前寺清子) -
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グレアム・グリーンによる短編集。
私の父は、「そんな渋い本を!」と驚いていたが、その父自身も数十年前にグリーン作品を読み漁っていたらしい。
21話の短編で、数ページで終わるものもあれば
数十ページにわたるものもあり、読み応えは抜群。
シニカルなもの・ホラーのようなもの・難解なものなど様々で、読みにくい話の次の章は、なんとなく進むのが億劫になりそうだったが、そんなこともなく読み終えた。
読んだ感想としては
・人間観察眼の鋭さ
・人の心の毒や闇を言語化するのが上手い
・人間の「自己矛盾」を的確に鋭くついてくる
そんな印象。基本的には「皮肉屋」だなーとww
そこを含めて好印象。
「ヒューマンファクター」も積んでるので、そちらも楽しみだ。
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ネタバレ上巻は、カーシュが膵臓がんを患っていたことをラングドンがカサ・ミラにて気付くというところで終わっていた。
そのことから考えると、これまでの作品よりも逃走劇は少なめ。カサ・ミラからウィンストンのある場所へと向かって、もちろん追手は来るものの、無事にプレゼンテーションは全世界に発信される。
ここが、物語の真髄と言えよう。
われわれはどこからきて、どこへいくのか。非常に読み応えのあるプレゼンテーションで、映画化されたら是非映像美でも楽しみたいと思うほど。
ただ、なぜ、宗教家達には途中までしか見せなかったのだろうか。
monteがウィンストンであろうことは予想がついた。珍しくオチが読めたのは珍しい。直前では、仄めかされていたからだが、ウィンストンが暗殺者を招き入れたのではとも疑った。
カーシュがここまで指示したとは思わない。ウィンストンがカーシュの本質的な指示を、最大限従ってこうなったのか。それが功を奏すように途中までしか見せなかったのか??
ウィンストンは好きだった。ラングドンも好きだっただろう。ただ、ウィンストンの計略により、関係ない人が殺されたのも事実。AIとはなんだ、と考えさせられる。
この本は数年前に書かれた本だ。
それが、たった数年でAIが進歩し、誰でも「チャッピー」と親しみを込めて呼ぶ時代がもう来た。まるでウィンストンを呼ぶ時のように。
ここからまた数年であっという間にAIが普及していくのだろう。科学の時代が来る。それが良い共存であってほしいと願う。 -
購入済み
一気読みをおすすめ!
紙の本にすると550ページ近いということで、買うのをためらったが、いざ読み始めるとスイスイと読める。連休などのなるべく時間のある時に一気読みしてほしい。
文章も特に難解な言葉を使わず、かといって軽くならず。人間関係が複雑なので、読みやすい文章はありがたい。
昭和、平成、令和と受け継がれていく刑事達の執念…。
鎌田・湯浅コンビがいい。
令和の事件パートは鎌田刑事の訃報から始まるのだが、彼が存命の間に解決して欲しかったと思う。もし鎌田刑事が真相を知ったらどう感じただろうか。
本書に出て来る社会的に大きな事件(オウム真理教、幼女連続殺害事件、三菱重工爆破事件、洞爺丸の事故など。昭和の事件については知らない人も多いだろう)や、身近な当時流行のカルチャーなども巧みに取り入れられているので、実在の事件のように思えてくる。
是非ドラマ化してほしい。
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