小説・文芸の高評価レビュー
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箱根駅伝という大舞台を目指す若者たちの“始まり”を描いた上巻は、夢と現実の間でもがく姿が印象的な一冊だった。華やかな大会の裏側で、選手たちは怪我や実力差、将来への不安といった厳しい現実に直面する。それでも走ることを諦めない理由を、それぞれが模索していく過程が丁寧に描かれている。
特に、チームとしてのまとまりがまだ不完全な中で、衝突や葛藤を繰り返しながらも少しずつ信頼関係を築いていく様子がリアルで引き込まれた。個々の想いが交錯することで、単なるスポーツ小説ではなく、人間ドラマとしての厚みが増している。
また、「勝つため」だけではない、それぞれの走る意味が提示されている点も印象的だった。下巻へ -
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物語の集大成として、これまで積み重ねてきた想いや葛藤が一気に結実する、熱量の高い一冊だった。箱根駅伝という舞台に立つまでの過程で、それぞれの選手が抱えてきた挫折や迷いが、走りという形で昇華されていく描写が非常に胸を打つ。ただ速さを競うだけではなく、「何のために走るのか」という問いに向き合い続ける姿が印象的だった。
特に、チームとしての結束が強まっていく過程は見どころであり、個の力だけではなく、仲間を信じて襷をつなぐことの重みが丁寧に描かれている。限界を超えて走る選手たちの姿には、思わず感情を揺さぶられた。
結果だけでなく、その過程や想いにこそ価値があるというメッセージが一貫しており、読後に -
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シリーズの原点となる本作は、銀行という巨大組織の中で理不尽と闘う半沢直樹の原点が描かれた一冊。バブル期に入行したエリートたちのその後を背景に、融資トラブルや組織の責任回避といったリアルな問題が次々と押し寄せる。特に印象的なのは、失敗の責任を個人に押し付けようとする組織の冷酷さと、それに屈せず立ち向かう半沢の姿だ。
「やられたらやり返す」という強烈な信念の裏には、顧客や仲間を守るという揺るがない正義があり、その芯の強さが物語を一気に引き締めている。決してスマートではなく、泥臭く証拠を集め、理詰めで追い込んでいく過程が非常にリアルで引き込まれた。また、同期との関係や人間ドラマも丁寧に描かれており -
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前作に続き、痛快さと緊張感がさらに増した一作。銀行という巨大組織の中で、不正や権力闘争に真正面から挑む半沢の姿は、読んでいて何度も胸が熱くなる。特に印象的だったのは、バブル期の負の遺産に向き合うストーリーであり、過去のツケが現在にどのような影響を与えているのかがリアルに描かれていた点だ。単なる勧善懲悪ではなく、組織の論理や人間の弱さも丁寧に描かれているからこそ、物語に深みがある。
半沢の信念は一貫しており、「正しいことを貫く」というシンプルだが難しい姿勢が、周囲を巻き込みながら大きなうねりを生んでいく。その過程での仲間との連携や、敵との駆け引きも見どころで、ページをめくる手が止まらなかった。 -
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老舗足袋メーカー「こはぜ屋」が新規事業としてランニングシューズ開発に挑む姿を描いた本作は、挑戦することの尊さと、ものづくりの誇りを強く感じさせる作品だった。資金難や技術的課題、大企業との競争といった現実的な壁が次々と立ちはだかる中で、宮沢社長をはじめとする社員たちが諦めずに前へ進む姿は非常に胸を打つ。特に印象的だったのは、「伝統」と「革新」をどう両立させるかというテーマであり、長年培ってきた技術が新たな価値へと昇華されていく過程に、強いロマンを感じた。
また、単なる企業再生の物語ではなく、登場人物それぞれの葛藤や成長が丁寧に描かれている点も魅力的である。ランナー・茂木との関係性を通じて、製品 -
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企業社会のリアルとスポーツの熱量が見事に融合した一作。左遷された主人公・君嶋が、ラグビーチーム再建という困難なミッションに挑む姿は、単なるスポーツ小説にとどまらず、組織の在り方やリーダーシップの本質を鋭く描いている。勝利至上主義と経営合理性の狭間で揺れながらも、「何のために戦うのか」という問いに向き合う姿勢が印象的だった。ラグビーの持つ「ノーサイド」の精神が、対立や利害を超えて人をつなぐ象徴として機能しており、読み進めるほどに胸が熱くなる。仲間を信じ、泥臭く前に進む姿に勇気をもらえる、まさに池井戸作品らしい痛快さと感動が詰まった作品だった。
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ネタバレ聴いていてここまでこの世界観にどっぷり
浸かるのかと恐ろしくなるほどに
今私が身を置いている世界にも影響が大きい
今の私たちの世の中の汚いものを
全て煮詰めたようなこの世界で
どこか他人事ではないような出来事が
次々へ起こる。
男尊女卑、痴漢、差別、自殺、出産、
ピョコルン。
主人公の空子は名前の通り空っぽで
性格のない人間。
空子は対人関係の中で相手によって
自分を変えて生きている。
そのあまりの極端さに異常だと感じながらも
それを行っていない人間なんていないと
自分自身を振り返ってしまう。
救いのない1冊でありながらも
なぜかこの世界から目を離せなくなっている
自分に恐怖を感じて -
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「日日是好日」の続編。
お茶のお稽古の細々した日常を綴っている。季節の移り変わりを丁寧に拾っていく。お茶のお花の話、お香の話、お薄に濃茶。
「しーーーーーーー」
と茶釜に湯が沸く音。桜の後の花爛漫な季節。夏の着物は単にかわる。「炉」にかわって「風炉」小ぶりな火鉢のようなものが熱源にかわる。食籠は木地の漆から陶器にかわる。
そして季節が巡ると炉開き。
時々、フリーランスの仕事をしている心細さが挿入される。
私はお茶をやらないので、描写されている風景がわからないこともあるのだけど、素敵だなぁと思う。こんなふうに心穏やかに日々が送れたらいいなぁ。お道具とかお菓子の挿し絵が美しい。 -
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「佐方貞人」シリーズで、16年ぶりとなるのか…
すでに検事時代の佐方を忘れかけていた…。
弁護士・佐方のもとに警察から一本の電話が入ることから話が始まる。
佐方の大学時代の同期であり、弁護士の久保利典が行きつけのクラブの女性から不同意性交等罪で訴えられた。
佐方は、久保から弁護人を頼まれて、無実を主張する彼を信じて事件を調べる。
久保は、女性から嵌められたのか?
だとすると接点があるはずで…。
約20年程前に香川県で起きた、ある石職人の死亡事故が関連していることに辿り着く。
佐方弁護士の法廷での何を主張したいのかを明確にして尋問するやりとりに凄さを感じた。
けっして声を荒げることもなく、 -
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地政学がサッカーに与えてきた影響を切り口に、現代起きている現象を読み解く一冊。めっちゃ面白いし、ワールドカップを観戦するのに解像度が一つ上がる。
第一章では、なぜ日本代表が強くなったのかについて、Jリーグ創設前から現代までを語る。フットボールの中心の欧州から10000km以上離れているというハンデをどう乗り越えたのか。2002年のW杯招致の裏側、2014年ブラジルで惨敗した理由、2018年ハリルを切らざるを得なかったことなど、日本サッカーの物語を楽しく読んだ。そして現在、森保ジャパンは世界で唯一のボトムアップ型の監督。そこに行き着いた理由は日本でしか起こり得ない現象なのかもしれない。
3章
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