小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレ小説というものについて、明晰に分析し、わかりやすく説明した名著。これまで小説を読むうえでぼんやり思っていたことも含めて言語化されて整理され、それをまた小説を書く側の視点から説明してくれており、今後小説を読むうえで非常に役に立つと感じた。
小説は作者と読者のコミュニケーションである、ということが一貫して述べられており、また以下のような視点も面白かった。
・自分の「小説法(=小説についての好み、考え方)」と作者の「小説法」を知ることで無駄な時間を費やさずに読書を楽しむことができる。
・小説を書くときには、「抽象化をして個別化する」
・「文体」とは「情報の順番」である
・「伏線」という言葉は嫌いであ -
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ネタバレ本を作ること、所有すること、読むことを禁止された世界の話。
本が禁止された世界で考えることをやめる人々の様子が事細かに描かれ、現代と似たものがあると思い、恐ろしさをおぼえました。
考えないから、本は悪だと疑いもせず、なぜダメなのかを知ろうとしない。
誰もがスマホを持ち、本を読む人が減った今、深く考えることが減ったように感じます。
「国民には穀物生産量1位を当てるクイズを出しておけ」とモンターグの上司の言葉がありました。
現代でもランキング形式のクイズ番組が増えたように感じます。
当たると嬉しいけれど、それがなぜ1位なのか実はあまりよくわかっていない、知っているだけということが多い。
本は -
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最高、大好き。
この年末に今年のBEST10更新することになりそう。
生と死の間のような輪郭のはっきりしない世界
時の流れも曖昧で、瞬間は永遠でもある
ほぼ固有名詞はなく、遠くには人が住んでいたような街が見える
そこにいる存在の輪郭は曖昧で、町は輪郭だけが曖昧
そんな世界で編まれる短編9篇
実体を持っているのかいないのか、そもそも実体に意味があるのか分からない世界で、かつての自分の手がかりを探したり、人であった頃の感情に触れてみたり。
「今ここにいること」それが全てて意味なんてない
最後にこの世界の種明かしがされるけど、そんなことはどうでも良くなるくらい全ての話に魅了された
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ネタバレ走の走ることが好きという真っ直ぐで純粋な部分が美しくて好きになる。
走はずっと我慢できずに手が出てしまう性格に向き合ってた。走はそれを弱さだと認めて、清瀬という強い人を見て、自分も強くなりたいと思い、成長していく。走は素直で逞しい人間なんだなと思った。
駅伝は、足が速いだけでは乗り越えられないいくつもの壁があるものなんだと知った。
走が駅伝を目指す過程で強さの秘密みたいなものに徐々に触れていく瞬間が印象的だった。
「強さとはもしかしたら、微妙なバランスのうえに成り立つ、とてもうつくしいものなのかもしれない」という言葉が印象に残っていた。
そうして強くなった走が9区でみせた走りは美しくて、走の研 -
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鷹樹烏介『警視庁公安部外事四課 オルガントレード』徳間文庫。
書き下ろしシリーズの第3弾。
今回もなかなか読み応えがあった。ウズガラーヤの残党による事件と中国の臓器売買組織という新たな闇の勢力が描かれる。
最近の日本は犯罪も国際化している。外国人による犯罪増加もさることながら、海外に拠点を置いた特殊詐欺事件やトクリュウ型の強盗殺人事件なども目立つようになった。
中国などでは日本よりも貧富の差が大きく、共産国と言いながら、闇で過激な経済活動が行われているのだから始末に負えない。
今回は中国の闇ビジネス、臓器売買組織に警視庁公安部外事四課のはみ出し者たちが果敢に挑む。
警視庁公安部外 -
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ネタバレAudibleで聴きました。前作から42年ぶりの続編。
特に印象に残っているのは、戦争の描写の具体性です。お父さんが徴兵され、遠くからでもその姿を目に焼き付けようとする別れのシーンには胸が詰まりました。終戦から5年経っての再会や、シベリア抑留の過酷さなど、現代の生活からは想像もできない事実に圧倒されました。
また、野菜を送ってくれた人を頼っての疎開や、母と離れ離れになりかけた満員列車の恐怖など、一つひとつのエピソードがあまりに鮮明で、まるでその場にいるようなヒヤヒヤする感覚を味わいました。
戦後、NHK専属女優として自分の個性を貫いていく姿にも感銘を受けましたが、何より驚かされたの -
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映画を観たあとに読みました。
上下巻合わせると結構なボリュームがありますが、面白くてどんどん引き込まれてしまいました。
はじめの料亭での立花組VS宮地組の抗争など、映像だと刺激が強すぎて
観ていて辛くなるシーンがありましたが、
本だと文章表現の美しさが一番に感じられて、とても良かったです。
映画を観た後なのでどうしても登場人物は俳優の顔で置き換えられますが、置き換えても全く違和感がありません。
改めて、表方裏方関係なく、映画に携わる人全員が本気で作った作品だったんだなと感じました。
映画では全ては描かれていないディテールの部分も
本で読むことができたので良かったです。