あらすじ
お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。(解説・柳家小三治)
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出会えたことに感謝したい、素晴らしい本。
五感を刺激する美しい文章、丁寧な描写に癒されて幸せな読書時間を過ごせた。
お茶を極めた特別な人の本ではなく、わからないながらも同じことを続けたからこそ見えた境地や、筆者が体験した点と点がつながり自分の血と肉になる瞬間の感動が語られる。
季節のおもてなし、その日のテーマと調和を考えた細かな演出など、お茶の世界の心尽くしに感心した。
近くに置いて何度も読み返したい本。
「それだけだった。なのに胸を突かれた。シンプルな動きに、あらゆるものが含まれていた。形そのものが心だった。いや、心が形になっていた。」
「人間はどんな日だって楽しむことができる。そして、人間は、そのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている。」
「茶花のない季節などなかった。退屈な季節など、一つもなかった、、、。」
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「だから、だいじな人に会えたら、共に食べ、共に生き、だんらんをかみしめる。
一期一会とは、そういうことなんだ・・・・・・。」
「一期一会」を初めて聞いたのは、この小説の映画でした。通っていたアメリカの大学で、日本学部は日本の映画を紹介する「ムービーナイト」があって、みんなの周りに「泣かないで、泣かないで」と思いながら見た思い出があります。そして、そこで、初めて「一期一会」と出会ったんです。日本語の勉強だけではなく、人生の全体を振り返ったら、人と出会いの特別さの感じをずっと持っていましたが、どうやって言葉で言えるのは分からなかったのです。今でも、英語でなかなかふさわしいフレーズがないです。でも、日本語で、「一期一会」があります。「一期一会」は私にとって深い意味があるので、今回映画の小説も読もうと思っていました。お茶を習っているので、もっと深く「勉強」しようと思っていました。そのお茶の勉強だけじゃなくて、この小説も一期一会でした。読みながら、不思議に「今の私は、私にとって心に響いたことは、この時こその一期一会。もし何年間たってまた読んだら、きっとその時も一期一会のことがある」という感じがしました。その考えは、私にとって今まで読んだことがある小説と違う特別感かなと思います。
英語でも日本語でも伝えない特別さがあって、みんなが読むべきだと思います。
そして、もう一つの出会いがありました。「日日是好日」です。この小説のおかげで、私の心に響いた言葉をもう一つ見つけることができたので、ありがたいです。
今まで読んだことがある本の中に、一番いいの一つにすぐなりました。
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まるでそこに自分も存在するかのような
感覚の中、ゆったりとした心地よい気分で
読むことができた。
私は茶道経験者だが、こんなにも季節と
強い繋がりがあったとは…目から鱗。
私たちは、慌ただしい日々を過ごしているが、
そんな中、著者のように、週一回、
茶道を通して心を「無」にし、
季節を自然から直接、
掛け軸や茶道の道具から間接的に
感じられることに、なんて贅沢な
時間なのだろうと思った。
読後、目次の第1章から第15章までの
タイトルを見返すと、どれもしっくりくる。
このタイトルだけでも今後の行動・考え方の
指針となりそうだ☻
*きっかけがあれば、いつか私も茶道をやりたい。
とりあえずやらない今は、五感をフルに使って
季節を意識的に感じたいな。
*23年間続けていた書道を、また再開させたくなった。「無」の時間を無性に味わいたい。
Posted by ブクログ
本当の自由や今この瞬間を味わうことの大切さ、言葉では表現できない奥深さがあることを教えてくれる本。
自分勝手にやることが自由や創造性ではなく、がんじがらめの作法の先に本当の自分やオリジナリティがある。また、今この瞬間に意識を向けることでより奥深く今を感じることができる。
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お茶の、細かい作業のように見えて実は無駄を削ぎ落とした潔さ、掛け軸やお花、お菓子、お茶碗など、ひとつひとつの物や動作に込められた意味、以前少しばかり習った時を懐かしく思い出しました。
季節や天気、様々な物事に五感を研ぎ澄ませることが出来る日本文化の良さを再度感じる素敵な作品だと思います。日常の中にあっても、今より少し丁寧に生きていきたいと思えたこの本は、私の大切な一冊に仲間入りです!
Posted by ブクログ
日本は日本の文化をもっと誇っていいと思うんですよね。そういう、日本の良さを味わえる一冊だと思います。
日々を「良い」「悪い」とカテゴライズするよりも、日々を純粋に味わって行く歓びを思い出しました。悪い日なんてなくて、一日一日をもっと深く丹念に味わう術を、私たちは持っていたんだと思います。私はそういう感性の中に、日本人という民族性が見つかるんだと思います。
やるべきことに忙殺される日々の中で、そういう気付きを得られる瞬間を、私は持っていたい。
「日々是好日」この言葉をそっと胸に。また読みたい本でした。
Posted by ブクログ
前々から読みたかった一冊。お茶の世界に関心があり、お茶の世界に触れたくて読みました。
深いなぁ、深すぎる。
お茶の世界に関心がある人は、ぜひ一読をお勧めしたいです。
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映画を観て原作も読みたくなった
茶道の世界をのぞかせてもらえる贅沢な本
茶道が題材だけど、茶道だけでなくいろんなことが同様に重ねあわせられるのが茶道本ではない良いところ
茶道はもちろん日本の文化にも興味をもったし、この思想を手に入れたいとも思った
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鈴木大拙の著書に「禅は悟りの修行である。悟りは解放を意味する。解放は自由に等しい」という一節があるが、それを茶道を通じて経験した内容が平易なエッセイで記されていて素晴らしい。オリデン・ヘイゲル「弓と禅」の茶道版ともいえる。悟りのドアが開けた瞬間のような一節は胸熱。
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晴れでも雨でも、毎日がいい日。雨の日は雨を聴く。会いたい人がいたらちゃんと会いに行って、大事に思ってることを伝えよう。「今ここにいること」に気持ちを集中させれば、どんなことも乗り越えられる。
色んな大事な言葉があって、すごく励まされた。教えることで自分が成長できるというのはまさに、今の私自身にも通ずる。読んでよかったし、また何度でも読み返したい。
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茶道って素敵だなと思った。茶花とか掛軸などに興味を持った。
茶道部にお点前をしてもらったことが二度あったが、手順とか全く知らずただ美味!って飲んで食べてた。この本を読んだ上でもう一度受けてみたくなった。
著者の悩みとかが自分と全く同じでとても共感できた。人生悩みや焦りに押されてばかりだけど、休息も自分にしっかり作ってあげないとな、と思った。
一期一会
映画を見て無性に読んでみたくなりました。その日のクーポンガチャで文学作品15%offが出たのは是非買って読みなさいと言うことなんだと解釈して迷わず購入しました。くどくど語らず、生徒さんが気づくのをじっと待つ武田先生の姿勢がすばらしいですね。見習いたいです。
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お茶がここまで人生に寄り添っているとは思いもしなかった。とても深い話だった。
掛け軸は、今の季節を体現する。季節は春夏秋冬だけではなかった。人生にも、季節があるのだ。という達磨の掛け軸の話。
だいじな人に会えたら、共に食べ、共に生き、だんらんをかみしめる。という一期一会の話。
私たちはいつでも、過去を悔やんだり、まだ来てもいない未来を思い悩んでいる。どんなに悩んだところで、所詮、過ぎ去ってしまった日々へ駆け戻ることも、未来に先周りして準備することもできない。道は一つしかない。今を味わうこと。といった雨を聴く話。
全て大切な気づきとなった。
Posted by ブクログ
結構なお点前の本でございました。
ただただ基本を繰り返す。
頭で考えなくとも体が自然に動くまで。
すると所作や佇まいまでも洗練される。
そこまでに至る、苦悩や葛藤、一喜一憂。
そして、その先の光明。
日常に四季折々、五感を感じ持つ事って大切。
それこそが豊かな人生なのかと。
Posted by ブクログ
日本にある四季をお茶を通して少しずつ感じとっていく様子がとても素敵だった。
四季を感じられる日本に生まれて良かったなぁ、とも思う。
森下さんの言葉を通して、森下さんの見ていること、感じていることを疑似体験しているようで、私の心も安らぎました。
昔に雨の匂いがするねって人に言ったことがあって、それを理解してもらえない事が多かったんだけど、森下さんが雨の匂いのことを書かれていて、嬉しかった。
日日是好日は、頭痛が酷い時に読んでたんだけど、気付いたらスーッと痛みが引いていて、びっくり。
森下さんの本は心のロキソニンかも。
Posted by ブクログ
イマココに目を向けることの大切さ、
考えるより感じることで得られることの大きさ、
理屈を述べるよりも五感を磨くことの尊さ、
当たり前のようで忘れがちな日常のささやかな幸せを感じとるためのヒントを教えてくれる一冊。
茶道を習ったことは1度もないけど、伝統芸能を長く学んできて今教える立場でもあるので、リンクする部分もあって、初心に帰って身が引き締まる思いになる感覚もあった。
いつか茶道も習ってみたいな〜と思った。
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長い目で続けること。
過去や未来ではなく今を大切にすること。
自然に耳を澄ませ、ふれること。
この本からは多くの学びがありました。
上記の3点は明文化してみると当たり前のように思えるけれど、目まぐるしく毎日過ごしているとそのことを忘れてしまいます。
すぐに過去を悔やんでくさくさしたり先の見えない未来を嘆く自分にはすごく刺さりました。この気持ちをずっと大切に忘れずにいたい。
とても良い本でした。
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とにかく美しい本だった。
読み進めるうちに祖母の庭の情景を思い出して帰りたくなった。蚊取り線香の匂いが漂う夕暮れの庭、雨の日に砂利が濃くなっていく様、雨樋に雨が伝う音、雨に弾む葉。匂い、温度、感情それぞれが懐かしく思えた。
茶菓子はどちらかというと苦手だが、抹茶と味わいたくなった。百貨店の和菓子で季節を感じていたが、少し茶菓子にも手を伸ばしたい。
どきりとした言葉がある。「失敗しても良いから心を入れなさい」。負け戦だと分かっていても心を込めることも時には必要かもしれない。
実は私は冬がとても苦手だ。塞ぎ込んでしまう。今を楽しむこと、冬を楽しむ術を身につけるという観点は新鮮だった。
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今まで茶道に興味を持ったことがなかったけれどこの本を読んで茶道に通いたくなった。
好きなインフルエンサーの方が茶道を習っていて、この本の内容を思い出すとなんて素敵な趣味なんだろうと思う、、
難しそうだけど奥が深くて、とっても素敵。
またもう一度読み直したい一冊。
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お茶はたてたり作法を学ぶだけだと思っていたが、この本を通して自分がこれまで思っていた以上にお茶を極めることは難しいし、奧が深いんだろうなと感じた。これまで以上にお茶を習いたくなった。
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茶道について、私が想像していたものとは全然違っていて、なかなか勉強になりました。本文の中にある「何も知らない」とか「ちゃんとここにいる」とか「会いたいと思ったら会わなければいけない」とか「日日是好日」とか、これからの人生の道しるべになるような言葉がたくさんありました。これらは、日本の美学や哲学なのだと思いますが、私は日本に住んでいながら、日本の美学や哲学のことをあまり知らないことを知りました。それと同時に、もっと日本の美学や哲学を知ってみたいなとも思いました。やはり「道」は素晴らしいです。茶道を学んでみたくなりました。
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わからなくても、とにかくずっと続けることで、急にストンと落ちる感覚。なんとなく、理解できる気がした。
それが、何歳になっても何年続けても起こることなんだなと希望になる。もちろん、真面目に向き合って積み上げたからこそ、と思う。
突き詰めることで、感覚が研ぎ澄まされたり、自分の内側の声がきこえてきたり。その過程が書かれていて、面白かった。きっと言葉にしにくいものもたくさんあるんだろうけど。
Posted by ブクログ
2021.3.18
お茶の話って読みにくいかと思っていたけれどスラスラと読めた。お茶はお茶だけど、作法とか難しい話じゃなくて、人生の話というか、うまく書けないけれど読んでよかった。後書きにもあったけれど、これはお茶の本であってお茶の本ではない…
和菓子のアンに引き続き、和菓子が食べたくなる!
和菓子と同じく、茶道具にも洒落と頓知が溢れていると知って、ますます和菓子にも興味が湧いた。
お父さんとの突然の別れのところで、『一期一会とは会いたいと思ったら会わないといけない、好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。幸せなときはその幸せを100%噛み締めること』というフレーズに、ハッとした。後悔がないように『今』をきちんと生きなければなあ。
コロナ渦でいろいろ制限はあるけれど、時間とお金があるうちにいろんな経験をしたいし、思い出も作りたい。いつ死ぬかわからないのだから。
20代、30代になるにつれて「無」になる時間がなくなるというのにとても共感。まいにちハツカネズミのようにぐるぐるあれやらなきゃこれやらなきゃといつも何かを考えて、何かに追われている。何も考えずに目の前のことだけに集中できる時間が欲しい。
以前、アマプラで映画をチラ見したことがあってあまり面白さがわからなくて途中で見るの飽きちゃったけれど、また観てみようかなと思った。
Posted by ブクログ
書道を習っていた時の今ここに集中する感覚を思い出した。仕事も集中しているけれど、頭の中が空っぽになる訳じゃないから、集中の種類が違うな。お茶の道具の美術展に行った時、さっぱりわからなかったけど、これからは新たな目線で楽しめそう。お茶って憧れるけど敷居高いよね…。とりあえず和菓子買ってお茶入れることにします。
雨の音を楽しむのは大共感。
Posted by ブクログ
んー読むタイミングが悪かったかもしれない。
気持ちに余裕があるときに読んだらもっと心に響いた気がする。こうゆうの好きなはずなんだが、忙しさと疲れで、ただ読むという行為をしてただけになってしまった気がしてる。もったいない。
またいつか読んで違う感想を持ちたい…もしくは映像で見てみたい
Posted by ブクログ
茶道からの学びが人生に通ずる、心に響く一冊。でも、解説にあるようにこの本は茶道の棚じゃないのよね。お茶の知識や興味とは全く離れているんだけど、茶道がやってみたくなる1冊かも。