小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
今年一番の推し本です。
生きづらさというテーマを扱う書籍は多いですが、感覚的・論理的・詩的な文体といいますか、そのバランス感覚が凄まじく、ひとつひとつの短いエッセイから受け取れる情報がとても多く、感動します。
著者が音楽家・詩人という経歴だからでしょうか。 文章の呼吸、改行のタイミング、言葉の温度感が、エッセイだけではなう「詩」や「音楽」に近いです。黙読していても、脳内で心地よいナレーションが再生されるような感覚になります。
内容は重いテーマ(うつ病や絶望)も扱っていますが、文章のリズムが軽やかなので、不思議と重苦しさがありません。 意味を理解しようと必死にならなくても、ただ文字を目で追 -
Posted by ブクログ
『スピノザの診察室』の続編。
期待を裏切らない満足感に暫し酔いしれる。
大学病院を去り、地域病院で外来、病棟、訪問診療所と多岐にわたる業務をこなす雄町哲郎ことマチ先生だが、甥っ子の龍之介を引き取って3年経った。
医療が人を救うのではなく、人が人を救うという姿勢は変わらない。
今回は、マチ先生の力量を惚れ込む花垣から難しい症例が持ち込まれるも彼らしいと思う挑み方に感心した。
生と向き合う医療でもなく、死と向き合う医療でもなく、第三の道を目指すというマチ先生らしさにこれも哲学なのかと思う。
研修医の南先生から見えるマチ先生というのは、特別貫禄があるというわけではない。熱意や使命感に溢れて