小説・文芸の高評価レビュー
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西加奈子さんの小説は『通天閣』が最初で、初めて読んだ時、剥き出しの人間の感情とか、臭いとか、湿度とか、グイグイくるなあと感じて面白かった。今回読んだ「ふくわらい」もその時と同じくらいグイグイくるなあと感じられた。
幼少の頃の体験から、人との距離を掴めない、自らの感情を表現できない主人公の定は会った人々の顔を、自分の頭の中で、ふくわらいのように顔のパーツを置き換えて感情を表現している。そんな定がさまざまな人との関係を通して、自らの感情を自身の表情や言葉で表現できるようになっていく。
10代の頃、自分のアイデンティティを模索していた頃、そんなモヤモヤした状態ってこんな感じだった気がする。模索し -
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私のとっておきの一冊は、原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』です。
強く心に残り、深い余韻が残る作品でした。読後もしばらく放心状態となり、登場人物たちの思いに何度も胸を打たれました。感情を大きく揺さぶられ、ラストは心から幸せな気持ちになれる見事なハッピーエンドでした。
この作品の魅力を一言で表現できるだけの文才が私にないのが残念です。今年読んだ作品の中でも、間違いなく最も印象深い一冊で、何度も涙を禁じ得ませんでした。
さらに、著者が私と同世代で、偶然にも同じ大学の出身と知り、二重の驚きでした。64歳になるまで原田さんの作品に出会わなかったことを少し悔しく思いながら、これからも一人のファンとし -
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今回は、「女性活躍」の前から唯一の女性店長として頑張ってきた、いつきさんが主人公。
どんどん同期が転職していく中で、転職に踏み切れず、男性社会で頑張ってきた、いつき。「女性活躍」で能力に関係なく女性というだけで店長になっていく後輩たちに複雑な思いがある。
いま、二人目を妊娠して、業績がよければ正社員になれる道もと言われ、業績はあがっていて、でも、正社員になるまで継続して働くことができないと決まって、それでも後任とか後輩が入ってくることも決まっていて、自分が産休育休を取っている間に、フルタイムで働ける独身のその子たちが正社員になるのではと、やきもきしている。
のと、違うとは思うけど、重ねてしま -
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最終巻
ついに最後となってしまいました。
大政奉還が成立、まるで天が「竜馬の役目は終わったから、さっさと空へ帰っておいで」といわんばかりに幕末の動乱を見事に治めたらすぐ、天に帰ってしまった・・・。
「坂本さァ」
と西郷は猪首を竜馬にねじまげた。縁側にいた竜馬は、それに応じて西郷のほうへ上体をまげた。(略)
「この表を拝見すると、当然土州から出る尊兄の名がみあたらんが、どぎゃンしもしたかの」
「わしの名が?」
竜馬はいった。陸奥が竜馬の顔を観察すると、近視の目をひどくほそめている。意外なことをきくといった表情である。
「わしァ、出ませんぜ」
といきなりいった。
「あれは、きらいでな」
なにが、 -
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人間と動物。尊厳と愛情。
『エルザ動物クリニック』を舞台にした、人間と動物そして尊厳と愛情。
院長の梓、看護師の雅美や絵里香、そして深雪と動物の『命』を無下にせず、人間と同じ尊厳を持っていると、クリニックに来院する動物や飼い主に伝えているのではないかなと思った。
そこで思い出したこと。昔飼っていたハムスターが大怪我をしてしまい、動物病院へ搬送した時に命を預かることの『責任』がないと飼えないと気づいたこと。
この時に初めて動物病院に赴き、小さな身体を治療をしてくれたのを見ていたシーンを呼び起こたのは
今回の物語と重なった部分がある。
「誰かが面倒を見てくれる」と人に委ねているのではなく、自 -
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ふと目に止まり導かれるように手に取った吉田修一さんの『ミス・サンシャイン』。
「ミス・サンシャイン」というタイトルから受ける軽やかな印象とは裏腹に、のちのち判明するその言葉が意味する重さや深さに深く納得させられました。
何より、一心君の想いがひしひしと伝わってくる物語で、今の自分の心にこれ以上ないほど響きました。
もし読書の神様がいるのなら、「今のあなたにこそ、これを読みなさい」と手渡されたような気分です。本との出会いはタイミングだと言いますが、まさに今この本に出会えたことに感謝したくなるような、特別な一冊になりました。
やっぱり吉田修一作品好きだ! -
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あ、、これは、、、今までの館シリーズの集大成に入ろうのしているかのような物語の導入部分、、、
河南くんが暗黒館へ心が奪われていく没入感が、メタ的な発想として今まさに私がこの『暗黒館の殺人』に、綾辻行人の世界にぐにゃりと現実から離れて引き込まれていくかんじがする。
まだ引き返せる、、けど此処に来るまでにもう自分の心は決まっている、、もう読み始める・館を訪れる準備は出来出来ている、、、
十角塔の存在といい、江南くんのヨミの件といい、なんだこのオマージュ感は、、、
「あたしたちは蟹よ」
に言葉を失ってしまった
心が壊れてしまった母親たち;;
黒い壁板に埋め込まれた“からくり時計”だとぉ -
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文庫のあらすじによると、「報道のタブーに切り込む緊迫のミステリー」。☆4.5です。
不祥事を起こしたテレビ局にあって、起死回生のスクープを狙う記者。担当した誘拐事件で他社を出し抜く独自取材を進める先に待っていたものとは・・・
マスコミ視点での社会派ミステリーはほとんど目にしたことがなく新鮮でした。
事件報道におけるマスコミの問題点として一般市民が認識しているであろうことを登場人物が率直に吐露しているところは痛快にも感じます。あとがきで池上彰氏もそのリアリティーに太鼓判を押しています。「報道の自由」を振りかざした取材・報道の行き過ぎには現実問題としても憤りを感じるところですね。
業界の常識や会 -
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ネタバレ2026/7発売の森羅記 3 流星の塵を読んだ。
久しぶりの森羅記。といっても、チンギス紀に激ハマリしてたのが今年の4月だから、まだ4ヶ月も経ってないくらい。それでもどこか懐かしく、モンゴル熱を再燃させるには十分の作品だった。
チンギス紀で感じた北方ワールドをたっぷりと感じる1作。
・地理的な展開と盤面の複雑さ
元々地政学に興味があるように、地図を中心に展開される物語は大好き。今作は、過去の森羅記と比べてもよりその色が強い。モンゴルでは、皇帝に即位したクビライの弟・アリクブケが、クビライの敵である南宋や高麗と連携しそうな動きを見せた。また、日本に視線を移すと、鎌倉に対抗する勢力として、京 -
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読みやすい!
角川ホラー文庫から出ているが、ホラーという感じはしなくて、世にも奇妙な物語みたいだった。
不思議で儚い世界観に、ちょっぴり切ないお話。
あらすじを読んだ時、てっきり夜市の話だけかと思ったが、短編2本で編成されてて、古道のお話も切なかった。
でもやっぱり、主題の夜市は、過去に弟を売り飛ばしてしまい数年後に買い戻しに行く兄のお話、という設定がかなり面白くて惹き込まれた。
小説にありがちな、登場人物が多くて理解に時間がかかるということもなく、少人数で話の展開も早いのでどんどん先が気になって一気に読んでしまう本だった。
2本とも、見る人によってハッピーエンドかそうでないか意見が分かれそう -
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ネタバレよかった。この話は家守奇譚の続編。前作もかなりの名作。前作は水墨画のような幻想的な印象だった。今作は、テイストはそんなに変わらないけど、色彩が豊かな印象。活力を感じた。
名作の条件は、余韻があるかないかだと思う。冬虫夏草、これは余韻がすごい… なんかもう泣けたわ。なんで泣けたのかわからん。50近くもなるおっさんが、涙腺が緩くなっているとはいえ、最後には涙を目に溜めながら読み終えた。最後のページの余白を少しの間読んでいた。うん。よかった。
手に負えぬ煩いは放っておけ。
このフレーズにいろんな想いが詰まっているよなぁ。グッときた。
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