小説・文芸の高評価レビュー
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ゆうくんのYouTubeの動画でこの絵本の名前が出ていて、印象に残るタイトルだったので読んでみた。
ちょっとふざけたタイトルからは想像できないくらい深い話で、心にぐっときた。
誰にもまわりからは分からない困り事や悩みがあるものだ。
同じ悩みを共有できている、おしっこけっこうもれたろうくんとの友情もよかったし、引っ越しで離れ離れになってしまうのが寂しかった。
もれたろうくんにかけるおじいちゃんの言葉が、優しくて、人生長く生きてきた人の言葉という感じがして、温かい気持ちになった。
おじいちゃんのちょっぴりもれたろうはリアルすぎて笑ったけど。笑
この作者の本は読みやすい文や絵なんだけど、何か考え -
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恋愛がうまくいかなかったとき「貴重な時間を無駄にした」と言う人がいるけれど、楽しかった時間は確かにあったはずなんだよね。なんでこんな男に……と思いながら惹かれることがあるんだよね。分かる、分かるよ、と3人に混ざって恋話をして、励まされたみたいな読後感。
物語にでてくる女性は3人とも、なんらかの悩みをもちながら恋をしていて、それがまた痛いくらいに共感できるのだけれど、最終的にはみんなポジティブに前を向いている。彼女たちみたいに生きたいなぁと思える。結局さ、気の持ちようなんだよね。そう思うだけでも心が軽くなる。
辛い恋をしてる人に、読んで欲しいな。わたしは今出会えてよかったなぁとも思うし、過去 -
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「あと少し、もう少し」の続編と言えるのかな?あの時の駅伝メンバーの一人に焦点を当てた物語。
前作で自分を取り戻したかのように見えたが、、やっぱり環境は大事というか、高校入学後3ヵ月でがんばることをやめてしまった大田君。
ズルズルと元のダメだった自分に戻ってしまった、そんな高校2年の夏、なんと先輩から子守りのバイトを頼まれた。子供は1歳10か月の女の子、鈴香ちゃん。
金髪のヤンキー高校生に子守りを頼む設定がぶっ飛んでいる。
大田君が料理やお外遊びに挑戦するたびに、何かやらかしてしまうのではないかとヒヤヒヤしたが、、この物語の世界はひたすら優しかった。
出てくる登場人物もみんないい人。先 -
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ネタバレ人間の怖い部分を凝縮した1冊だなと思った。男尊女卑、差別、いじめなど。
主人公の空子は、ずっと自分のことを俯瞰で遠くから見ている感じだなと思った。意思が芽生え始めた頃からという設定も少しゾッとした。
私も一時期、自分が多重人格であることに悩んでいたけれど、空子はそれが当たり前だと捉え圧倒的に割り切っていて、人間的に冷たいと感じるけど1番人間らしいなと思った。
よく「裏表がある」と、ある人を評することがあるけれど、それって当たり前なんじゃないだろうかと思ったりする。「裏表がある」と「多面性がある」は、ちょっと違う側面があるのかな。
「人は皆自分の役割を演じながら社会を過ごしている」と、社会 -
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面白かった。
エセックス篇は1800年代のイギリスの陰鬱な雰囲気満点(小説好きが求めるイギリスはコレだろ、って感じ)、カリフォルニア篇はアメリカらしい躍動感あるサスペンス。
どちらもきっちり終わる。
そして、本の作りが凝ってる割に(というか、この作りだからこそ)シンプルな物語に仕上がっている。
謎解きを楽しむというより、文章からにおい立つ雰囲気を味わう小説。なので、ミステリー苦手な人におすすめ。
どちらから読んでも良いとされているけど、カリフォルニア篇読むとネタバレ?食らうので、エセックス篇から読んだ方が素直に楽しめると思う。
翻訳も読みやすく、雰囲気満点で良かった。
この訳者さんが訳したシ -
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虐待されていた主人公聡里が本来の自分を取り戻し自立するまでを描いた成長物語。
とても温かく、しみじみと「あー良い本に出会えたなあ」と思えた一冊でした!
身近な大人からの酷い仕打ちに聡里の心は死にかけていたが、救出してくれた祖母に愛情たっぷりに見守られ、やがて獣医師を目指す。また大学でも信頼できる先輩や友達に出会い、少しずつ心の殻を破っていく。聡里の成長っぷりが読んでいて清々しかった。
獣医師になるには動物が好きなだけではやっていけない面などもきちんと描かれている。そのために聡里は苦悩するが、挫折しそうな聡里と先輩の会話で、ヤマメとサクラマスの話が印象に残った。
生まれた場所で弱くても、 -
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ネタバレあの…また天才を発見してしまいました…
読み始めからずっと面白いのすごい…(語彙力なし)
小説って壮大な物語でもだいたい登場人物が固定されていて主人公目線で語られていく感じだけどそれがないの。
全ての登場人物がどこかで交わって人生の物語が交差していく過程であの時のあの瞬間や何気ない選択が底支えとなって進んでいくので、小説って言うより映画やドラマみたい。と思ったら太田さんって脚本家なんだと納得。
通り魔で犠牲になった印刷工場のおじさんの奥さんのくだりとかなぜかちょっと泣いちゃったんだけど、本当に何気ない日常と事件の描きかたが天才すぎる。
あと「にんじん」のくだりで「アァァァァァァァァッ!」 -
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ネタバレラストの場面からエピローグに飛ぶというトリック。
読んでて手が止まらなかった。
ドキドキしながら一気読みした。
主人公・立花涼にはもともと殺人願望があり幾度と貸さなく殺人を繰り返していた。が、あくまで前半ではそれは傍観者として描かれており、後半では当事者目線として描かれている。
読みながらてっきり羽島が起こした事件なのかと錯覚した。
涼が出所するまでは妻の真由が女手1人で涼介を真っ当に育てようとしたが…公園で蝉を潰す遊びをするシーン、ゾッとした。カエルの子はカエルすぎる。
真由目線だと息子の涼介を責任を持って育てる、いい大学に行かせることができたと誇っているものの涼介自身は勉強も好きでは無 -
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阪神の選手としての横田さんのお名前、ご病気のことはうっすら知っていたのですがやっと本を手に取ることができました。
ひたむきに努力することができることも含めた才能に溢れる選手が病気で選手生命を絶たれる…なんて残酷なんだろう。
でもそれを一生懸命に受け入れて前に進んでいく横田さんが真っ直ぐすぎて涙が止まりませんでした。
もっと色々な言葉を横田さんから聞いてみたかった、本作の若さが溢れる文だけでなく、もう少し歳を取られた横田さんが紡ぐ言葉を読んでみたかったと思います。
私自身は他球団ファンですが、今どこかで今年の阪神の活躍を眺めながら喜んでいてくれたらいいのにな、と思いを馳せました。